恥ずかしさが最高潮に達すると、どう抵抗していいのかわからなくなる。  

 寝転がらされ、ズボンと下着を引き抜かれていく。
柊先生が俺のソコを見下ろしているのがチラっと確認出来た。
「いつも、見てますし。もう平気でしょう?」
「っ……でも」
 服着たままイっちゃって。
 ぐちゃぐちゃで。
 いつもとは違う。
 そう口に出しては言えないけれど、見上げると通じたみたい。
「いつもより、いやらしいですけどね」
 にっこり笑って、俺の頬を撫でられる。

 ああ、俺いやらしいかも。
「あの……もう口に出して言うのは……」
「駄目? 口に出すとすごく動揺してくれる」
 ああ、やっぱりわざとですか。

「……ね、芳春。どうしてそんなに恥ずかしがるの?」
 どうしてって。
 指先が示すように、イってしまってベトつく俺のからぬめりを取って、後ろの入り口をトンっと突いた。
「んっ……こんなの……っ」
「酔えてないの?」
「あ……」
 そうだ。
俺、酔った勢いで柊先生の口でしようと思って。
でも、酔いすぎちゃまずいから、適度にって。
こんなに恥ずかしいなら、ちゃんと酔ってしまえばよかったか。
いや、それだと口ですることも忘れてしまいそう。

 ……ちゃんと酔えてないって、柊先生にばれたら、いきなり自分から口でしたとか恥ずかしすぎるよな。
「っ……酔ってます……」
 ああ、口からでまかせ。
 だって、酔ったフリするしか……っ。
「そう? じゃあそこまで恥ずかしくないでしょう? こないだ酔ったとき、理性もなにもかも無くして、乱れまくってましたもんね」
 そんな乱れまくったとか。
 記憶にはあまりないんですけど。

 ゆるゆると入り口を行き来する指先。
 まるで催促してるみたい。  

 ぬるぬるしてるのは、俺のせいだよな。
 俺が出したモノのせいで……。
「ぁっ……っ」
「入り口、撫でてるだけで感じる?」
 目を向けると、視界がぼやけていた。
 涙で目が潤む。
「はぁっ……もう……こんなっ」
「なにがですか?」
 焦らされてる。
 この人、わかってるくせに。
 俺がすごく今、欲しいって。
 絶対、わかっててやってる。

「酔うとなんでも言ってくれますもんね。して欲しいことは全部言って……」
「そんな……っ」
「それとも、焦らされるの好きだった? 腰動かしていやらしく体で誘ってくれるの?」
 だって、そんな風に焦らされたら。
 腰動くし。

「そうだ。こないだしたみたいにまた、痛いことしましょうか」
 涙でぼやけるけれど、柊先生がにっこりと俺に笑いかけているように見えた。

 痛いこと。
 痛いことって?
「な…に」
「痛いこと」
 柊先生の手が、すっと離れてく。
 なに。
「あのっ! なに……するんですかっ」
「さあ?」
 さあって。
「っ……痛いのは、や……めてくださ……っ」
「……ちゃんと言えましたね」
 あ。して欲しいこと言ってって言われたけど。
逆に、して欲しくないことも言えば、聞いてくれるのか。
いや、そうとも限らないよなこの人。

「とりあえず、ローターいれますか」
「とりあえずって!」
 ああ、酔ってるわりには冷静なツッコミをいれてしまった。
「痛くないですし。いいでしょう?」
 痛いよりはそりゃ……。

「なにか、してくれるつもりだったんじゃないんですか」
 そうだ。
 一応そうなんだ。
 なんだかんだで、全然口でも出来てないし。
 ちょっと舐めただけだし。

「ね……。足、開いて」
「っ……でも」
「痛くしますよ?」
 それは……困るし。
 
 寝転がったまま、少し膝を立て、そっと足を開く。
 恥ずかしい。
「もう少し、膝立てて」
「っ……俺っ……」
「なに?」
 ……やっぱりなんか、逆らえないし。
 言われるがまま、さっきよりも深く膝を立てる。

