「真面目そー。どうしてこの学校にしたわけ?」
俺の隣の席のやつが、イスを寄せて、俺を覗き込みながらそう聞いてくる。
「…したかったわけじゃなくって…なっちゃったんだけど」
「そっか。俺は、めんどくさいからここにしたけどね。家、近いし」
「面倒って…」
「頭良さげな学校とか、かったるそうだし」
真面目なやつらばっかの方が、俺は落ち着けるんだけどなぁ。
「で。名前は?」
「あ…伊集院慎之介…」
「慎之介ね。俺は、佐渡透」
そう自己紹介してくれて、俺、一人ぼっちだったらどうしようかなぁとかやっぱり思ってたから少し安心した。
「ん…。家近いってことはさ、歩いて来てるんだ…?」
「いや、近いけど、面倒だから自転車。慎之介は?」
「俺は遠いよ…。電車で1時間くらいかかるから」
「げ、よく来るね」

たわいもない話を続けているうちに、授業が始まる。
といっても実力テストだ。
こんな単なる力試しのために、勉強なんてするやつはいないのだろう。
テスト前に教科書とか、見たりすることもない。
俺も、一人で見るのもなんか嫌だし。
それ以前に、勉強をしようとも思わなかった。

実力テストは3教科しかなかった。
国語、英語、数学。
3時限もかけないで、特別時間割だ。
午後はない。

「腹減ったよー」
テスト終了後。隣の透がそう呟いた。
確かに。
昼よりも少し早いが、十分、お腹がすいてくる時間帯だ。
「慎之介は、もう家帰る? 昼、食べてかねぇ? なんか予定あるならいいけど」
昼ごはんか。
「俺はいいけど…透は、家帰った方が早いんじゃねぇの?」
「でも作んなきゃなんねーし。じゃ、行こうぜ」

こうして俺らは、2人で食べに行こうと、教室を出る。
1組の前を差し掛かったときだった。
「慎―。今、帰り?」
ドアの向こうからそう声をかけられる。
悠真だ。
「…今日は寄り道してくけどな」
「電車、乗らねぇの?」
「今はとりあえず…」
ついてくるなよってオーラを発すると通じたのか、
「そっか。じゃぁまた明日な」
そう言って、教室の中へとまた入っていく。
安心した。

下駄箱あたりまで来て。
「……ねぇ…。悠真さんと知り合いかなにか…?」
黙ってるかと思ったら、そっと俺の耳元で透が聞く。
「…知り合い…だけど…」
なんでこんなこっそり聞くんだ? 俺までこっそり答えちまった。

「…仲間とか…?」
「仲間って…? あぁ、知り合いっつっても、昨日知り合ったばっかだよ」
いろいろしちゃったけど…。
「昨日? じゃ、それまでは? 交流なし?」
やたらに驚くようにそう言って俺につかみかかる。
「うん。初めて会ったけど…」
「そっかぁ」
やっと、俺の腕から手を離し、
「ごめんね。いきなり掴んじゃって」
にっこり笑ってそう謝る。
「いや…いいけど…。透は? 悠真のこと、知ってるんだ?」
名前、知ってるんだから、きっと知ってんだよな。
「一方的に知ってるだけだよ」
一方的にって…。
「……あいつ、なんか有名なわけ?」
「やっぱ、知らないんだ…」
少し不安そうな面持ち。
「…う…ん…」
なにをなのかわからないけれど。

