なんか、食欲もなくって、しばらくボーっとして。
5時間目のチャイムが鳴り響く。
優斗先輩がせっかく起こしてくれたんだし、授業は一応出とくか…。
俺は、ノロノロと自分の教室へと向かった。
教室にもどっても、罪悪感が、離れない。
「拓耶。考え事?」
悠貴が俺を見上げながら、そう聞いてくれる。
「んー…。なんかねぇ。優斗先輩に申し訳ないことしちゃってさぁ」
「どんなこと?」
前、悠貴相手にもしちゃったけど。
「…やってる最中にわけわかんなくなって。まともに相手出来なかったし。それだけじゃなくってね…」
利用してたみたいになっちゃってて。
「好きなの…? 優斗先輩のこと」
「まぁ、好きだけど。でも、友達としてだし」
「なにを悩み中?」
「…悠貴にも申し訳ないんだけどね…。あぁ、それをいうなら柊先生もだね。利用してるみたいで」
「べっつに…。人という字は支えあって出来てるのだよ」
「出来てるのだよ……って…。というか、明らかに、上の方の人の方がラク?」
「まぁまぁ。それでも、下がいなきゃ上は倒れるし。上がいなきゃ下が倒れるということで」
「ということですか♪」
悠貴にはたくさん迷惑かけてるのに。
いつも悠貴はなんでもないフリをしてくれて、俺に気を使わせないような言葉をくれる。
「いい奴だなぁ♪」
「たっくやくーん…? 授業中なんだけど?」
にっこり声で後ろからそう声をかけてくるのは、見なくてもわかる。
「やーん、智巳ちゃん。俺、わっかんないから♪ちょっと聞いてたの♪」
振り返るとほら。
数学の智巳先生。
……って、なんで…?
去年までは、俺らの担当だったけど、今年は1年担当のはず…。
「ね、なんでいんの? 智巳ちゃん」
「…現国、自習。代わりに来たわけ」
なるほどね。
「お前らさぁ。席前後ろなんだろ? 拓耶、せめて座れ。その前に、黒板の問題解けな」
「なんで、現国なのに数学やるわけ?」
「俺は数学の先生だから?」
「へいよ♪」
なんか、去年思い出す。なつかしいなぁ。智巳ちゃんの授業♪
悠貴にピースを残してから、智巳先生に引っ張られて、黒板の方へと向かった。
「わっかんないから、悠貴に聞いたんだろ?」
悠貴より俺の方が数学できるの知ってるくせに。
「へいへい」
聞いてないのわかってんだろって。
わざと難しい問題、書いてから俺に声掛けたよな、智巳先生…。
ってか、面倒っつーか。
頭ん中で考えるのも面倒だから、もう黒板使いまくって、途中式書きまくりで問題を解いていった。
「じゃ♪席、着きますね」
「へーい。じゃ、みんな、書き写す人は、とっとと書き写しちゃって」
あいっかわらず。
あっさり解けたところで、全然、悔しがったりした態度、見せてくんないんだよなぁ。
むしろ、解き方書いてくれてありがとうみたいな。
わざと、難しいのあてたくせに。
「悠貴…。俺さぁ。なんかわっかんなくて」
「めずらしいね…。拓耶が相談するの」
「…今回はね。一人で悩んでるともっとわけわかんなくなりそうで」
人に甘えすぎたんだろうなぁ。
俺はなにもしてないのに、甘えてた。
「俺が、好きなのは陸だよ…。だけどね…。悠貴も好きだし、部長も好きなんだ。違う好き…」
「うん。かわいがるのとかわいがられるのじゃ、また感覚、違うんだろ」
「…わかんねぇよ…どうしよう…」
「欲求不満だと、とりあえず快楽求めちゃうし? まずは、もっかい抜いてきなって」
少し楽しげに悠貴が言う。
誰と…?
やっぱやっちゃう?
罪悪感とか、あるんだよね。
ただ、利用しちゃってた。
遊びなら遊びでいいから、もうちょっとちゃんとやればよかったって。
結局、俺、優斗先輩のこと、いかせてあげれてないし。
駄目すぎだろ…。
「…駄目だもぉ…授業やりたくねぇ…。出かけてくる」
「大丈夫かよ、お前。まぁ、気楽にしてなよ。俺が抜いてやってもいいんだけど?」
「へへ♪もうちょっと、頭の整理つけてから、またご相手願いますわ♪」
「ラジャ♪」
俺は、さっそく智巳ちゃんの所へ行く。
一応、先生に連絡しないとなぁ?
