こんなつもりじゃなかったのに。
啓吾の兄貴とこんな関係になるなんて、思ってもいなかった。
ベッドで全裸の俺に覆いかぶさるようにして、優斗先輩は俺の股間を擦りあげていく。
「はぁっ…っ…んっ」
顔を腕で隠して俺はその刺激と羞恥に耐えていた。
啓吾のせいだ。
啓吾に手を出されてから、俺の体はおかしくて。
たまにやりたくなったりしちゃって。
だけど、啓吾相手だと、理性が残っちまうから。
深敦にも悪いと思うし。
そりゃ、優斗先輩の彼女にも悪いけど。
自分がすっげぇやらしい声出しちまうのわかってるから。
優斗先輩が相手だと、普段会わないから少し平気だったりするわけだ。
とはいえ、最後まではしていない。
69あたりで、後ろも刺激されて、お互いに気持ちよくイって…という具合だ。
「なぁ、春耶くん…。こんなにエロいんだでさぁ。もう一人、相手してみん?」
「え…」
優斗先輩は、俺を見て軽くキスをする。
「ね…。差し支えない相手、選ぶから。3人でさ?」
「でも…俺、最後までしたことなくて…」
「え、なかったん? 俺だけとしてないと思ってたんだけど」
「ないですよ」
「あちゃぁ…。とりあえずさ。後輩なんだけど、春耶くんのこと気に入ってるって子がいてさ。呼んじゃ駄目かなぁ。別に、そいつと最後までやれってわけじゃないからさ」
なにを俺は考えているんだろう。
頷いてしまう。
優斗先輩が、携帯で誰かを呼ぶのがわかったが、それから、インターホンが鳴るまで、緊張しっぱなしだった。
部屋に入ってきたのは髪の毛が赤くて目が青くって。
なんか少し恐い雰囲気の人。
「凍也は、今3年だよ。見たことない? 深敦くんと仲よしでさ。春耶くんは、深敦くんと友達だもんな」
優斗先輩が、そう俺のことを紹介してくれた。
「…で。やっちゃっていいの?」
優斗先輩と俺とを交互に見て、凍也先輩はそう言う。
妙な緊張感が走った。
「…最後…までは…」
「…春耶…恐い?」
凍也先輩は、俺に歩み寄り、起き上がっていた俺の体をベッドへと押し付けると、口を重ねる。
「ん…っ…」
初めての相手…しかも、普段友達だったわけでもない相手に、いつも以上にドキドキさせられた。
「…実は、春耶の写真、持ってんだよ」
口が離され、上から見下ろされ。
そう言われて、目線を凍也先輩に向けると、凍也先輩は笑みを浮かべる。
「ねぇ、優斗先輩。お願い」
凍也先輩はそう優斗先輩になにかをお願いする。
俺には初めわからなかったが、この2人は理解してるみたいで。
「…まぁ、春耶くんさえよければ初めからそのつもりだったから、俺はいいんだけど」
優斗先輩の方を見ると、そっと頭を撫でてくれる。
「…俺、行っちゃっても大丈夫?」
「え……?」
「春耶くんが、初対面の相手が恐いってんなら、俺はずっとここで見守ってるし? でも大丈夫なら、凍也と二人で…ね。素直に答えていいから。あ、別に俺が春耶くん、相手にするの面倒になったとかそういうんじゃ全然ないから。ただ、凍也が…っ」
「そう、俺がね。春耶としたいから、頼んだわけ。引き合わせてくれないかなぁって。もちろん、初対面だし? いきなり無理ならこのまま3人ででもいいけど」
別に。
緊張するけれど、悪い人じゃなさそうだし。
だいたい、悪い人なら優斗先輩は連れてこないだろう。
俺に好意的に見えるし。
「……俺は…どっちでも…」
「じゃ、断腸の思いで、俺は退散致します♪春耶くん、もし虐められて辛かったらいつでも俺にチクってな?」
