「かーや♪ 数学準備室にメガネあったからパクってきたぞ」
「んなもん、どーすんだよ」
「べっつに。宮本先生のかなぁって。困らせるだけ。どうせすぐ次だろぉ。反応見たら返すって」
ホント、毎日が暇だから、ちょっと刺激を求めて?
2時間目の授業をサボった俺は、教室までの通り道に寄った数学準備室でメガネをゲットしたわけだけれど。
3時間目の数学の授業。
俺らの教室へ入って来た宮本先生はしっかりメガネ着用。
「…宮本せんせー。メガネは?」
「え…? ……してるけど…」
してるくせに一度外して一応確認してからそう答える。
「あ、凍也がしてるの珍しいね」
にっこりと、そう笑いかけてくれるけど。
そうじゃなくて。
「…真乃、なにパクってきてんだよ」
霞夜が呆れたように隣から声をかける。
宮本先生と同じ数学準備室を使うのは桐生先生。
そっか、桐生先生のか。
「まぁいっかぁ」
大して度の強くないメガネをかけたまま、俺は授業を受けることにした。
「すいませーん。保健室行ってましたぁ」
そう言いつつ前のドアから堂々と現れたのは、凪。
「大丈夫なのか」
「大丈夫だよぉ♪」
サボりに決まってんのに、わざわざ心配してる宮本先生はホント、人が良すぎる。
「…凪。このメガネ、誰のか知ってる?」
「……え? 凍也のじゃないの? 自分のじゃないのにハメてんだ?」
「んー。まぁねぇ。さっき数学準備室からパチってきてさぁ。桐生先生かなぁ」
「ちょっ…さっき悠貴が準備室に忘れたっつってたよ」
悠貴?
「なっ……。まさかぁ。凪ちゃん、冗談キツいよ。だいたい、凪ちゃんはなぁんで悠貴としゃべってんの?」
「いやいや。保健室で盗み聞いただけだけどー。柊先生が悠貴に珍しくメガネかけてないねっつっててさ。そう答えてた。悠貴来たから、俺、戻ってきたんだし」
…なんだかんだで、凪も結構悠貴のこと避けてんなぁ。
俺も。
2年の途中から伊集院先輩と悠貴が対立し出して。
伊集院先輩と仲がよかった俺は、同じように悠貴と対立した。
それ以外にも、理由、あるけれど。
都合よく伊集院先輩側についた。
いつの間に眼鏡変えたんだよ、あいつ。
これが悠貴の眼鏡って?
「…マジかよ、捨てるか」
「いや、バレたらまずいって」
最悪だなぁ。
「っつーか、宮本先生。悠貴はなんで数学準備室に来てたわけ?」
「え…。俺は会ってないから、桐生先生に用があったのかな……」
「うーん」
「っ!! 凍也っ。今、授業中だからっ」
「うん、知ってる。問題解けって? あぁ、前に書いてあるやつ?」
相変わらず、少し遅いタイミングで俺を突っ込む宮本先生を軽くかわしながら、黒板の問題を解いて。
次の休み時間、とっとと返しに行くことにした。
「じゃ、行って来る」
「大丈夫?」
「大丈夫だって。机の上に置いて逃げてくるから」
「悠貴、忘れたっての気付いてたから、取りに行くかもしんないよ?」
「そっか。ま、いたらいたでどうにか考えるって」
そう。
今の時点での考えが甘かったのに気付いたのは数分後のことだった。
一応警戒しながら数学準備室のドアをこっそり開けると、中には悠貴の彼女である真綾の姿。
「真綾…どうしてここいんだよ。普通、いたとしてももう一つの部屋じゃね?」
2年生である真綾が、3年と4年の数学準備室にいるのは酷く不自然だった。
「悠貴が、メガネ忘れたって言ってたから。代わりに取りに来たの。暇だしね」
仲がよろしいことで。
いつそういう話をする時間があるんだ?
保健室で一緒だったとか?
メール?
