「ねぇ、深雪ちゃん。気分悪いの?」
「ん…」

コレは罰ゲームだ。
だって。
ナツと痴漢の区別もつかなかったから。

冗談っぽく罰だよって。
冗談めかしてくれたナツの気持ちを無に出来るわけなどない。


耳元で少し笑いながら、気分など悪くないと解っていてそう聞く。
ロングコートの俺の正面から。
背後にまわした手で、ズボンの上から俺の尻を撫で回し、飽きたのか一旦、手を離すと俺の目の前で、ナツが自分の指を舐める仕草。


帰宅ラッシュ時。
満員すぎる電車内。
ナツはドアを背に持たれかかり、俺はそのナツに擦り寄る形で、向かい合わせ。

地下鉄。
この路線は、しばらくこっちのドアが開かないというのももちろんわかっていた。

ズボンの隙間からさきほど舐めあげていた方の手を入れ、入り口を焦らすように撫でられる。
ゆっくりと。
自然と汗ばんでるのも助けになって、痛みもなく、後ろから中にその指先が押し入ってきた。
「っ…ナツ……っどこまで…」
「なにが?」
「…っはぁ…っ…だから…っ…ん…っ」
「…まぁ、とりあえず、深雪ちゃんがされたことはしときたいよね」
痴漢に、指まで入れられた。だから同じことって?

俺の体を知り尽くしているナツは、あえて、刺激が少ないように注意しながら奥まで差し込んでいく。
だけれど、ナツの指先が、中にあると思うだけで、俺は気が狂いそうだった。

俺が声を殺せるようにか、じれったくその指で内壁をゆっくり押し広げていく。
指が中を回って、俺は強すぎないその刺激に、酔いしれていった。
「っ…んっ…ぅんっ…っんっ…」
欲しい。
欲しくてたまらなくて。
声をあげたくて。
ナツの指にあわせるようにして、腰が動いてしまう。

つい、ナツの股間に手を触れる。
コレが。
「っ…はぁ…ナツ…」
すでに、硬くなっているナツのを、少し擦ると、ソコが反応するのがわかってその状況に、俺も興奮してたまらなくなった。
不意打ち気味に、ナツのもう片方の手が俺の股間に触れると、体が大きくビクついてしまっていた。
「っ…! …ぁ…っ…んっ…」
周りなんてもう見えなくて。
ナツにすがり付いて、このまま入れて欲しくてたまらないような。
そんな衝動に駆られて。
「なっちゃ…っ」
そんな俺を戒めるように、ナツは指の動きを止め、その指が引き抜かれていく。
「…なんで…」
「なんでって。なんで?」
電車内。
これ以上されたら、どうなるかわかったもんじゃない。
ナツがやめるのは当たり前だ。

だけれど。
無理。
腰が、変に動く。
これじゃ変態だ。
「なっちゃん…。降りよ…?」
「どうして?」

「…っ…欲しい…」
「…駄目…」
「え…」
予想外の言葉に顔を上げると、笑顔で俺を見る。

駅に着き、人の出入りにあわせるようにして、さりげなくナツは俺と体を入れ替える。
俺はドアを前に。
ナツは俺の背後に立つ。

押されるようにして密着した体。
布越しで俺の尻にナツのが当たるのがわかって、ゾクゾクした。
ナツの手は、俺の股間をズボンの上から揺るやかに撫でていく。
「っんっ…ぅんっ……ぁ…っ…」
前のドアが曇るから、俺は顔を下に向けた。
次第にいやらしい手つきで、揉みしだかれ、なんだか泣きそうになっていた。
「っ…ぁ…んぅっ…」
駄目だと、示すために俺はナツの手を剥がそうとする。
それでも力が入らず、ナツの手をどかすことなど出来ない。
爪を立てても無理。
「っ…ぃっ…」
ナツになにか訴えようにも、背後にいられては、声が届きそうになかった。
ナツに届くくらいなら隣の人に届いてしまうだろう。
俺は強引に、自分の体をナツの方向へと向けた。
ドアへと背中を預ける。
ナツの手はあいかわらず俺のをズボンの上から、本格的に擦りあげていく。
「っ…はぁっ…んっ…」
俺はナツの手に必死で爪を立てていた。
ナツを見て、無理だと顔を横に振る。
「…どうしたの? 深雪ちゃん。……イきそう…?」
耳元でそう言われ、俺は頷いて。
「…うん。もうすぐ駅だから…それまで我慢ね…」
「っ……!!」

