本当は毎日でも、霞夜のこと押し倒したいけれど、我慢している。
我慢している理由は、霞夜に負担をかけたくないのもあるけれど、日を置くと霞夜の方から欲しがってくれるから。
直接はっきりと言うわけではないが、態度があからさまだ。
それがまたかわいくてたまらない。
何度もすぐにイっちゃうし。
前はこんなんじゃなかったよな。
ってことは、霞夜があんな風になってしまったのは全部俺のせい。
俺の影響で、霞夜があんなかわいくなったと思うとそれもまたたまらない。
今は週1ペースでHをしている。
2週に1回だった以前に比べたら、俺もちゃんと我慢できていないのだけれど。
毎週土曜日にHして。
他の曜日はなにもしない。
そんなのが当たり前になっていた。
土曜日にやり損ねたら、日曜日にすれば構わないのだけれど、霞夜は俺を気遣ってかなにも言ってこない。
一昨日の土曜日。
部活の都合もありやり損ねたわけだが、霞夜は今週の土曜日まで我慢する気なのだろう。
「駕崎。まだ寝ないのかよ」
「うん、あと少ししたら寝る。霞夜、先に寝てなよ」
まだ月曜日。
二人でなにごともなく寝ることはいままでもよくあった。
「わかった。おやすみ」
そろそろ、少しだけ煽ろうか。
「ね、霞夜。寝る前にキスだけしていい?」
「……まあ、おまえがしたいんなら」
寝転がったままそう言ってくれる霞夜の口に覆いかぶさるようにして口を重ねた。
霞夜はピクンと体を震わせながらも、差し込んだ俺の舌先に上手に舌を絡めてくれる。
「んっ……ぅんっ」
エロい声を鼻から洩らす霞夜に、何度も口を重ねなおし、唾液を送り込んでいく。
「んーっ……っんっ」
俺の腕に軽く爪を立てて、その手が震えているのもわかった。
「……霞夜、舌出して」
口を離し至近距離で言うと、戸惑うように目を背けながらも舌を差し出してくれる。
その舌の上を、舌先でなぞり、口に含んで吸い上げると、爪を立てたままの腕により力が加わった。
「んっ……」
目を瞑ってしまう霞夜を、至近距離で眺めたまま、何度も舌先だけを絡めていくと淫猥な音が響く。
わかりやすく霞夜が足をもぞつかせた。
ホント、かわいいな。
あえて気付かないフリをして口を離す。
「……はぁ……」
「うん、おやすみ」
「……ん……」
ぼんやりとした目で、頷いて、霞夜は俺へと背を向けるように寝転がる。
俺もまた、ベッドに背を向けるようにして机に向かった。
部屋全体の電気は消して、机の上だけを照らす。
眠っていない霞夜に気付きながらも、イヤホンを耳に装着した。
無音だ。
「……駕崎? 聞こえる?」
ほら。
少しして霞夜が俺に声をかけて来た。
机の上に置いてある鏡越しに霞夜を確認する。
いつの間にか俺の方へと寝返りを打った霞夜が、俺の反応を待っているようだった。
むしろ、反応しないかどうかの確認か。
無視をしていると、霞夜はまた背を向ける。
それを鏡で確認してから、ひじを付き、耳を押さえるようにしてイヤホンを少し離した。
「っんっ……」
ごそごそと掛け布団の下で、霞夜が体をもぞつかせる。
実際、俺が聞こえていないにしてもいつ、勉強を止めて寝だすかわからないのに。
「はぁっ……」
霞夜の息遣いが聞こえてくる。
ズボンの上からか、直接からかはわからないが自分でそこを弄っているのだろう。
「んー……っ…ぅんっ…」
本当に、Hな体だ。
まあ、元々、霞夜がどんな風に1人Hしてたかなんて知らないけれど。
トイレに行く余裕もなく、とりあえず弄り始めちゃってる感じだ。
「はぁっ……ぁっ…ん、んぅっ……」
キスだけで欲情したのか、元々そういう気分だったのか。
わからないけれど、俺もまたそんな霞夜を見ていたらどうにも体が熱くなる。
不意に霞夜が起き上がり、俺は気付かないフリでノートへと視線を走らせた。
何事もなかったかのようにトイレへと向かう。
我慢出来ないんだ?
