オチもなく、日常の一場を。

■居酒屋にて3■1年後設定。
柊秋正→保健室の先生。恋人は宮本先生(数学教師)
桐生→数学教師。恋人は工藤雪之丞(昨年の卒業生)
渡部浩二→英語教師。恋人は風見鈴(生徒)
須藤→寮の管理人。

テーマ『お気に入りの生徒』



渡「俺のクラスなんですけど。破滅的に英語出来ないやつがいて、かわいいですね」
須「それって、イラっとしないんですか」
桐「ほら、浩ちゃんはMだから」
須「なるほど」
渡「いや、納得しないでください。高岡深敦っていうんですけど、ほぼ毎回、補充行きな上、問題解くのが遅いんで、2人で話す機会、多いんですよね」
須「その子とは、したんですか」
渡「してませんよ。俺、自分の担当には手出したくなくて」
桐「確かに。面倒だよね。にしても深敦はかわいいね」
柊「俺は少し、味見したことあるけど」
須「柊さんって、保健室に来る生徒、片っ端から味見してたりするんですか?」
柊「んー。選んではいるよ?」
桐「まあ俺は深敦より、佐渡啓吾の方がお気に入りかな」
柊「深敦くんの彼氏だっけ」
渡「接点、無いでしょ?」
桐「ま、以前、屋上でちょっと。俺と同じ匂いがしてさ」
渡「あー……。そう言われるとわからなくもないな」
須「俺も顔くらいは知ってますけど、どこら辺が同じなんですか?」
柊「ネコ体質の攻め属性」
桐「……はっきり言うねぇ」
渡「啓吾って、受けもイけんのか」
桐「あいつはイけるよ」
渡「あ、やった?」
桐「少しね」
須「……啓吾はさておき、桐生さんって、ネコ体質なんですか」
桐「まーねー」
須「二人は、知ってたんですか?」
柊「まあ、なんとなーく。わかっちゃうよね」
渡「俺は、結構、桐生から聞いてるから」
須「ふーん……同じ匂いがするから、お気に入りなんですか?」
桐「なんか、勝手にだけど親近感わいてんだよね、俺。ほっとけないっていうか」
渡「啓吾にはなにか聞いた?」
桐「いや。深くは聞いてない。けど、わかるし。俺がわかってるっての、あいつも気付いてんじゃないかな。そろそろ聞いてもいいかもしんないね」
渡「そっか。……須藤さんは、います?」
須「……まあ、凍也ですかね」
柊「凍也って、4年の真乃凍也?」
須「はい。まんじゅうをたまに凍也が持ってくんですよ」
渡「まんじゅうって、智巳先生の賄賂ですね」
須「はい。かわいいですよ。テーブルの上に置いておくと、入ってきて持ってくんで」
桐「……スズメみたいですね」
須「俺が持ってってもいいって言ったんですけどね」
柊「……もう食った?」
須「……数回」
柊「さすが須藤さん」
須「ホントは、あんまり生徒食う気ないんですけど。あの子は、やったこと公言しなさそうだし」
渡「そうですか?」
須「ああ。普段、あの子って男役でしょう。俺としてたときは、逆だったんで」
渡「つまり、須藤さんが攻めて凍也が受けると」
須「そういうことです」
渡「……凍也は、あんまり桐生と一緒って感じじゃないね」
桐「あいつは違うね。攻め寄りでたまに受けるってだけ」
渡「ふーん」
柊「けど、あいつ、すっごいかわいい声出すよね」
須「なんで知ってるんですか」
柊「さあ?」
須「……食ったんですか?」
柊「どうでしょう?」
桐「須藤さんて、ホント凍也のこと好きですね」
須「そうですね」
桐「肯定ですか」
須「肯定です」
柊「食ってませんから。安心してください」
渡「冗談だったんですか?」
柊「いやー……聞いたよ。あの子、保健室でやられてたから」
須「それは合意ですか?」
桐「すかさず食いつきますねー」
柊「合意だと思うけど」
須「……まあいいですけど。悠貴でしょう?」
柊「よくご存知で。……須藤さんがいてくれてよかったな」
渡「どういう意味ですか?」
柊「まあ、凍也も心のケアが出来たんじゃないかなと」
桐「そういうの、普段は柊が担当だもんね」
渡「俺、学年違うからあんまり凍也のことは知らないな」
桐「今度教えるよ」
渡「うん」
須「柊さんは、どうなんですか。お気に入り、いるんですか?」
柊「仲のいい生徒はたくさんいるけど、ずば抜けてってのは」
桐「ずるいね、その返し。教えてくれないの?」
柊「まあ、俺の恋人、やきもち焼いちゃうんで」
渡「宮本先生って、やきもちとか焼くんですね」 桐「柊の自惚れだろ」
柊「まあやきもちってのは冗談だけど、生徒より自分が歳取ってんのとか可愛げないだろうって気にしてくれてるみたい」
須「むしろその考えがかわいいですね」
柊「そうそう。生徒とか子供すぎて、全然恋愛対象にならないのに」
渡「……なんかすいません」
桐「……心が痛いな。それ、智巳ちゃんの前では言わない方がいいぞ」
柊「言わないよ。おもしろいから宮本先生にもいまんとこ言ってない」
桐「ホント、ずるいよな」