「はぁっ…ぁあっ、みやちゃぁんっ…」
ベッドで。
俺のこと押し倒してくれて。
「いやらしいね…」
ほら。
俺のこと、口で虐めながら、何度も何度も突き上げてくれる。
もう、おかしくなっちゃう。
「ぁあっんっ…いっちゃう…やぁっあぁああっっ」



今朝、見た夢。
あぁあ。
だってもうしばらく会ってないんだもん。
みやちゃん。

俺の彼氏。
学校が違うから、あまり会えない。
みやちゃんは寮生活だし。

俺の兄貴とおんなじ学校なんだけどね。
でも。
そろそろ限界かなぁ。
いやらしい夢まで見ちゃうくらいだし。

俺は、今日、自分の学校をサボってみやちゃんのところまで行くことにした。



みやちゃんと出会ったのは、1年前。
俺がまだ高校2年生になりたてで、みやちゃんが3年生のころ。
春休み家に帰らず寮にいた兄貴に、届け物をしに、会いに行ったときだ。

届け物は美術系の資料が中心だった。
つまり、美術室に行こうって思ってたんだけど、なぁんかなかなか見つからない。
ある程度、場所は聞いてたんだけど。
3階の南の方にあるって…。
兄貴にもう一度、電話しようかなぁと思ってたときだった。
校舎でウロついている俺に声をかけてくれたのがみやちゃんこと、真辺雅。
かっこいい人だなぁって思った。
というかね。
ウロついて困ってる俺に声かけてくれて。

嬉しかったんだよねぇ。
「佐渡優斗に会いに来たんだけど…美術室に行きたくて…」
「優斗? 知ってる。おんなじクラスだし。じゃあ、俺と行こうか」
そう言ってくれる声もかっこよかったし。
もうとにかくかっこよく見えたわけ。
いや、実際にかっこいいよ。

美術室は誰もいなかった。
…俺、確かに変な時間帯に来ちゃったしなぁ。
昼。
特に時間の約束はしてなくて、ただ今日行くよってことしか伝えてなかったし。
あとで、電話しようかなぁとか、資料はこのままここに置いてってもいいかなぁなんて考えていた。

「…ちょっと、待ってる?」
そう聞かれ、どっちでもよかったし。
俺は、この人も一緒にいてくれるのかなぁとか思ったら、待ってようかなぁって考えちゃうわけで。

頷く俺に、イスを差し出してくれて。
そこからはもう、手馴れてるっていうか。
あっという間に、手を後ろ手に縛られて。
イスに固定されて。

急な展開に、抵抗とかそういうの考えてられなくて。
ただ、ただドキドキした。
俺を見下ろして。
優しい笑顔で、それでもこんな風に俺のこと、椅子に縛り付けちゃうの。

「…優斗の恋人…?」
「…違う…けど…」
緊張しっぱなしの俺にそっとキスをしてくれる。
「抵抗してくれないと、このままやっちゃうけど…?」
このまま…やっちゃうって…。
「…いいよ…」
そう答えると、みやちゃんは、俺の服を脱がしていって。
イスに固定された俺は、すべてを見られながら、指で弄られて。
誰がいつくるかもわからない状況なのに、どきどきしっぱなしで、それがまたたまらなく気持ちよくて。

兄貴のことも忘れて、そのあと、みやちゃんの部屋で、何度も繰り返しHをした。


…それが出会い。
だから、手が早いといえば早いんだけど。
俺がいいよって言ったわけだし。
なんていうかインスピレーションみたいなものってあるでしょう?
この人ならいい…っていう…。
そんな感じ。

このときは、みやちゃん、俺が優斗兄の弟だって知らなかったんだけど。


今日は久しぶりに、来た。
来たはいいけど。

「かわいいねぇ。どうしたの? ここの生徒じゃないよね」
「迷っちゃった?」
そう声をかけてくる人たちが3人。
もー…。
まぁ、みやちゃんも、こうやって声かけてきた人たちと違いないといえばないんだけど。
「…ちょっと、人に会いに…」
「ん? お友達がいるの?」
そう言いながらも、一人が俺を壁に押し付けるようにして、空いているもう一人が俺の股間を擦り上げる。
「っあっ…ん…」
「んー…敏感なんだねぇ」
ついビクつく俺の体を楽しそうに見つめながらも、服を脱がそうとする。
…廊下なのになぁ。