あいかわらず手を休めてくれなくて。
イってしまいそうな感覚に体が何度も震えた。
「あ…っ…んっ…ぅんっ…」
いくら電車の音がうるさいとはいえ、荒い息遣いが周りにバレていそうで、恥ずかしくてたまらない。
もう立ってられないし、声も殺せない。
苦しい。
「っなっちゃ…あっ…」
「駄目だよ…。もうちょっとだから」
「んっ…やっ…んぅっ」

イきそうなのを必死で我慢する。
涙が溢れて、ナツの胸へと顔を埋めた。
ナツの服をギュっと掴む。

人が流れて、駅に着いたのだとわかった。
その流れに押されるようにして、俺とナツは電車の外へ。



ホームへ降り、少し流れから押し出され、俺はそのままその場に座り込んでいた。
一部の人がこちらを見ているようで。
それでももうそんな余裕はない。

車掌らしき人が気にして、聞いてくれているようだったが、ナツが『大丈夫です』と追い払っていた。

2人だけになる。

「はぁ…っ…」
「深雪ちゃん…」
名前を呼ばれても、顔を上げられない。

そんな俺の前にナツがしゃがみ込み頬を撫で、顔をあげさせられた。

「我慢出来た…?」
「っ…ん……っもぉ…っ」
「泣かないで…。とりあえず、行こうか」

このまま、この状態でここにいるわけにもいかない。

駅を出て、近くの公園へと連れて行かれた。
ナツはよくいろんな場所を知っている。


暗い中、他のカップルがいちゃついてるのがなんとなくわかった。
それと少し離れるようにして、俺らは口を重ねる。
「んっ…」
ナツの舌はすごく心地がよくてたまらなくて。
足に力が入らなくなってくる。

