「はぁっ……んっ! んっ!」
 東琶の部屋に着くなり、東琶はまた僕へと口を重ねた。
 キスをするのはもう何度目だろう。
 うまく拒めなくて、一歩後ずさりすると壁に背中を打ち付ける。
 それでも東琶はキスを終えてはくれなくて、舌が絡みつくとたまらず僕はその場へと座り込んだ。
「ん……東琶……。ただ遊ぶだけだろ」
「そうなんだけど。やっぱ自分の部屋に好きなやつと2人きりってテンションあがるよな」
 そんなことを言いながら、座り込んだままの僕の前に東琶がしゃがみこむ。
「かわいいよ、マジで。……思い出させたいわけじゃねぇけど、先輩たちになにされた?」
「っ……なにって、手で抜かれただけで……」
「ホントにそれだけ?」
「……少し胸も触られたけど」
 そう素直に告げると、東琶はシャツの上から僕の胸をそっと撫でる。
「なんかそれむかつくな……。俺は触ってねぇのに」
 確かめるよう手の平がゆっくりと胸元を這い、体がゾクゾクと震え上がってしまう。
「んっ……んっ」
「響って、胸でもすっげぇ感じるんだ?」
「違……う」
「俺より先に先輩が撫でてんだろ、ここ。キスだって桜井の方が先だし」
「それ……は……そうだけど」
 わかりやすく東琶は僕の前で舌うちをした。
「じゃあ俺は……なんならお前の1番最初の相手になれんの?」
 僕のことをイかせてくれたのは東琶が初めてだ。
 ……とは口に出せず恥ずかしくて顔を逸らす。
 それが気に入らなかったのか、東琶は僕のシャツのボタンを順に外していく。
「なに……」
「見せろよ。いいだろ」
 駄目というわけではない。
 たかが上半身を見られるくらいなんてことはないと思い黙っていると、東琶が僕のシャツの前を開く。
 視線が胸元へと突き刺さり、ゆっくりと東琶の手が僕の胸の先端へと触れる。
「ひぅっ……んっ!」
 軽く触れられただけなのに、痺れるような感触。
「……響の乳首、めっちゃ勃ってんだけど」
「っ……そんなこと……」
「やば……。こんなエロい乳首見せられたら我慢出来ねぇ先輩の気持ちとかちょっと解っちまうかも」
 ふざけるなって言い返したいのに、その前に触れただけでいた東琶の指が僕の乳首を押さえつけ、ゆっくりと転がしていく。
「ぁっ……んっ……やだ……」
「なんで?」
 なんでって……このまま撫でられたらすぐにでも気分がエロくなって、胸だけじゃおさまらなくなってしまう。
 けれどもそんな理由を伝えることも出来ず、僕は逃げようとするも後ろは壁でうまく拒めない。
「……響……舐められた?」
「っそんなこと……されてなっ」
「ああ、撫でられただけなんだ?」
「うん……」
「じゃあ、俺には舐めさせてくれる?」
「やっ……」
 僕はほぼ反射的に首を横に振る。
 けれども、東琶はジーっと僕を見つめて、舌なめずりをした。
「俺だけに……先輩と違うことなにかさせろよ」
 そう真剣な目で言われ、次は首を振ることが出来ず、ゆっくりと胸元に迫って来る東琶の体を押し退けることも出来なかった。
 東琶がいままで指先で触れていた先端に、ぬるりと舌が這う。
「あっ……んぅっ」
「ん……痛かったら言えよ」
 東琶は僕の乳首を口に含み、軽く歯を立てたり吸い上げたりと愛撫を繰り返す。
 そのたびに、恥ずかしいくらいにビクビクと体が跳ね、熱くてたまらなくなった。
「東琶ぁ……あっ……待っ……てぇ……んっ」
「……お前、エロい声出しすぎ……」
「はぁっんっ……あっ! あっ!」
「……もしかしてさ……先輩の前でもそんなエロい声出した?」
 出したかったわけではないけれど、声を殺すなんてこと僕には出来なかった。