「虐めねぇって。安心してよ、先輩」
優斗先輩が、部屋を出て行って。
凍也先輩は鍵を閉めると、上に着ていたシャツを脱ぎ、俺の上へと体を重ねる。
「…緊張する…?」
「…ん…」
焦らすように、指先が胸の突起を弄っていく。
「っんっ…ンっ…」
それだけで、嫌なくらい体がビクついて。
ものすごい恥ずかしく感じた。
凍也先輩の舌が、もう片方の胸の突起にもねっとりと絡みつく。
「ぁっ…んっ…!!」
こんな風に、されたことなくて。
自分がそこでこんなにも感じるだなんて思ってもいなかった。
恥ずかしいと思えば思うほど、体は熱を帯びていく。
「はぁっ…あっ…やっ…」
「ん…? いや…? いいよ…下も、してあげるね…?」
優しい口調でそう言って。
凍也先輩は体を俺の下半身へと移動させる。
膝を立てさせられて。
恥ずかしい格好で。
凍也先輩の舌が俺のを根元からゆっくりと舐め上げていく。
「んぅんっ…ぁっ…」
ゆっくりと舌が動くのがわかって、体がゾクゾクしていた。
「ぬるぬるだ…。すごい、溢れてきてる」
凍也先輩の指が、亀頭を緩やかに撫でているのがわかった。
「あっ…んっ…」
「春耶…かわいいね…」
思いかげない言葉に目を向けると、凍也先輩は自分の指先を舐め上げながらこっちをジっと見ていた。
「そん…な…」
「言われたことない…?」
冗談でならあるけれど。
いや、凍也先輩だって冗談かもしれないけど。
「入れるよ…?」
そう予告してくれてから、凍也先輩の指がゆっくりと入り込んでくる。
「あっ…待っっ…んんーーっ…」
俺は腕をバツにして顔を隠すけれど、凍也先輩は俺の両手首を一緒に持ち上げて、俺の頭の上へと押さえつけてしまう。
「なっ…!!??」
驚いている余裕はなかった。
奥へ奥へと指が入り込んで、背筋が震え上がる。
「ひぁっ……んっ…」
「はい、1本、全部入ったねぇ」
心地いい太さの指が、俺の中に入り込んで。
ただ、上から凍也先輩に見られて恥ずかしくてたまらなくて。
俺は、顔を横に向け、少しだけでも逃れようとした。
「…気持ちいいって、締め付けてくれてるよ…?」
耳元で、優しくそう言われ。
なんでもないのに、体がビクついた。
「言葉でも感じちゃうんだ…? ホント、かわいいね…。指、動かすよ…?」
「待っっ…」
「なに? 待って欲しいんだ…?」
言葉通り、凍也先輩は、待ってくれる。
「あ…俺…っ…」
「なに?」
「指、動かされると……すげぇ、変な声出るし…」
「うん?」
「っ…おか…しくなる…から」
凍也先輩は軽く笑って
「いいよ…」
耳元でまたそう言うと、ゆっくりと指を軽く前後に動かしていった。
「ぁあっ…やっ…あっ…んーっ…」
手で口を押さえられなくて。
なんとか我慢しようとするけれど、限界だってある。
「あっくっ…んっ…んっ」
「声、我慢しなくていいよ…。もっと聞かせてよ…」
「だっめ…っんっ…」
「駄目? どうして?」
「こんなっ…んっ…恥ずかしい…っ」
「いいよ…。恥ずかしい声、たくさん出して…?」
指の動きが、大きくなって。
何度もイイ所を掠めていくと、声なんて殺せなかった。
「あっぁあっ…やっそこっ…あっ…んっっ…」
「ん…? ここ、気持ちいい…?」
涙が溢れる。
気持ちいい。
俺は、凍也先輩を見れずに顔を背けたまま、それでも頷いた。
「ホント…かわいすぎるよ…。後ろだけでイける?」