一回イっちゃっても、霞夜はたぶん足りないよね。
こないだしてないし。
俺は勉強を止め、ベッドへと座った。
少しして、霞夜が戻ってくる。
「駕崎、寝るのかよ」
「迷ってる。霞夜、いま何してた?」
「トイレ。トイレですることなんて決まってんだろ」
「……一人H?」
少しだけ強引に、霞夜の体を引き、ベッドへと寝転がらせる。
上から覆いかぶさるようにして、霞夜の体を見下ろした。
「駕崎……っ」
「もう1回、キスしてもいいよね」
今度は確認もせずに、口を重ねた。
布団が間にないおかげで、俺の体が霞夜に密着する。
「んっ! ぅんっ」
強引な俺の態度が気に入らないのか、霞夜は俺の背中のシャツを掴んで引き剥がそうとしていた。
そういう行動のひとつひとつがかわいらしい。
舌を絡めていくと、引き剥がそうとしていた手が緩む。
口を重ねたまま腰を寄せ、硬くなってしまっている自分のモノを霞夜のモノへと押し当てた。
霞夜の足の間へと自らの足を割り込まるだけで、霞夜の体がピクンと跳ね上がる。
「んぅ……っんっ」
自然と、足が開く。
口を離してやると、ボーっとした目で俺を見た。
「駕崎……」
「ん、なに」
「ぁっ…当たって……っ」
「前にも言ったけど、俺は毎日でも霞夜のこと犯したいと思ってるからね」
俺の言葉にまで反応して、霞夜のソコがピクンと震えるのが密着しているせいでわかった。
「霞夜がしたくないのなら、しないけど」
霞夜の息が荒くなっていた。
我慢をしているのだろうけれど、足の間に俺を挟むようにしていては、意識するなと言う方が無理な話。
顔を背けてしまうが、視線だけチラっと俺を伺ってくれる。
「駕崎がしたいなら……っ」
そう言いつつ、なにかを考えてしまったのか、ピクンと体を跳ねさせた。
「んっ……」
「どうしたの、霞夜」
「……なにが」
「いや、なんでもないならいいけど」
「っ…ん」
霞夜は我慢出来ないみたいで、ゆらゆらと腰を動かし始める。
一度、ズボン越しにだが擦れた感触で味を占めてしまうと止められないのか、霞夜は腰を動かしたまま、俺の視線から逃れるよう上半身を捻らせた。
「んっ…っくっ」
「したいの?」
「違ぇよ」
「じゃあ、しないでおこうか」
「っ……んっ……駕崎がしたいならっ…しても」
こんな腰揺らして、硬くなったモン押し付けながらそんなこと言われても。
ますます虐めたくなってしまう。
「また、今度にしようかな」
「はぁっ……駕崎ぃ……」
完全に誘ってる声だろ、それ。
「夜遅いし、明日も学校だしね」
「んっ……っぁっ」
「なに? 霞夜はしたいわけじゃないんでしょ?」
また体を俺へと向けてくれ、それでも顔は背けたまま、俺の腕を掴む。
「はぁっ……っんぅっ!!」
ああ。
霞夜、泣きそうだ。
かわいいなぁ。
「すごい、さっきからいやらしい声出てる」
「っ…違ぇよっ……お前がっ、そんなん、擦りつけるからっ」
擦り付けてるのは霞夜の方だけど。
「じゃあ、離そうか」
「……ん……どっちでも」
どっちでもってなにそれ。
ホント、素直じゃないな。
どうして欲しいかくらいわかってる。
わかってて、やってんだから。
「霞夜は、俺のが当たってるといやらしい声出ちゃうってこと?」
「んっ……」
そこはもう言い逃れ出来ないのか、霞夜は否定しない。
霞夜の動きに合わせるように、俺もまた霞夜へと押し当てた。
「ぁっ! んぅっ……っ」
「したい?」
「駕崎はぁっ?」
