部屋にあがって、手洗いうがいを済ませると、椿くんが窺うような視線をこっちに向けてきた。
俺からの指示を待っている目。
「とりあえず上着脱ごうか。ハンガーかけとくよ」
「ああ、うん」
自分の上着と、椿くんの上着をハンガーにかけておく。
「……じゃあ、見せてくれる? 入れてきたの」
「……うん」
椿くんは素直に返事をすると、ズボンに手をかけた。
ものすごく急いでいるわけじゃないけど、俺を待たせるほどゆっくりでもない。
ズボンと下着を下ろして左足をそこから抜くと、壁に手をついて俺に背を向ける。
腰を突き出すように上半身を少し倒しながら、椿くんは、はまっているアナルプラグを見せつけてくれた。
俺は椿くんの左隣に移動して、椿くんの頭を左手で撫でながら、右手の指でプラグをトントン叩く。
「ぅん、んっ……んっ、はぁっ……」
「気持ちいい?」
「う、ん……きもちい……ぁ、ん……」
「……どれだけ準備してきてくれた?」
俺が尋ねると、椿くんは欲しがるような視線を俺に向けてきた。
「……もう、入れられる」
入れられる気満々の椿くんを前にして、俺もまたすぐにでも入れられるくらい体の準備が整う。
「じゃあ、プラグ抜こうか」
椿くんは頷くと、俺が背後に移動するのを待ってくれてから、右手でプラグを引き抜く姿を晒してくれた。
「ん、んん……」
椿くんからプラグを受け取って、それを近くの机の上に置いておく。
プラグが外れて、ぽっかり開いた箇所からは、ローションが溢れそうになっていた。
「ああ、本当に、もう入れられそうだね。よく見せて」
「ん……うん……」
椿くんはこちらに尻を向けながら、指で開くようにして見せつけてくれる。
俺が言うまでもなく、椿くんは足を開いて、少しだけ腰を落としてくれていた。
椿くんの方が、俺より足が長いんだから仕方ない。
前戯が不要だと思っているわけじゃないけど、これだけ準備されていたら、前戯なんてただの焦らしになってしまう。
俺は遠慮なく、開かれた箇所に亀頭を当て、そのまま押し込んだ。
「ひぅっ! うっ…くぅ……! んっ!」
「うん……浅いとこしか開いてなかったし、細いプラグだったから、すごく狭いね」
「ん……うっ、うん……」
「でも、奥の方までローション入ってるみたい。ああ、いかないで……我慢して?」
椿くんがいきそうになっているのに気づき、少し身を乗り出すようにして耳元で伝える。
「はぁっ、あっ……ぅ、うん……ん!」
椿くんは小さく頷くと、耐えながら、俺のを深くまで受け入れた。
「はぁっ、はぁっ! ふぅ……うっ!」
「うん……全部入ったね」
「うん、ん……ふぅ……うう……あっ、ん……!」
「なに?」
俺のモノを味わおうと、椿くんが腰をくねらせる。
「はぁっ……あっ……いっ……!」
「いっちゃダメだって。ね? 待て……できる?」
「ん……ぅん……」
椿くんは首を横に振っていたけど、それが肯定なのか否定なのか、いまいちわからなかった。
「今日、ローション多めに入れてきた? すごい濡れてる」
「うん、ん……はぁ……ん……」
「掻き回したら、音聞こえるかな」
くねる椿くんの腰を掴んで、俺の方から掻き回すみたいに腰を回すと、椿くんのナカが大きく波打つ。
「あぁあっ! あっ、あっ、いくっ……! いくぅ……!」
「待って。そんなに鳴かないで。我慢……できるでしょ?」
「んんっ、あっ! ん、んぅっ……やあっ……ん……!」
苦しいのか、感じてるのか、床を見つめる椿くんの目から涙がこぼれ落ちた。
「早すぎ。我慢できない?」
「うんっ、んっ、ああっ……あっ、いい……! ああっ、あっ、んん、くぅ……」
「ほんと……腰揺らしてさ……待てが下手なワンちゃんみたい。もうちょっと我慢して」
俺が腰の動きを止めると、椿くんも、くねらせるのをやめて必死にジッとしてくれていたけれど、自らナカを収縮するよう締めつけて、味わってくる。
「はぁっ、はぁっ……うん、んぅっ!」
「ローション入れるとき……イッた? それとも我慢した?」
「はぁ……あっ……いっかい、だけ……」
「いっかいだけ、なに?」
「はぁ……いっ……んん、射精だけ……」
