■放課後■1年後設定
鳥島先生→体育教師
樋口智巳→数学教師
佐藤先生→科学教師

■化学準備室■
樋口「失礼しまーす」
佐藤「樋口先生?」
樋口「部活終わりました?」
佐藤「はい。そろそろ職員室に戻るところだったんですけど……」
樋口「その前に、佐藤先生って、鳥島先生と付き合ってるんですか」
佐藤「……なんですか、それ。生徒が噂話でもしてました?」
樋口「うーん」
佐藤「いちいちそんなの信じて確認しないでください」
樋口「いや、鳥島先生が」
佐藤「は……? あの人がそう言ったんですか? おかしくないですか?」
樋口「別におかしくは」
佐藤「おかしいです。付き合ってるとかないですから」
樋口「ちなみにどっちが受けですか」
佐藤「だから付き合ってません」
樋口「正式に付き合ってるわけじゃないけど、やる間柄とかあるじゃないですか」
佐藤「それもないです」
樋口「じゃ、鳥島先生とやるなら攻めと受け、どっちがいいですか」
佐藤「からかってます? そんなこと考えたこともないです」
樋口「いま考えよう」
佐藤「考えません」
樋口「俺はやっぱり攻めですが」
佐藤「聞いてません。なに考えてるんですか」
樋口「聞かれてないけど言いました。考えるの好きなんで」
佐藤「…………」
樋口「…………」
佐藤「あの……なんなんですか、これ」
樋口「鳥島先生と付き合ってるかどうかの確認です」
佐藤「付き合ってないです」
樋口「あと、やるならどっちがいいかの確認ですね」
佐藤「そんなの考えません」
樋口「なんで」
佐藤「なんでって……逆になんで考えるんですか。鳥島先生にも悪いです」
樋口「それは全然、悪くないです。鳥島先生の要望なんで」
佐藤「は……?」
樋口「どっちがいいですか?」
佐藤「ちょっと待ってください。そもそもあの人が付き合ってるとか言ったんでしたっけ」
樋口「いえ。そう佐藤先生が勘違いするような言い回しは俺がしましたけど」
佐藤「……からかってますね」
樋口「からかってません」
佐藤「いったいなにが本当なんですか」
樋口「鳥島先生のこと聞かれて佐藤先生が思った以上に動揺しちゃうのが真実です」
佐藤「動揺とかしてませんけど」
樋口「…………やるならどっちがいいかくらい考えてもいいじゃないですか」
佐藤「だから考えません。それが鳥島先生の要望だってのも嘘なんでしょう」
樋口「嘘は言ってませんけど。ちなみに鳥島先生が佐藤先生とやるならどっちか考えるのはアリですか」
佐藤「それはちょっと……」
樋口「嫌ですか?」
佐藤「人の思考まで制限するつもりはないですけど……」
樋口「じゃあ許可を得たので、鳥島先生に伝えてきます」
佐藤「いや……なにをどう伝えるんですか」
樋口「やるならどっちがいいか、考えてもいいって」
佐藤「妙な誤解が生まれそうなのでやめてください」
樋口「この際、誤解させた方がよくない?」
佐藤「は? なに言ってるんですか」
樋口「あ、誤解じゃなかったか」
佐藤「いや……本当になに言って……」
樋口「結構いけると思うんですけどね」
佐藤「…………」
樋口「……今日はこの後、鳥島先生と約束あるんでこの辺で。失礼しましたー」
佐藤「あ、ちょっと……! ……なんなんですか、もう」


■化学準備室前 廊下■
鳥島「あ! 智巳ちゃん! 佐藤先生、どうだった?」
樋口「結構脈ありじゃない?」
鳥島「マジか。それで攻めか受け、どっちがいいって?」
樋口「それは教えてくんなかった。鳥ちゃんに悪いから考えないとかなんとか」
鳥島「えー……かわいー。どうしよう」
樋口「鳥ちゃんが佐藤先生とやるならどっちがいいか、考える分には問題ないって」
鳥島「うーん、相手が佐藤先生なら、攻めんのも攻められんのもいいなー」
樋口「どっちにしろ鳥ちゃんがリードすることになりそうだけど」
鳥島「かもねー。そんじゃ、立ち話もなんだし、そろそろ行こっか」

■化学準備室■
佐藤(あの人たち、絶対聞こえるように準備室の前で立ち話してただろ。俺以外のやつらに聞かれたらどうすんだよ)
佐藤「……俺も困るんだけど」

■職員室前廊下■
鳥島「……聞こえてたかな」
樋口「聞こえてただろ。さすがに意識しそう」
鳥島「次会うの楽しみー。協力ありがと」