「だってっ……」
「あー、出したわけね」
「っ……しょうがな……っ、東琶と、同じことする……からぁっ」
「同じこと?」
 東琶は僕の胸元から少し体を離し言葉を待つ。
「はぁ……」
「同じことってなに?」
「……だから……東琶が昨日したみたいに……」
「もしかして、ちんこ舐められた?」
「っ……それは、されてない……」
「あー……、お前って先走りめっちゃ出すからぬりたくりたくなるもんな」
「なっ……」
 もともと熱かった顔が、羞恥心からかもっと熱くなる。
「違う?」
 違わない。
 けれど口に出せずにいると、東琶はズボンの上からぎゅっと僕の股間を掴み上げた。
「ぁっあっ」
「もう濡れてる?」
「……そんな……言い方……っ」
 恥ずかしいけれど、東琶が少し手を動かすと、中が濡れているような感触がした。
「はぁっ……やっ……」
「……見せて」
「やっ……やだっ……」
「なんで?」
「あっ……そこっ……濡れて……」
「別にいいって。っつーか濡れてんならなおさら、脱いどかねぇと」
「東琶がもう触らなきゃ、濡れない……からっ」
 そう伝えるも東琶は手を止めてくれず、僕の耳元に顔を近づけなおかつ触れたままでいた股間を布越しに撫で回す。
「ひぁっあっ……」
「響……俺に撫でられると濡れちゃうって言ってるようなもんだけど?」
「ぁっ……ん、だって……っ」
「もうやばそう?」
 すでに頭がいっぱいいっぱいでなにも答えられずにいると、東琶は僕のズボンを脱がしにかかった。
「あ……」
 やっぱりすでに下着まで濡れているのを東琶に見られてしまい、僕は慌てて手で東琶の顔を横へと向ける。
 それでも東琶はいとも簡単にその手を取りあげ、下着の上から先端を指先でつつく。
「んっ! んぅ……」
「……響……駄目?」
「はぁ……駄目とか、そういう聞き方、ずるぃ……」
「それって駄目じゃねぇってこと?」
 結局そうなんだ。
 絶対に駄目かと問われたらよくわからなくて。
 黙っていると東琶は勝手にOKだと解釈してしまう。
 下着から取り出されると、溢れ出ていた液が糸を引いた。
「……舐められてねぇよな?」
「……されてな……けどっ」
 それを言えば舐められてしまうかもしれないと思いつつも、まさかこんな状態のを舐めるはずがないという思いの方が強かった。
 それでも不安が拭えずにいると、東琶は舌を伸ばし先端をペロリと舐めあげる。
「ぁあっ……あ、やだ……」
 首を横に振っても、東琶の視界にはきっと入っていない。
 まるで液を吸い出すよう口づけられると、体が大きく跳ね上がってしまう。
「ぁああっ!!」

 突然の刺激に我慢出来ずそのまま射精すると、東琶はなんのためらいもなくそれを飲み干した。
「や……はぁ……」
「ん……早……。溜めてねぇだろ?」
「っ……もぉ……や……」
 恥ずかしくて溢れてしまう涙を東琶が指で拭う。
「響……めちゃくちゃかわいいから、そんな恥ずかしがんなよ」
「嘘……だ」
「嘘じゃねぇよ。ほら……」
 東琶は僕の手を取ると、東琶の股間を触らせる。
 こっちが恥ずかしくなるくらいにそこは硬くなっていた。
 少し手を引いても意味はなく、東琶は僕の手を使って自分のを擦らせる。
「はぁ……マジでお前でこんなんになっちまうんだけど」
「や……」
 自分で興奮されるというのは上手く理解出来なかった。
 けれど、僕だって同じだ。
 昨日、東琶のことを考えて興奮して体を熱くした。
 そっか。
 東琶も同じなんだ。
「響……。なんでまた勃ってんの?」
 体を近付けた東琶に耳元で囁かれ体がゾクゾクと震え上がる。