「はぁっやっあっ…わかんなっ…」
「そう…? じゃ、がんばってみようか? うまく、感じて…?」
何度も何度も、感じるところを擦られて。
体がビクついてしまう。
「だっめ…ぁあっ…お願…っっ…」
「なに?」
「前もっ…やっ…んっ…ぁあっ…変っ」
「前も触って欲しいんだ…? すっごいかわいーね…。でも、このまま、後ろだけでイってみようね?」
「ぁあっ…やっ…イけなっ…あっっ…やぁあっ」
「大丈夫…。もうちょっと強く突いてあげるから。ちゃんと感じて…?」
そう言うと、凍也先輩は中で指を折り曲げるようにして、感じる所を強く刺激する。
「ひぁあっ…んっ…あっ」
「どぉ…? イけそう?」
「ぁあっ…ぃくっ…んっっ…やっあっ…あぁあああっっ」
前も触られないでイくというのはなんだか変な感じがした。
気持ちよかった…というより恥ずかしさが先に来る。
もちろん、気持ちよかったんだけど。
まだ、指1本入れられただけなのに。
ものすごく恥ずかしい自分をさらした気がした。
俺の腕を押さえていた手を解いてくれて。
指がゆっくりと引き抜かれた。
凍也先輩はその指で俺の放ってしまった精液を俺のお腹から拭い取ると、あろうことか、その指先を口に含む。
「っ……!!」
顔が羞恥で熱くなる。
たぶん、赤くなってるんだろう。
凍也先輩の舌がその指先から離れると、唾液なのかなんなのかわからない糸が引いていた。
「ん……どうした…?」
「っ………」
どう言えばいいのかわからず、黙り込んでしまう。
「…こういうの慣れてないんだ…? かわいーね…」
するとまた、俺の精液を拭って、今度は俺の目の前へと持ってくる。
「っ…な…」
「ね…春耶が出しちゃったんだよ。気持ちよかったんだね…。こんなにたくさん…」
また。
今度は俺の目の前で凍也先輩はその指をいやらしく舐めあげて、含んで精液を指から綺麗に拭って。
そのまま、俺に口を重ねた。
「んっ…ん…」
変な味…。
それが、自分のだと思うと、ものすごく恥ずかしくて。
凍也先輩の舌が、俺の舌を絡めとって、頭がぐちゃぐちゃの状態になっていた。
口が、離されて。
凍也先輩は俺の両足を折りたたむ。
「入れても、大丈夫?」
「っ…俺っ…その………したことなくて……」
「恐い…?」
「………最後までって…どうなるかよくわかんなくて…」
「…今日、わかってみる…?」
そう言われて、そっと頷いてしまっていた。
凍也先輩はローションをたっぷりと絡めたモノを俺の入り口へと押し当てる。
「っ…ぁっ…」
「すごい…不安そうな顔してるよ。大丈夫だから…ゆっくり入れるよ」
そっと、頷く俺に凍也先輩は軽くキスをした。
口が離れてすぐ、凍也先輩のがゆっくり中へと入り込んでくる。
「ぁっあっ…んーーーっ!!!」
「春耶…もうちょっと力抜いて…?」
「はぁっ…あっ…もぉっ…入んな…っ」
「大丈夫だから…ね…?」
ゆっくりと時間をかけながら中へと進んでいくそれと同時進行で、凍也先輩は俺の股間のを擦り上げる。
「あっんっ…あっ…ぁあっ…だめ…っっ…」
「ん…? 駄目…?」
俺は空いている凍也先輩の腕を強く握っていた。
「やっ止め…っっんぅんっ!!…やぁあっっ…」
「大丈夫……もう、全部、入っちゃったからね…」
そう言って、動きを止める。
「はぁっ…キツ…ぃ…」
「そうだね…。すごい締め付けてる」
凍也先輩は、奥まで入り込んだままで、俺の股間を擦り上げる。
「んっ…あっ…ぁあっ…」
