事情がいまいちの見込めなかった。
 響くんが襲われてるって聞いて。
 人助けだと思って、ついてきて欲しいって東琶に連れてこられて。

 実際、響くんは襲われてたんだけど、そこには悠真もいて、俺は悠真に手を引かれた。

「悠真、なにして……っ」
「ん? 東琶に頼まれて時間稼ぎ。する代わりに慎連れてこれないかって俺が頼んだの」
 別にもちろん、来るくらいはかまわないけれど。
「いいでしょ、慎」
 壁へと押さえつけられキスされる。
 やばい、拒まないと。
 だって、そこにまだ東琶も響くんもいるし。
 透は先輩たちとどこかえ行ってしまう。
「んっ……」
 しかも結構ガチなキス。
 舌が絡まって、体が熱くなる。
 やばいって。
 そんなキスされたらHしたくなる。
 時間をかけたキスの最中、なんとなく東琶と響くんが去っていくのがわかった。
 ほっとしている場合じゃない。
 悠真は、ズボンの上から俺の股間を撫で上げる。
「悠……真っ。ぁっ…帰りでいいだろっ」
「ふーん。帰りにしたいんだ?」
「したいもなにもっ……お前、いつもするくせに」
「そうだよ。でも昨日してないじゃん?」
 そう。
 ここ最近、日課になっていたのに、昨日は時間が合わずやらなかった。
「ね。慎、昨日は一人Hした?」
「ん……そんなこと……っ」
 言う必要ない。
 そう思うのに、チャックを下ろされ直接手に取られると、なんだか弱みを握られた気分になる。
「んぅっ……」
「したんでしょ」
「っ…したけどっ。別にいいだろ」
「いいよ。ただ聞きたいだけ。後ろも使った?」
 悠真が俺のを擦り上げながら、耳元で話し続ける。
「んっ……」
「すごい、エッチな顔してる。東琶に見られながらキスして、いつもより興奮したんだ?」
「……違うって……っ」
「恥ずかしいこと大好きだもんねぇ、慎は。今度、誰かに見られながらHしようか」
「やだよ、そんなのっ」
「ほら。期待した? すごいココ、おっきくなった」
 ギュっと俺のを掴みながら示して、指先で亀頭を弄る。
「っ…んっ!」
「っつーか、誰か来ちゃうかな。こんな廊下で」
 ぬるぬると指先が滑って、ゆっくりと離れていく。
「見て。すごい濡れてる」
 少し体を離し、亀頭から糸が引くのを見せつけられた。
「っ……」
「誰か来ないかなぁ。ね、見られたいでしょ」
「っなに言ってっ……」
「いいよ。慎は俺のだって、みんなに見せびらかしたいし。ね、脱いで片足あげて」
 こんな廊下でとか無理に決まってる。
 もちろん、本当は電車でも無理なんだけどっ。
「ふざけてないで……トイレとか」
「Hする気はあるんだねぇ、慎は」
 しょうがなくなのか、悠真は俺の手を引いてトイレへと入ってくれる。
 けれど個室ではない。
 廊下を誰かが通ればすぐにでも見えてしまう壁へと押さえつけられた。
 ズボンと下着の中へと手を突っ込んで、指先で入り口付近を撫でられる。
「んっ! ……ぅんっ」
 自分でもそこがヒクつくのがわかった。
 悠真は、それに気付いているだろうに、何度も何度も外の襞を撫でる。
 さっき、俺のから溢れてしまっている液をぬぐったせいか、ぬるぬるとした感触。
「はぁっ……んっ!」
「ね。ズボンとパンツから足抜いてよ」
「んっ……ここじゃっ」
「トイレじゃん? 個室じゃあまったく見られる危機感なくなっちゃうでしょ。ああ、慎は声おっきいから、個室でも聞かれちゃうだろうけど」
 何度も撫でられ、腰が揺れた。
 見下ろすと、少しかがんだ悠真と目が合う。
「んっ……悠真っ」
「入れてあげないよ。足抜いてあげてくれないと」
「んっ! ゃっ」
「そうやって、腰くねらせてねだっても、駄目」
「やっ……」
「や、じゃなくて。ね」
 入りそう。
 なのに、入らない。
