兄貴とやるときってのは、気持ちイイことしか考えられなかった。
 ナツさんのときも。  

 悠真は。
 なんかよくわからない…。

 明日の朝になったら、また悠真とやって……。
 って、なに考えてんだよ、俺は。
 なんでそんなに欲求不満なわけ?  

 欲求不満なわけじゃないけれど、満たされてないとか?

 悠真が言ってた。
『慎は、俺じゃなくって、Hが好きなんだよね…』って。

 そう言われると、なんとなく悠真に申し訳ない気持ちになってくる。
 だけど、悠真は本当に俺が好きなのかよ。  

 それはともかく。
 いまは自分のことかな。
 悠真がどうであれ、自分はたぶん、悠真よりもHが好きなのかもしれなくって。
 というか、Hと悠真のどっちがって比べるのおかしいけど、少なくともやっているときに相手のことをあまり考えてはいないだろう。
 気持ちいいことしか考えてない気がする。  

 悠真じゃなくっても、気兼ねない相手なら誰でもいいんじゃないかって。
 そう思える。  

 悠真が本当に俺を好きでやりたいとか思ってるんだとしたら、こんな態度でやっ
てしまうのは失礼だろうし。
 傷つけるかもしれない。
 
 明日からはちゃんと拒もう。
 それがいい。
 万が一やりたくなったら?
 そんなことあるんだろうか。
 ナツさんだったら、相手してくれるんだろうか。
 って、俺はなにを考えているんだろう。
 だけれど、透も言ってた。
 割り切って出来る相手だって。  

 好きって思われてない分、悠真よりは割り切れるのかもしれない。


駄目だ。
 とりあえず気持ちがバラバラになっている。
 明日の朝は電車を変えよう。
 もう少し、自分の気持ちがわかってから。



 翌日。
 俺は1本早い電車へと乗り込んだ。
 普段より30分も早い。
 いつもと違った空気を感じ取っていた。


 すると、俺が座る車両へ、前から俺と同じ制服の奴が来る。
 こんな早くに学校行く人なんているんだ?
 あぁ、部活とか…?

「…はよ…」
 そう声をかけられ、周りを見渡すが、俺以外いなそうだ。
「っ…おはよ…」
 あ、同じクラスにいたような…。
 明るく脱色された髪と。
 たくさんのピアスと冷めた目つきが印象的だった。
 総合的に不良っぽいんだけど、なんとなくガラが悪いという印象ではない。
 ただ、規則とかそういうものに縛られるのが嫌い…と言ったタイプなのだろう。

「隣いい?」
「…隣?」
「そう」
 もしかして、悠真みたいなことになったりしないよな…?
 そう、あいつは特別なんだよ、おかしいんだ。
 普通の人は、そんな風にしないし。
 ただ、同じ制服だから。
 同じ学校で。
 友達が増えるってだけだろ?

 俺が頷いて、鞄をどかすと、そいつは俺の隣へと腰を下ろした。
なんとなく、俺からどう離せばいいのかわからず、相手の出方を待つ。

「…伊集院慎之介…だっけ」
 少しだけ間をおいてから、隣の奴がそう言う。
「え…」
 俺の名前。
 覚えててくれてるんだ?
 悪いけど、俺は覚えてない。
 というか、同じクラスにいたかどうかもあいまいだし。
でも、俺の名前を知ってるってことは、クラスメートなんだろう。

「俺は、東琶。お前と違って、名前売れてねぇから、知らないでしょ」
知らないでしたけど。
「名前売れてるって…っ。俺も別にっ」
「係り決めのとき、ちょっとざわついたじゃん。だから、なぁんか目に付いて」
…やっぱり、あんとき目だったよなぁ…。