「俺は、いつでも霞夜とやりたいって思ってるから。でも霞夜がしたくないってときに無理にやろうとは思ってない」
「ん、んぅっ」
「だから、したくないならやめようか?」
霞夜が俺の腕に爪を立てる。
目からはいまにも涙が溢れそう。
俺の顔は見てくれない。
「っ……したぃ……っ」
小さな声で、そう答えてくれる。
かわいい、
「なにを?」
「ぁっ…あっっ! っ…んぅっ……んぅんんっ!!」
瞬きした瞬間、とうとう涙が零れ落ち、体を大きく撥ねさせる。
虐めすぎたかな。
右手で、ズボンの上から霞夜のを確認するよう掴みあげた。
「んぅんっ」
少し手で撫で回すと、くちゃくちゃと濡れた音が響く。
「ああ、霞夜、もしかしてイっちゃった? でも、まだ萎えてないね」
「違ぁっあっ」
「じゃあ、こんなにたくさん、先走り出したの? 濡れたままじゃ気持ち悪いだろうし、脱ごうか」
霞夜のズボンと下着を脱がしていく。
やっぱりイっちゃってる。
精液でベタベタだ。
もうちょっと定期的に1人Hしてくれていいんだけどな。
これ、絶対溜め込んでるだろ。
まあ、すぐに何度もイっちゃう霞夜が見れるのは嬉しいけれど。
「駕崎ぃ……っっ」
あまり口には出さないけれど、霞夜が誘っているように見えてしまう。
都合よく見すぎか。
「すごいね、霞夜」
「……はぁ?」
「舐めてもいい?」
「っ……」
霞夜は俺のことを疑うように睨み付ける。
それを無視して、ぐちゃぐちゃに濡れた霞夜のモノに舌を這わした。
「んぅんんっ!!」
唾液と精液が混ざり合って、竿をつたう。
それを指に取り、後ろへとゆっくり差し込んでいく。
「はぁあっ…ん、んぅっ、駕崎っ」
霞夜は行為の最中、結構名前を呼んでくれる。
なにかを俺に訴えたいのかもしれないけれど、
押し広げるように中をかき回すと、また強く俺の腕に爪を立てた。
「んぅっんっ……ぁあっ」
「霞夜は本当に、ココ、かき回されるの好きだよね」
そう言うと、さすがにグーで殴りかかってくる。
予測出来ていたから、それを左手で受け止め、なおも中をかき回す。
「ひぁっんっ!! んぅっあっあっ」
「好きでしょ」
「ぁああっ……やぁっ…駕崎っ」
「イきそうなら、イっていいから」
霞夜は首を横に振った。
あいかわらずだ。
霞夜もなんか切羽詰ってるし、俺ももうホント入れたいかも。
「ね、霞夜。俺の入れていい?」
ゆっくりと指を引き抜き聞いてみるが、さっき俺にからかわれたのが気に入らないらしく、にらみつけてくる。
「霞夜がしたくないなら止めておくけど」
「っ……ホントかよ」
「本当」
霞夜は、無意識にか腰を少し浮かせる。
「……別に、駕崎がしたいなら……」
不機嫌そうにそう言ってくれた。
これ以上、からかうと本当に怒られそうだ。
「いいの? 入れても」
「ん……」
自分のを取り出し、霞夜の放っていた精液を塗りたくった。
なんだかんだで、結構行為は繰り返してきている。
霞夜もこの太さに慣れてきただろう。
奥まった入り口へと押しあて、ゆっくりと腰を進めていく。
「ひぁっあっ…ゆっくりっ……」
最近の霞夜は本当に敏感だ。
というより、霞夜が溜めてんだけど。
体を震わせ、俺の腕を掴んでいた手が離れていく。
たぶん、自分で自分の根元を摘んでイくのを我慢するつもりだ。
それがわかった俺は、霞夜の両手をそれぞれの手で掴みベッドへと押さえつけた。
「なっ…あっ」
指を絡ませ、恋人つなぎ。
霞夜が驚くのも睨むのも無視をして、なおも入り込む。
「ゃっあっ…あっ…ぃく……っやめっ、駕崎っ」
