前、美和くんが玲衣くんにいじめられてるんだって、勘違いしたことがあった。
 俺は、自分勝手な正義感から、それを本人に指摘しちゃったんだけど。
 実際は、いじめなんてなにもなくて。
 むしろ、玲衣くんの方が、美和くんにいじめられているみたいで。
 それも恋人同士の、いわゆるプレイ的なやつ。
 お互い合意で、深刻ないじめとは全然違った。
 そう理解したのは、美和くんが、玲衣くんの手を拘束した状態でフェラさせているのを、スマホの画面越しに見てしまったから。
 そのときの玲衣くんは、すごく感じてるみたいで、悦んでいるように見えた。

 きっかけは、それだったんだと思う。
 気まずくなりそうだったけど、玲衣くんとならわかりあえる気がして、俺は、勇気を出して、いろいろと話をしてみることにした。
 おもに性的な話なんだけど。
 これまで、あまり人には相談出来なかったことを、玲衣くんは聞いてくれて。
 逆に俺も、玲衣くんから聞いた。

 その上で、俺は美和くんとも、いろいろと話をするようになったんだけど、いつしか、玲衣くんと美和くんの性癖を満たすための手伝いをする役割を担うようになっていた。


『ふぅ……くっ……んぅ、ん……!』
 ビデオ通話で、スマホ越しに喘ぐ玲衣くんを眺める。
 といっても、玲衣くんはちゃんと服を着ていて、目隠ししていた。
 イスに座っているみたいで、下半身はどうなっているのかわからない。
 ズボンを履いたままなのかもしれないし、脱いでいるのかも。
 スマホは、机に置いてるのかな。
 上半身しか映っていない。
 背後に回った美和くんが、どうやら玲衣くんのを手で擦ってあげてるらしい。
 なんで映っていないのに、わかってるかって。
 さっき、玲衣くんが言わされてたから。
『美和に、手で擦られてる』って。

『はぁっ……だめぇ……あっ……美和ぁ……ん、ん、いきそぉ……!』
『まだはじめたばっかりだけど。玲衣くん、やっぱり、言わされるの好きだよね』

『ちが……ぁあっ、あっ、ん、んぅんっ……いくぅ……』
『いいよ。でもイッたら、今日はもうおしまいね』
 やっぱり、美和くんはイジワルだ。
 でも、そんなイジワルな言葉を投げかけられて、玲衣くんが感じているのもよくわかった。
『や……ゃあ……やだ……ぁっ、んっ……まだ、する……んっ……んっ!』
『したい?』
『したぃ……ぁあっ、んっ、んんっ! あっ!』
『なにをしたいの?』
『はぁ……あっ……ん、んんっ……せっくす……んっ、する……んぅんっ!』
『言わされて、イきそうになっちゃったね。俺もしたいけど、玲衣くん、手で擦ってるだけで満足しちゃうんでしょ』
『しなぃ……はぁっ、あっ……1回……いくだけぇ……! はぁっ、あっ……まだ、いく……んっ、いく、からぁっ!』
『……じゃあ、10回くらいイかせていい?』
『はぁっ? 10回も……むり……っ』
 今日は平日だし、10回もなんて……無理だってわかってて、言ってるのかな。
『だったら、いまイくのも我慢しようか。手、止めるよ』
『ゃだっ、やっ、やぁっ……くっ、んんっ……やめんな……やっ……やだ……いく……いく、のに……』
 本当に手を止められているのか、玲衣くんの口元が悔しそうに歪んでいた。
『我慢する? それともこのまま、なにもされずにイク?』
『はぁっ……あっ……されて、いく……。手、動かして……んんっ……んっ!』
 玲衣くんの上半身が揺れる。
 たぶん、自分から腰を動かしちゃってるんだろう。
『そうやって、勝手に腰揺らしちゃうなら、手、離すよ』
『だめっ……離すの、や……擦って……美和ぁ……』
『どうしようか。さっき言ったこと、覚えてる?』
『はぁっ……ん、んっ……いく……10回、いく……はぁっ……いくからぁっ』
『……いいよ。まずは1回……イくとこ、見て貰おうか』
『んっ……ぁあっ……あっ、ああっ……見られて、る?』
『うん。見てくれてるよ。ね?』
 画面に映り込んだ美和くんが、カメラ目線で俺に尋ねる。
「う、うん。見てるよ」
 2人の行為を見ていたせいで、荒くなってしまいそうな息遣いを我慢しながら、俺はなんとかそう答えた。
『はぁっ、あっ、あっ、んぅっ……ぁあっ……ぁあんんんっ!!』


『ああ……結局、大して擦ってもいないのにイッちゃったね』
『美和がぁ……中途半端なとこで、手、とめるから……。変なタイミングで、イッちまったし』
『見られてるの、意識して感じちゃったんでしょ』
『っ……も、もういいから』


 玲衣くんは恥ずかしそうにしていたけど、図星なんだと思う。
 見られて、意識して、感じたんだろう。
『ありがとうね、静紀くん』
 美和くんが、僕にそうお礼を告げる。
「ううん。俺でよければ、全然構わないよ」
『それじゃあ、また』
「またね……」

 電話を切った後、俺は思わず自分の股間に手を伸ばした。
 いつもすぐ触れたくなっちゃうけど、電話中はなんとか我慢する。
 ちなみに、俺の方はカメラをONにしていないから、一方的に見ていた状態だ。
 たぶん、俺の顔、すごいことになっちゃってそうだし、その方がありがたい。

「くぅ……ん……!」
 すでに大きくなっている自分のを取り出すと、恥ずかしいくらいに濡れていた。
 友達の行為を見て抜くなんて。
 でも、ダメじゃないよね?
 あの2人ならいいって言ってくれる気がする。
「はぁっ、ん……んぅ……ぁっ! んんぅうっ!」
 少し擦りあげるだけで、我慢出来なくて、すぐ射精してしまう。
 自分でするときは、それなりに持つようになってきてたはずだけど。
 今日の美和くんと玲衣くんは、いつも以上にやらしかったから仕方ない。

「10回もイくのか……」
 本当かどうかわからないけど、少なくとも美和くんは、10回くらいイかせる気で、何度も何度も玲衣くんをいじめるみたいに攻めるんだろう。
「……いいな」
 目隠しは、俺に表情を見せないようにする役割もあるんだろうけど、すごく興奮出来そうだ。
 玲衣くんは、俺に見られてるかどうか、判断できていないはず。
 でも、そこはちゃんと美和くんが教えてあげるんだよね。

 見られるって、どんな感じだろう。
 俺も、篠宮先輩にされてるとこ、誰かに見られちゃったりなんかしたら、すごく興奮するのかな。
 その前に……いま、ちょっと篠宮先輩に見てもらったりなんかしたら……。
 俺はたまらず、スマホで篠宮先輩に電話をかけた。