「おっはよ」
やっぱりな。
朝、電車に乗り込もうとした車両の中から悠真の声がかかる。
見つかっちまったら避けるわけにもいかない。
俺は同じ車両に乗り込まざるえなかった。
「おはよ…」
誘われるがままに、悠真の隣に座るしかなくて。
座った直後、狙ったように悠真の口が俺の口に重ねられる。
「っンぅっ…」
変…。
もう、いきなりなんだってんだ。
口の中に舌が入り込んできて、俺の舌を絡めとっていく。
「っんっ…ぁっ…」
なんか、すっげぇ気持ちいいんですけど。
「はぁ…」
口を開放されても、ボーっとした状態で、なにも言えなくなっていた。
「おはよ…」
もう一度、そう言いながら、悠真は俺の頬をそっと撫でた。
「な…」
「朝の挨拶」
朝の挨拶ってのは、おはよってのが?
それともキスが?
なんなんだ…?
「今日さ、サボらない?」
「は…?」
「やりたいんだよねぇ。慎と」
なにを? なんて言ったら、すっげぇ嫌な答えが返ってきそうで、あえて聞かないけど。
初日からサボるかよ。
「絶対、嫌」
「サボるのが?」
「サボるのもやるのも」
ちぇ…と、すねたように言うと、悠真は、チラっと俺を見てから席を移動する。
俺の前の席に座って、背もたれから少しだけ顔をのぞかせてこっちを見た。
「…なんなんだよ」
「隣にいると襲いそうだから離れとく」
あぁ、そうですか。
俺が罪悪感、感じることねぇよなぁ?
初日からサボろうとか言うこいつがおかしいんだ。

電車では、約1時間ほどもかかってしまう。
ただ、乗り換えがないのはよかった。
俺が、ついウトウトしてたときだった。
隣にいつのまにか来ていた悠真の手が、俺の股間に触れる。
「っなっ…お前、前にいたんじゃ…」
「だって、慎、速攻、無視するし。少しくらい反応してくれてもいいのになぁ。っつーわけで、やっぱり襲うことにしたから隣にいるわけ」
「…あっさり何言ってんだよ、お前」
「何も言わずに襲われるよかよくない?」
宣言して襲われるのも、嫌すぎ。
「ほらさ。まだ50分くらいあるし。慎、一発、いかせてやるよ」
また電車でなにかする気かよ。
勘弁してくれって。

そう思ってるうちにも、悠真が俺のズボンを脱がしにかかる。
「ちょ…やめろって」
「いいじゃん。こんな朝早く誰もいないし? まぁどっかの駅でいつ誰が乗り込んでくるかはわかんないけど」
それが楽しいみたいに、笑いながら言われ、少しぞっとした。
「大丈夫だって。俺が隠してやっから。もしもの時は、痴漢に襲われたって言ってくれてかまわねぇよ」
変な気遣いどうもですよ。
ただ、そんなこと言えないってわかって言ってるんだろうけど。

