「マジでかわいくねぇ?」
尚悟に自分の携帯の待ち受を見せて示す。
「はいはい、かわいいですねー」
「ちゃんと見ろって」
しょうがなく尚悟は俺の携帯を取り、待ち受け画面を見てくれる。
「…っつーか、静紀がかわいいのは、別に知ってるし」
そう。
俺の彼女。
静紀が待ち受けですよ。
「犯罪級のかわいさだろ」
「ウザいです、先輩」
「すっげぇ美人だし。俺、ホント彼氏でいいのかな」
「ですねー」
「うわ、肯定すんなよ」
だけど、それは本当の話なんだよな。
なんつーか。
すっごいしつこく付きまとって、やっと付き合ってもらってる感じ?

だけど口でしてもらっちゃったし。
ホント、こないだの静紀はかわいすぎた。

あれからというもの、静紀はがんばって俺をいかせようとしてくれる。
「こんのかわいい美人さんが、俺の一生懸命舐めあげてくれるのとか、信じられる?」
「信じがたいっす」
「だろー。秘密な」
「はいはい。ウザいんで一つ言っときますけど、静紀、すっげぇいろんな人に目、つけられてますよ」
 いろんな人に目?
 そりゃかわいいし。
「…しょうがないよな、それは。うん」
「前は人を寄せ付けないかわいい美人って感じだったのにさ。今、ちょっとエロいんすよね」
 エロ?
 ……そりゃ、以前は、潔癖症だってホント思ったし。
 近づかないでくださいってオーラ出まくってたよ。
 今は……。
 静紀も俺に対しては警戒心ないから……とか思ってたんだけど。
 誰の目から見てもエロく見えちゃうのか?
 なんつーか、色気が増したってやつ?
「それって、俺の影響かな。俺がかわいがってるからさ」
「はいはい。そうですね。クールビューティーだったのに、なぁんか、違うんだよな。
 篠宮先輩、ボーっとしてると、誰か他のやつに手、出されるよ」
 クスクス楽しそうに笑って尚悟は言うけれど、笑い事ではない。

 そりゃ、静紀は他のやつになんかされたら嫌がってくれるだろうし、彼氏がいるって言ってくれるかもしれないけど。
 けどなぁ。
 強引に襲われたら、抵抗できるような体でもないわけで。
「…やばいな、それは」

 毎週、金曜日には会う。
 だから、他の曜日に会うことは逆に少なかったんだけど。
 ちょーっと、静紀探してみますか。
 


 図書館しか思い浮かばないんですけど。
 それでも俺の予想は当たって、机に伏せるようにして眠る静紀が目に入った。
 
 ……あの、その隣にいる男とか気になるんですけど、ちょっと傍観。
 すっげぇ、静紀のこと見てるし。
 そりゃ、前、俺も見てたけど。
 たぶん、今でも見るけどね。

 隣からフっと、静紀の耳元に吹きかかる息。
「ン…っ」  

それに反応して、静紀が体を起こす。 
寝起きで、ちょっとボーっとしてて。
 耳に当たった息に素直に感じた表情で。
 そっと、隣のヤツを見つめる。

 そうか、俺も昔、こうやればよかった……なんて思ってる場合じゃないか。

 くすぐったかったのか、耳を押さえて。
「なんか……しました?」
「ちょっと、息吹きかけただけだけど?」
「…やめてください」

 もう、かわいすぎです、静紀さん。
 顔赤いし。
 それは反則。
 ……俺もそれで手、出しちゃったんだけど。
 なんか、エロい。
 絶対、エロいこと考えてるよな。

「悪い悪い。潔癖症なんでしょ。だから、触らないようにはしたんだけど。駄目?」
「駄目」

 静紀が答えるより先に、俺が割り込んで答えた。
「っ…せんぱ…っ」
「え、なに、急に」
「やめてくれるかな。そういうの」
 俺は、そいつの返事も聞かないで静紀の腕を取る。
「行こう?」
「っ…あ…うん。…すいません、なんか…っ」
 静紀ってば、隣のヤツにいちいち謝ってるしっ。
 俺が、おせっかいな父親みたいじゃないか。
 そりゃ、いきなり会話切って行っちゃうのは失礼だけど。
 でもさぁ。