「あの人、結構…うーん…なんていうんだろ。暴走族とかそういう古い感じのじゃないんだよ。だけど、夜とか結構、たむろしてて…不良グループってやつなのかなぁ」
不良グループ…。
げ…一番、関わりたくないじゃん…。
「その一員…ってこと…?」
「一員…っていうか…。わりと取り仕切ってる感じの人が春日悠堵さんって言って…
あ、俺の兄貴と同じ名前なんだよ〜。どうでもいいっか。で、その人の弟が、悠真さんなの」
「へぇ…」
すっごい、関わりたくないんですけど。
「悠真自身は…」
「…悠堵さんと一緒に行動するってわけじゃないけれど、やっぱり、不良っぽいことしてるみたい。…結構、悠堵さんに影響されてたり…するんじゃないかな…。周りの人も、悠堵さんの弟ってことで、結構、立ててるから…」
「透は物知りだね」
「…ここら辺の人なら、結構、みんな知ってるよ」
「でも、悠真の家は、だいぶ遠いだろ」
どちらかと言えば、俺の家に近いと思うし…。
「うん、引っ越したみたいなんだ。俺、同中で。だけど、同じクラスになったことはないから話したことはないんだよ」
じゃあ、中学までは、ここらへんに家があったのか。
だから、前いたところの近くの高校にしたとか?
やっぱりなじみある場所の方がいいとかさ。
場所によって知ってる人って多いと思うし。
悠真なら、なおさらそうなんだろうな…。
有名みたいだし。
第一志望じゃないみたいなことは言ってたけど。

「あ、悠堵さんならさ、たぶん、そこら辺、歩いてると出会うかも」
「…そんなウロついてる人なわけ?」
「うん…。まぁ、そうだね。俺、悠真さんとは話したことないけど、悠堵さんとは話したことあるから」
「そうなんだ…。似てるんだ?」
「うーん。似てるんだけど…。雰囲気が違うかなぁ」
似てるのかなぁ。
ちょっと気になるな。
でも、関わらない方がいいんだろうか。

「ここでもいい?」
「かまわないよ」
透に連れてこられて、1件の店に入る。
俺は、ここら辺になにがあるかさっぱりわかんないし。
まかせっきり。
「透ー、また、えらい美人さん連れてるねぇ」
店員だろう人が、声をかける。
「ん。クラスメート。家は遠いんだけど。慎之介」
そう俺のことを紹介してくれる。
「へぇ、よろしくな♪俺は、夏彦っつーの。ナツって呼んでくれてかまわないから」
「はぁ…」
「あー、呼び捨てしにくいとかだったら、ナツさんでかまわないよ。透もそう呼んでるし」
20過ぎだろう。
ノリのいい人。
「肉入りラーメンがおいしいんだよ」
透がそう勧めてくれて、俺らは2人、肉入りラーメンを頼むことにした。

「ノリのいい人だね」
ナツさんが、厨房の方へ戻っていくのを見送りながら透に言う。
「うん。俺、ここよくくるから顔なじみだし」
「ここさ、学校から近いから、俺らと同じ学校の人、よく来るのかな」
「うーん。そうだね。でも駅と反対側だから、地元のこと、知ってる人しか、わかんないかも」
なるほど。
…地元のこと、知ってる人…ね…。

「あ、透、兄貴いるんだって?」
「え…」
「さっき、俺の兄貴と同じ名前とか、言ってたじゃん。悠真の兄貴のこと」
「そうそう。1つ上の兄貴が優斗っての」
「へぇ。俺も、1つ上に兄貴いるよ。この学校、行くってこと言ったら馬鹿にされたけど」

たわいもない話をすすめていると、後ろから、頭に腕を置かれる感覚。 俺の向かい側に座った透が、その主を確認してなのか、少し驚いたような表情を隠しているようで。
「っな…に…」
腕をどかしつつ、振り返って見上げると、金髪のいかにもーな、お兄さん。
すぐさま、目を逸らす。
「透―。この子、いい根性してんね」
…俺…のことだよな。
だって、こんな怖そうな人だってわからなかったらっ。
わかってたら俺だって腕どかして、『なに』なんて言わないよ。
つい、そらしちゃったのとか、まずいんだろうな…。
でも、透の知り合いっぽいから、なんとかフォローしてくれると助かるんだけど…って、俺、甘いかな。
「あ…昨日から、こっちの学校通うことになった子で、俺のクラスメートなんです」
っと、ご丁寧に紹介してくれる。
さっきのナツさんのときとはえらい違いだな。
「へぇ。家、遠いわけ?」
「あ…ここから、1時間くらい、電車で行った先の…」
俺、すっごい怖がってるっぽい声出してるかも。
「そ。じゃあいいや」
なにがいいのか。
一息ついて、その金髪のお兄さんがタバコを咥える。
その直後、すぐさま透がライターをどこからともなく取り出して、火をつけると、立ち上がって口元に運ぶ。
「サンキュー」
タバコを咥えたままでそう言ったお兄さんは、透から火を貰いうけて。

