「桐生先生に教えて貰ったんだよね。亀頭を擦ってあげると、男でも潮吹き出来るって」
 鈴に中で出されて、俺もドライでイって。
 落ち着くかと思ったのに。
 鈴はキラキラした瞳でこちらを見つめてきた。

 俺はソファの上で淫らに足を開いたまま。
 鈴はというと、俺の性器を左手で持ちながら、右手の指先で亀頭を優しく撫でていた。
「はぁ……ん……ん……潮吹きって……」
「うん、したことある?」
 舌なめずりをして、オスっぽい表情を見せるもんだから、それだけで体がゾクゾクしてしまう。
「ん……したこと……ない」
「してみていい?」
 少し怖いし不安だし、気持ちいいのか、そもそも出来るのかすらわからない。
「……鈴は、したいの?」
「うん。浩二も、さっきめちゃくちゃにしてって言ってたよね」
「そ……そうだけど……」
「ごめん。不安そうにしてる浩二もかわいくてたまんない」
 これまで何度も、鈴をかわいいと思ってきた。
 ただ、欲情した鈴の顔はすごくかっこいい。
 体がまた熱くなっていく。
「ん……優しく、してくれる?」
「うん。イヤだったら言って」
 鈴は優しい。
 嫌がったら、ちゃんとやめてくれる。
 だからこそ、嫌がっちゃいけない気もしている。
 俺は頷いて、鈴の手元に視線を落とした。

「本当に、かわいいな……浩二は……」
 鈴の指が、ゆっくりと亀頭に円を描く。
 カウパーでぬるついてくると、今度は手の平を使って擦られる。
 いままでは加減していたとばかりに、少し強めに。
「ああっ、ん……ん……はぁっ……あっ!」
「どんな感じ?」
「あぅっ……ん……きもち、い……あんっ……はぁっ……いい、けど……」
「けど?」
 亀頭ばかりを撫でられて、射精とは違う感覚が押し寄せてくる。
「ん……んぅ……いきそ……はぁっ……ぁあっ!」
「え、またイきそうなの?」
 鈴が俺の顔を覗き込む。
 恥ずかしいのに、目を逸らすことが出来ない。
 ただ、じんわりと涙で視界が歪んでいく。
「はぁ……んっ、んっ……鈴……あっ……いく……あんっ……あぁあっ!!!」
 ビクビクと体が震えて、また絶頂を迎える。
 ただし射精はしていない。
 さっきドライでイったこともあって、簡単にメスイキ出来るようになっているのかもしれない。
 気持ちいいのが持続して、頭がふわふわする。
「はぁ……ふぁ……あ……はぁ……」
「浩二……すっごい蕩けた顔してる。かわいい」
 脱力状態でぼんやりしていると、イった直後、少しだけ手を止めてくれていた鈴が、また手の平を動かし出す。
「ひぁ……っ! あっ、ああっ……あっ!?」
 たくさん溢れるカウパーが飛び散りそうなほど、先端を激しく擦られて、体が勝手に跳ねあがる。
「あんっ!! あっ……鈴っ、あっ……ああっ! やうっ!」
「ぴちゃぴちゃいってるね。でも、潮吹きってもっとちゃんと出るんだよね?」
 潮吹きの知識なんて俺にはないし、いまここに聞ける人がいるわけでもない。
「わかんな……あっ……やぁっ……ぁんっ……あぁっ!」
「すごい……体ビクビクしてる」
「あぁっ……あっ、あっ、あぁああっ!」
 わけがわからないまま、鈴に亀頭を擦られ続ける。
 すると、先端からぴゅうっとなにかが吹き出した。
「あっ……浩二、これって……」
「んぅっ……やぁっ……だめっ……ああっ……ひぁっ!」
 鈴は手を緩めてくれているみたいだけど、いまはもう些細な刺激で過敏に反応してしまう。
 指先が亀頭の上を少し行き来するだけで、続けざまにまた潮が吹き出てきた。
「ああっ! やぁうっ! あっ、あっ……だめっ……あうっ……とまんなぃ……鈴っ……あんっ……だめ……!」
「かわいい……びちゃびちゃになっちゃったね。まだ出そうだよ? ほら……!」
「ああんっ!!! やだっ……やぁっ! 出るっ……も、だめ……だめだってばぁ……!」
「こんなにかわいいのに……ね、少し味見していい?」
 味見?
 いったいこの子はなにを言ってるんだろう。
 俺の疑問は、すぐに解決することになる。
 再度、亀頭を擦りながらそこに顔を近づける鈴。
「だめ……鈴……! ああっ……あっ……とまんない、からぁっ!」
「うん、いいよ……たくさん出して」
「ひゃうっ……ああっ……ひぁっ、出っ……あぁあああっ!」
 これまで以上に勢いよく潮が吹き出た瞬間、鈴はそこから手を放す。
 直後、亀頭にキスをしたかと思うと、鈴はちゅうっと音を立てながらそこを吸いあげた。
「やぁあっ、ああっ……だめ……鈴……あっ……あっ、出ちゃってる……!」
「ん……んく……んぅ……ん……」
 もしかして、飲んだんだろうか。
 確認しなくてもだいたいわかる。
 わかるだけに、聞くのが怖い。
 俺は羞恥に耐えながら、ゆっくりと顔をあげる鈴の表情を窺った。
「ん……はぁ……。えへへ、飲んじゃった」
「ん……だめ、だよ……そんなの飲んじゃ……」
「いやだった?」
 当然、飲んで欲しかったわけじゃない。
 けど、ここまでしてくれたことに関しては、やっぱり嬉しかったりする。
「鈴は、いやじゃない?」
「もちろん、やじゃないよ。浩二はこれまでいろんな人とエッチしてるだろうけど、こういうのは初めてなんでしょ」
 恋人とするセックスと、そうでない人とするセックスは別ものだって思ってる。
 でも、それは俺が勝手に思ってることで、鈴としては、自分だけのなにかが欲しかったのかもしれない。
「こんなの……鈴しかしないよ」
「気持ちよかった?」
 気持ちいい。
 気持ちよかった。
 けど、今度こそ変態だって思われるかもしれない。
 かといって、鈴がしてくれたことだし、気持ちよくなかったとも言いたくない。
「……気持ちよかった」
 結局、俺は素直になることにした。
「よかった」
「一応、言っておくけど、潮吹きしたこと、誰にも言うなよ?」
「桐生先生が教えてくれたんだけど、桐生先生にも言わない方がいいの?」
「まあ、桐生だけならいいけど。他の人には、秘密だからな。俺が……こんな変態だってこと」
 鈴は、きょとんとした顔で首をかしげる。
「浩二、変態なの?」
「だって……乳首とか好きだし、潮吹きで気持ちよくなっちゃったりしてるし」
「それって変態なの? 浩二が気持ちいいこと好きなだけでしょ」
 鈴は、少し普通じゃない。
 前々からそう思っていた。
 そもそも俺と付き合えてるわけだし。
 最初は、合わせてくれているだけかと思っていたけど、本当に大丈夫なんだって、実感しつつある。
 なにをしても鈴に愛でてもらえるような気がして、無性に甘えたくなった。
「ん……鈴……」
「なに?」
 自分でもみっともないくらい甘えた声を出していると理解する。
 恥ずかしいけど、もう止められそうにない。
「もっと……もっと俺のこと、かわいがって……」
「うん。どうされたい?」
「たくさん……舐められたい……」
「うん。射精も潮吹きも、俺の口の中で、たくさんしていいからね」
 そう言うと、鈴はぐちゃぐちゃの性器をまた口に含んでくれるのだった。