 とりあえず図書館を出る。
「…篠宮先輩、めずらしいですね」
「あぁ、うん。静紀、あーゆうの、よくあるの?」
「…俺よく寝ちゃうんで…。からかいやすいんですかね」
 からかわてるってだけじゃないだろ、あれはっ。
「静紀は今、俺と付き合ってんだよ。ね…気をつけて。俺みたいに静紀のこと狙ってるやつ、まだまだいるんだろうし」
 ごめんなさいって、顔してくれる。
別に俺だって怒るつもりないけどっ。
静紀のせいじゃないし。

 あぁもうっ。
 ちょっと辺りを見渡すが、誰もいない。
 廊下だけど、壁に持たれかかり静紀を抱き寄せて、口を重ねた。
「んっ!!」
 びっくりした様子で、俺のシャツを握る。
 静紀の舌に自分の舌を絡めて。
足の間に、足を割り込ませて。
ズボンの上から静紀のかわいいお尻を撫でていく。
「んーっ…ンっ…ぅんっ」
 口を解放してやると、俺の胸元へと顔を埋めた。
「ぁっ…だっめっ…」
「んー? どうしたの? 静紀」
 俺は両方の手で、静紀の尻を撫でたまま、静紀が跨ぐ自分の右足を軽く動かしてやる。
ビクンと体が跳ねて、俺のシャツを引っ張った。

「んぅっ!!」
「硬いの、俺の太ももにあたってるよ…。そのまま、動かしてごらん…」
 催促するよう静紀の尻を掴み、引き寄せる。
「ぁっっ…んぅっ…」
 静紀は我慢出来ないのか、俺の背中に手を回して、太ももへと自分の股間を擦り付けるみたいに腰を揺らした。
「んっ…ぅんっっんっ」
「上手だねぇ、静紀は」
「はぁっっ…んっ…せん…ぱぁっ…ぃっちゃう…っ」
「廊下でイっちゃうの? 声、殺せる?」
「あっ…できなっ…あっ…んっ…やぁああっ!!」
 
 おっと。
 あの、もうちょっと我慢出来るかと思ったんですけど。
 まぁ、静紀が自分で腰動かしてるわけだし、俺が加減する間もないか。
 声、塞ぐ時間もなかったし。  
 
幸い、運動場のざわつきもあってか、声はかき消され……たと思っておこう。  
ほらもう、イっちゃって、トロンとした目。  
俺はそのまま静紀をおんぶして、寮の方へと向かう。

「イっちゃったね」
「……せんぱいが…廊下でいっちゃうとか、言うから…っ」
 言う以前に、廊下でしてしまったんですが。
怒ってる?
 俺が嫌味らしく羞恥心煽ったの。
「恥ずかしかった?」
「…っ…ん…」
 静紀の体がこわばるようにして俺の背中にしがみつく。
 え、なにこの反応。

 ……試してみてもいいだろうか。
「廊下で、誰来るかわかんないのに、声、すごい出ちゃったね」
「っ………ぅん……ン…っ」
 わかりやすーく、静紀の息があがる。  
 
静紀って、M属性か。  
やばい。  
別に俺、サドってほどじゃないけど、やっぱMな静紀とかかわいくてたまんないし。
 
 
 
寮に戻って。  
尚悟には悪いがまた、入れ替わりで出てってもらう。

「静紀…。図書館でなに考えてたの?」
 ベッドに座らせた静紀の前、しゃがみこんで、静紀の股間にそっと指先を触れ聞いてみる。
 静紀は、俺の指先に視線を落として、あいかわらずエロい顔してた。
「なにって…」
「息吹きかけられてさ、すっごい頬赤らめて、ボーっとしちゃってたでしょ」
「ぁっ…あれは…」
 指先だけで、ズボンの上から股間をそっと撫でると、じれったいのか静紀の腰が軽く浮いた。
「エッチなこと、考えてた?」
「そんなこと…っ…。ただ…なんか、ゾクってしてっ…」
「それって、感じたの?」
 俺も、立ち膝になって、静紀の耳元に息を吹きかけた。
「っ…んっ…!!」
 ズボンの上からそっと静紀のを掴んで、わざとらしく音をたてながら、耳へと舌を絡めた。