そのすぐあとだった。
「禁煙席でのおタバコはお止めくださいね〜♪」
にっこり笑顔で、金髪お兄さんの後ろにラーメンを持ったナツさんが。
よく、こういう人にも平気で言えるなぁ。すごいよ、ナツさん。
「…チっ…。硬ぇなぁ。少しくらいいいだろって。ここ、喫煙席にしろよ」
なんてムチャな。
ナツさんは、金髪お兄さんの前に回って、とりあえず、机の上に俺らのラーメンを置く。
「肉入りラーメン、2つね〜」
にっこり笑ってそう言ってくれて。

すっごい申し訳ないけれど、金髪お兄さんの怒りの対象みたいなのが、俺からナツさんに移ってくれたんじゃないかって思うと少しだけ安心しちゃったり。
でも、煽るようなナツさんの態度もちょっと怖いけど。

「ここ、いるんだったら、タバコは、ご遠慮ください♪」
にっこり笑ったまま、金髪お兄さんからタバコを取り上げて。
少し離れた喫煙席の灰皿へと押し付ける。
俺ら3人は、ただそれを見守るのみ。
俺は、すっごい怖いんだけど。
なんか、この人、キレだしたりしないだろうかって。

「…俺のタバコの匂い、好きなんだろう?」
そう言うと、いきなりナツさんの唇に口を重ねる。
「っなっ…!」
って、つい、俺が声洩らしてどうすんだよ、馬鹿。
少し早めの昼。俺ら以外、今、客もまばらにしかいないけど。
ナツさんの頬をつかみ上げて、結構、深く重なって。
「…慎之介っ」
透の小声に気づいて、そっちに顔を向けると、『そんなに見ない方がいい』みたいな感じを目で訴える。
確かにそうだよな、俺、ついジロジロ見ちゃって…。

「慎之介って言うんだ?」
透の声が聞こえちゃったのか、金髪お兄さんは、ナツさんを離すとこっちを見る。
「…はぁ…」
「興味ある? こういうの」
俺が、ジロジロ見ちゃってたから?
「いえ…」
って、言ったのにっ。
少し屈むと、俺の口に口を重ねる。
「っンっ…」
どうすればいいのか。 舌が入り込んできて、やばい…と思ったときには、すぐさま、離れていく。
「っ…?」
ナツさんが、引き剥がしてくれたようだ。
「…ナッちゃん、嫉妬かなぁ?」
「…ったく…。俺んとこの客、減らす気かよ」
「べっつにー。ココじゃ、おとなしくしてるっしょ?」
「…喫煙席、行ってな」
「透と慎之介も、行こうぜ?」
「1人で行けって」
そう俺の変わりにナツさんが答えてくれる。
そりゃ、いきなり初対面の人と、相席じゃつらいんだろうと、察知してくれたようだ。
「チっ…。まぁいいよ。ナツが言うんなら。俺、肉入りね」
そう言って、さっき、タバコを灰皿に付けられた喫煙席へとその人は座った。

「ごめんねぇ。ラーメン、伸びちゃうね。食べて食べて」
そんなに時間がたったわけじゃないし、別に伸びてもいない。
俺ら二人は、全然構わないと首を横に振った。
「…あーいうやつなんだ。自分のこと、知らない奴とか、少し怖がる子とかがいるとちょっかい出したがるっつーか…」
俺らは、ラーメンを食べならが話しを聞いていた。

