オチもなく、日常の一場を。

■放課後■1年後設定。
樋口智巳→数学教師。恋人は尋臣(昨年の卒業生)
佐藤先生→科学教師




智「佐藤先生ってやっぱ、砂糖好きなんですか」
佐「……え、からかってるんですか?」
智「うらやましがってるんです」
佐「全然そうは見えませんけど」
智「佐藤先生って、砂糖がどうしてわたあめになるかわかります?」
佐「……あの、ホントにからかってないんですね?」
智「からかってませんよ。科学担当だから聞いてるだけです」
佐「ああ、そうですか。てっきり名前かと。どうしてっていうか、砂糖が糸状になってるだけですよ」
智「糸状?」
佐「ええ。一度、溶けた物が糸状になって固まってるっていうか」
智「……ふーん。で、どうやったら糸状になるんですか」
佐「機械、見たことないですか? 遠心力で穴から溶けたザラメを飛ばしてるんですけど」
智「……穴から?」
佐「簡易的に、アルミ缶に穴あけて作れますよ」
智「アルミ缶で出来るんですか?」
佐「アルミ缶だけじゃないですけど。下から熱するためのアルコールランプ……ロウソクの方が安全ですね。回転させるために電動ドリルがあるといいんですが、電動消しゴムでも代用できます」
智「バイブでも代用できますか」
佐「出来ません」
智「…………」
佐「…………」
智「バイブも分解すれば、中の軸は同じように回転してると思うんですよね。もしかして速度足りません?」
佐「……え、回転してるんですか」
智「物によるでしょうけど、カバー部分がいわゆる空回り状態で、くねりを生み出してるといいますか」
佐「……知識偏ってますね」
智「そうでもないですよ」
佐「とりあえず、電動消しゴムにしてください」
智「電動消しゴムって、バイブの代わりになりそうですね。小学生でも買えますし」
佐「回転しちゃうのはまずいんじゃないですか。摩擦とか」
智「やっぱ、子供は電動歯ブラシが妥当ですね」
佐「あの、やっぱりからかってますよね」
智「からかってませんよ。ちょっと脱線しただけじゃないですか」
佐「……そうですか」
智「うーん。ロウソクとバイブならすぐ用意出来そうなんですけどね」
佐「いや、アルミ缶の方が、すぐ用意出来ますよね……」