 腰を揺らして指に近づいても、悠真がそれを受け流してしまう。
「はぁっ……」
「足、あげてくれたら入れてあげるから」
 耳元でそう言われ、我慢出来なくて、ズボンとパンツを少し下げる。
 そこから、左足を引き抜いた。
「んっ……悠真っ」
「んー。引き抜くだけじゃ駄目でしょ。ちゃんと、あげて見せて?」
 しょうがなく、左足の太ももを抱え込む。
 これじゃあ左側の廊下から丸見えだ。
 いまさら、右足にすればよかったと後悔した。
 でも右側から悠真が顔寄せてきてたし。
「うん、かわいいねぇ。どうしてそんなに泣くの? 入れて欲しい?」
 悠真はあいかわらず、入り口で指をさまよわせたまま。
 じれったい。
「んっ! 悠真っ」
「すごいヒクヒクして。そうそう、さっき結局、聞いてなかったね。後ろも使って一人Hしたの?」
 もうそんなことどうでもいいのに。
 俺の右手を掴んで、指をしゃぶられる。
「教えてよ」
「っ……んっ」
「なに?」
「っした……けどっ」
「けど?」
「も、どうでもいいだろ、そんなのっ」
 ピチャピチャと音を立てて、指をしゃぶりながら、それでも悠真が軽く笑うのがわかった。
「見せて」
「っ……足、あげたら入れるってっ」
「うん、言ったよ。でも、その前に慎の一人H見たくなっちゃった」
 悠真が撫でていた箇所に、俺の右手の指が導かれる。
 今度は俺の指を使って、入り口付近を撫でられてしまう。
「んっ! んぅっ!」
「ね。入れていいよ。欲しかったでしょ」
 欲しい。
 ゆっくりと、自分の指を押し込んでいく。
「んぅんんっ……」
「かわいい。慎、いまどういう体制かわかってる? 自分の左足抱え込んで、右手の指突っ込んで、すごいエッチな顔してる」
「ぁっ……んぅっ」
「少しどいてあげようか?」
 よく意味がわからなかったが、悠真が俺の正面から体をずらす。
 すると、正面の手洗い場についている鏡に、自分の姿が映った。
「んぅっやっ……」
「ね。かわいいでしょ。もっと一生懸命、指動かして?」
 言う通りにするつもりはないのに、刺激が欲しくて動かしてしまう。
「はぁっんっ……んぅっ」
「そうやって、昨日も一人Hしてたのかなぁ、慎は」
「ぁあっ……んっ…ンっ……ぁあっ」
 体が軽く跳ねる。
 イきそう。
 悠真の視線が突き刺さった。
 イクなんて言ったら、途中で止めさせられるんじゃないか。
 でも、このままなにも言わずにイってしまうのは、悠真にかかるし、なによりマナー違反な気がしてしまう。
「ふぅん。イきそうなんだ?」
「っんっ…」
 何も言って無いのにバレてしまい、このまま黙ってイってしまおうかと迷った自分に罪の意識が芽生えた。
「ね。イきそうなんでしょ」
「っ……んっ! あっ、ぅんっ」
「素直に言ってくれたらちゃあんと、してあげるのに。ていうか、言ってくれなきゃいろいろしてあげないよ。ねぇ、慎之介」
 悠真の言うことがちゃんと理解出来たわけでは無いのに、それでもコクリと頷いてしまっていた。
 慎之介って、俺のこと呼ぶときは、本気なんだ。
「自分の指1本で、後ろだけでイきそうなの?」
「っ……あっ……んぅっ……ぃっちゃっ……」
「ねぇ。慎之介。恥ずかしい?」
 涙で視界がぼやける。
 頷くと、涙が零れ落ちた。
「っ……ぁあっ……ぃくっ……あっっ」
「慎之介は俺にかかってもいいと思ってる?」
「だっめっ……ぁあっ…っ」
「じゃあ、どうしよう?」
 悠真の指先が、いまにもあふれ出してしまいそうな亀頭部分をぬるりと撫でた。
「んぅっ!! いくっっ」
「しょうがないなぁ」
 悠真は、しゃがみこむとぱくりと俺のを口で咥えこんだ。
 今度は舌先で、亀頭を撫でられ、体が大きくビクつく。
「ぁあっあっ……んっ…んぅんんんっ!!」

