『浩二? 今、どこにいる?』
電話でそう俺に聞くのは恋人の鈴だ。
「あぁ。いまから職員室に教材置いて…それから部室に顔だそうかと」
『部室? 英会話部だっけ? 今日はさぁ、俺と会ってよ』

珍しいな。
鈴がこうわがままを言うのは。
「わかった。じゃあ、ちょっと待ってろよ? すぐ寮に行くから」
『いいよ。俺が行く。じゃあね』
じゃあね…って。
そう携帯を切られてしまうけれど。
どこに来てくれるつもりなんだろう。
とりあえず、俺は職員室に行き、その帰りに部室の前をうろついていた。

たぶん、ここに来るんだろうなと。
そう思ったとおり、鈴が駆け寄ってくる。

「鈴」
「ねぇねぇねぇ、浩二―っ。明日から修学旅行だよ。少しだけ会えなくなるよ?」
 そういうことか。
俺らは二人で歩きながら、なんとなく近くにあった自分が担任をしている教室、1年4組へと入った。
夕方だということもあり、もう生徒は残っていない。


「修学旅行ねぇ…」
「だから、いい?」
「え…?」
「浩二と、したい」

唐突ですね、この子は。
そうやって上目遣いされるとあいかわらずかわいいんだけど。

「…あのさ。いいんだけど、そのつもりならなおさら、寮に俺が行った方がよかったんじゃ…」
「なんで?」
いや、なんでって言われても…。
「人目とか…あるし」
「えへへ♪ どきどきしちゃうね」
 あ、こいつって、もしかしてそういうの好きなわけ?
 ただ、天然であんまり周り気にせずにいるだけの子かと思ってたのに。

「っ俺はっ…その」
「どきどきするの、嫌い?」
 そういう聞かれ方するとなぁ。
「嫌いじゃ…ないけど…」
 俺って、押しに弱いんだよな…。
 窓を背にした俺へと、鈴が口を重ねてくれる。
 かわいいから、拒めないし。

 口を離した鈴は、俺のズボンに手をかける。
「っ…鈴…っ…」
「いや?」
「嫌じゃ…ないんだけど…」
チャックを下ろされて、俺のを取り出した鈴は、しゃがみ、目の高さに合わせてジっと見つめる。
「んっ…」
「…ねぇ、今、ピクってなったよ。見られると意識しちゃう…? おっきくなってるし」
恥ずかしいことをあっさり言いながら、指先がそっと俺のに触れる。
「っ…」
「舐めていい…?」
下から、ジっと見上げてそう問われ、恥ずかしさから顔が熱くなった。
「ん…」

俺が頷くのを確認してから、鈴がゆっくりと舌を這わしていく。
「んっ…ぅんっ…あっ…」

だからほんと、こんなところでやばいのに。
しゃがみこんで丁寧に舐めあげられて、体が大きくビクついた。
「んっ…鈴っ…」
「ん…? 先、進んでいい?」
ここでは止めようとか言いにくいしな。

「っ誰か…来るかも…」
「大丈夫だよ」
なんの根拠があるんだか。
それでも、鈴は舐めあげた指先をゆっくり押し込んでいく。
「あっ…んっんーっ!!」
なんだかんだで久しぶりの行為。
鈴とはまだ2回目だ。

大好きな相手。
下から見上げられ、表情を伺われると恥ずかしくてたまらない。
指先が、中のイイ所を探っていく。
「あっ…あっ…鈴っ…」
「どうしたの…? 浩二…」
「やっ…っそこ…あっ…やめっ…」
「どうして?」
前立腺、そんな風に直接突かれたら、感じすぎるって…。
「んーっ!!…やっ…あっ…くんっ…」
手で口を押さえるが息苦しい。
「んっ…ぅんっ…やっ…んぅんっ」

鈴が空いている左手で俺のモノにまで刺激を与えるもんだから、もう口なんて押さえてられない。
「だめっ…鈴っ…ぁっ…おねが…っあっ…やめっ…」
「どうして? 嫌?」
「っんっ…違っ…ぁっ…だめ、鈴っ…もぉっ…やっ…ぁあっ」