にしても、ラッキーだ。
真綾に渡しておけばいい。
「な、真綾。これだと思う♪」
「んー。なんで凍也先輩が持ってんの?」
「宮本先生のかと思って持ってっちゃってたんだよ」
「そっか」
真綾は俺からメガネを受け取ると、自分で掛け、その後、俺をジっと見た。
「…なんだ?」
「いや。なんか、ほっとしたような顔してる」
わかりますか。
実際、そうですよ。
めっちゃほっとしたっての。
「知ってんだろー。俺が、悠貴避けてんの。悠貴のメガネ持ってきちゃったってわかったとき、マジでどうしようかと思ったし。真綾に返せてよかったって」
「ふぅん。そんなに避けたいんだ?」
「そ。だから、俺が持ってってたのは秘密にして? ここにあったってことにしてよ」
そう軽く頼むと、真綾が企むような笑みを見せる。
あ、なんか弱み握ってやったみたいな。
しまったな…。
「秘密にしてあげる」
そう言うと、俺の体を壁へと押し付ける。
「真綾ちゃーん?」
「遊んで?」
真綾クラスの子に誘われたらやばいよ。やばいでしょ。
でもここはさ。
真綾のことかわいがってた伊集院先輩にも悪いし。
いや、真綾の方から誘ってきてんだから、いいけどさ。
悠貴はどうなの?
バレなきゃオッケー?
さすがに危ない橋?
そう考え込んでるうちにも、真綾が俺へと口を重ねてくる。
流されてるなー、俺。
舌が入り込んで絡められて。
あぁ、この子、上手いわ。
なんつーか、絡めやすい。
なんて考えてる場合なのかねー、今。
真綾の手は、俺の股間をズボンの上から撫でてくるし。
誘い慣れてんな、こいつ。
ズボンのチャックを下ろされて、直に取り出されて。
…どうするよ、俺。
「真綾…」
一応、真綾の肩を掴みそっと押し退ける。
「駄目?」
嫌なら悠貴にメガネのことを言う…という無言の圧力。
まぁ、悠貴に言ったら言ったで開き直るからいいんだけど。
でもなー。
それ以前に、真綾がなんかかわいいっつーかやらしくて。
キスしたせいで濡れた唇とか、目線とか。
一度、試してみたい相手でもある。
「…真綾…。どうせなら鍵しめるか…」
俺はとりあえず自分の欲望に負けた。
いいじゃん?
俺はフリーなんだし。
「あのねー、凍也先輩。鍵は駄目。もうすぐ悠貴くるから」
「…は?」
「待ち合わせてんだよねぇ」
俺の目の前で、舌なめずりをして。
あいかわらず掴んだ俺の股間のモノを、扱きに入る。
「なっ……んっ…やばいでしょ、それは」
「なにが?」
「だからっ…こんなん見られたらっ」
「凍也先輩が、俺のこと襲ってたらたぶん悠貴怒っちゃって結構問題かもしれないけど。襲ってんのは俺なんだからいいじゃん?」
俺、襲われてんのか?
誘われてただけだろ?
やっべぇ、真綾の手つき、超気持ちいいし。
「はぁ…っ…いや、だからマジでやめとこって…。お前は…? 怒られねぇの…?」
「どうだろう。でも、怒られない方法、知ってるし」
そう言い、しゃがみ込むと俺のに舌を這わす。
マジで止める気ねぇな、こいつ。
そもそも悠貴には会いたくない。
「ん…っで…怒られない方法…って…?」
「…知りたい?」
「教えてくれんの…?」
気持ちよくて頭ボーっとするし。
「んっ…悠貴が来たら、教えてあげる」
いやらしく俺のを舐め上げて。
とにかく気持ちよくて。
なんか、拒む気が失せちまうし。
やばいだろ。
「真綾…っんっ…お前の舌、すっげぇ気持ちいいし…っ」
「ホント…? ふふ…嬉しいなぁ…」
裏筋の弱い部分をチロチロと舐められて。
口に含まれて舌が絡み付いて。
真綾の髪に手を触れたときだった。
ドアの開く音。
あぁ、悠貴だ。
わかってる。
っつーか、他のヤツだったらまずかったよなぁ。
あ、でも、俺も真綾も結構平気ってタイプだったか。
悠貴でもまずいにはまずいんだが、これはもう不可抗力ってやつでして。
横を向くと、悠貴と目があった。
先に視線を逸らしたのは悠貴。
真綾へと歩み寄る。
「真綾…」
「ん……。悠貴、遅いよ…」
「悪いね。前の授業が少し長引いた」
「我慢出来なくて…。凍也先輩いたから。誘っちゃった」
…俺にやらされたとか言われなくてよかったと思う反面、この中途半端な状態の俺の 股間はどうしてくれるつもりなのだろうと、そんな考えも過ぎる。
まぁ、一人もなんだし、凪ちゃん呼び出して遊ぶかなーなんて。
「ね、悠貴……。一緒にしよ…?」
真綾は立ち上がり悠貴に抱きつきながらもこっちを見る。
あぁ、あの企むような目。
一緒にしよって、どういう意味?