「…透?」
そういう声に、目を向けると、そこには兄貴の友達。
「榛くんっ」
3人の男の間から覘き見る。
…もう一人、知らない人。
榛くんの友達かなぁ。

「…なに、湊瀬の知り合いだったの?」
「うーん…そうだけど」
「めちゃくちゃかわいいよね」
そう言いながらも手を休めないもんだから、体がどきどきしっぱなし。
「…なに、透は合意なの?」
榛くんが聞いてくれる。
「っうぅんっ、違うけど…流されそうになってて…」
って俺もなに言ってるんだろう。
でも、なんか、こう3人の人に無理やりって、なぁんかドキドキしちゃうし。
駄目だなぁとは思うんだけど。
「やめときなよ」
少し笑いながら、榛くんが3人に言ってくれる。
「えー…結構、やる気ありそうに見えるけど?」
確かに、俺、ちょっと、抵抗する気、100%じゃない感じ…。

「優斗の弟だよ」
そう言うと、3人の表情がこわばるのがわかる。
「…優斗って佐渡?」
「全然、似てねぇじゃんっ」
「似てないけど、そうなんだよねぇ」

3人は、やめとこう…という結論になったのか、そそくさと去っていく。
「大丈夫? 透」
「…大丈夫だけど…。なに? 優斗兄はなにかあるの?」
「いや、優斗って生徒会長と仲いいからさ。敵に回したくないんだろうよ。生徒会長、敵に回すと部費減らされたりいろいろあるから」
俺は、榛くんと一緒にいる人に目を向ける。
「あ、俺は榛の友達で、西院塔和奏です」
「あ…俺は、佐渡透です。優斗の弟の…」
「じゃ、優斗に会いに来たんだ?」
「…まぁ、そんな感じで…」
ホントはみやちゃんなんだけど。

「透、ごめんけど、俺らこれから移動教室でさ。ちょっと行っちゃうんだよ。4年2組、すぐそこだから」
「あ、別にいいよ。助けてくれてありがとう」
榛くんは優しいなぁ。

俺は、そこで2人とお別れ。

4年2組へと向かった。

後ろのドアから中を覗き見る。
みやちゃんを探していると、後ろから
「どうしたの…?」
そう声をかけてくれる人。
誰だろ。
背が高くて、なぁんか優等生チックな。
「…ちょっと…人を探してて…」
さっきのこともあるし、少し警戒気味に体を離してしまう。
「誰? 呼ぶけど」
「……真辺…雅…」
「うん。わかった。ちょっと待ってて?」
そう言って、教室内に入り込む。
少しすると、みやちゃんと一緒にさっきの人…ついでに優斗兄まで来た。

「みやちゃんっ」
俺は、みやちゃんに抱きついて。
「っ透っ!!」
そんな俺の上から声を被せるのは、兄貴だ。

「あれ、優斗の知り合い?」
そうさっきの人の声。
「…ほぉんと。かわいい子が雅に会いに来てるって言うから、誰かと思って見にきてみれば? 透? しかも、お前は俺より、先に雅にひっつくわけ?」
引き剥がされそう。
でも必死でくっついてると、みやちゃんが俺の頭をそっと撫でてくれる。
「…優斗の弟なんだよ」
みやちゃんの声。
さっきの人に教えてあげてるんだろう。
「…似てないな。啓吾くんと優斗はそっくりだけどね」
俺の弟の啓ちゃんもこの学校だから、知られてるんだろう。
「透は、妹とそっくりでさ。…ちなみに、啓吾より年上だから」
…よく、啓ちゃんよりも弟って間違われるんだよな…。
啓ちゃんが大人っぽいから。

「なぁ、雅っ。こいつ、ちょっとMだからって、虐めすぎんなよっ?」
「なっ…もーっ、優兄には関係ないっ」
「だって、お前、Mやんかっ? それに合わせて、虐めすぎたり、体に負担かかることは困るし」
「いーのっ。優斗兄は黙ってて。もーっ」
心配してくれてるんだろうけどさ…。

俺に追い払われるようにして、優斗兄は、はじめに声をかけてくれた人と教室内へ入っていく。

「…みやちゃん…来ちゃった」
「ん? どうした?」
「…会いたかった」
「そっか」