「俺は、いつもは原付なんだけど、昨日、友達んち泊まってさ。電車ではるばる来てるわけ」
「そうなんだ…」
「…でもってさぁ。俺の友達のさ、悠真がやたらお前のこと話すわけ」
悠真の友達なのか?
「悠真が、俺のこと?」
「そう。おんなじ方向の電車で、真面目そうなやつだって。こっちの電車乗るやつって珍しいだろ? それに、そのブレスレットさぁ。…悠真の兄貴のじゃねぇ?」
悠堵さんがくれたブレスレットだ。
見えてたのか。
「…うん。悠堵さんから貰ったんだけど…。知ってるんだ?」
「俺、そこら辺の家だから。知ってるって。チーム、入ってんの?」
「っ入ってないよ。ただ、悠堵さんとちょっと知り合って…。くれたんだよ」
「ふぅん。で…お前、悠真のこと好きなの?」
唐突に、ストレートにそう聞かれる。
「え…別に…」
って、言っていいものなのか。
「…好きじゃねぇの?」
「いや、そんな知り合ってまだそう経ってないし、そういうのよくわかんなくて」
「ふぅん……」
納得したのか、少し会話が途切れた。
なんか、気が気じゃないけれど。

「…好きかどうかわかんねぇやつと、やっちゃうわけ? お前」
少し楽しむような口調でそう問われる。
「え…違っ…流れでっ」
「やぁっぱ、やってるんだ? おまえら」
…なぁに俺、あっさりかまかけられてんだろう。
「…お前はさ、どうして今日はこんな早いの?」
あぁ、初めて話す人相手に、俺はなにをべらべらと暴露しちゃってるんだろう。
というか、なんか上手く聞き出されてるような…。
「…なんとなくだよ」
「悠真、避けてんの?」
「……避けてるっていうか…」
そうなんだけど。

と、抱えていたカバンが振るえ、携帯が鳴っているのに気づく。
「あぁ、電話だ…。ちょっと、ごめん」
名前を見ると、正兄だ。
「もしもし? なに?」
『あぁ。朝っぱらから悪いな。昨日、言ってたの、調べたら違ってて』
昨日。
なにを話したか思い出そうと記憶をたどっていると、正兄の方から口を開く。
『夏彦さん、総長卒業したって。ま、年も年だし、そりゃそうだよなぁ。で、今は、誰が総長かわかんねぇんだけど。実質的に取り仕切ってるのは夏彦さんのままみたい』
わざわざ、そんなこと…。
「悠堵さんじゃないの?」
『それがわかんねぇんだよなぁ。お前、知り合いなんだろ? 今度聞いてみろよ』
…そんなん恐いって。
「…無理だよ」
『そう? まぁいいけど。つまりさ、リーダーが夏彦さんってのは合ってたから』
肩書きはないけれど、リーダーってこと?
「…わかった」
元総長らしいし。
現だろうが元だろうが、恐いなぁ…。

電源を切ると、東琶が俺をジーっと見る。
「あぁ、兄貴から電話でさ」
「悠堵さんとか聞こえたけど?」
「…うん。ちょっと。そのチームのリーダーというか総長がよくわかんなくて…」
「悠堵さんじゃないの?」
やっぱ、普通の人から見たら悠堵さんなんだよなぁ。
「それがいまいち…。悠真に聞いたらわかるかな…」
「あぁ、それはやめといた方がいいかも。あいつ、兄貴のこと聞かれるの嫌いみたいだから」
そう教えてくれる。
「…そう…なんだ…?」
「地元の奴らさ。悠真のこと、悠堵さんの弟ってことで、慕ってたりするもんだから。なんつーかさ。『兄貴がいるから今の俺がいる』みたいなの、嫌みたい」
「そっか…」
「だから、みんながあいつのこと『さん付け』すんのとか、たぶん、気分はいいだろうけど、少し、考えちゃったりするんだろうね。お前、知らなかったんだろ、悠真が、悠堵さんの弟だったっての」
「というか、悠堵さん自体、そう知らなかったけど」
「家、遠いみたいだしな。…だから、対等で話してくるお前のこと、気になってるんだと思うよ、あいつ」
透も、悠真のこと、悠真さんって呼んでたしな…。
係り決めのときだって、みんなが悠真の言うように係りを譲ってくれていた。

