鈴が修学旅行へ行ってしまった。

別にね。

3日くらいどうってことない。
それくらい会わないなんてこと、普通にあるし。
でも、いざ会えない距離まで離れてしまうと妙に寂しく感じてしまう。

携帯にはこないだ撮られた俺と鈴との行為。
なんかもう俺、いやらしいな…。

でも、鈴が俺の言うようにしてくれて。
それはすごく嬉しくてたまらなくて。

無性に鈴とやりたくなった。
欲求不満なわけじゃない。
鈴と。
他の誰かじゃ満たされそうにない。

一人Hなんて久しぶりだ。
自分のモノを擦り上げ、鈴が入れてくれた留守電を再生した。

なんてことない。
修学旅行先に到着したよーって連絡。
メールでいいのに。

「ぁっ…んっ…!」
鈴の声が好き。
かわいくて、俺のこと求めてくれて。
もっと聞きたい。
23時…。
消灯時間過ぎてるよね。
俺、教師失格だ。

それでも、鈴に電話してしまう。

『浩二…? どうしたの?』
「ごめん、鈴…。もう寝る時間だよね」
『うーん。一応そうなってるけど、誰も寝てないよ』
そう…だよな。
鈴のその声が聞けるだけで、充分だ。
「どう? 桐生先生もそっちにいるんだろ?」
『うん。ゲームしたよ。いろいろしゃべったし。自由時間、ちょっと一緒に回ったんだ。明日の朝には帰っちゃうみたいなんだけど。残念だよ』
かわいいなぁ。
桐生とホント、仲良しなんだな。
「そっかぁ。あ、そっち晴れてるみたいでよかったね」
『うん。……ね、浩二、したいの?』
「っ……」
なんで。
俺、普通にしゃべってるのに。
『俺、浩二のこと縛りたくないから、欲求不満だったらいいんだよ?』
「うん……」
今日は鈴がいいんだけど。
「…ちょっと、鈴の声が聞きたくなったんだ」
『はは。ありがとー』
「鈴、残りの修学旅行もしっかり楽しんで来て」
『うん』

かわいいなぁ。
でも、さりげに俺がやりたがってるって、バレてるんだよな。
俺の声色一つで、そういうのわかってくれて。

俺はまた、一人Hを再開するも、なんかもうじれったい。
…イけそうにないなぁ。

今、声で攻めてもらえばよかった?
でもさすがにさ。みんないるだろうし。
そんな風に求めちゃうってのもねぇ。


消化不良のまま諦めて、寝ることにした。



「浩ちゃん、今日の仕事後、空いてる?」
翌日の昼休み。
修学旅行から先に帰ってきた桐生に声をかけられる。
鈴のこととかいろいろ聞きたいなぁ。

「空いてるけど」
「じゃ、うち来れる?」
唐突だな。
「いいけど……」
やっちゃいそうだな、このパターン。
少し迷う俺を見てか、
「鈴が、心配してたよ。浩ちゃんのこと。お土産預かったから」
そう教えてくれた。

お土産?
明日でもいいのに、俺が電話なんてしたから、桐生に預けてくれたのか。
嬉しい。

午後の授業は、鈴のことばかり考えてしまう。
あーあ。
自分で言うのもなんだけど、なんか初々しいっていうか。
ホント、今、鈴のことしか頭にないや。

仕事も終わり、桐生の家を訪ねた。
「桐生んち、久しぶりだ」
「だね。……どう? 修学旅行に彼女が行っちゃって、寂しい?」
「…たった3日なのに、なんかものすごく離れた気分になるよ」
素直に桐生に告げると、俺の頭を軽く撫でて、ベッドへと座らせた。

「1日目にね。ちょっとだけ鈴と大人のお店に行っちゃった」
にっこり笑って、俺の前にバイブを見せつける。
「……高校生、そんなとこ連れてったんだ?」
「まぁまぁ。鈴が、浩ちゃんにって買ったんだけど。浩ちゃんが寂しそうだから、早く渡してってさ。電話でもした?」
しましたよ。
ったく、恥ずかしい……けど、鈴が俺のために早めにお土産を桐生に渡してたとか、嬉しいし。
顔が熱くなる。