 出してしまったものを悠真が口で受け止める。
 俺は指を引き抜き、自分の左足も離した。
「慎之介―。自分の指1本じゃ足りないでしょ」
 立ち上がった悠真の右手に、俺の出した精液が乗っかってるのが見えた。
 いつのまにか、出したのだろう。
 悠真は、左腕だけで俺の体を反転させ、後ろから髪をそっと撫でる。
「足りた?」
 また、悠真の指先が俺の足の間を這う。
 入り口をぬるぬると滑る。
 俺の精液を纏った指先が、入りそうで入らない。
「悠……真っ」
「腰、もっと寄せて」
 素直に従うつもりもないのに、腰を引かれてしまう。
 壁に手を付くと、少し腰を突き出しているような体勢になっていた。
「ね。教えてよ。足りたのなら、俺はしないし」
 まただ。
 いつも、俺から欲しがるまでしてくれない。
 欲しくないのに、無理にやられるよりいいのかもしれないけれど。

「っ……足りな……」
「さっき、ちゃんと片足あげてくれたしねぇ。入れてあげるよ」
 そう言って、指先をゆっくりと中へと挿入させる。
「あっ、んぅんんっ……!!」
「すんなり入ったねぇ。やっぱさっき入れたし、昨日も一人Hしてるから? たっぷり慎之介の精液ついてるしねぇ。もう1本、入れようか」
 2本目。
 あ、3本目も?
「んぅんっ!! ぁっあっ!!」
「すごいねぇ。もう1本のつもりだったけど、全部で3本余裕で入っちゃった。ああ、でもちゃんとキツいから、安心して?」
 3本もの指が、中を蠢く。
 そのたびにクチュクチュといやらしい音が響いた。
「ぁあっ……んぅっ!!」
「こんなにも、入っちゃうなんて。昨日、バイブでも突っ込んだの?」
 隠しているわけではないけれど、わざわざバイブを入れて一人Hしてるのがバレるのはやっぱり恥ずかしい。
 応えないでいると、ぐっと前立腺付近を押さえつけられる。
「ぁああっ……んぅんっ!!」
 駄目だ。
 指なんかじゃなくて、もう、早く欲しくてたまらない。
「ひぁっんっ! 悠真ぁっ……ぁっもぉっ…やっ」
「や?」
「やぁっ…あっ…指っ……やあっ」
「じゃあ、なに? やっぱりバイブが好き?」
 バイブだってものすごく刺激的だが、いま悠真がこの場にいるのなら、もちろん本物が欲しいわけで。
 そっとわずかに首を振る。
「ぁっ…悠真ぁ……」
「慎之介はいつのまに、こんなにおちんちん大好きな子になっちゃったんだろうねぇ」
 すごい恥ずかしいことを言われているのに、体が言うことを聞いてくれない。
 それどころか、ますます熱くなる。
「さっきまで、こんな場所でーとか言ってたくせに、もう我慢出来なくなっちゃったの?」
「はぁっあっ…あっ……出来なっ」
「出来なくて、どうしたい?」
 言わないと。
 俺が言おうとするのに合わせて、悠真の指の動きが緩くなる。
 それがまた、焦らされているようで、もどかしい。
「あっ……っんっ…してっ」
「して? どういうこと?」
「っ……んぅっ」
「言ってくれないと」
「はぁっ…悠真ぁっ…」
「なぁに?」
「っ…あっ俺ん中っっ……悠真のちんちん、入れて」
 悠真が、俺の頭を撫でる。
「よく出来ました」
 耳元でそう言うと、ゆっくり指が引き抜かれた。
 腰を寄せられ、熱い昂ぶりが押し当てられる。
 悠真のだ。
「じゃあ、入れちゃうよ」
 悠真のが、俺の中にずぶずぶと入り込んでくる。
「っんっぁっ……ひぁっ!? んぅんんんっ!!」
 奥まで到達するかしないかのうちに、体がビクついて、そのままイってしまう。
「んー、また、入れただけでイっちゃったの? 最近、いつも入れただけでイっちゃうよね。もう癖になっちゃってるかな」
 イっても足りなくて、そんな俺の気持ちがわかってか、奥まで入りこんだソレで、中を掻き回してくれる。
「ぁあっあんっ!! やぁっ悠真ぁっ……」
「はしたなくてかわいいよ。気持ちいい?」
「はぁっ……んぅっ、ぃいっ……ぁあっあっ! やぁあっ」
「ねぇ、指とそんなに違うの?」
 熱くて、硬くて。
 指なんかとは全然違う。
「違ぁっ……はぁっんっ……悠真っあっ……さわってっ」
「慎之介は、先っぽ弄られるの好きだもんねぇ」
 中をかき回しながらも、悠真の指先が俺の亀頭を弄ってくれる。
 精液を放ったばかりのソコをぬるぬると撫でられ、身震いした。
「くぅっ……ぁあっ! ぁんっあっ」
「ホントかわいいよ。すごいヌルヌルしてて、中もきゅうきゅう締め付けて。Hな慎之介、たまんないよ」
 耳元で、少し荒めの息遣いで悠真が伝えてくれる言葉にも反応してしまう。
 足も、ガクガクしてきていた。
 もう声だって出しすぎだし、絶対誰かに気付かれてる。
 そう思うのに、全然萎えないし、止められない。
「悠真ぁっ……ぁあっ…駄目っ……」
「駄目?」
「俺っ……ひぁっ……こんなっ……あっ…場所、なのにっ」
「しょうがないよ。慎之介は、えっちな子だもん。ね」
 ヌルヌルと亀頭だけを攻めていた手が、今度は強めに竿も擦り上げてくれる。
 もう片方の悠真の手が、シャツの中に入り込み、指先が乳首を押さえつけた。
「んっ! ぁあっんっ! んぅっ!」
「かわいいなぁ。ココもこぉんなに硬くして。舐めたいなぁ」
「んぅっ! あっぁあっ……舐め……てっ」
「この体勢じゃあ無理だからぁ。また後でね」
「ぁあっ……悠真ぁっ…」
「そうだなぁ。慎之介の先走り塗り付けてあげる。これで乳首もぬるぬるで気持ちいいでしょ。代わりに耳舐めてあげるから。ね」
 言葉通り、悠真が俺の先端から溢れている先走りの液を拭って、乳首に塗りつける。
 ぬるぬるとした感触で押さえつけられ、耳に這う舌からは濡れた音が響いた。
「ぁんっぁあっ……ぃくっ…悠真ぁっ……俺っ…ぁあっっ」
「まぁたイっちゃうんだ? かわいいね。……今度もちゃんと声、殺せる?」
「はぁっ……んぅんっ!! ぁあっ…声っ……」
「そう。慎之介は、イくときたくさん声出ちゃうもんねぇ。でもさっきまではすごく我慢してくれたでしょ」
 声、殺さないと。
 本当に誰か来ても困る。
 そう思うのに息苦しい。
「ぁあっ……んぅっ! んゃっ…あっ…アっ! んぅんんっっゃああああっっ!」