「智巳ちゃーん。気分悪いー」
「はいはい、嘘はわざわざつかなくていーから、ちょっと教えて」
ちょっと教えて…って、何言ってるんだ、この先生は。
「…ん…。欲求不満…じゃないけど、そうだから、ちょっと」
俺も、何言ってるんだろ…。
「はっきり言うと?」
「セックスしたいから」
あえてそう言うと、智巳ちゃんは、にっこり笑って、
「そういうことなら、行ってよし」
なんだってんだ。
っと、行きかけた俺の腕を引っ張る。
「…今、俺のこと、変な先生だと思ったろ…?」
「…うん…」
「…桐生空き」
「え…」
「まぁ、サボるわけだから職員室行くわけには行かねぇだろ。呼び出してやろうか」
少し、含みのある笑み。
「うれしいな♪」
というわけで、俺は、智巳ちゃんに言われたように屋上へと向かった。
「拓耶…。ひさしぶり」
「やー♪久しぶり。うれしいな」
こうやって桐生先生と会うのって、楽しくてたまらない。
「桐生先生―。彼女とはどうなわけ?」
「んー…。まぁ、そこそこ? 拓耶は?」
「俺も。それより、俺、優斗先輩とかとやってたりすんだけど、なんか、ただ欲求不満の解消に使ってただけみたいで。それで罪悪感感じてるわけ。どう?」
桐生先生は、いわゆる俺の人生の先生だ。
すごく頼っちゃうよ。
「いきなりだな。すべては気のもちようだろ…。拓耶がそんなつもりはないって、思えばそれで終わりだっての」
あいからわず、シビアなご意見ですこと。
「で、今日は、俺とやってくれるんだって…?」
「え…あ…。だから、利用しちゃうみたいで悪いんだけど…」
智巳ちゃん、そこまで伝えちゃったんだ…?
まぁいいんだけど。
「そう思うなって。遊びだろ…? 俺だって、抜ければ、お前を利用したことになるわけ?」
よくわかんねぇよ。
「ってか、拓耶って、受け向きじゃないんじゃなかった…? 口で?」
「…いや…よくわかんねぇけど…やったら…大丈夫だった…のかな…いまいち謎」
「じゃ、遠慮なく」
そう言ったかと思うと、俺の体を反転させ、後ろから抱く。
「せんせ…っ」
ズボンのチャックを下ろして。
左手が下着の中に入り込む。
「っぁ…」
右手の指が口内を這いまわって、唾液が先生の指を濡らしていった。
「もしかして、拓耶って、乳首とかも感じたりする?」
楽しそうに耳元でそういうと、ズボンと下着を下ろした状態で放置したまま、左手がシャツの中に入り込む。
「っ…せんせ…俺…そこ、駄目」
「駄目…って言って、俺がやめるやつだと思ってるんだ?」
思ってないですけど。
桐生先生は、左の指で、乳首をさする。
「っひぅっ…んっ」
なんかよくわかんないけど、すごい刺激的で。
その場に座り込みそうになっていた。
「敏感だよなぁ。舐めてあげるから、壁行きな」
直球だな…。
それでも、したがって、階段のあった壁際に行く。
「ほら、自分で、シャツあげてて」
言われたとおり、壁にもたれた状態で、シャツをめくり上げる。
俺の背後の壁に手をついて、少し屈みながら、桐生先生は、俺の乳首を、ねっとり舐め上げた。
「っンぅんっ…ゃっ」
変になる。
何も考えられなくなってくる。
口に含んで吸い上げられたり、軽く歯を立てられたりするたびに、ビクンって自分の体が跳ねるのがわかった。
「っやぁっ…あっ…やだ…それ…」
もどかしいような、よくわからない感覚。
変…。
桐生先生は軽く笑って、前から俺の秘部を、濡れた指先で撫でる。
「っあっ…俺、まだやり慣れてなっ…」
「そぉ…? じゃ、細めに指示棒とかいっとく?」
そう言うと、胸ポケットから取り出した指示棒を咥えて引き伸ばし、そっと舐めて濡らす。
「どんだけやった? 足、抜きな」
「…まだ…一回しかっ…」
最後までは。そう答えつつも、片足をズボンから引き抜いた。
「へぇ。そうなんだ…」
先生は、濡らした指示棒をそっと、押し込んでいく。
「っひぁあっ…んぅっ」
体が、必要以上に強張って、桐生先生の腕に掛けた手に力が入っていた。
細いせいか、どんどんと先生は奥へと進めていってしまう。
「っんぅんっ…やっ…深ぃ…っ」
「そぉ?」
先生、初心者相手にまったく容赦なし…?