「まぁだキツくて、うまく動けないなぁ。とりあえずゆっくり掻き回そうか…」
一旦、手を離して、俺に軽くキスをして。
上から見下ろしながら、ゆっくりと中の肉棒が動く。
「あっ……んっ…はぁっ」
「痛くないでしょ…? ローションたっぷりつけたし。だんだん、いい感じに力抜けてきたかなぁ…?」
やんわりと動かされ、ローションのせいか、ぬるぬるするような中の感触にゾクゾクした。
すごい気持ちがよくて、頭がボーっとする。
「…はぁっ…ンっ…あっ…ぁあっ…」
「ん…声…変わってきたね…。目も、とろんってなってて、すごいかわいい…」
だんだん、少しずつ、中での動きが大きくなっているような気がした。
「んっ…ぅんんっ…ぁっンっ…はぁっっ…やぁンっ」
思わず出てしまった恥ずかしい声に、つい凍也先輩を見ると、バッチリと目が合ってしまい、手で口を塞いで目をそらす。
「また、手で塞いじゃうんだ…?」
耳元でそう言って、中の動きを止められる。
「手、どかして…?」
今度は、そうお願いされ、しょうがなく手をどかした。
「……俺…こんな、声…っ出るなんて…」
「かわいいよ…。ねぇ…。もっといやらしい声、出して…」
凍也先輩の指と俺の指が絡まりあって。
じっくりと、中をまた掻き回す。
「ぁっぁんっあっ…だめっ…ぁンっ…」
「じゃあ、そろそろ、抜き差ししよぉか…」
中でゆるやかに動いてただけのソレが、少しずつ前後へと抜き差しされる。
「ぁああっ…やっ…やぁっ…だめっ」
「俺ので、春耶のイイ所、突いてあげるからね…」
その宣言どおり、硬い部分が俺のイイ所を擦って、突いて。
その快楽に、うまく頭が働かない。
「はぁんっ…あっぁあっ…もぉっやぁあっ…」
「駄目…?」
「違っ…ぁあっぃいっ…ぁんっっ」
「どうしちゃった? 春耶…そんなに気持ちいいの?」
初めての物量と熱さに、ものすごく感じて体がおかしくなる。
「ぃいっ…やぁっあっ…い…っちゃうっ…やぁあっ」
「…また…イっちゃっていいよ…?」
優しい口調でそう言われると、もう限界だった。
その言葉すら俺を感じさせる。
「ぁあっいくっ…はぁんっあぁああんんんっ」
すごい…。
凍也先輩のが流れ込んでくるのがわかった。
「春耶…。大丈夫? くたくただね」
「ん…」
「気持ちよかった…?」
「は…ぃ…」
気持ちよすぎる。
なに俺。
啓吾に少しされて。
気持ちよくて。
最後までやったら、ハマっちゃいそうだから。
だから自制してたはずなのに。
「こんなの…」
「なに?」
「ハマっちゃいそうで…」
やばいだろ…。
そう思うのに。
凍也先輩は俺を上から見下ろして。
「…俺が、ハメたげる…」
ハメるって。
どういう意味でのハメるなんだろう。
言葉通り、肉体的な意味だったり…?
「ね、いつでも呼んで…? もちろん、春耶に彼女がいるのは知ってるし。俺にも恋人がいるわけだし。でも、わかるだろ? 恋人とするのとは違うって。春耶はホントかわいいから…ね。たまには、しよう…?」
俺に彼女がいるって知ってるんだ?
この人にも恋人がいるって。
それでいて、俺を誘うわけ?
こんな関係はよくない気がするけれど。
これは、別に凍也先輩が好きなわけじゃなくて。
つまり、浮気じゃない。
そう自分に言い聞かして。
凍也先輩のさっきの問いかけにそっと頷いていた。
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