椿くんは、全然、俺の方を見ていなかったけど、聞かれたことはちゃんと答えてくれていた。
「射精してきたのに、またイきそうなの? っていうか……やる気満々で俺のこと迎えに来ておいて、その前に射精してくるって、どういうこと?」
一度、イッたくらいで、椿くんの性欲が抑えられるとも思えないけど。
「ああ……俺に我慢させられるってわかってて、先に抜いておいたんだ?」
「ちが……そんなこと、考えてな……。気持ちよくて、あ……ん、イッちゃっただけ、だから」
「ねぇ。椿くんは、椿くんとするってときに、俺が先に抜いてきたなんて言っても、平気?」
そう伝えると、やっと理解してくれたのか、少し申し訳なさそうにこちらを振り返った。
「佐々とするために……ローションいれて……」
「うん、そうだね」
「それで……」
「それで、我慢出来なかった?」
「……う、ん」
困ったように顔をゆがめてくれる椿くんを前にして、愛おしさが募る。
いじらしくて、本当にかわいくて……椿くんがこんな風になってしまったのは、全部俺のせいだって思うと、たまらない。
「抜かずにプラグなんて入れてたら、すぐ勃起しちゃいそうだもんね……。俺が気づいてるのはだいたい予想できてたと思うけど、気づいてる俺に見られながら、柊くんに気づかれないようにすんの……興奮した?」
「はぁ……ん、うん……」
「ナカイキは我慢できたの?」
「うん……」
こういうとき、椿くんは嘘をつかない。
俺がそう思ってるだけかもしれないけど、嘘をついて褒められても椿くんは喜べないだろう。
それより本当のことを言って、俺にたしなめられた方が何倍も興奮できる。
そういうタイプの人間だから、ここで嘘をつくメリットが椿くんにはない。
「じゃあ次は射精も我慢できる? できないなら……んー……俺が射精管理しようか?」
そう告げると、椿くんのナカがビクビク震えた。
「あっ、んぅんっ! ぁんんんんっ!!」
突然、我慢の限界がきてしまったのか、椿くんが派手に体を跳ねさせてナカイキする。
「……なに。なんでいきなりイッてんの?」
「はぁ、はぁ……ん、はぁ……!」
振り返っているのがつらいのか、椿くんは俺から目をそらして、床を見つめていた。
「教えて?」
「あ……はぁ……う……ん、ん……わかんな……」
「わかんないか。じゃあ俺が教えるね。射精管理されるって考えたら……嬉しくなっちゃった?」
椿くんの顔を覗き見ると、一瞬戸惑ったように目を泳がせていたけれど、自覚して腑に落ちたのか、顔を真っ赤にして小さく頷く。
「ナカイキはしちゃったけど、射精我慢できてえらいね……」
深く繋がったまま、ナカイキで脈打つ椿くんの感触を味わいながら、椿くんの性器を右手で掴む。
「あっ、んっ!」
「せっかく自分でイクの我慢してくれたことだし、俺の手で、まずは一回、射精しよっか」
射精を促すように擦りあげると、椿くんの腰がガクガク震えた。
「ああっ、あっ……いま……だめ……!」
「ナカイキしたばっかだもんね。感じすぎる? でも、俺が管理するよ? ほら、出して? いっぱい鳴いていいから」
「ふぁっ、う、うんっ……ああっ、あん、あっ、ああっ……いくっ、れるっ!」
「いいよ。出そうね」
「ああっ、あっ、あんっ、んぅんんっ!!」
すぐに射精してしまう椿くんの性器を緩やかに擦り続けると、二度、三度びくつきながら、立て続けにビュクビュクと精液を吐き出してくれた。
「まあ、いまのは一回ってことにしようか。これからは、出したくなったら俺に連絡して?」
「うん……ん……する……」
「俺が出させてあげるか……それが無理なときは、椿くんがしてるとこ、見てあげるから」
「うん……」
「じゃあ、俺も椿くんのナカで射精するから、今度はちゃんとどっちも我慢しようね?」
「うん……」
素直に頷いてくれるけど、たぶん、我慢なんて出来ないだろう。
この人は、俺にたしなめられるのを望んでいるのだから仕方ない。
そして俺もまた、飽きもせず何度でも椿くんをたしなめるのだった。
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