 でも、柊先生から丸見えだよな、これ。

「ヒクついてますよ。芳春ははじめからエロかったけれど、最近は誘うのがうまくなった」
 はじめは、あなたが薬を飲ませたせいですって、反論したいけど、なんかもう余裕がない。
 誘うのがとか。
 ……そんなつもりはないけれど、誘われてくれてるってことか。

「ローター、入れますね」
「っ……あ…」
「力抜いて」
 ゆっくりと、ローターが刺しこまれていく。
「んっ! んぅ……っ」
「少し押さえるだけで、すごい飲み込んでいきますね。ココ。気持ちいい?」
「あ……んっ…」
 やばい。
 なんか奥の方まで来て……。
 このままじゃおかしくなりそう。
「ぁっっ……あのっ!」
「どうしました?」
「っ……もう、止め……っ」
「奥、好きでしょう?」
 やばい。
 奥、気持ちよすぎて、電源入れられたらおかしくなるんじゃ。
「駄目です、それ以上は……っ」
「どうして?」
 感じすぎるなんて言っても絶対、やめてくれるような人じゃないし。
 どうすればいいのかわからない。

 わからないでいると、ローターだけを適当な位置で残し、指を引き抜かれる。
腕を引かれ、体を起こされた。
「抱いててあげますから。ね」
 ね……って言われても。  

立ち膝状態の俺の体を柊先生が、正面からやたら撫でる。
「ゆっくり、腰下ろして。ちゃんと抱きしめさせて」
 なんだか断りにくいな。
 そっと腰を下ろす俺に合わせて抱きしめてくれて、背中側からまた指を差し込まれていった。
「んっ……も、そんな奥、入れないでください……っ」
「そうですね。俺の指じゃもう届かないな」
 ほっとしたのもつかの間。
「俺の、入れていい?」
 抱きしめられたまま、耳元でそう声をかけられる。

「え……」
「このまま、入れていい?」
 このまま?
「あの、このままって。どういう……っ」
「ローター、奥まで入れたいなって」
 柊先生のモノでってことですよね?
「それは、無理ですよ」
「大丈夫。ね」
 ねって。
 すでに狭間に柊先生のモノが当たってるし。

 尻を掴まれ、ぐっと割り開きながら先端が入り込む。
「んぅっ! 駄目ですって」
「痛い?」
「っ痛くは…っないですけどっ」
「じゃあ、どうして駄目?」
 どうしてって。
「……そんな奥、わかんないんで……っ」
「じゃあ、わかっておこう?」  

 ゆっくりと、奥に入り込んでくる。
 嘘。やばいって。
「んっ…あっ…待っっ」
「あ、俺のにローター当たってる。このまま押し込むよ」
 一旦、動きを止めて俺に確認しながら、またぎゅっと抱きしめてくれる。
「嘘……っ」
「嘘じゃないよ」
「…っ…止めてくださっ」
「ローター、電源入れてからの方がいい?」
 そんなのわからない。
 奥で急に動かされるよりは、動いた状態で押し込まれた方が、まだマシなんだろうか。

 どっちにしろ、アウトだって。
「待ってくださ……っ。ホントにっ」
「待ってますよ」
「あ……っ…こんなの…その、恥ずかしいんですけど、怖いんです」
「ん。どうして?」
「なんていうか、未知っていうか。そんな経験ないですしっ。そりゃ体の構造的には大丈夫だと思いますよ。たぶんですけど。でも……なんか、声とか抑える自信ないですし」
「声、出ちゃいそう? いいよ。叫んでくれても」
「……例えばですよ。その勢い余って……洩らしたりしたら」
「声の話?」
 声っていうか。
「いえその……下半身が俺の制御の範囲を超えるっていうか」
「それくらい、気にしないで」
 いやいや、気にするだろう。
 意味、わかってくれてるよな?

「それくらいって言いますけど……っ。先生にかかりますよ?」
 これは俺からのちょっとした脅しだ。
 さすがに嫌でしょう?
 だからって、じゃあかからないよう後ろから……なんて言われても困りますけど。

 柊先生が耳元でクスクス笑うのがわかった。
 あ、かけられちゃ困るんでやめときましょうって言うかな?