涙が溢れてくる。
桐生先生の方を見てもにっこり笑うだけ。
俺の方は、それに笑い返すことも出来なくて、桐生先生の手を見ようと俯いた途端に、涙が零れ落ちていた。
「っあぅっ…やっだっ…奥っ…やっ」
「拓耶って、奥、感じるんだ…?」
企むように、耳元で笑うような声。
もう普段、指が届かない位置くらい奥な気がする。
すごく奥まで入れられた指示棒が、桐生先生の手によって、ぐちゃぐちゃに俺の中を掻きまわしていく。
「や…っだっ、あぁああっ、やだっ…そこっ…おかしっ…やぁあっ」
「そんなに嫌がんなって」
気が遠くなりそう…。
やだって言っても、ちゃんとやめてくれないのって、桐生先生くらいな気がする。
俺自身、あんまりやだとか言わないけど、もう限界なのかな。
わけわかんねぇ。
軽く抜き差しされながら、掻き回されて。
とりあえず、倒れないように、必死で桐生先生の腕に絡めた手に力をこめる。
「っはぁんっ…あっ…駄目…ぇっ…ゃっだってばぁあっ…」
駄目、俺もう、半泣きどころか、マジ泣き状態?
もうぐちゅぐちゅいってんのが聞こえる。
「拓耶は慣れてないみたいだし? 無理に突っ込むより、こうやって細いので掻き回された方が、感じるだろ…?」
「っんっやっ…いやっ…やあっっ…ぁっあぁあっっ」
嘘…。
指示棒だけでイかされて、ガクンと、体が崩れかけるのを桐生先生が、支えてくれた。
そっと、俺の体を抱きしめて、後ろから指示棒を抜く。
「…っっ…せんせ…」
変な感じ。
先生に全部、体重かけちゃってる。
座り込む先生に合わせて、俺も座って、力なく先生へともたれかかっていた。
「…やりだす前に、誰かいないか確かめろや」
そう声が上の方からかかった。
優斗先輩の声…?
屋上への入り口となるドアがある小部屋の上。
不機嫌そうに俺らを見下ろしたのは、優斗先輩にそっくりだけどちょっと違う感じの子。
オーラが違うっつーか。啓吾くんだ。
「啓くん?」
そう桐生先生が聞く。
「違ぇよ。啓吾だっての」
「ふぅん。いっつも優斗が啓って言ってるから」
ホント、そっくりでかっこいいよな。
気だるそうなしぐさとかがまた、セクシーだったり。
「…恥じらいとかないわけ?」
あ、俺、ズボンとか脱げたままだった…。
でも、シャツである程度隠れてるし。
それよりなんていうか、対応が優斗先輩と似たノリになってた。
性格は全然違うのかな。
「啓くん、優斗と似てるけどさ…。啓くんの方が受けくさいよね」
少し企むように桐生先生がそう言うと、言っちゃいけないことに触れちゃったみたいで。
思いっきり、ペットボトルのお茶がぶっ飛んでくる。
危な…。
桐生先生は、うまくそれをキャッチしていた。
もしかして、なにか飛んでくるって、予想してた?