なんか、淡々とズボンと下着を膝まで下ろされて、あまりにも、普通の行為みたいに進めるもんだから抵抗しにくい。
「っ…やめろって…」
そうは言っても、自分自身の体は動かなくって。
また、昨日みたいに横から屈んで、俺のを口にしていた。
「っンぅっ…」
ビクンと体が震えて、悠真の頭を押さえ込んでしまう。
「っはぁっ…やめっ」
ワザとなのだろうか、ピチャピチャと音が響き渡る。
舌先を尿道に差し込むようにつきたてられ、あまりの刺激に自分の指を噛んで耐えた。
「っんぅっ…やっ」
いったん口を離して下から俺を見上げては、楽しげに笑って。
俺の左側にいる悠真は、俺の左足の靴を脱がし、そのまま左足をズボンと下着から抜き取ってしまった。
「っなにして…」
「お楽しみ♪」
楽しめるかよ。
そのまま、俺の左足首を掴んで、持ち上げ、悠真の足の上あたりでとめられると、
「体、柔らかい?」
不意にそんなことを聞く。
「なんで…」
「いいから答えなって」
「…柔らかい方かと…」
なんか、素直に答えてしまうと、『そっか』ってにっこり笑ってから、持ってた左足首を高くあげられる。
「っなっぁっ」
そのまま、背もたれにかけられて、反動で傾いた状態のまま、体が悠真の方へと向いた。
頭、窓枠にあたって痛いんですが…なんて状況じゃねぇ。
だけど、痛いし。
背もたれに手をかけて、少しだけ無理に体を起こす。
「ちゃんと、慎のためにローション、用意してきたんだよね」
いらんことを。
指に透明の液体が絡むのが見える。
「…あの…さ…入れたりする…?」
「入れずになにするわけ?」
今日もまた、口でいかされて終わり…じゃないんですか?
「誰か来たらっ…」
「誰も来なかったらよかったんだ?」
また楽しそうに、そういうことをっ。
俺が考える隙もなく、悠真は指先を中へと押し入れていく。
「っひぁっ…ん…っ」
「結構、入りやすいね…。後ろ、未経験じゃないわけ?」
あ、なんかめちゃくちゃ不機嫌そうで怖…。
無視してるとそのまま、入り込んだ指先が出入りして内壁をこする。
「っんっあっ…やめ…ぁんんっ」
体中が熱くなる。
もう電車だとかわかんなくなってきてる。
しかもなんか、電車の揺れのせいで、中の指が変に動かされる感じ。
「あっ…んぅっ…」
手が滑って、体が支えれず、窓枠で頭を強打。
「…っ…」
「ギャグっぽいことしてくれるね。おいしいよ」
おいしくなさすぎ。お前のせいだっての。
少しにらむと、了承してくれたのかなんなのか。
俺の左足を下ろして、指をいったん引き抜く。
「俺の上に、またがって座ってよ」
にっこりそう言う。
「…はぁ…?」
まともに答える隙もなく、悠真に引っ張られ、座った状態の悠真の前に向かい合わせで立たされる。
「嫌なら立ったままでいいけど」
そう言うと、前から無理やりまた、指先を差し込んでいった。
「っっんぅンっ…」
悠真の手があるせいで、軽く足を開かざるえなかった。
後ろの…実際には進行方向に向かって前の座席なんだけど、今は俺の後ろにある背もたれに腕をついて、体を支える。
ただでさえ、電車で立ってんのって結構つらいのに。
揺れのせいで、不規則なリズム。
悠真は、もう1本、指を差し込んできて、空いた手で、俺のモノをこすり上げた。
「っあっ…ぁんんっ…やめっ…もぉっやめ…」
奥の方まで入り込んでしまった2本の指先は、何度も何度も出入りを繰り返す。
イイところを掠めるたびに、自分の体が大きくビクついてしまうのが恥ずかしくてたまらなかった。
「っぁっんぅっ…やぁっ」
中を探られて、前立腺と言われる部分を刺激されて、すぐにでもイってしまいそうな感覚に陥った。
ビクンと震えた体は、前のめりになって、電車の揺れのせいもあり倒れそうになったその体を、慌てて前…悠真の後ろにある背もたれに手をついて耐えた。
「そうそう。そのまま、俺の後ろに手、ついてなって」
言われるまでもなく、そうとしか出来ない。
悠真は余裕の表情で俺を見上げながら、何度も感じるところを指で突く。
「っひぁっあっ…やっ…もぉっ…イキそ…」
わざわざ伝えることもないけど、今、ここで出したら、やっぱ悠真にかけちまうわけで、それはやっぱ申し訳ない。
「まだイクなよ」
そんな殺生な。せっかく伝えてやったのに。
イクなよ…とか言うくせに、指先は動かしたまま。
「あぁっんっ…イくっ…やっ…」
生理的な涙があふれてきていた。
もうわけがわからない。
「だ…めっ…あっ悠真…ぁっ…もぉっ…あっ…」
「んー、もうちょっと」
2本の指で広げられ、いい具合に慣らされたソコを悠真の指が、自由に掻き回した。
「っやっ…あっ…できなっ」
「出来ないってなにが?」
「っあっ…我慢…出来なぁっ」
体が変に震える。
「じゃ、もうちょっと体、寄せて」
「っんぅっ」
背もたれに、腕をついて。
悠真に近づくと、空いてる方の手が、シャツのボタンをはずしてく。
「っなぁっあっ」
「そう焦るなって」
舌先が、乳首付近を這いまわり、軽く歯を立てられると、すでにイキそうなせいもあり、ものすごく感じてしまう。
「っあっやくっ…イクっ…悠真ぁあっ」
「それは困るから、椅子乗り上がってよ。口で受け止めるからさ」
多少不服ではあるが、そうするしかないのだろうか。
悠真の足をまたいで立ちひざ状態で椅子に乗りあがる。
背もたれにしがみつくようになっていた。
「ホント…我慢してくれて、かわいすぎ」
指で、俺の亀頭をゆるゆると撫でて、先走りの液が溢れてるのを確認されてしまう。
「っやぁっ…悠真っ」
俺のを咥えこむと、舌先を絡めたり吸い上げたりされ、直接くる刺激と後ろからの刺激がごちゃ混ぜになって、頭がおかしくなりそうで。
それ以前に、体がもうおかしい。
「っはぁっあっ…イクっ…あっ、もぉっやぁあああっっ」

溢れ出る精液を、ゆっくり悠真が飲み下していくのが見てわかる。
それがまたなんだか恥ずかしくてたまらなかった。
最後の最後まで絞りとられるようにしてから、そっと口を離し、悠真はにっこり笑うけど、俺はそれどころじゃない。

「…最悪だ…」
「最高の間違いでしょ。朝から、こんな気持ちよくいけて」
頼むから、明日からは、誰か乗り合わせてて欲しいもんだけど、こんな時間、こんな路線で、人も来ないだろう…。
逆に、乗り合わせても、悠真なら手、出してきたりして。
せめてクラスだけでも違ってよかったと心底思った。

「なんで、こんな風に毎回、襲うんだよ。飢えてんのか?」
「あぁあ、言っとくけど、イってんの慎だけだから。慎がイかせてくれれば、少しは欲求満たされて落ち着くかも」
…馬鹿なことを…。
正論くさいこと言いやがって。

明日からはもう、やさしいことは言ってられない。
なにがなんでも、違う車両…いや、違う電車に乗ろう。
絶対に。

結局、なんだかんだ言って、悠真に振り回されてるのが、不服でならなかった。