「ナツさんは知り合いなんですか…? あ、透も…」
透の知り合いみたいだったよな。
「あの人が、悠堵さんだよ」
「えぇえっ」
透が教えてくれて、つい振り返って確認してしまう。
って、振り返らない方がいいだろ、俺。
幸いにも、悠堵さんは、俺らのことを見てなくて、タバコを吸いながらボーっとしていた。
「なに、なんか、悠堵の話題でも出たんだ?」
ナツさんが、俺らにそう聞いてくる。
「話題ってほどでも…」
いや、出たけど、あんまり言うのもな…。
驚きまくっちゃった時点でバレバレかもしんないけど。
あ、さっき、悠堵さんが『じゃあいいや』って言ったのは、『俺のこと、知らなくっても、家、遠いんならしょうがないか』って意味だったのか。

「悠真の兄だって、少し、透に話聞いただけだけど…」
「あぁ、慎之介は、悠真のこと、知ってんだ?」
「……まぁ、それなりに」
なに俺、あいまいなこと言ってんだろ…。
「俺は、ナツさん通じて、悠堵さんと少し話すようになったんだ」
だから、透は、悠堵さんと交流あるのか。
となると、ナツさんは、やっぱり悠堵さんと友達なわけかな。
でも、店の感じからして、常連さんとなら、誰とでも仲良くなっちゃいそうな人だよな、ナツさんって。
「ってか、ナツさん、俺、ライター出しちゃってごめんね。禁煙席だって忘れてた」
「いや、透は悪くないって。気にすんな。それより…慎之介…。いきなりあんな…悪かったね…」
あんな…ってキスしたことか。
「…いえ…。それは、ナツさんが謝ることじゃないし…」
「まぁ、そうなんだけどさ。あいつの保護者だから♪」
にっこり笑って、そう言った。
「保護者…」
「俺いないと、なにすっかわっかんないからさー、あいつは」
確かに、ナツさんがこなかったら、ここで、タバコ吸って、他、なにしだすかわからない。
「…それに、まぁ、一応、付き合ってるからね…。じゃ、早くしないと、また怒りそうだから、あとでな」
ナツさんは、また厨房の方へと戻っていく。
その後ろ姿を見送って、ナツさんの言葉を思い出した。
「…付き合ってるって…」
確かに、冗談や、からかった感じでキスしたようには見えなかったな。
「ナツさんと悠堵さんね。付き合ってるんだってさ。だから、悠堵さんって、ナツさんだけにはすっごい甘いんだ」
「男同士で?」
「…そーゆうの、慎之介は苦手?」
「いや、兄貴もそっち系だから、俺は、全然、平気なんだけど…。一般的にどれくらいの人が平気だと認識してるのかはわかんなくて…」
「そっか。まぁ、悠堵さんとナツさんのこと、誰も、文句言う勇気のある人はいないと思うけどさ」



「慎之介―」
しばらくたっただろう、ラーメンも食べ終わって、少し語ってた時。
悠堵さんから声がかかる。
「…なんだろ…」
「とりあえず、返事した方がいいよ」
そっか。
「はーいっ」
っと、返事をして、行った方がいいのかなと席を立つ。
向こうがこればいいんじゃないかとは思うけど。
「慎之介は、悠堵さんのこと知らなかったし、なんも悪いことしてないし、大丈夫だよ」
そう透に言われると、安心だ。
「じゃあ、ちょっと行ってくるね」
「うん」


