■他校■
佐渡透(1年 2年時、別の学校の雅と出会い恋人関係に)
伊集院慎之介(1年 恋人は春日悠真)
冴中響(1年 東琶と恋仲)
佐原東琶(1年 響と恋仲)

※関連作品
他校(「不器用な恋の色」)他校は、本稿より2年前の話がメインです
本校(「夢物語」)



透「えー、しちゃったんだ? 大丈夫? 響くん、初めてだったよね?」
響「な、なんとか……」
透「ちゃんと優しくしてもらった?」
響「う、うん……」
透「よかった〜。東琶、童貞だったでしょ。慣れてなさそうから……」
東琶「おい。勝手に決めつけてんじゃねぇ」
透「違った?」
東琶「……違わねぇけど。そういうお前だって童貞だろ」
透「え? 違うけど」
東琶「え……」
慎之介「そうだったんだ……」
透「なに? もしかして、入れられてばっかだと思ってた? 違うよ? 俺、結構、タチもいけちゃうっていうか。入れられる側の気持ちもわかるから、タチのときはめっちゃ丁寧だし」
響「へぇ……」
東琶「興味持ってんじゃねぇ」
透「興味くらい、持ってもいいじゃんね? いきなり束縛?」
東琶「そうじゃねぇけど! お前さぁ……」
透「わかってるって。どうせ俺が響くんヤるんじゃないか、急に心配になったんでしょ。前に東琶のことも誘ったし、疑われても仕方ないけど。結局、あんときだってやんなかったじゃん」
慎之介「そんとき、透は、どっちのつもりで……」
透「んー、そんときは受け。でも、誘ったら案外、奥手だってわかったし。いまなら俺が攻めかなー」
東琶「いまとかねぇから」
透「はいはい。響くん、なにか困ったことがあれば俺に言って? 東琶、処女だから――」
東琶「だから、決めつけてんじゃねぇ」
透「違った?」
東琶「……違わねぇけど!」
慎之介「……透かわいいし、タチのイメージなかったな」
透「かわいい俺に犯されちゃうのが好きって層がいるんだよ。俺は俺で『かわいいのに普段タチの俺が犯されちゃう』って状況、楽しんでネコやってるし」
慎之介「普段、タチだったんだね」
透「まあ、どっちでもいいし、なんだかんだ入れられる方が多くなっちゃってるかもしんないけど」
東琶「…………」
透「そんな警戒しなくても。響くんには手出さないから。あ、響くんがして欲しかったら、するよ?」
響「え……っと……」
透「慎之介は……悠真さん怒らせたくないしなぁ。やめとこうか」
慎之介「べ、別に怒らないよ。たぶん」
透「お、意外と脈あり?」
東琶「透……俺のことは、怒らせてもいいとか思ってる?」
透「怒らせるくらい煽んなきゃ動かないでしょ」
東琶「つーかお前……いま、フリーだったよな」
透「う……そうだけどなに」
東琶「いや。だから、そんな遊んでんのかもしんねぇけどさぁ……」
慎之介「フリーの方が気楽とか?」
透「それもあるけど、いまいちピンとこないっていうか。誰も俺の性癖満たしてくんないんだよねぇ」
響「性癖……?」
透「俺としてると庇護欲煽られんのか、結構みんな優しくてさ。俺は出会っていきなり拘束してくれちゃうような人がいいんだよね」
東琶「そいつ、ぜってぇやべぇやつだろ」
透「そういうやべぇこと出来ちゃうのに、優しくて常識あって頭もいいけど硬すぎない人が理想かな。あとかっこよくてHも、そこそこうまい人」
響「それは……難しそうだね」
慎之介「いたらいたで、気をつけて……」


1年後――
透「前に俺の理想、話したじゃん? 出会っていきなり拘束してくれちゃうような人がいいって」
慎之介「あと、優しくて常識あって頭もよくて硬すぎない人だっけ」
透「そう、それ! その上、かっこよくてHもそこそこうまい人ね。出会っちゃった……」
東琶「マジかよ……」
透「うちの兄貴、結構頭いい学校行ってんだけど。春休み中、その学校まで届け物しに行ったのね。そこで出会った人が、持ってたイヤホンのコードで後ろ手に拘束してくれて、そのままたくさんエロいことしてもらっちゃった……!」
東琶「ぜってぇやべぇやつじゃん」
透「でも、学校では本番までしてないし、最後までしたのは寮に移動してからだったし。常識あるよね」
響「たしかに……」
東琶「たしかに、じゃねぇだろ。気をつけろよな」
透「兄貴の同級生だから、そっからいろいろ情報収集しとく。東琶って、そういうとこ優しいんだよねー」
慎之介「あの……ちょっと聞いておきたいんだけど。その人の名前って……」
透「ん? 真辺雅だよ」
慎之介「そ、そっか……。よかった。もし、うちの兄貴だったらどうしようかと思って……」
東琶「普通、思わねぇだろ。お前の兄貴、そういう奴なん?」
慎之介「……否定できないというか」
透「えー、俺の理想じゃん」
東琶「やべぇやつだな……」