あきらかに、企んでそうな言い方だったもんな。
「まぁ彼がいるのでセックスはやめよう」
にっこり俺にそう言うけど。
「…それじゃ、また俺、自分だけイっちゃって…っ」
「あぁ、そんなん全然、かまわないって。人に気ぃ使いすぎ。だったら、お得意のお口でしてくれる?」
「…はい♪」
俺は、桐生先生にそう言ってもらえて、少し落ち着きながら、そっと桐生先生のに舌を這わした。
「…欲求不満の解消に…使ってるみたいだっつってたじゃん…? ちょっと意地悪だよなぁ、優斗も。あいつ、なんでも1番じゃなきゃ嫌ってタイプだろ? 彼女にも好かれたいし、榛からも好かれたい上、お前からも好かれたいんだよ」
「っん…」
「我侭なんだよなぁ。だけど、わかる気もすんだよ。自分が一番好きなのは凪なのに、榛や拓耶がほかのやつと仲良くしてると嫉妬するわけで。ま、要するにちょっとした意地悪で言っただけだ。気にすんな。わかってんだろ。遊びだって割り切ってるはずで。欲求不満の解消しあってなにが悪いわけ?」
優斗先輩…。嫉妬とか…してくれるんだ…?
うん…桐生先生の言うように、俺ら2人、抜き合って、欲求不満の解消だけの相手みたいな関係でもおかしくないよな?
俺…悪くないかもしんないし。
また、そういうことするときと、部活とか友達みたいな関係のときとは違うし。
混乱するなぁ。
「…気になるなら…優斗と直接、やるのが手っ取り早いね…っと」
そうですかね?
「っンっ」
桐生先生は、俺の顔を引き剥がし、俺にかからないように欲望をはじけ出す。
「…俺、別によかったのに」
「まぁまぁ。それはさておき。ちゃんと優斗とやりなよ」
なんだかなぁ。
腑に落ちないまま、屋上で過ごし、夜、優斗先輩の部屋へと行った。
もちろん、先にメールで知らせてある。
そうしないと、優斗先輩ってつかまらないからね。
「部長♪」
「なにかねぇ? 珍しい」
こうやって部屋で会うのは確かに珍しいかも。
「あのさ。セックスしようと思って」
「うわぁ、あっさり言うね」
「あはは♪あのあと、いろいろ考えたんですよ」
別に欲求不満ってだけじゃないんだよ。
「…優斗先輩としたいなって」
体を求められるのって、やっぱなんかうれしくないわけないし。
気持ちいいからしたいっていうより、気持ちよくなって欲しいからで。
「やっぱり、俺も、誰とでも出来るわけじゃないし、優斗先輩ならって…」
そこまで言うと、優斗先輩は俺を引っ張って口を重ねる。
「っん…」
優斗先輩ってすっごい甘ったるいキスをするんだよ。
あぁ、ちゃんと感情こもってるんだなぁとか思ったり。
そっと口を離すと、俺はベッドに仰向けに寝かされた。
…なんか、いざやる…ってなると変に緊張する。
なんだろう。
いつもと違うような感覚。
「…あのさ…別にこれ、浮気とかじゃないよね…?」
って、俺、なに確認してるんだろ。
「どう思う?」
「…わかんなくって」
「わかんないって言ってくれるんなら嬉しいかな。あっさり浮気じゃなくって単なる遊びって思われるよりは」
いままでなら遊びって答えてたかもしれないけど。
「浮気でもいいやん…? 本気とは違うんだで。少しだけ、浮気して、俺んこと、気にしてみて…?」
優斗先輩が俺のシャツのボタンを外していって。
なんだか、俺、意識しすぎだ。変。
こんななんでもない行為が恥ずかしく思えてきた。
「っ…せんぱ…」
シャツの前が全部肌蹴て、上から見下ろしながら優斗先輩は、そっと俺の胸あたりを撫でる。
「っ…ぁ…先輩…あのっ…」
「なに…?」
「…電気とか…消して欲しいなって」
あんまりにもじっと見られると恥ずかしいわけで。
というか、見られて感じてしまいそうな自分が恥ずかしくって。
「いいよ」
少し笑ってからあっさり了承してくれ電気を消す。
暗い部屋の中、優斗先輩の手が移動する感触がより一層感じられた。
「っん…」
手で確かめるようにしてから、胸の突起を優斗先輩は丁寧に舐め上げ、俺のズボンを脱がしにかかる。
「はぁっあっ…せんぱっ…」
すごくゾクゾクしてくる。
なんだろう。
手や舌から直接受ける物理的快楽以外にも、なんか感じさせられるようで。