「やめないよ。入れただけでイっちゃいそうなの?」
「んぅんっ…あっぁあっっ、やっ、んぅんんっ!!」
あーあ。
本当に、入れただけなのにイっちゃって。
すっごい内壁がうねるように俺自身を締め付けた。
薄暗い中、顔を背けた霞夜が悔しそうに涙を流すのがわかる。
霞夜はこういう行為を初めは毛嫌いしていた。
だから、こんな風にエロい体の自分に対して思うことがいろいろあるのだろう。
気付かないフリをして、中を軽く出入りすると霞夜は潤んだ目で、俺を見上げた。
「っはぁっんっ、ぁあっ」
「気持ちいい?」
「ぁっ…んっ…ぁんっ…あっんぅっ!! んっ!」
霞夜は余裕がなさそうに、体をくねらせながらも声を洩らす。
本当に、こんな風になってくれるだなんて思っていなかった。
もちろん、いやらしくない霞夜だって好みだけれど。
「かわいいね、霞夜。もうイっちゃって」
「ぁあっ! んっ! んぅっ」
声、我慢したいのかな。
体、すごいビクつかせて。
大丈夫かな。
「もうちょっと落ち着いて」
「んぅっ…ゃああっ」
「や?」
「ひぁっ! あっ…できなっ」
霞夜は、無理だと示すように顔を横に振った。
「じゃあもっと、ゆっくりかき回すから。上手に感じて」
奥まで刺しこんだそれで、じれったいんじゃないかなってくらいにゆっくりと、中をかき回していく。
霞夜は、俺の手を握り、また顔を背けた。
「んぅ…っ…ぁああっ…」
「うん、もっと声出して。出した方が楽でしょ」
「ぁあっ! あっ……はぁ……っ」
「そう……いいよ」
いっぱいいっぱいで眉を寄せていた霞夜の表情が、次第にボーっとしたものに変わってくる。
手にも力が入らないらしい。
「んぅっ……はぁっ……ぁっ…んっ…もぉっ」
「なに?」
「はぁっあっ……大丈夫」
落ち着いたってこと?
焦点が定まっていないんじゃないかって視線で俺を見て伝えてくれる。
嬉しいけど、もうちょっとこれ、堪能してもいいな。
いつもと、少しだけ声のトーンも違ってかわいいし。
「んぅ……はぁっ……あっ……」
今度は、じれったいのか、霞夜の方から俺の動きに合わせるようにして腰を動かしてくれていた。
無意識なのかわからない。
下から、腰を回してくれる。
「はぁっ…あんんっ……ぁああっ…」
「自分で、動かすと気持ちイイ?」
「……んぅっ」
「教えて。霞夜」
霞夜はもう、反抗する気力が無いのか、頭が追いつかないのか。
甘えるように頷く。
「なに?」
「ぅんんっ……ぃい……っ」
「いいって?」
「ぁあっ……気持ちぃ…っ…あっ…駕崎ぃっ…いいよぉっ」
ぽろぽろと涙まで流し始める。
ガンガン突き上げたい気持ちをなんとか押さえ、霞夜の頬に軽く口付けた。
「そう。嬉しいな。……霞夜。もっと自分で動いてみる?」
霞夜はボーっとした様子のまま、首を傾げる。
腕を引き、繋がったまま俺は霞夜の体を起こした。
「んぅんっ!!」
抱きしめて、あぐらをかく俺の体を跨がせる。
少し、腰を揺すってやると触発されたように、霞夜自身、俺に抱きつきながら腰を動かした。
「はぁっあっ…んぅっ…んっ!」
いつもより耳元で霞夜の声が聞こえる。
少し響くくらいの声量が心地いい。
「っんぅ…やぁっ」
「なにが?」
「っぁあっ…こんなっ」
さすがに、自分でもいやらしく腰振ってるって自覚はあるわけか。
あっても、止められないとか。
霞夜がいやらしい自分のことを嫌っているってのは分かってる。