なんか、すごい大金持ちが、自分の家柄にコンプレックス抱くのと似てるかな…?
「つっても、悠真は普段、そんなそぶり見せねぇし。逆に兄貴を利用してやろうって気もあるみたいだけど。係り決めとかいい例だろ。兄貴の力がなきゃ、あぁもうまくクラスメート動かねぇよ」
「う…ん…。あのさ、東琶…くんは、悠真のこと、さん付けしないんだ…?」
「東琶でいいよ。俺は、すっげぇ子供の頃から、あいつと友達だから。そういうのない時期だったんだよ。さん付けとか、くん付けしてたのを途中から呼び捨てにするのはあるけど、その逆ってあんまねぇだろ」
確かに。呼び捨てしてたのを急に『さん付け』しだすのとか、普通ないよな。
「そんなに前からなんだ?」
「だから。あいつのことなら、結構、分かってるつもり。なんか、悠真のことで知りたいことあったら教えてやるよ?」
悠真のことで知りたいこと?
そんなの…。
東琶の方を見ると、企むように笑みを見せる。
「あっ…別に、ないからっ…」
「そーぉ? まぁ、悪い奴じゃねぇよ? あいつ」
そうは言われてもなぁ。

悠真の話はそこで終わった。
あとは、テストの話だったり、どこの中学出身だとか。
たわいもない会話が続く。
あぁ。こういうのが普通だよなぁ。
めちゃくちゃテンションがあがったりして楽しめるような会話ではないけれど。
いまはこういうのが落ち着く。
普通っていいなぁなんてしみじみ思うし。

東琶は、2駅前で降りていった。
俺は一人。

いつもはここで、悠真と…。
やばいなぁ、頭がエロいこと考えてる。
それを振り払うためにも、さっきの兄貴からの電話を思い出す。

ナツさんは元総長だって。
悠堵さんは?
やばいなぁ。

関わりたくないような…。

でも、ラーメン屋にいたときのナツさんはすごくいい人に思えたし。
悠堵さんだって、最終的にはいい人で…。
そう、人を見た目や肩書きで判断しちゃ駄目だ。
…見た目も肩書きも駄目ってどうすれば…。

そうこうしているうちに学校だ。
早すぎ…。
教室には誰もいないだろう…そう思ったのに。
ドアを開けた先で、クラスメートが2人。
キスしてますけど。
えぇっと、確か、朱臣神奈と久遠郁也だ。

2人も、俺に気づいてこちらを見る。
いまさら、どっか逃げるわけにもいかないし。
っつーか、どっちにしろ、俺、この教室に戻ることになるし。

「あれ、今日は、早いんだねぇ」
なんでもないみたいに、朱臣神奈くんが俺に声をかける。
「あ…うん…。1本、電車早くしてみて…」
「ふぅん」
俺、なにもなかったフリして座ればいいのか?

二人は、とまどう俺に気づいたのか、
「伊集院くん、こういうの平気でしょ」
そう聞いてくる。
「…いや、そのさ」
「あの悠真さんと付き合ってんだろ」
あぁあ、だからあいつ目立つんだって。
係り決めのせいだろうな。

「付き合ってないよっ」
「そうなの?」
「全然っ! そんなんじゃ…っ」
やっちゃいましたけどっ。

「そうだったんだぁ。でも、こういうのは理解あり?」
「…まぁ…なんとか大丈夫」
「そ。よかった♪」

そういう行為自体はわかるんだけど。
その感情は微妙に理解出来なかったり。

「おはよぉ♪ 慎之介、今日早いねぇ」
透だ。
「あ…おはよ」
そこでやっと、俺はドア先でぼーっと突っ立っていたことに気づいた。
それがきっかけみたいに、透と一緒に、自分の席の方へと移動。