手つきとか、舌の感触が、まるで俺が愛されてるんじゃないかって思うくらい優しくて。
こんな風にされたら困るって。
やっぱ、遊び感覚でしてくれないと、すごい感じすぎる。
「っんぅンっ…」
舌を離して、ズボンと下着を引き抜かれ。
されるがままに、足を折り曲げさせられる。
もう俺、なんかしゃべる余裕もないっていうか。
わけわかんねぇ。
ボーっとしちゃってる。
「いい…? 大丈夫…?」
後ろの秘部に指先を触れて、そう聞いてくれる。
ローションをつけたらしいひやりとした感覚があった。
「…う…ん…」
俺がそう答えるのを確認してから、指先をそっと中へと押し込んでいった。
「っぁあっ…んっ…ひっくっ…」
「キツい?」
「っあっ…平気…っ」
実際、前に比べてキツいとかなかった。
もちろん圧迫感みたいなものはあるんだけど、昼にやっちゃったせいもあるのかなぁ。
結構、ラクに入り込んだ気がする。
「ん…大丈夫そうだね…。もう1本、足すで…」
「っぅん…」
優斗先輩は、俺にあまり負担がかからないようにか、ゆっくりと2本目の指を差し込む。
「っはぁっあっ…」
「拓耶…いまさらだけど、でら声かわいーよね」
「んっ…どぉも…っんぅんっ」
2本の指が、そっと中で動かされると、それだけで体がビクついてしまっていた。
何度も、抜き差しされ、その刺激に絶えるみたいに優斗先輩の腕に爪を立ててしまう。
「あっ…ゃくっんっぁん」
「気持ちいい?」
「っはぁっ…いい…っ」
「そっか」
そう確かめてから、そっと中で指が折り曲げられる。
「やぁあっっ」
体がビクンと大きく跳ねて、羞恥心よりも、その刺激に耐えれなく、なにも考えられない感じ。
「…ん…ココ、キツい…?」
優斗先輩がやさしくそう聞いてくれる。
「っ…んぅ…っ」
あまり振動が伝わらないように、そっと頷くと、優斗先輩はわかったと言って、今突いた所を、今度はそっと優しく、指の腹で撫で上げた。
「ぁああっ…せんぱぁ…っソコっ…もぉ、やっ」
突かれるほどではないが、それでも直接的な刺激に、体中の制御が自分で出来ないようで。
狂いそう。
「じゃぁ、どうする…? やめる…?」
こんなところでやめられるわけにはいかない。
もうなにがなんだかわかんねぇ。
「っンっ…ぁあっ…別ンとこ…っ」
軽く笑って、頷いて。
指が、一番感じるところを少し避けるようにして、出入りする。
「っぁンっ…はぁっあっ…やぁあっ」
それでも、さりげなく、掠める感覚と、周りを刺激され痺れるほどに感じてしまっていた。
「あっっ…駄目っ…イっちゃぅっっ、あっ…やめっ」
本当は、このまま身を任せてしまいたい。
だけど。
このままイかされたら、また俺一人だけ、悦ってそのまま、終わっちゃいそうで。
今度こそは2人で…というか、優斗先輩にも気持ちよくなってもらわないともう罪悪感で、つぶされそう。
「っ…止め…っあンぅっ…待っ…やぁっ」
普段、嫌がらない性格の俺が、止めることを頼んだせいもあり、優斗先輩は、すぐに指の動きを止めてくれた。
「…どうしたん…? 気持ちよくない…?」
「はぁ…いや、めちゃくちゃ気持ちイイけど…」
「だったらいいやんか」
「…駄目…だって…。一緒に…」
そう言うと、優斗先輩は、にっこり笑って、空いてる方の手で俺の頭を撫でる。
「そんなに気ぃ使わんと…。まぁね。昼、あんなこと言ったのは俺だけど。いいよ。ってか、やらせてもらえるだけで、それはすごいことなのだよねぇ」
指を引き抜いて、俺の体を起こさせて。
そっと抱き寄せると、そのまま後ろからまた2本の指をゆっくりと中へと押し込んでいく。
「ぅくンっ…あ…」
「手、回して…」
「ん…」
優斗先輩の背中に手を回し、抱きつくようにすると、それに合わせて、先輩も、空いてる手を俺の背中に回してもっと引き寄せる。
「せんぱ…」
「なに…?」
「…ん…。あったかい…。すごく…、救われる感じ…」
「…救われる…?」
「なんつーか。こんな風に抱かれたことないし」
「愛されちゃってる感じする…?」
少し楽しそうにそう言うと、後ろに入り込んだ指を、そっと動かされた。
「あぁあっ…せんぱぁっ…だっめ…ッダメ…」
「なんで…? イってもいいよ」
「違…っ…ンぅうっ…」
