お互いすべて服を脱いだ後、ベッドの上で、仰向けに寝転がる椿くんの足を開く。
「あ……」
「して、いいんだよね?」
 さすがにもうちょっと休憩したかったかもしれない。
 それでも、頷いてくれる椿くんを確認すると、膝を曲げさせて、勃ちかけていたモノを中に押し入れた。
「んぅんんっ! くぅ……」
「椿くんのナカで、ちゃんと勃たせてよ」
 ローションと精液が入り込んでいるナカを、軽くかき混ぜてあげると、椿くんは、そこをビクビク震わせてきた。
「はぁっ、ああっ……くぅ、うう……」
「ん……さっきイッたばっかりだからね。敏感になってるかな。気持ちいい?」
「はぁ……あっ、うん……んっ、佐々ぁ……んんっ……あ……俺……!」
「なに?」
「はぁ……んん、はぁっ、あっ……また……ん、んっ、いきそぉ……」
「いや……だめだよ。いくらなんでも早すぎ」
 俺が動きを止めても、椿くんは自ら腰を浮かせて、俺のモノを味わう。
「はあっ、あっ……佐々ぁ……んん、はぁ…いく……ん……ん、いく、からぁ……はあっ、あっ……やめない、で……」
「いくから、やめてるんだけど。我慢して?」
 覆いかぶさるように、顔を近づけて椿くんを見下ろす。
 背が高い椿くんは、普段、見下ろされることなんてない。
 俺とこういう関係になるまで、こんな風に見下ろされたこともなかったみたいだし、これだけのことで、椿くんが反応してくれているのが、手に取るようにわかった。
 眉をひそめて、腰をビクつかせてくれる。
 角度が変わって、気持ちいいところに当たってしまったのかもしれない。
「はぁ……う、ん……んんんっ……あぁ……あ……きもち、い……佐々ぁ……あっ……ああっ!」
「ああ……本当にイッちゃいそう。じゃあ、抜くね?」
 まったく我慢しようとしない椿くんにそう告げると、椿くんは首を横に振った。
「や……我慢する……からぁ……」
 全然、しようとしなかったし、できないくせに。
 椿くんの言葉を無視して引き抜くと、その衝撃で、椿くんの体が大きく跳ねた。
「ふぁっ、んんんんん……!」
「ほら……抜いただけでイッちゃってる」
 射精はしていないけど、確実に、ナカでイッてる。
 ごまかせないことはわかっているみたいで、そこは素直に頷いてくれていた。
「うん……はぁ……ん、はぁ……抜いた、からぁ……」
「じゃあ、抜かなかったら我慢出来てたんだ?」
「うん……」
 まあ、そういうことしておいてあげよう。

 椿くんは、俺に見下ろされると興奮してくれるし、俺も椿くんを見下ろすのは好きだけど、どれも、慣れていないからだ。
 椿くんが慣れていないことは、他にもまだあった。
 椿くんの腕を引いて、体を起こしてあげる。
「佐々……?」
「椿くん、乗ってよ。寝転がらせてあげるつもりだったけど、たまには俺も、寝転がってたいから」
 椿くんは、少しだけ戸惑っているみたいだったけど、俺は入れ替わるようにして、寝転がった。
「俺……」
「なに?」
「下手……だし」
「知ってる」
「佐々のこと……汚しちゃう、かも……」
 正直、俺は別に椿くんに精液をぶっかけられるくらい、どうってことない。
 俺だって、椿くんによくぶっかけてるし。
 それでも、椿くんは申し訳ない気持ちが働いてしまうようで、とくに顔射はしようとしない。
 俺の服や腹の上に射精することも、極端に嫌がる。
 汚していいけど、あえてそれは口にしないでおく。
「……下手だって自分で思ってるなら、練習しようか」
 そう伝えると、椿くんは頷いて、俺の体を跨いだ。

「俺のこと見下ろすの……興奮する?」
「……う、ん」
「俺に入れたいって、考えてた人だもんね」