「っ……あっ……」
「俺の触って興奮してんの?」
 恥ずかしい指摘に涙が溢れた。
「違……っ」
 違うだなんて言い訳だってことくらいわかってる。
 たぶん東琶もわかってる。
 東琶はやっと僕の手を離してくれるが、ズボンのチャックを下ろしてしまう。
「っ……なにっ」
「んなビビんなって……」
 東琶が自分のを取り出し、体を近付け僕のモノへと触れさせる。
「熱……すげぇな、響って意外と絶倫?」
「や……」
「あー、わかったって。いちいち泣いてんじゃねぇよ」
 僕の腰を引き寄せ、東琶は腰を緩く動かす。
 ぬるぬるとお互いのモノが擦れ合い、初めての感触に僕の体はまたみっともなく震え上がった。
「ふぁっあっ……ぁあっ!」
 初めて勃った状態の人のモノを見た。
 僕の腰を抱えて体を揺らす東琶の姿は、まるで実際にセックスをしているような体勢で……。
 なに考えてんだろう、僕。
 最低だ。
 でも、今実際に僕達はすごいことをしているのだと思う。
「ぅっやぁあっ……やっ……だめ……」
「はぁ……なんで?」
「んぅう! 東琶ぁっ……ぃくっ……あっあっ、いきそぉ……っ」
「っ……お前、マジでエロすぎ」
 東琶の手が、2本まとめて僕たちのを掴んだ。
 ゆるゆると擦り上げられると、あっけなく俺は限界を迎える。
「ぁあっん! あぁああっ」
「っ……ん……俺はまだなんだし、付き合えよ」
 東琶はそう言うと、溢れ出た俺の精液を拭い、自分のものへと擦りつける。
「なっ……なんでそんなことするんだよっ」
「ん……いいだろ。俺のちんこ、お前の精液まみれとか興奮するし」
 理解出来ない……そう言い返したいのに、なぜだか僕まで興奮してしまう。
 東琶のせいだ。
 少し荒い息遣いが、妙に色っぽい。
「はぁ……見てるだけじゃなくてさ、お前も手伝えよ」
「っ……そんなの、上手く出来ない」
「別に上手くやれなんて言ってねぇだろ」
 東琶は僕を待つよう手を止めてしまう。
 断わり切れず、結局僕は東琶のモノを掴んだ。
 掴んだ僕の手を、上から東琶が掴む。
「んっ……いいよ、響……」
 東琶に手を動かされているのか、東琶が腰を動かしているのか、よくわからない。
 ただ、普段の東琶からは考えられないほどの色っぽい表情。
「……東琶……」
「ん……いく……っ」
 そうわざわざ伝えられ、東琶の手の速度が上がる。
 すぐさま、ビクビクと震えた東琶の放った精液が、僕の体へとかかった。
「あ……」
「……悪ぃ。ぶっかけちまって」
「ん……いい、けど」
「いいのかよ」
 僕が出してしまった精液と、東琶の出した精液が混じるようにして俺のお腹にかかっていた。
 その精液は重力に従い、僕のモノへと垂れていく。
「ん……」
 僕はさきほどの東琶を思い出し、つい出来心でその精液を自分のものへと撫でつける。
「あ……」
 ぬるりとした感触は独特で、妙な高揚感を覚えた。
 これが、さっき東琶のしてたことなのかもしれない。
「おい、響。マジでエロいことすんな」
「え……あっ」
「ただ遊ぶつもりで家呼んだってのに、そんな煽られたら我慢出来なくなんだろ」
 煽ったつもりはない。
 なんていまさら言っても遅い。
 なにしてんだろう、僕。
「いいの? 響。もっとしちゃっても」
 東琶の手が、もう一度僕のを掴む。
 精液を纏いぬるつくそこを、擦り上げていく。
「ぅあっ……ぁあっあっ」
「……ダメだって言われてもキツいんだけど」
 そう言うけれど、きっと東琶は僕がダメだと言えば本当に止めてくれるだろう。
 だからこそ、僕は考えて……考えた上で、答えを出した。
「……ダメ……じゃない」