2人でするなら、一緒にって言うか?
真綾に抱きつかれたまま、真綾からメガネを貰ってはめなおした悠貴は俺をジっと俺を見る。
「…一緒にね…」
俺、数に含まれてんの?
「じゃ、お2人さん、あとはごゆっくりー」
何事もなかったみたいに立ち去ろうとする俺の背後から、強く腕を取られて、壁へと押し付けられる。
俺の両手首をそれぞれの手でがっちり掴み込まれて。
「真綾が言ってんだよね。一緒にって」
「…俺も一緒にって? お2人さんの邪魔しちゃ悪いでしょ」
「別に? 邪魔になんてなんないよ。ただの玩具でしょ?」
目線を真綾に向けると楽しそうに笑っていた。
…別に、俺を虐めたいわけではない。
優しい子なんだよ。
じゃなきゃ、さっき、俺に襲われたって言ってた。
メガネのことも。
ただ、なんていうか。
刺激が好きっつーか、楽しみたいっつーか。
そんな感じなんだろう。
あ、ちょっと俺と近いな、価値観。
悠貴が怒らない方法って、コレか。
計画的なんだな、真綾。
「っつーかどーすんの、悠貴。お前は、自分の彼女が目の前で他の男にやられてもいいんだ?」
「…お前にハメんに決まってんだろ…」
耳元でそう言うと、油断していた俺の右手首へ手錠をはめる。
驚く間もなく体を強く反転させられ、顔面を壁にぶつけた衝撃に耐えているうちにも、左手首に手錠の感覚。
後ろ手に固定されてしまう。
「っ…なんでんなもん持ってんだよ」
「俺と真綾、そういう趣味だから。結構いろいろ持ち歩いてんの」
どんな趣味だよ。
後ろから耳元で悠貴の声。
振り返りたくもねぇし。
「いつでもできるようにねー。俺と悠貴はいろいろ持ってるよ」
楽しげな真綾の声が響く。
「真綾、ローション持ってるだろ?」
「うん。あるよー」
マジで、真綾の前で、俺にハメる気か。
「てめぇ…っ真綾が…っ」
逃れようとする俺の体を悠貴は後ろからがっちりと抱きかかえる。
「真綾がいなければよかった…?」
耳元で俺だけに聞こえるように言って。
俺はその言葉から逃げるように、顔を逆方向へと向けた。
真綾へと向き直ると、正面の真綾は俺のシャツのボタンを一つずつ外していく。
真綾を蹴り飛ばすわけにもいかねぇし。
どうすりゃいいんだ。
真綾が俺のズボンと下着をずるりと引きずり下ろしてしまう。
「っ…マジでやる気かよ…」
真綾からローションを受け取った悠貴は、左腕だけで俺を支えながら、右手でその液を俺の股間にたらしていく。
その冷たい感覚に体が少しビクついた。
たっぷりとかかったローションを、真綾が手で拭いながら、俺の股間を擦りあげていく。
ぐちゃぐちゃとぬめった感触が気持ちよくて、どうにかなってしまいそうだ。
「んっ…ぅん…っ」
やばいだろ。
そう思う俺を無視するように、真綾の手は、足の付け根…俺の尻を撫で、奥の入り口をゆるゆると撫で始める。
「んっ…あ…やべぇだろ…っ」
「なんで? ローションたっぷりつけたからぁ。大丈夫…」
「声、殺せない?」
耳元で囁くような悠貴の声。
あぁ、むかつく。
俺が、声殺すの苦手だって、わかっててそう言ってくるのとか。
逃れられない状況のまま、真綾の指先がゆっくりと俺の中に入り込む。
「んっ…ぅんんっ…」
ビクつく体を悠貴ががっちりと抑え、真綾の指は奥へと入り込んでいく。
「入ったよー…」
右手の指を入れたまま、左手で真綾は俺の股間を掴む。
前と後ろと。両方の性感帯を刺激され、体がゾクゾクした。
後ろの指は俺の中を探るように這い回る。
「どこだろうねぇ」
楽しそうにそう言いながら、俯く俺を見上げて表情を伺う。