俺が、悠堵さんのところに行くと、
「まぁ、座れって」
俺を横に座らせて。
横の髪をかきあげられる。
…なにをするつもりなんだろう…。
「…穴、空いてねーんだ?」
「え…」
もう片方の耳も見られて。
ピアスか。
「空けてないですけど…」
「じゃ、俺が空けてやるよ」
「っいいですっ、そんなっ」
そりゃ、空けるのが嫌だとかじゃないけど、いきなり会ったこの人に空けられるのはどうも怖い。
「ノリわりーなー。地元のやつだったら、喜ぶぜ? ま、まじめちゃんは、喜ばないかもしんねーけど」
そう言うと、一応、俺の髪の毛を離してくれる。
「……ナツがさー…うるさくって」
「…ナツさん…?」
「そ。いきなり、キスとかして、謝って来いって」
でも、こっちには来てくれずに、俺を呼んだのか。
まぁ、それはいいけど。
「悪かった」
ちょっとだけ、嫌そうにそう言うけれど、嫌々言うっていうより、謝るという行為に慣れてない感じで、不快感はなかった。
「いえ…」
「っつーか、ナツ、絶対、嫉妬だと思わねぇ? 俺が、ナツ以外の男に、ナツの前でキスしたから、少し、怒ってやがんだよ」
楽しそうに、俺にそう言って。
なんか、めちゃくちゃプラス思考だけど、なんか、好感が持てる。
ナツさんのこと、ホント、好きなんだなぁ。
「じゃ、コレ、やるよ」
そう言って、自分のしていたブレスレットのうち1つを、俺の腕に無理やりはめる。
「っえっ…こんな…」
「貰っとけって。まぁさー、ピアスやろうかと思ったんだけど、空いてねーし」
だから、確かめたのか。
「ありがとうございます」
「外すなよ? 捨てたり人にやったりすんなよ」
「はい」
そんな、もらいものを人にあげたりはしないけど。
「っ悠堵っ」
また、ナツさんの声。
「なに?」
「…はぁ…。お前が行けって言ったのに…。透を一人にさせるなよな」
「あー、すぐ終わるつもりだったから。悪ぃ。よし、透も呼ぼう」
「ったく…」
ナツさんが、今度は透の所へ行って。
2人一緒に戻ってくる。
「透にもやるよ」
そう言うと、さっき俺にくれたブレスと同じ型の少し色が違った感じの物を、透の手首にもハメた。
「いいんですか?」
「特別」
「ありがとうございますっ♪ 慎之介、おそろいだ」
透って、かわいいなぁ。
そう言って、俺に手首を見せる。
「俺もお揃い」
っと、悠堵さん。
そりゃそうだろう。
「ついでに、俺もね」
そう言って、ナツさんも手首を見せる。
…ここまで、そろうと、なんか、逆に、なんなんだろうって気にもなるが…。

「ま、こうやっておそろいになったわけだし。これからも仲良く頼むわ」
ちょっと怖いけど。
でも逆に言うなら、味方にしたら、すごいいいよな。
ナツさんは優しいし。
でもこういう人って、かかわらないで過ごした方がいいんじゃ…。
万引きとか、強要されたらどうしよう…。
そう脳裏を掠めるが、とりあえず、そんな差別はいかんだろうと、頭から追い払う。
「はい」
そう答え、悠堵さんに、にっこり一応、笑いかけたときだった。
悠堵さんの顔を見たら、不意に体が凍りつく。
「…慎之介?」
俺を心配してか、ナツさんの声が耳に届く。
「…いえ…よろ…しく…」
「なんなんだ、イキナリ、人の顔見て、機嫌悪そうに」
あぁ、俺、すっげぇ失礼だよな。
でも、やっぱ、似てるんだよ、悠真と。
悠真が成長したらこんなんなんだろう。
さっきのガンつけてるようなときはだいぶ雰囲気違ったけど、にこにこした感じは、似てると思う。

「…すみません…。ちょっと…」
悠真…。
これから、もう電車も変えて、クラスも違うことだしずっとこのまま離れていこうと思ってたのに。
兄貴と仲良くなってしまうなんて、離れるに離れられないんじゃないだろうか。
「…よろしくお願いします…」

やっぱり…。
どこかしら、悠真から離れられないのかもしれない…。
そう思うと、今後の高校生活が、不安すぎてたまらなかった。