 元々ノンケだった椿くんは、俺に好意を抱いてくれた後も、自分が入れる側だと、当り前のように考えていた。
 男もイケるなんて口では言っておきながら、結局、椿くんより小さくて中性的な俺が相手なら、入れられるってだけの話で。
 タチ専門のゲイもいるけど、椿くんは、本当にわかっていない人だった。
 だから、俺がしっかり教えてあげたんだけど。
「いまは、どっち?」
「ん……入れ……られたい……」
「うん、自分で入れようか」
「うん……」
 椿くんは、俺のモノに右手を添えると、さっきまで、入り込んでいたところに先端を押し当てる。
「くぅ……う……」
 入り口がヒクヒク動いて、亀頭をくすぐっってくれていた。
「あ……俺……いった、ばっかで……」
「それも知ってるよ。我慢できなかったもんね。それで……感じすぎるから、待って欲しい?」
 あえて言葉にして告げると、それが自分のわがままだと認識したのか、小さく首を横に振る。
 椿くんは、少し抜けていたり、考えが至らないこともあるけど、健気で努力家なんだと思う。
「う……おかしく……なる、かも……」
「いいよ」
 そう許可を出してあげると、覚悟を決めて、やっと、亀頭を飲み込んでくれた。
「くぅ……う……うんん……!」
「自分でプラグ入れられるようなったし……騎乗位も、初めてじゃないんだから、大丈夫でしょ」
「う、ん……はぁ……う……」
 椿くんは、苦しいのか、感じてるのか、恥ずかしいのか、目にいっぱい涙を溜めていた。
 それでも、さきっぽだけじゃダメだって、たぶんわかってる。
 ナカを収縮させながら、ゆっくり腰を落として、竿の方まで飲み込んでいく。
「んぅん……はぁっ……あ……んん……」
 時間をかけながら、奥まで咥え込むと、ベッドに手をついて、自分の体をなんとか支えていた。
「はぁ……はぁっ……」
「うん……上手にできたね」
 ちゃんと褒めてあげると、椿くんのナカがきゅうっと締まる。
「はぁ……あ……う……ん、俺……」
「うん、今度こそ、我慢しようか」
 椿くんは、一瞬、まるで助けを求めるみたいに、すがるような視線を俺に向けてきた。
「あ……」
「ん……なに?」
「はぁ……はぁ……あ……あ……!」
 うまく言葉にできないのかもしれない。
 しっかり勃起している椿くんの亀頭に触れてみる。
「ああっ……あっ、それ……」
「はぁ……すご。我慢汁、いっぱい出てるよ」
 指先で、溢れる蜜を撫でつけてあげると、次から次にそれが溢れてきた。
「んんんっ! はぁっ……だ、め……ああっ、あっ……でる……!」
「うん、もうすごい出てる。ああ……零れそう」
 指を離すと、蜜がしたたり落ちて、俺の腹に垂れてしまう。
「あ……ごめ……う……」
 全然、こんなの気にならないのに。
 椿くんの謝罪を無視して、何度も指先でクルクル先端を撫でたり、離したりしていると、透明の液がだらだら垂れてきた。
「ひぁ……く……うう……ん……や、め……ああ……ん、んっ!」
 とうとう椿くんの目から涙がこぼれ落ちる。
 なんてかわいいんだろう。
 俺は、椿くんの泣き顔を見つめながら、亀頭からいったん指を離すと、たくさんついてしまった蜜を舐め取るように、自身の指に舌を絡めた。
「やっ……んぅんんんんっ!!」
 せっかく指を離してあげたのに、椿くんは体をビクつかせて、俺の腹に向けて射精する。
 連動するように、椿くんのナカに入っていた俺のモノは、波打つ肉壁で締めつけられた。
「……我慢できなかった?」
「はぁ……はぁ……う、ん……佐々が……あっ……あ……俺の……舐める、から……」
「嬉しくなっちゃった?」
「うん……ん……はぁ……はぁ……」
「俺のこと、やっぱり汚しちゃったね」