「いまさら。いっつも、俺に精液かけてんのに?」
 俺のちょっとした期待はすぐにも裏切られてしまう。
いつもかけてるとか。
 あながち間違ってはいないけど、正しくも無い。

「それは、ちょっと……かかっちゃうだけで。濡れるのとはまたわけが違うじゃないですか」
「濡れても構わないよ。洗濯くらいさせてくれるんでしょ」
 そりゃ……させますけど。
 実際、この人が濡れるとか濡れないとかの問題じゃないんだよな、ホントは。  

 人の前で、漏らすって。
 ……無いよ、さすがに。
 いや、その漏らすと決まったわけではないけれど。  

「……柊先生、さすがにひくでしょう? 俺のこと……」
「ひかないよ。かわいいなって思う」
 変態だ、この人。
「でも、それは想像で。実際、そうなったらたぶん引きますよっ」

 柊先生が、少し腰を浮かたせいで入り込む刺激に体が大きく撥ねあがった。
「ひぁっ! あっ……っなんでっ……」
 つい、柊先生の背中に回していた手に力が入る。
 まだ話の途中だろ。
「ね、もういいでしょ」
 なに、俺、語り損?
「結局、俺にひかれたくないだけ?」
 それもあるし。
 恥ずかしいし。

「一つ、いいこと教えてあげようか」
 いいこと。
「あまりに、芳春が漏らすとかひかれるとか気にしてるみたいだから」
 なに。
 妙にドキドキする。

「芳春。こないだ酔ったときのこと、ホント覚えてないみたいだけど。もうあのとき俺の前で失禁しちゃってるよ」
 え。
 今、なんて……。
 頭追いつかない。
 体が固まる。
 待って。
 こないだ酔ったとき。
 柊先生の前で。
 失……?
「え……」
「じゃ、入れるね」
 じゃ、って。
 え、だからちょっと待って。
 そう口に出す前に、柊先生が俺の腰を掴んで、押さえつけるようにしながらゆっくりと入り込む。
「ひぁあっ!!」
 俺、がんばってちょっと腰浮かせてるのに。
 柊先生が下からゆっくりとだけど、腰を突き上げてきて、俺の抵抗は意味を成さない。

「くっ…ぅあっ…んっ」
 ぎゅっとしがみついてその衝撃に耐える。
 いっつも柊先生のが入り込んで届くところより、もう少し奥の方。
 ローターが押し込まれていく。
「ぁああっ……やあっ」
「ゆっくりなんで……大丈夫でしょ?」
 ゆっくりじわじわ。
 おかしくなりそう。
 あ、俺すっごい柊先生の背中に爪立てちゃってる。
 痛い……よな。
 緩めなきゃ。
 そう思うのに、ローターがいままで来たことの無い位置を押し広げ入り込んでくる感触に耐えられず、必死でしがみつくしかなかった。
「んぅんんっ! あっ…ぁあっんっ」
「ほら……。入っちゃった。すごい奥まで来てる?」
 奥の奥まで入ると一旦動きを止め、俺の頭をそっと撫でてくれる。
 とりあえず止めてくれて助かった。
 まだ精神が落ち着かない。
「せん…せっ。俺っ」
「大丈夫?」
 わからない。
 それとさっき言われたことが気になってくる。
 うやむやにしていいことじゃない。
 柊先生の前で失禁したって。ホントなのか?
 けど、どう聞けばいいのか。
 タイミング逃したっていうか。

「奥、気持ちイイ?」
 気持ちいい。
 けど、少し動くだけで体がビクつきそうになる。
「……も、このまま、ゆっくり、抜いてくださ……っ」
「ゆっくり、スイッチ入れるよ」
 嘘。
 いやだってば。
 そう思うのに、考えているうちにも、中でローターが動き出す。
「ひぁっあっ……あっ! んっ!!」
 
