■一年後くらい
渡部浩二→英語教師(恋人、鈴)
桐生→数学教師(恋人、雪之丞)
須藤→寮の管理人(恋人、芹澤)

■居酒屋
渡部「須藤さんって、同棲してるんですよね? どういう流れでそうなったんですか?」
須藤「一応、俺から切り出しました。職場に泊まること多いんで、家にいてくれると空き巣対策にもなるなと」
渡部「なるほど……」
桐生「色気ないなー」
須藤「そんなもんですよ」


■回想
須藤「芹澤んち……来るのめんどうなんだけど……」
芹澤「あー……じゃあ、これからは俺が須藤んち行く」
須藤「……俺のベッドですんの?」
芹澤「嫌? 汚れちゃったら、俺が洗濯するよ。それとも敷くもの持参しよっか」
須藤「いいよ、いちいち……めんどいことさせるのも、なんかめんどい」
芹澤「俺は別にめんどうじゃないから。ね?」
須藤「そうじゃなくて……」
芹澤「そうじゃなくて?」
須藤「……俺んちが芹澤んちだったら、ラクなのにって……」
芹澤「うーん……え? それって……ええ?」
須藤「……やなら、いいけど。俺がめんどうじゃないだけで、芹澤はめんどうかもしんないし」
芹澤「やじゃない。いいの? え、ホントに?」
須藤「職場、結構泊ってんのに、部屋借りて空けとくのもなんかもったいないし。芹澤がいたら、まあいっかって気もするから」
芹澤「うん、うん!」
須藤「芹澤と一緒にいたくない気分のときは、職場に泊ればいいし」
芹澤「ちょ、なにその心配! まあいいけど……」
須藤「……空き巣対策とか、いろいろ、めんどうじゃなくなる気もしてる」
芹澤「うん。須藤がめんどうなこと、全部、俺がする。何して欲しい?」
須藤「……家事とか」
芹澤「オッケー」
須藤「冗談だよ。1人でやってたこと減るなら、それでいい」
芹澤「じゃあ、髪の毛、かわかしてあげる」
須藤「……ん」
芹澤「他には……どうしようかな」
須藤「……やっぱり、芹澤と一緒だと、堕落しそう」
芹澤「えー……ちょっと厳しくした方がいい?」
須藤「めんどい……」
芹澤「だよねー。じゃ、気が向いたら奉仕して?」
須藤「ん……」
芹澤「…………エッチな意味なんだけど」
須藤「だろうな」
芹澤「いいの?」
須藤「気が向いたら」
芹澤「いつ、どうしたら気ぃ向いてくれそう?」
須藤「…………芹澤が家にいたら、気向くかも」
芹澤「そっか。いる。いるからね? とりあえず、キスしていい?」
須藤「ん……お腹空いたんだけど」
芹澤「えー、かわいー。やらしい意味?」
須藤「違ぇし」
芹澤「じゃあ、照れ隠しだ」
須藤「……めんどい」
芹澤「うん、めんどいね。キスして、エッチして、その後、ご飯食べに行こ」
須藤「……中出ししないなら」
芹澤「え……じゃあ、やっぱり出前にしよ!」
須藤「中出しすんのかよ」
芹澤「だって須藤、されてもいいって気になってたじゃん。なってたよね? かわいー……」
須藤「…………」
芹澤「あれ、もしかして中出ししないなら、やってもいいって意味だった? てっきり、中出し後に外食はなんかめんどいってことかと……」
須藤「……そうだけど」
芹澤「……そう、なんだ。え、あってる?」
須藤「なんでもいい。するならするで、早くしろよ。しないなら、ご飯食べに行く」
芹澤「する。するってば。須藤、しよ?」
須藤「ん……」


■居酒屋
桐生「浩ちゃん、同棲考えてんの?」
渡部「ちょっといいなーって。鈴がもしこっちの方で大学生になったら、1人暮らしするかもしんないし」
須藤「……少しでもそういうこと考えてんなら、早く切り出した方がいいかも」
渡部「え?」
須藤「樋口さんみたいなことになりかねないし……」
渡部「樋口先生ってたしか……」
桐生「あー……恋人の家に行ったら、別の男と同棲……いや、ルームシェアしてたってやつ? 本人、マジで悪気ないんだろうけど、あれはちょっと……」
須藤「渡部さんの相手も、悪気なくしそうじゃないですか。気にならないならいいですけど」
渡部「う……たしかに、しそうかも……。早めに、考えておきます……」