ふらつく俺がわかってか口を離され、俺は柱を背もたれに。
前に回ったナツが、俺のズボンと下着を引きずり下ろした。

ナツは焦らすように、指先だけで俺の股間を撫でていく。
「深雪ちゃん、たっぷり我慢したんだねぇ。トロトロ、溢れてる」
「っ…はぁっ…んっ…なっちゃ…はやく…」
「はやく…?」
「っ…ぁっもぉっ…んっ…」
「ふぅん…」
企むようにそう言うと、ナツは俺の股間から手を離してしまう。
シャツの隙間からその手を差し入れ、胸元を撫で上げた。
「っ…ナツっ…」
「なに…」
「っ…や…だ、そこっ…」
「すっごいこりこりしてるね…。気持ちイイ?」
ナツの両方の手が、片方ずつ俺の乳首を押しつぶしたり、擦ったり、摘んだり。
「あっっ…やっっっ…やだ…っ…下もっっ…」
「だーめ…。だって深雪ちゃん、ココだけでイけるでしょ」
「やっ……んっんぅっ…なっちゃっ……ぃけなっっ…」
「大丈夫…。あとでたっぷりしてあげるから…」
 そうは言われても、我慢出来ず自分の手で股間のモノを擦りあげてしまう。
「んっ…あっっ…」
「なにしてんの…? 深雪ちゃん」
そう言って、俺の乳首から手を離したナツは、俺の行動をジっと見つめる。
「っ…んっ…あっ…だって…っなっちゃ…っ…あっ」
「そう。一人でしてるとこ、見せてくれるんだ?」
笑顔が恐い。
「ゃだっ…ぁっ…なっちゃ…んっっ」
「嫌?」
「見な…っ…やっ…」
「見られて恥ずかしいなら、止めなよ」
「やっ…んっ…ぃくっっ…なっちゃ…んーっ…」
恥ずかしいけど止められず、イってしまう…そう思ったとき、ナツの手が俺の右腕を掴んで取り上げてしまう。
「っひぁっ…やっ!」
条件反射のように左手が股間へと伸びるが、その手もナツが取り上げて。
それぞれの手をナツが掴み、柱へと押さえつける。
「ひっ…くっ…やっ…っ」
「んー…。どうしたの? 深雪ちゃん……」
涙が溢れた。
我慢出来ない。
「なっちゃ……ぃかせて…」
「そんなに泣いちゃって、かわいーねぇ…」
「おねが……はやく…」
「そうやって、ねだれば許されるって思ってるよねぇ。かわいいから許しちゃいたくなるけど。
深雪ちゃんはエロすぎて、痴漢でも感じちゃうし、俺の言うことも聞けないし。
駄目だよ…ホント」
そう言いながら、ナツは体を近づけて、俺の股間に、取り出したナツの熱いモノを押し当てる。
「あ…っ…なっちゃあ…」
「当たってるね…。どうしよう?」
「っ………欲しぃ…」
素直にそう言っても、駄目。
イきたくて、先端から液が溢れ出る。
変に腰が動いて、ナツのと擦れあうと、その刺激だけでもたまらなくて、腰が止まらなくなった。
両手にはナツの指が絡まる。
「あっ…んっ…ぅんっ…」
「いやらしぃよ、深雪ちゃん…。もっと腰動かして…俺のに擦り付けて?」
「ぁっっ…やっ…なっちゃっ…んーっ…やぁっ」
「いいよ。そのまま出しても」
こんなの恥ずかしいのに、止められない。
「ひぁっ…ぃくっ…なっちゃっ…んーーーっっ」
イってしまい、座り込んでしまおうかと思った俺の体を半転させ、後ろから抱く。
「っ…なっちゃ…?」


「入れるよ?」
「えっ…ちょ、待っ…っ」
俺の言葉を無視するように、いきなりナツが自分のモノを押し込んでくる。
「ひぁっ!!?? あっ…あぁああっっ!!」
「…慣らしてないから、痛い…? あぁでも電車で指入れたし、たっぷり深雪ちゃんが液垂らしてたしね…。平気でしょ」
「やぅっ…くっ…痛ぁっ…」

足がふらつく。
前の壁に手をついて、ナツに引き寄せられるがままに、腰を突き出して。
下を向くと涙がこぼれた。

「痛いの? いいよ、じゃあ、あんまり動かないからね」
そう言い、少し引き抜いては浅めのところで、ナツのが軽く出入りする。
「ぁっあっ…んっ…やっ…やぁっ…それっ…」
「んー…? なに?」
「やっっ…ぉくっ…」
「だって、痛いんでしょ」
「ぃいっ…もぉ、いい…っ」
一瞬ともなった痛みはすでに快楽にかき消されている。
いまはもう奥まで突いてかき回して欲しいだけ。

「…なっちゃぁ…はやくっ…はやくっ。奥来てよ…っ」
「どうしよう」
「っ…欲しい…っ…ぉねがい…っもぉ、無理…っ」
焦らすように、中途半端な位置をさ迷いながら、ナツは内壁を擦って。
その刺激に何度も体が震え、自分の腰が動いてしまっていた。
「しょうがないなぁ」
そう言って、奥まで突き上げられる。
「あぁあっっ」
たっぷりと突き上げられて。
大きな声をあげて。

周りなんてもう気にしていられなかった。
「んっ…ぁあっ…やぁあっっぃくっ…あっぁっあぁああっっ」


周りどころか、たぶん俺はこういうとき、ナツのことも気にしてやれてないんだと、いつもあとで思う。

ナツはあいかわらず俺とやったりしてくれるけど、後ろからばっかりな気がして。

偶然かもしれないし、やりやすいってだけかもしれないけれど、もしかしたら俺の顔を見たくないんじゃないかとか。
そういうことも考えてしまうから。
ナツがどういう表情で俺のことやってんのか、気になるけれど、見てしまうのは恐かった。