「どうしたの? ボーっとしちゃって。あ、神奈と郁也のラブラブっぷり見せ付けられたんだ?」
日常茶飯事なんですか、この2人は。
「ちょっと…びっくりしてさ」
「あの二人、家が近いからかいつも来るの早いみたいでさ。仲良くなったみたい」
「へぇ…そうなんだ」
なんか、不思議な感じだ。

「いいよねぇ、あの二人、なんか仲良しでさ」
「…なんか、すごいイイ雰囲気ではあるね」
ホント、見るからにラブラブという雰囲気だ。
「あーゆうの見てると、なんていうか、むらむらするっていうかさ…。ねぇ?」
そう俺を覗き込む。
「…え?」
「だってー。俺は、遠距離恋愛中だし? やっぱ彼氏じゃない人とは何度やっても、ちょーっと違うっていうか。満たされない部分ってあるじゃない?」
そういうことか。
俺は、彼氏がいるわけじゃないし…。
だから、何度やっても満たされないのか…?
「そう…なんだ?」
「…慎之介は? 悠真さんと付き合う事になったりした?」
「いや…まだ」
まだっていうか…わかんないんですけど。
「あのさ、透…。俺、よくわかんなくって…。ただやりたいだけかもしれないし」
「そっかぁ。でも、俺もやりたいから彼氏に会いに行ってるみたいになっちゃってるよ? まぁ、そんな頻繁に会えるわけじゃないし、我慢するけど」
我慢…か。
「我慢ってさ…どうすんの?」
「へ? どうすんのって…他の人とするか、一人でヌくかだよ」
「…そっか。そうだよね」
「どうしたのさ。慎之介も欲求不満? 悠真さんとやらないの?」
「いやっ…悠真とは……なんか、好きかどうかわかんないのにやるのって、どうかと思って…。他の人とも、なんか…微妙だしで…」
そういうと、透はにっこり笑って
「今日さ。帰りに玩具屋寄ろうか?」
唐突にそう言う…ってことは、そっち系の玩具なんだろうか。
「あ…玩具屋?」
「そう。あのね、店長さんと結構仲良くなったから、気楽に行けるんだー。いろんな玩具あるよ? もしかして、慎之介、もういろいろ持ってたりする?」
「持ってない…っていうか、あの、玩具って」
「んー? バイブとかローターとかぁ。俺も、なんか欲しいなぁって思ってたし。一度、見てみるくらい、よくない?」
結構、興味はある。
透について行くくらいなら…。

俺らはそう約束をして。
いつもと変わりない授業が始まる。
だけれど、俺は、ちょっと気が気じゃない。
悠真のこと、避けたからだ。
いつ、あいつが出てくるか…。
俺、別に悪いことしてないし。
ただ、電車が違っただけ。
早く起きたから、1本早いのに乗っただけだろ。
なんも後ろめたいことなんてしてないはず…。

結局、悠真は俺の前には現れなかった。
帰り時間になって。

透と一緒に1組の前を通る。
さりげなく中を覗いてみるけれど、悠真の姿は見当たらなかった。

もう、駅…?
関係ないけど。

今日は透とお店に行くから、悠真とは会わないだろう。
避けてるわけじゃなくって。
偶然だ。
普通。


「あのね、見た目はすごいかわいいんだよ」
「そう…なんだ?」
俺は透と一緒に、少し入り組んだ道を通り、こじんまりとした、一見おしゃれなお店に入った。
「あ、透くん、こんにちは♪」
にっこり透に挨拶するこの人がきっと店長なんだろう。
20代半ばか後半なんだろうけど、黒髪ですごくかっこいい人だった。
スポーティなイメージ。
なんていうか、さわやかで、こんな店、似つかわしくないというか。