 やばい。
 いく。
 まだ、動かされたばっかなのに。
「ぁんっ! あっ…やぁああっ!!!」

 ほら。もう大きな声をあげてイってしまう。
 最悪だ。
 俺早すぎるよ。
 まだ、ちょっとしか動かされてないのに。
「もうイっちゃった? イクときはイクって、言ってくれないと」
 恥ずかしい。
 こんな早く。
 イったのに止めてくれない。
「やっ……ぁあっ! も…やめっ」
「駄目……。まだ、始めたばかりでしょう?」  

 楽しそうにそう言って、俺の体を揺さぶって。
 なんか、涙も溢れてきた。
 奥の方をローターで刺激されながら、前立腺あたりを柊先生のモノが何度も擦り上げていく。
「はぁっんっ……あっ…ぁあっ…せんせっ…んやぁっ」
 ぎゅっと抱きしめたまま。
 ぐちゃぐちゃと中を出入りされて頭が、おかしくなりそうだ。


 ローターの勢いが強くなるのを感じる。
 もう無理だってば。
「やぁあっ…あっ、あんんっ…」
 必死でしがみついて、耐える俺の背中を片手で支えながら、もう片方の手で腰をつかまれ揺すられていく。
 上手く頭が働かない。

「ぉくっ…」
「イイ?」
「ぁあっ……やっ…っあんっ! あっ」
「……奥、大好きってホントかわいいよね」
 そう少し笑いながら言われると、一気に羞恥心が高まった。
「ゃっ……もうっ…やぁっっぃくっ」
「また、いっちゃうの?」
「ひぁっんっ……やっだっ…ぁんっあっ…俺っ…ぁあっ…また…っ」
 嘘、立て続けに2回もとか。
「やっだっ……やぁあっ…」
「イヤ?」
 逃げたいのに、がっつりと俺の体を掴むもんだから逃げられそうにない。
「ぃやっ…せんせ…っあんっぃくっ…ぁあっ! あっあぁああっっ」

 気が遠くなりかけた。
 柊先生も、俺の中でイったのがわかる。
「もっ…やっ…やぁっ…止めて…っ…」
「……どうしよう?」
「ひっくっ…ぁんっ! だめ…もうっ…」
「芳春が、嘘つくから」
 嘘?
 なにそれ。
「酔ってないくせに」
 バレて……?
「やっ…」
「もっかいイク?」
 俺は必死で首を横に振ると、ゆっくりと柊先生のモノが引き抜かれる。
「ローターも抜いてあげるから。うつ伏せになって」
 うつ伏せにさせられると、腰を掴まれ、腕に力が入らない俺は、ベッドにしがみついた。
 これじゃ、腰だけ突き上げてるみたいで恥ずかしい。
「すっごい、奥入っちゃったねぇ」
 ゆっくりと、ローターが引っ張られていく感触。
「ぁっあっ…ン…っ」
 もういっそ、一気に引き抜くか、先に止めてくれればいいのに。
 震えたままのローターが中を移動していく。
「んぅっ…あっ…やぁあっ!」
「すごいね、芳春。さすがにぐちゃぐちゃだ」
 引き抜く作業のまま、もう片方の手が俺のを掴む。
 見てられないけれど、ぐちゃぐちゃなのはわかった。
「聞こえる? たくさん出しちゃったもんね。亀頭も竿もベトベトで、女の子みたいな音してる」
 ローターの音に紛れてクチュクチュと濡れた音が響く。
 俺が、出してる音……?
 恥ずかしいことばっかり。  

「っもっ…やぁっ…許して…っ」
「許す? なにを?」
「ぁっ……いじめないで…くださっ」
 耳元で笑われた気がした。
 自分でも、なんか言い回しがおかしい気がして恥ずかしくなった。
「んー……。そう言われると、いじめたくなるなぁ」
 言い終わるか終わらないかのところで、亀頭に爪を立てられる。
「イっ…ぁあっ! あっ!」
「痛い?」
「ひぁっ…いたい…っ」
「また嘘……。さっきより勃起して濡らしてんのに。それとも芳春は痛いの大好きなの?」
 痛くはないが、あまりの刺激につい痛いと答えてしまい、すかさず柊先生にからかわれてしまう。