「…浩ちゃんの相手してあげてって、言われてるんだけど?」
…ホント、鈴って桐生に対してすっごい信頼してるよなぁ。

「どうする?」
「っ…どうするって…」
「鈴に頼まれてるし。コレ入れようか」

鈴が…。
沈黙は答えみたいなもんだ。
ベッドに押し倒され、上から見下ろされる。

さすが、桐生はやっぱり美人だなってこういうとき思う。
ものすごくモテててたみたいだし。

「鈴、浩ちゃんに合うのどれだろって、真剣に選んでたよ。俺も少し助言とかはしたけど」
こういうことに真剣になっちゃうのがまたかわいいんだよなぁ。
桐生からバイブを受け取り、確認する。
少し捩じれたバイブ。

「浩ちゃん、入れやすいよう舐めといてくれる?」
「……う…ん…」
鈴が、これを。
そう思うだけで、熱くて。
そっと舌を這わす。
なにこれ、変な気分。

桐生は、俺のズボンに手をかけ、ゆっくりと脱がしていく。
すでに勃ち上がってしまっている俺のモノに指が絡んだ。
「浩ちゃん…もうすごいおっきくなってるね…」
「っ…ぅんっ…ん…っ」
捩じれたバイブを口の中へと押し込んで、たっぷりと唾液を絡めていくとなんだかものすごくエロいことしてるみたいな気分になった。
いや、実際してるんだけど…っ。
「んっ…ぅんっ…」
ときたま口から出して、根元の方まで濡らしていく姿を見てか、
「ね…いつもそんな風に鈴の舐めてんの…?」
そう聞かれてしまう。
鈴の。
やばい、意識する。
「…っ…違…」
「そ? 浩ちゃん、すっごいやらしい顔してるね」
恥ずかしいけれど、桐生の言葉を無視していると、カシャって。
「っ!!??」
目を向けると、携帯が俺の方に向けられてて。
写真…撮られた?
「ほら、やっぱ実際使ってんの写真撮って、鈴にメール送った方がいいかなって」
…確かに、実際ちゃんと使ったよーってのは、示したいけどっ。
でも、こんなのはちょっと…っ。

思わぬ行動に戸惑って、なにも言えないでいると足を折りたたまれ、大きく開かされる。
露わになった秘部へと桐生の指先が這った。
「っあ…」
「ヒクついてきてるよ。欲しそう」
欲しい。
桐生は俺の手からバイブを受け取り、入口へと押し当てる。
「っ…まだ…っ!」
「ん…指で慣らして拡げて欲しい?」
んなこと言えるかよ。
「っそうじゃ…ないけどっ」
「じゃあ、入れよう? たっぷりバイブ濡れてるし。入るだろ?」
ゆっくりとソコへ挿入していく。
「ぁああっ!! んっ…くっ…」
助けるように、入り口付近を桐生が舐めて唾液を足してくれる。

「ひぅっ…んっ…ンっ…んーっ…!」
「気持ちいい…? どんどん入ってくね」
「ぁあっ…んっ…キツっ…やっぁっ……っ」
こんな太いの、いきなり入れられたら、おかしくなる。
「キツい? でもすごい、浩ちゃんのココ、柔らかそう…。こないだ鈴とやったばっかだから?」
奥まで入り込んでしまうと一旦、手を止められる。

「もっかい、撮っとくね」
「っ…やっだ…、それっ…」
「どうして? 咥えこんでんの、ちゃんと撮っとこ…?」
撮られてる。
…そりゃ、こないだ動画とか撮られてるからそれよりはマシかもしんないけど。
なんか、あのときよりもちゃんと、いい角度から撮られちゃってるような。

恥ずかしい。
つい顔を腕で隠したときだった。
唐突に、桐生がバイブのスイッチをオンにする。
「ひぁあっ!? ぁあっあっんっ…だめっっ…」
「んー…早いよ。いっちゃいそう?」
「はぁっんっ…ぅンっ…あっ…ぁあっ」
 イきそう。
 ほら、昨日イき損ねてるし。
 自分でも早いと思う。
 こんな早く桐生の前で……そう思うのに止められそうにない。