 結局、息が続かず声をあげてしまう。
 その上、悠真のが、中に流れ込んできた。
「ンぅっ!! ゃっだっ」
「えー、どうしてやだとか言うの?」
「中っ……ったくさっ……」
「そうだねぇ。たくさん出しちゃった」
「ぁんっ! あっ……悠真ぁっ」
 最悪だ。
 もう3回もイったのに。
 まだしたい。
 したくてたまらない。
「あっ……もっとぉっ……悠真ぁっ、あっ、グチャグチャってっ」
「慎之介は中出ししたあとにぐちゃぐちゃに掻き回されるの好きだもんねぇ」
 後ろから頭を撫でられ、頷く。
「じゃあ、今度ローション使って、たっぷり中までぐちゃぐちゃにしてHしようか」
 ローションは、本当に潤滑剤としての使い方しかしたことがない。
 たっぷり中まで。
 想像しただけで、後ろがヒクついてしまう。
「んっ……したぃ……っ」
「ね。たくさんやらしーH、俺としよ?」
 俺が頷くと、それが合図だったみたいに、悠真が中に入り込んだままだったモノを引き抜いていく。
「ゃあっ!!」
「んー……。かわいいけど、足ガクガクしちゃってるし。また続きは後で。ね?」

 立っていられそうにもないし、3回もイってるのに。
 まだH続けたいって思ってる自分は大丈夫なんだろうか。  

 いままで、電車なんかでHしてくる悠真に対して変態だとか思っていたけれど、もし、悠真が俺みたいに性欲に負けてしまう人間だったら、たぶん、今、Hしまくってるんだろうなって思う。
 誘ってきたのは向こうだけれど、悠真は理性を失うってことないのかな。
 ちょっとだけ、見習わなければいけない。

 まあ、そもそも、こんなところで手を出す悠真が悪いとは思うんだけど。

「こんなんじゃ、なかったのに」
「……お兄さんのせい?」
 兄貴といろいろHをして、なんだかエロい体になってしまった。
 前はそうだと思ってたんだけど。
 今、俺がハマってるのはたぶん、Hそのものじゃなくて、悠真とのHなんだよなぁ。
「わからないよ」
「きっかけがなんであれ、こんな風に求めてくれる慎之介、俺は大好きだよ。本当はまだまだ俺もHしたいし」
 恥ずかしいこと、はっきり言うよな、こいつって。

「次は帰りに電車でだね」
「ちょ、帰りにもするのかよ」
「だって、いまのは昨日の分。それに、慎之介だって欲しがってたじゃん」
「でも、電車じゃ……」
「じゃあ、うちで、電車じゃ出来ないプレイする?」
 やばい。
 うかつにも、期待でドキドキしてしまう。
 電車はいやだから、家で。
 それだけなのに、悠真が電車じゃ出来ないプレイとか言うせいだ。
「なに……それ」
「さあ? なにしようねぇ。放課後のお楽しみだね。うち、おいでよ」
「…………うん」
 あくまで電車だと、人に見られるのが困るからであって。
 決して、電車じゃ出来ないプレイとか期待しているわけじゃない……なんて言っても無駄なんだろうな。