 そう自覚させてあげながら、俺はイッたばかりの椿くんの性器を掴むと、緩やかに擦りあげる。
「ああうっ! だめ……だめ……!」
 残っていた精液が、ビュクビュク溢れて、今度は胸元にまで飛んできた。
「うう、ん……あっ、あっ、ごめ……」
「椿くんは、なにを謝ってるの?」
「あっ、んん……せーえき……佐々に、かけて……」
「ぶっかけて、興奮してる?」
「ちが……う……!」
 椿くんは、いけないことをした背徳感だけに興奮しているわけじゃない。
 それに加えて……もしかしたらそれ以上に、俺に注意されて興奮してくれる。
 小学生が、好きな子にイタズラをして、その子に怒られて嬉しいのと、感覚は近いのかもしれない。
 あるいは、親や兄に構ってもらえている感覚か。
 とはいえ、椿くんもいい大人だし、誰かを困らせようとか、傷つけようとか、そういう気はなくて、それでもただ、怒られて注意されて喜んでしまう部分だけが、本能的に残っている……そんな感じなんだと思う。
 これはもう椿くんの性癖だから、おかしいなんて言うつもりはない。
 もしかしたら、その性癖に気づかせたのは俺かもしれないし、いまとなっては、しっかり煽って、そう促してしまっている。
 本人がどう思っているのかはさておき、体は過剰なくらい反応してくれていた。
「ほんと……我慢もできてないし。ダメだよ、椿くん」
「あっ、あっ……ごめ……あぁあっ! だめ……あっ、出ちゃ、う……!」
「んー……?」
 精液が出なくなっても、あいかわらず擦り続けてあげると、俺の手の中で、椿くんのモノが小さく跳ねる。
「ちゃんと教えて?」
「はぁっ……はぁあっ……あっ、あっ、潮吹き……しひゃ、う……!」
「俺の上で? それより、全然、腰振れてないね」
 促すように、下から軽く腰を浮かせて、ナカを突く。
「あぁあっ! ああっ、あっ、ごめ……んぅっ!」
「謝らされるの好きすぎて、ちゃんと謝ることもできてないよ」
 椿くんは、コクコク頷きながら、なんとか謝ろうとしてくれた。
「あっ、あっ……ごめんな……ぁあっ……んんんんんっ!」
 とうとう我慢できなかったのか、謝りながら潮吹きしてくれる。
「あっ、んんっ、俺……!」
「うん、ちゃんと、ごめんなさいして?」
「うん……あ……はぁっ……はぁ……ごめんな……さ……ああっ……あ、ん……」
 ナカを突き続けると、椿くんはもう一度、潮を吹いてしまっていた。
「あんんんっ! やぁ……もぉ……」
「俺の体……椿くんの精液と潮でぐちゃぐちゃなんだけど。椿くん……もっと俺に、叱られたいの?」
「はぁ、あっ……あっ、だめ、だめぇ……う、くぅうううっ!」
 今度はナカで椿くんが絶頂を迎えると、あまりにもきつい締めつけと痙攣に、俺もたまらず、椿くんのナカでイッてしまう。
「ああ……あ……んん……はぁ……佐々のぉ……んん、なか……」
「うん……ごめんね。予告もせず、いきなり中出ししちゃった」
 椿くんは構わないと、首を横に振ってくれていた。
 体を起こすと、椿くんが、ぎゅっと抱き着いてくれる。
「はぁ……あ……佐々……ん……きもちよかった……?」
「うん。気持ちいいよ」
「……俺……うまく動けなくて……我慢も、できなくて……佐々のこと……いっぱい汚して……はぁ……あ……ごめん、なさい」
「いいよ」
 許してあげるのが正解かどうかはわからないけど、許さないつもりはない。
 そもそも、全然怒ってないし。
「ワンちゃんが粗相するのなんて、かわいいもんだからね。ダメなときはちゃんと叱ってあげるし、いい子に出来たら褒めてあげる」
「うん……」
「ちゃんと謝れて、えらいね。えらいえらい」
 少し照れくさそうに頷いてくれる椿くんの頭を、俺はヨシヨシ撫でてあげるのだった。