今日もまた、優斗が俺の部屋に来て、俺のことをやろうとする。
別に嫌ってわけじゃない。
なんとなく…軽いセックスフレンドみたいなノリになってきていた。
でも、俺には付き合っている子がいる。
要っていって、かわいくて…華奢で壊れちゃいそうで……守ってあげたくなるようなタイプ。
すごく、すごく…かわいがってやりたいと思ってる子だったりする。
だから……こうゆう風に優斗とやりつづけるのもどうかと思うわけだ。
優斗とこうゆう関係になったのは要と出会うだいぶ前からだし、『もうやめよう』ってのが言いにくい。
冗談めかして言ってみたり……言い合いの中で軽めに言ってみたり…
そうゆう風には出来るけど、真面目に言うことなんて出来なかった。
俺は優斗のことも好きだから。
それはでも……要とは違った感じ。
男としては、やっぱ、俺は恋人を作るなら、かわいがれるタイプがいいわけだ。
かわいがって…喜んでもらえて……
そうゆうのが嬉しいわけ…。
優斗は違うんだよ…。
逆…。
俺の方がかわいがってもらうような立場になっちまっている。
何度も何度も、優斗は俺のことを『かわいい』だとか言ってくる。
まったくもって、どこがかわいいのかわかったもんじゃない。
それでもなんだか、嬉しい気分になってしまっていた。
でも、俺はそんな優斗に良く答えることはなくって、ほとんどが反発した答え。
まるで、そう言われるのを嫌がっているかのように。
俺の反発なんか、無視で、優斗は俺をかわいがるかのように対応してくれる。
でも、俺は優斗の恋人ってわけでもないから、優斗が恋人にしてあげる『かわいがり』と比べたら…
比べ物にならないんだろうなとか思うわけだ。
だからって……もっとかわいがって欲しいとか……
そう、思っちゃってるのかもしれないけれど、もちろんそんなことを優斗に伝えれるわけがない。
要をかわいがっているときに…ふと、自分がこうゆう風にされたら…なんて考えをおこしてしまう。
それに要への好きと、優斗への好きは、全然、種類が違うもんなんだなぁって思うわけだ。

やられているときは……その行為は気持ちイイし…嫌いじゃないけど、好きってわけでもない。
ただ、優斗がやりたいのならば、やればいいとも思う。
優斗が、俺とやりたいと思ってくれる事自体に関しては、嬉しいわけだ。

優斗には恋人がいる。
かわいくって……いつも優斗が自慢している子。
恋人が出来たすぐも、俺にそれを伝えにわざわざやってきていた。
その子を喜ばせるために……セックスの勉強したり…
バイトして、金作って、いろんな物買ってあげたり……
その子をかわいがる気持ちがわかんねぇわけでもないのに…
どうも気に入らなくって……

セックスの勉強のために、優斗の相手になってあげたりとか、優斗におごってやったりとか………
多少のことなら、構わないけれど、それが全部、優斗の恋人に繋がると思うと、どうしてもすっきりした気分にはなれなかった。

かわいいとか、言われるたびに、優斗の恋人のことをどうしても思い出してしまう。
きっと、もっとかわいがられてるんだろうなとか考え出してしまう。
だから、言われて少し、嬉しい気分になると同時に嫌な気分にもなる。

それでも…こうやって、ことあるごとになにかと俺の所に来てくれる優斗が好きだと思った。
恋人とか…そんな関係じゃないし…
でも、ただの友達って関係でくくれるものでもない気がしていた。
少し、特別な友達……みたいな関係……。
そう思っているのは俺だけかもしれないが。

もう最後にしようって言われた時、正直一瞬、わけがわからなくって……。
そんなこと、言われると思ってなかったから、少し、変に体が強張った。
俺に恋人が出来たから……
俺のために言ってくれているってのがわかったから……
俺はそっと頷いていた。

優斗の嫌いなニンジンを…弁当に混ぜてやったら…
仕返しでまた来るのかもしれないとか思って、少しだけためらった。
いっそ、弁当をニンジンだらけにしてやろうかと思った。
悪気があるわけじゃなく……少しの期待から……。
また…仕返しに来てくれるんじゃないかっていう期待。
それでも、やっぱり、ニンジンなしの普通の弁当を作っていた。
この弁当を見て、優斗がどう思うかはわかんねぇけど…。
俺が優斗のことを思ってやってやってんのか…
それとも、仕返しされるのが嫌で、こうゆう風にしたのか…

優斗はどう思うんだろう…。
本当に……これで最後になるのか……
普段だったら、一度言ったことを撤回するってのはどうかと思うんだろうけれど…
今回に限っては、それもいいんじゃないかと思った。