「あんま深く考えんと。気持ちいいことだけ、考えときゃぁって」
耳元で、そう囁くように声をかけられて、そっと耳に舌を這わされる。
「ンっやっ…せんぱ…っぁああっ…」
そんな風に、優しくされたら。
俺は陸が好きだけど。
凪や湊瀬先輩のこと、羨ましいとか思ってしまう。
「…っせん…ぱっ…はぁっっあっ…だめっ…ぃやっ…やっ…」
「かわいいな…拓耶は…」
「っや…だっやっ…出ちゃっっぅンんっせんぱぁっ…やぁっあぁああっっ」
先輩の背中に回した手で強く爪を立ててしまっていた。
欲望をはじけ出して、ぐったりと先輩にもたれ掛る。
先輩はそんな俺をやさしく抱いてくれた。
「大丈夫かねぇ」
優斗先輩は、指を引き抜いて、俺をそっとベッドへと寝転がらせてくれた。
「ん…」
「かわいいね…」
にっこり笑ってくれて。
上から見下ろすと、俺の頭をそっと撫でた。
「せんぱ…」
「煙草、平気だったよな」
そう確かめてから、優斗先輩は胸ポケットからタバコとライターを取り出し、火をつける。
なに…?
最後までやらないわけ?
俺がぐったりしちゃってるから?
「っ先輩っ…最後まで…っ」
「あぁ……いいって」
そんな風に気を使われちゃ困るんだってば。
「ゃ…優斗先輩、入れてくださ…」
「無理すんなや」
「入れて欲しい」
「天然で、すっげぇ台詞吐くねぇ、まったく。いいわけ…?」
いいもなにもそのつもりでわざわざ来たのに。
「してくれないと…俺…」
罪悪感とかで押しつぶされそう。
「なんか、していいのか迷っちゃうあたり、遊び感覚と少し違うんだなって俺も思うわけだね」
どういう意味?
浮気に少しだけ混じりこんだ本気の部分とかあったりしてくれるんだろうか。
遊び感覚じゃないと、やっぱ、少し、彼女に後ろめたいってのが、あるんだろうし。
「あ…彼女に迷惑なら…最後までしなくっても、俺、口でするけど…」
なんか、昼と言ってることめちゃくちゃすれ違い気味だけど。
口なんかでしても、それじゃあ愛がないっていうか、ホント、たんなる消化みたい…だよな。
「いやいや、それは大丈夫だけど。拓耶はいいんだ?」
俺だって、よくわかんないけど。
「…難しいことは、やったあとでもいいですかね」
考えがまとまらないから。
だけど、やらずにいたらまた、どうしようって思うのはわかりきってる。
授業までサボって悩んだし?
「んー。やっぱ拓耶ってすごく俺の好きな生き方」
生き方…?
「もうね、さっきの拓耶で、結構、準備OKだったりするわけだけどね」
少し楽しそうにそう言う。
準備OK? それなのに、先輩は、俺のことやらずにとどまってくれたんだ?
俺のこと、ちゃんと考えてくれたりしてたわけ…?
いい人だよなぁ。
「じゃ、入れてやってくださいな」
俺がそう言うと、優斗先輩が、タバコを捨てて、ズボンのチャックを下ろすのがわかる。
「大丈夫…?」
もう一度、確認してくれる。
「…そんなに気になる?」
「まぁね」
「じゃ…俺が…」
出来るかわかんないけれど。
そっと、優斗先輩の肩に手をかけ、押し倒す。
「拓耶…?」
「先輩が…気ぃ使ってくれるし、俺が…自分でします…」
先輩に罪悪感とか感じさせたくないし。
俺は、先輩の体を跨ぐと、すでに勃ちあがってしまってる先輩のモノを、自分の秘部にあたる位置に体を持っていく。
「…無理、すんなよ…」
「…うん…」
自分の手で、押し広げるようにしながら、そっと、腰を下ろして。
少し、先輩のが入り込むと、どうも締め付けてそれを拒んでしまっていた。
「っんっ…」
優斗先輩は、ただ、下からそっと俺のことを見守ってくれる。
「くふっ…ぅン…」
力を入れないようにして。
ゆっくりと、先輩のを中に飲み込んでいく。
意識しないように。
半分くらい、入っただろうか。
優斗先輩が、不意に俺の頬を撫でてくれて、つい、それに反応して後ろを締め付けてしまう。
「っくっ…ぁンっ…」
「あぁ、ごめんな…。ゆっくりで、いいで…」
「…っぅん…」
とは言われても、あまり時間をかけすぎるわけにもいかない。
少し体を落ち着かせてから、残りをそっと、入れていく。
「っはぁっ…あっ…」
息を吐きながら。
ゆっくり…よりも、一気に入れた方がいい…?