「あっ…んっ…」
反応したくないのに、真綾の指が前立腺に触れると、意思に反して体がビクついた。
「ここね…」
愉しそうな真綾の声。
知られてしまったポイントを真綾は何度も指の腹で、撫でていく。
そのたびに俺の体は軽くビクついて体中が熱を帯びる。
「あっんっ…んくっ…ぅンっ…」
やばい。
なんか足、しびれてきたかも。
正座しすぎてしびれるのとはわけが違って。
なんていうか、足の感覚が鈍くなってるっていうか。
ゾクゾクしてよくわかんねぇ。
視界がほやける。
あぁ、なんか涙溢れてきてんだ。
そう考えていると、ほぐれてきたソコに、もう1本、指が押し入ろうとする感覚。
瞬きをして、少し戻った視界で確認すると、悠貴の手が、俺の前に伸びていて。
真綾の指先に寄り添うようにして、指が入り込んでいく。
「なっ!! んっ…んぅんっ…」
ローションをたっぷりまとった指先は、痛みを伴わなかったが、ものすごい圧迫感で。
悠貴の指が。
そう思うだけで、俺は妙な感覚で。
むかつくというよりは、なんだか弱点をつかまれた気分で。
屈辱と羞恥が入り混じってよくわからなくなった。
「真綾、教えて…?」
「ん。ここだよ…」
真綾に教えてもらわなくても、知ってるくせに。
わざわざ聞きながら、俺の中を探って、感じるところを軽く突く。
「ひぁっ…ンっ…んーっっっ…」
あえて、強すぎない刺激で、俺のこと遊んで。
それでも、俺は何度も体を仰け反らせて。
そのたびに、悠貴の体へと自分の体を預けてしまうのがたまらなく嫌だった。
感じているのを、自分でもものすごく実感させられる。
感じていないだなんて、言わせてはくれないのだろう。
「…凍也…突くたびに、先端から少しずつ、溢れてる」
悠貴は愉しそうに俺の耳元で、そんなどうでもいい実況中継を繰り広げる。
「すごいね…。俺らの指に連動して、体震わせてさ…。いやらしい液、たくさん出てんの、わかるだろ…」
「うるっ…さぁっっ…」
自分で立ってるのか、悠貴に立たされているのか、はたまた、支えてもらっているのか。
わかんねぇって。
もう全部。
悠貴は俺を左腕で支えたまま、口の中へとその指を入れては俺の舌を何度も撫でていく。
「…凍也…。さっきから、溢れ続けてるけど…。イきたいの…?」
俺の股間を弄る真綾の手の指が、悠貴の言葉を聞いてか、先端から溢れ出る蜜を確認するように、指先で撫でて示す。
「んっ…くっ…ぁっ…んっ…ンっ…」
「そ。凍也はベテランだから指2本じゃヌルくてイけないかぁ」
すっげぇ我慢してんのがわかってんだろうに、悠貴はわざとらしくそう言って、俺の中へもう1本、指を押し入れていく。
「やめっ…ぁあっ…んっ…」
「凍也先輩―…今、すごい溢れたよ…。おっきくなったし。拡げられるの、好き…?」
試すように、真綾の指が悠貴の指と反発する方向へ軽く曲がる。
「んーっ!! はぁっ…あっ…」
「イきなよ…」
「あ、飲んであげようか…」
この2人に。
いいように扱われて、ものすごい見下されている感じがして。
絶えられない。
精神的にもだが、もう肉体も限界だった。
「あっ…んっ…ぁあっ…んぅんーーーっ」
イってしまった俺のを、真綾が口で受け止めていた。
頭がボーっとして。
わけがわからなくて。
その場に座り込む俺の中から、2人の指が抜かれてく。
「真綾…。俺、凍也と2人で話しがしたいんだけど」
「えー。いじめちゃ駄目だよ?」
「大丈夫」
2人の会話もなんとなくしか頭に入らない。
ただ、真綾が俺を置いて、悠貴と俺の2人きりの空間を残していったのだけはわかった。
|
|