「んっ…あっ…ゃうっ…」
「聞こえる? 俺の舌が、静紀の耳舐めてんの。あと、ココ。すごいクチュクチュって音するね…」
 ズボンと下着の中はもうぐちゃぐちゃなんだろうな。
 一回イってしまったそのままの液と、先走りの液で。

「あっ…やっだぁっ…」
 やだって、言われたらやめちゃいたいのが、いままでの俺でしたけど。
 なんか、ホントは嫌じゃないんだろう? なんて思っちゃうわけで。
 聞いてみますか。
「なにが嫌?」
「はぁっんっ…ぐちゃぐちゃぁっ…あっ…せんぱぁっ」
「ぐちゃぐちゃで嫌なの?」
「はずかしぃ…っ」
 そっと手を止め、向かいあう。
 下から、静紀を見上げた。
「ぐちゃぐちゃで恥ずかしいとこ、見せてくれる?」
 静紀の涙を溜めた目が、少し驚いているみたいだった。
 顔が真っ赤だ。

「あ…俺…っ」
「感じてる…?」
 確認するよう、そっと触れるだけ。
 静紀のソコは脈打って、示してくれていた。
「静紀って、ホント、エッチでかわいいね。そういうところも、すごく好き」
「俺っ…ねぇ…引かない…ですか?」
 引かないかどうか、気にしてたんだ?
 いままで、隠してた?
 早漏なのも、すごい気にしてたしな。
 前の彼氏のこともあるんだろうけど。
 こういった行為に関して、少し臆病な部分があるんだと思う。  

 変な自分を晒したら相手に嫌われるんじゃないかとか?  
もう全然、大丈夫だってのに。

「引かないよ。大丈夫」
「…早いし…。すごい…変…なんです…っ」
「変?」
「恥ずかしい…のにっ…気持ちぃくて…っ」
 ポロポロと泣き出して、なんか性癖暴露してくれるんですけど。  

「引かないから。もっと、素になっていいよ」
 静紀は、そっと頷いた。
 
「じゃあ、どうして欲しい?」
「あっ…見て…」
 あえて、言わせてみせましょう。
「なにを見せてくれるんだっけ」
「っ…ぐちゃぐちゃの…っ…」
 静紀がそっと、ズボンのベルトを外し、チャックを下ろす。
 かわいいなぁ。
 下着もベタベタだし。
 その中から、静紀が自分のを取り出した。
「ホント。ぐちゃぐちゃだね、静紀…。ズボンと下着、脱ごうか」
 俺の言葉に従って、ズボンと下着を脱いでいく。
「足、ベッドに乗せてごらん」
 ベッドに膝を折りまげた状態で足を乗せ、開脚してくれて。
 エロいなー。

 やたら、じっくり見てしまう。
「ぁっ…そんなに、見ないでくださっ…」
「恥ずかしい?」
 そっと手で掴んで、軽く擦り上げていく。
「ぁっあんんっっ…恥ずかしぃっ…」
「すごい濡れてるもんね」
「ぁんっ…ぃきそぉっ…やあっ」
 静紀の腰が、俺の手に合わせて動く。
 すっげ、いやらしい。
「イクとこ、見てあげる」
「あっ…やぁあっ…いくっ…っやっっぁんっ…あっ…やぁああっっ!!!」


 大股開きだし。
静紀のイク姿ってのはホントもうたまんなかった。

 羞恥心がないわけではないようだ。
 恥ずかしくてたまらないのに、なぜか体はすごくそれがイイ…みたいなさ。

 かわいいなぁ。

「ホントに、本当に引かないんですか?」
「引かないって。むしろかわいいって思った」  

 静紀はほっとした様子。  
脱力状態で、少しボーっとしだした。

 あの。
 このまま、『寝てイイよ』って。
 言ってあげようかなぁ。
 それとも、どうにかしてもらう?