鈴は、一旦、指の動きを止め俺を見る。
「ねぇ、嫌なの?」
「違………」
「じゃあ、なに?」
指なんかじゃ物足りないくらいになってしまっている。
こんなとこで、するべきじゃないってわかっているのに。
「…もぉ……」
体が熱くて、恥ずかしくて。
「なに?」
「欲しい…」
それでもそう告げると、俺の背後に鈴は回りこむ。
机に手をついて、がっつりズボンと下着を下ろされてしまう。

ゆっくりと鈴のが押し入れられる。
「あっぁああっ…」

駄目だ。
こんな声、出しちゃ駄目だって。
でも、無理に決まってるし。

鈴のが小刻みに動いて中を突くもんだから、俺もズボンから足を抜き、誘うように開いてしまう。

教室だっての、忘れちまう。
相手が生徒だってのも、こんな年下だってのも。
全部忘れて欲しがってしまう。
ただ、大好きな鈴ってことだけ。
それだけが確実に理解出来る。
「ぁっあっ…んぅっ…鈴…っあぁあっ…」
腕に力が入らない。
上半身を支えているのが辛くって、俺は机へとしがみついた。
「んーっ…あっそこぉっ…あっっ…ぁんっぃいっ…鈴っ…あっっ…んっもっとっ…っっ」

いやらしく腰を突き出して、求めるように動いてしまうのも自分で理解できた。
「浩二…かわいいね…」
熱っぽい鈴の声が、俺の体をより一層熱くさせる。
駄目だ、もう。
おかしくなってる。
「やっあっ…ぃくっ…鈴っ…もぉっ…あっやっあぁあああっっ」

鈴のが中に流れ込む。
自分もイってしまって、なんにも考えられなくなっていた。
大きな声をあげてしまったのも、恥らうべきだろうけれど、なんかもう今だけはどうでもいいとか思ってしまう。

「浩二…気持ちよかった…?」
「ん…」
「ねぇ、俺がいない間、浩二は他の人とするの?」

3日か…。
今日やったしな。
「しないよ」
「…少し間があった」
「そんなことないよ」
「…そぉ? まぁいいや。桐生先生、撮れた?」

桐生先生って。
え…?

「うん、ばっちり」
そう言うと、教卓の中から、桐生が。
「え…な、いつからっ?」
「うーん。結構前から、待ってたんだけど」

教室内、見渡したけど、まさか、こんな中に人が隠れてるとは思わなかったし。

というか、この教室にさりげなく誘導されてた?
「ちょっ…撮れたって…なに…」
「はい、送りまーす」
妙にハイテンションな桐生がそう言った直後、鈴の携帯の着メロが鳴り響く。
「はい、受信しましたぁ♪」
…鈴って、桐生と一緒のときテンション結構高いよな…。

鈴が携帯を弄って、俺に見せたのは、まさに今、俺らがやってた行為の動画。
「な……」
「浩ちゃんにも、送ったよ?」
そう桐生に言われ、自分の携帯を取り出す。
サイレントモードのままの携帯を確認すると、受信した動画メール。
音なしで確認してみるが、結構ばっちり映ってる。
「こんなん、消せよっ」
桐生にそう突っかかるが、
「駄目だった?」
後ろから、鈴の声。
振り返ると、心配そうに見上げてくれる。
「いや……駄目じゃないんだけど…」
「しばらく会えなくなるから。浩二、俺以外の人としないんでしょ? 一人でするときに見ればいいでしょ?」
というか、自分のやられてる姿見てどうするんですか?
鈴はいいかもしれないけれどっ。
「でも、桐生先生に頼むことじゃないだろ?」
「…桐生先生は、前にも見てくれてたし。他の人がよかった? 俺、消した方がいい?」
「いや……」
というか、他の人とか、それも駄目なんだけれど。
「なぁ、鈴。とりあえず、桐生先生がこれ持ってるのは、おかしいだろ? 俺は、桐生に消せって言っただけだから。な? 鈴はいいよ?」
笑顔でそう告げ、桐生から携帯を奪い取りさっそく削除。
桐生は、残念〜と、それでも楽しそうだった。

ったく…。

「よかった」
鈴は、にっこり笑ってくれる。
本当にね、その笑顔とか、不安そうな顔とか。
なんかもう、鈴に弱くて、変なことでも、つい受け入れてしまう。
駄目だな、俺。

鈴が好きすぎる。
こんな動画、とっとと消そうって思うんだけれど、どうも消し留まってしまう自分がいた。