「やぁっん、鈴っ…あぁああっ!」

今、実際ここに鈴がいるというわけでもないのに。
つい鈴の名前を出してイってしまったのがものすごく恥ずかしかった。

桐生が振動を止めてくれ、脱力感に見舞われる。

ちょっと動かされただけで、こんなに早くイっちゃうなんて…。

イクとことか、写真、撮られたんだろうか。
頭ん中いっぱいいっぱいで、気にしてられなかった。


寝転がったまま自分でバイブを引き抜きかけると、ねじれた部分が敏感な箇所を擦って、ゾクっとした。
「あ……っ」
腰がくねる。
抜きかけたバイブをつい、また挿しこんでしまう。
内壁が気持ちよくて、手と腰がとまらなくなった。
桐生がそこにいるってのに。
何度も抜き差ししてしまう。
「ぁっあっ…んっ!!…んぅっ」
「気持ちイイ…?」
「やっだ…っもぉ、見んな…っ」
「はいはい。浩ちゃんは恥ずかしいの苦手だもんね。ちゃんと手伝ってあげるから」
 そう言うと、桐生がバイブを掴み、俺の代わりに出し入れしてくれる。
「ぁあっ! んーっ…きりゅ…っぁっんっ…ぁんんっ!」
「んー…振動よりピストンの方が好きなんだ?」
 ベッドを踏みしめ、桐生の手の動きに合わせるように自ら腰を振ってしまう。
 気持ちいい。  

「あっ…もっと…っ、ぁああっ…鈴…っ」
「俺の顔、見えない方がイイでしょ」
そう言った桐生は、俺の体を起こして、抱きしめる。
俺は桐生に跨りながらも背中に手を回した。
桐生はまた、バイブで俺の中をじっくりとかき回したり、何度も音が立つくらいに抜き差ししてくれる。
「はぁっぁんっ! ぃく…っあっ…俺またっ…ぁあっ…んーーーっ!!!」
今度は、イってしまうと直後、桐生がすぐさまバイブを引き抜いてくれていた。

こんな立て続けに2回も。
恥ずかしさよりも今は脱力感に見舞われる。
そのまま、ベッドへと寝転がった。

「桐生……するの?」
「いや、しないでおこうかな」
「俺が、2度もイったから?」
 桐生は少しだけ考え込んで、そっと俺の頭を撫でた。
「今の浩ちゃんってさ。イけたけどまだ物足りないって顔してんだよね。でも、俺とやったあとでもたぶん、おんなじ顔されそうで」
 確かに、なんだかまだ満たされない気分。
 鈴がくれたバイブも、ものすごく嬉しいんだけれど、たぶん、鈴じゃないと…。
「…桐生には、ただ付き合わせちゃっただけになるね」
「元々そのつもりだったし。いいよ。あと1日、がんばって我慢して、これで遊んでなよ」
 鈴…。
 鈴が、バイブを選ぶ姿が目に浮かぶ。

「…会いたいよ」
「浩ちゃん、結構、マジで好きなんだね」
「……そうみたい。向こうから好きって言ってくれて、付き合いだしたけど。失うのがすごく怖いよ」
「…大丈夫だろ。鈴もすごく浩ちゃんのこと考えてたし」
「……うん。でもまだ、甘えきれなかったりすんだよな」
「どういうこと?」
「追うより追われたいって感じかな。あと……やっぱ年下だし」  
 
桐生は、俺の体を寝転がらせて、シャツの上からそっと胸元を撫でた。
「年下に甘えるのって、恥ずかしい?」
「……恥ずかしいよ。だいぶ下だし。まだ若いから、俺があんまりにも変なこと求めちゃったら、ひかないかなって思う」
「好きな人に甘えられたいって気持ちは、若くても充分あると思うよ。歳は関係ないって。素直に、ココも弄ってって言えば?」  
……お見通しか。
「……恥ずかしいだろ。胸弄って欲しいとか」
「じゃあ、俺が伝えちゃおうか?」
「いいよ、それはっ」
 なんで、桐生を仲介人にするんだって話だし。
 それでも、うっかり鈴だったら気にせず受け入れてくれちゃいそうなんだけど。

「…甘えてみようかな」
「そうしな」  
一応、俺たちのこと考えてくれてるんだろうな、桐生も。  

「ありがとう…。頼むから、次は絶対に、居合わせないでくれるかな……」
「あぁ、マジで甘える気だね、それ。わかったよ」  
にっこり笑って、頷いてくれる。

 次こそは二人きりで…。
 あらためて甘えるってなると妙に恥ずかしいんだけど。  

鈴のこと。  
俺はどうしようもなく本気で好きみたい。