 静紀に負担かけさせたくないし。
「寝ていいよ。体、拭いてあげる」

あーあ。
俺って、静紀に弱いから。  
ついそう言っちまう。

 タオルを取りに、ベッドから立とうとする俺のシャツを静紀が引っ張る。
「…すいません…。いつも俺につき合わせてばかりで…」
 そうそう、こう言ってくれちゃう静紀がかわいいから、俺はいい人ぶっちゃうんだよなぁ。  
そりゃ出来ることなら、したいですけど?  
でも、いい。
静紀がちゃんと気にしてくれてるし。
「気にしなくていいよ。今日は金曜日でもないのにいきなり連れ出しちゃったし…。
なんか俺、怒っちゃってごめんね」
 そう俺が言っても、申し訳なさそうな顔のまま。
「静紀?」
「……図書室で、ホントは…エッチなこと、考えてたんです。だから…篠宮先輩が怒るのも、当然で…」
 …いや、俺はホント勝手に嫉妬しただけですよ。
「いつもはあんなんじゃないんですっ。普段だったら、もっとちゃんと断れるし…っ。 ……夢に篠宮先輩が出てきたから…っ」
 夢?
 ってか、俺の夢見て、エッチなこと考えたって、どういう…。
「えっと…エロい夢?」
 図星だったのか、顔下に向け、それでも『はい』と答えてくれた。

 無性に俺まで恥ずかしくなってくるし。
 で、その夢見てたところで、ちょうど隣のヤツが息吹きかけて…?

「静紀、変な寝言とか言っちゃったら困るしっ」
「っ…わかってます。あの…これからはあんまり考えないようにします。
 明日、金曜日だなって思ったまま、寝ちゃったから……」
 
 なんか、すっげぇ嬉しいし。
 俺ってかなり想われてるんじゃ。
「考えても別にいいんだけどっ。俺なんてしょっちゅうルームメイトに静紀の自慢してるし。待ち受も静紀だしっ。
ただ周りのヤツが…そういう静紀に食いつきそうで、俺としては不安ってだけだから…っ」
 静紀はそっと頷いてくれて、俺を見上げた。
 かわいすぎる。
 口を重ねると、押し倒したくてたまらなくなった。  
 
やべぇ。  
どうしよう。  
キスだけ。  
うん、そうだ。  
静紀は寝るんだから、寝転がらせるだけ…っ。

 そう自分に言い聞かせて、口を重ねたまま静紀を押し倒した。
 つい舌差し込んじゃったんだけど。
「んっ…ぅン…」
 エロい声出さないでくれますかね。
 そっと口を離して見下ろすと、やっぱりエロい顔でボーっとしちゃってるし。

「…寝ていいから…ここで、抜いていいかな」
 あぁあ、俺、最悪。
 そこにいてくれるだけでいいから…って、変質者じゃんか。

「はい…。…俺にかけて…いいですよ」
 うわ。
 かけてって…。
 いや、手でちゃんと受けるつもりだったんだけど。
「いいの…?」
「…見てていいですか?」
 ……どんな羞恥プレイだ。
 でも静紀が見ててくれるって、すごい燃えるかもしんない。


 結局、シャツの前を開いてくれる静紀に、かけちゃったりして。
 静紀自身のと、俺のとで汚れた静紀がエロいんですけど。

 もうタオルで拭くってレベルじゃない。
 風呂入るか…。

「静紀、風呂入ろうか」
「はい」
 あぁもうかわいいなぁ。
 ぐったりする静紀を抱き上げて風呂場まで。

 ってか、汚してすいません。
 しかも、それ見てエロかわいいとか。

 だってしょうがない。
「静紀をこうしていいのは俺だけだよね?」
 ずうずうしいけど、確認したくてそう聞いちまう。

「はい。篠宮先輩も…他の人の前でしないでくれますか」
 いや、俺、別に誰の前でもヌきたくなる変態じゃありませんから。  

 でも静紀もそんな風に思ってくれてるんだ?  
嬉しいな。
「しないよ。静紀にしか見せないから」
 あ、今後また見せようとか思ってるわけでもないんだけど。  

 嬉しそうに頷いてくれる静紀がかわいくて。  
この笑顔さえもひとりじめしちゃいたいくらい。  
 
心配だな。  
しょうがない。
襲われないよう、しつこく守りますか。