うん。そうだ。
奥まで、一気に。
「あぁああっっ…」
力を抜いた状態で、腰を下ろすと、一気に中まで入り込んで、その瞬間、その刺激のせいで、また、奥まで入り込んだソレを締め付けていた。
「ひっくっ…ぅんっ…」
変…。
涙が止まらなくって。
生理的なのと精神的なのと混じってる気がする。
「拓耶…」
優しく俺を呼んで、指で涙をぬぐってくれて。
すごくあったかく感じた。
「っあっ…せんぱ…っっ…」
「無理すんなや…。泣かせるつもり、ないし」
「っぅンっ…」
俺は、ベッドに手をつきながら、そっと、体を動かして、少しだけ抜き差しをする。
それだけで、十分に感じてしまっていて、体中が変になりそうだった。
「っあっンっあっ…はぁっ…」
すごく気持ちよくって、なにもかも考えられなくなりそう。
腰、止まんないって。
「っぅンっあっ…はぁっ…あっ」
嫌なくらいリズミカルに声が漏れて。
あぁ、俺、これじゃぁ一人で、上で悦んで。
また、利用してるみたいじゃん。
「あっ…ぁっ…イイっ? せんぱぁっ」
「うん…。気持ちいいよ…」
「あぁあっ…やぅっんっ…もぉ、出来なっ…」
優斗先輩は俺の腰に手を添えて、一緒に俺の体を揺さぶってくれる。
「っぅンっ…はぁっ…イイ…っせんぱぁっあっ…」
「嬉しいな…。そう言ってもらえて…」
先輩は、自分も体を起こすと、俺を抱きしめて。
俺も先輩の背中に手を回した。
「はぁっ…熱いよ…っぁンっ…はぁっ…あぁぁああっっ」
先輩のが流れ込んでくる感覚。
「っ…せんぱ…」
先輩はそっと、俺にキスをして、頭を撫でてくれた。
「かわいいな、拓耶…。また、やりたいかも♪」
そう言ってもらえると、俺はちゃんとした行為が出来てたんだと少し安心した。
「…俺も…でも…駄目かも…」
優斗先輩の顔見たままじゃ、言えそうにないから、そっと抱きついて、先輩の視界から逃れる。
「俺は…陸が好きなんだ…」
「知ってるよ」
「こんなセックス、続けてたら駄目なんだよ」
「遊びでも?」
遊びならいいと思う。
だけど、違う。
「…こんなの…俺、浮気しそう…」
気持ちが優斗先輩を好きになりそうで。
「じゃ、もうやめる?」
あぁ。
俺って結構、駄目な人間かも。
そう言われるのもちょっとやだなって思っちゃう。
わざと言ってるんだろうけど。
「…少しくらい…浮気してもいいかな…」
「俺は、嬉しいけどね」
優斗先輩が好きだな、やっぱ。
陸とはまた違う感じなんだけど。
「じゃぁ…また…」
欲求不満の解消に利用してるだけじゃないって。
そうわかってもらえた…かなぁ…?
逆になんていうんだろ。
そう思い込まないと、陸に申し訳ないと思ってた部分があった。
もちろん、今も、申し訳ないなって気持ちはある。
だけど、俺はみんな大好きで。
そんな中で、陸は特別なんだよ。
「またな」
にっこり笑って、そう俺に言ってくれるのがものすごくうれしくて。
「はい♪」
ただちょっと、優斗先輩も、特別な存在に近いんだろうなって思えた。
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