「透くん、お友達?」
「うん。高校一緒の子」
…透って、中学のころからこういうとこ来てたのかな…。

「こんにちは」
そうにっこり声をかけられるもんだから、とりあえず
「こんにちは…」
そう答えるけれど。
「なにか、欲しいのあったら言って? どういうのがいいかとか」
「いえっ…俺は、そんな…」
「慎之介、一つくらい持ってても損はないよぉ?」
そう透も勧めてくるし。
…でも、透の言う通りかも。
悠真とやりすぎるのもどうかと思うし、かといってナツさんを利用するのも悪いと思ってる。
正兄は、どっか行っちゃったし。

バイブとか、興味があるのは事実だ。
「ローターは、たぶん、家にありそうなんだよ」
「たぶん?」
「兄貴が、持ってて…。置いて出てったと思うから…」
「そっか。でも、ローターだけじゃ物足りないでしょ?」
からかうわけでもなく、そう透はさらっと俺に言う。
「どう…だろう。よくわかんなくて…」
「これは?」
透が俺の目の前にバイブを差し出して見せてくれるけど…
「あの…さ、太くない?」
「そう?」
「慎之介くん、後ろ未開発なの?」
店長が、透に呼ばれる俺の名を聞いててか、そう声をかけてくれる。
「いえっ…その…まぁ、そこまで慣れてないです…」
「これは? そこまで太くないけど、細すぎもしないから、物足りなさはないと思うし、お手ごろだよ?」
近くにあった棚から、手渡されたソレは、オレンジ色で、長さは15センチくらいだろうか。
直径は、2センチか3センチくらい…。
端に、スイッチがある。
「つけてもいいよ?」
スイッチを見つけた俺を見てか、そう言ってくれて、それに甘えるようにして、ちょっと恥ずかしいけれど、スイッチを入れた。

昨日の…正兄にされたローターよりも、振動が強い気がした。
それを手に持っているだけで、妙にドキドキしてしまう。

すぐ、スイッチをオフにして、心を落ち着かせる。
やばいって。
エロいこと考えちゃうってば…。

「ゆっくり、いろいろ見てってね?」
店長はそう言って、店の奥の方へと向かって行った。

透は、いろいろと物色中。
俺も、ちょっと見て回る。
けど、手渡されたソレが気になって。

買っちゃおうか…。
「あのさ、透はなにか買うの?」
「うん。買うよ? 慎之介は?」
「あ…ちょっと…迷ってて…。こういうのって、俺らみたいな子供に売ってくれんの?」
「うん。こっそりね」
この店長なら、そこまで気まずくはないけれど…。
「…買おうかな…」
「うん。買いなよ♪」
透も勧めてくれてることだし。
透は、どれにしようか迷っているみたいで。
「どっちがいいかなぁ」
いかにもな形のバイブと、捩じれた形のバイブを俺に見せる。
「…どう…だろう?」
「うーん。これは似たの持ってるから、こっちにしようっと」
透はいかにもな形のを、棚に戻す。

二人でレジに行き、俺が先に店長へとバイブを渡す。
「毎度有り♪ …慎之介くんは、こういう店、初めて?」
「あ…はい」
「そっか」
奥から、同じ型だと思われるバイブの新品…箱入りのを持ってきてくれて。
「これ、おまけにあげるね? ローション」
小さな小瓶も、一緒に袋の中に入れてくれた。
「あ…ありがとうございます…」
恥ずかしいですけど。
「いいなーいいなー」
後ろから、透がそういうのを見てか、店長は軽く笑って。
「透くんは、持ってるでしょ? ローション」
「そうだけどさ」
「しょうがないね。あげるよ」
「やった♪」
透って、なんか、かわいいなぁ。


店を出て。
今日は、透とはそこでお別れ。
また痴漢に会うわけにもいかないし。


駅へと俺は一人で向かうけれど。
悠真、いたりしないよなぁ。

ホームへ行ってみるけれど、やっぱり悠真の姿は見当たらなかった。
そりゃそうだ。
もう、2時間以上は経ってるっての。
いるわけないし。

今日、丸一日、悠真に会わなかったな。
それなのに、俺は丸一日、ずっと悠真のことが頭から離れなかった。