 どうすればいいのかわからない。
「もう一回、イけるよね? こんなだし。たくさん前も擦ってあげるから。それならいいでしょう?」
 なにが、それならなのか。
 よく意味がわからない。
 けれど、もう後ろだけでイクのは苦しいから、確かに助かるといえば助かる……のかな。
 
 ローターを前立腺付近の位置に留まらせ、強めに手で擦りあげられる。
 後ろからと、直接前を擦られる刺激と。
 もう俺、何度もイってんのにまた気持ちいい。
「ぁあっ…んっ、やぁっあっっ」
「……我慢してる? ポタポタ垂れてるよ。腰も揺れてるし。我慢しなくていいから」
「ひぁっ……いく…っやっぁあっ……ぁあっあっ…あぁあああっっ」

 声、ホント抑える余裕なかった。
 またイってしまうとさすがに一気にローターを引き抜いてくれて。
 前の方は少し落ち着くまで擦ってくれて。
 全部出させられた感じ。

 もう空っぽ。
 そのままゴロンと横向きに寝転がった。
「気持ちよかった?」
 少し遠くに聞こえる柊先生の声に軽く頷いてしまう。

 違う。
 こんなのは駄目だって、俺、今言っておかないと。
 そう思うのに気力がない。

 俺の正面に寝転がった柊先生の手が俺ので濡れてて。
 その指先を、柊先生が口に含む。
 そんなの汚いのに。
ぼんやり眺めていると、いま柊先生が口に含んでいた指先が、今度は俺の方に差し出された。
そのまま、俺の口ん中へ。
「ん……」
 変な味。
 自分のあれと、柊先生の唾液が混じって……って考えると物凄く恥ずかしい気がした。
 舌を撫でられ、嫌でも舐めさせられてしまう。

「今日、口でしてくれて、すごい嬉しかったですよ」
 口で。
 あ、あれか。
 すごい中途半端にしか出来てないんですけど。  

「この舌で、俺の舐めてくれたんですよね」
 あいかわらず、俺の舌を指先で撫でられ、なんだかむず痒い。
「それに、精液ついた俺の指舐めるとか、すごいかわいいです」
 にっこりそう言われても。
 不可抗力。
「大丈夫そう?」
「ん……?」
「味。平気?」
 ……それは俺のだけど。
 なんだか恥ずかしい。
 少し目を逸らしたまま、頷いた。
「そう。よかった」
 
 いずれ、やっぱり口でイかせて欲しいってことだろうか。
 やっと指を引き抜いてくれると、もう一度、その指を柊先生が自分の口に含んでいた。


「……柊先生、俺が酔ってないって思ってます?」
 俺が嘘ついてるって。
 やっぱり酔ってたときと態度違い過ぎた?
 もしかして、鎌かけてるだけとか。
 だとしたら、酔ってないと言ってしまってはいけないし。  

 柊先生はにっこり笑った。
「どうでしょう?」
「どうでしょうって……」
「芳春が、0%のピーチジュースでも酔えるってんなら、酔ってるのかもしれませんね」
 ピーチジュース?
「え……」
「ピンクでかわいいでしょう?」
「騙し……たんですかっ」
「お酒だって言った覚えはないです」
「話しの流れ的に、お酒だったじゃないですか」
「そうですね。でも芳春だって。酔った振りして、騙そうとしたのはお互い様でしょう?」
 確かに、俺も騙そうとしたけれどっ。  

「だって……っ」
「酔ってない状態で、俺のしてくれて嬉しかったです。ちゃんとお酒も本当に持ってきましたから。ね?」
 気が動転していたせいか、まったく気が付かなかった。
 ホントにハメられたんだと思う。まさか度無しとは思わないし。
 最悪だ。
 恥ずかしい。

「酔って、忘れます?」
「……少しだけ、酔わせてください」
 ホントに。
 柊先生には敵わないな。