でも、俺にすごく気を使ってくれる人間だってことも分かってるんだよ。
「俺のこと、イかせてくれないの?」
「っ……んっ」
抱きしめて、俺は動かず耳元で聞く。
霞夜もまた、腰の動きを止めていた。
「駕崎……しても」
「してもいいって? ……俺がするんじゃなくて。霞夜がしてよ」
「んなことっ」
「出来ない?」
無駄なプライドも高い。
少し煽ると、くいついてくれる。
そういえば、以前、無理に口でしようとしてくれたっけ。
あの頃はさすがになんだか、申し訳なかったけど。
霞夜は俺に抱きつきなおして、顔を伏せるとまた、そっと腰を揺らし始めた。
「はぁあっ…んぅっ…」
意識しているせいか、さっきよりも少しぎこちない感じが、なんだかかわいらしい。
ホント、少し前まで普通に腰揺すってたくせに。
ゆっくりと、不器用に腰を前後に動かして、俺のを刺激してくれる。
滴った精液が、結合部分に垂れて擦れて、濡れた音を響かせた。
何度も繰り返すうちに、腰が疲れたのか、一層ぎこちなくなっていく。
「霞夜。いいよ、力抜いて」
「んぅんっ!」
無視をされるが、そんな霞夜を俺もスルーし、手助けするよう揺さぶった。
「ひぁあっ!! あっ、駕崎ぃ…っ……」
「霞夜ん中、気持ちよすぎて、動きたくなった」
「んっ…ばっかっぁっ…はぁっ」
「中で、出していい?」
霞夜は戸惑うように目を泳がせる。
それでも、ぎゅっと俺に抱きついて、身構えてくれているようだった。
それを確認し、何度も小刻みに体を揺らし、俺もまた限界を向かえる。
「ぁっあっ、駕崎ぃっ…はぁっんっ…んぅっ!」
「霞夜……いくよ……」
「んぅっ…あっ…ぁああっ…んぅんんんっ!!!」
俺が中でイってしまうとその衝撃に合わせるようにして、霞夜が大きく体を跳ねさせた。
ぐったりと俺に体重をかけてくれる。
「……霞夜。よかった?」
「……ん……」
照れなのかなんなのか、わからないが少しそっけなく、それでも霞夜は頷いた。
「……風呂、入ってくる」
「あ、ごめん。中で出しちゃって」
「それはいーよ。どっちにしろ、シャワーくらい浴びるつもりだったし」
「一緒に入る?」
「……1人で入る」
恥ずかしがるわけではないんだろうけれどそう言って、入り込んだままの俺を引き抜こうとする。
なんとなく、このままじゃいけない気がして、霞夜を抱きしめた。
「駕崎?」
「霞夜は、どうしてそんなつらそうな顔すんの?」
図星だったのか、俺の視線から逃れるように顔を背ける。
「別に……」
「言ってくれないと、わからない」
「……お前のこと、結局今日も1回しかイかせらんなかったなって。それだけだから」
少し投げやりにそう言って、また俺から離れようとする霞夜の体を引き止めた。
「イかせてくれて。それだけで充分だけど」
「……何度も先に自分だけイクとか、みっともねぇよ」
だから、自分で自分の根元掴んだりいつもしちゃうんだろうな。
「俺は、霞夜がイってくれるの嬉しいけど」
「……エロいよ」
「霞夜にとっては嫌だと思える部分だとしても、俺は好きだから」
「ホントかよ」
「本当」
「お前がよくても、世間的にはみっともねーだろ」
別に、早漏ってわけでもないし。
こんなに感じてくれるのは、むしろイイ部分じゃないのか。
「霞夜。世間が霞夜のこういう一面、知る機会があるの?」
「……ないけど」
「じゃあ、俺だけが知って。俺が好きで。問題ないんじゃない?」
霞夜は、急に俺にしがみついてくれる。
「お前、絶対、言うなよ」
「……言わないよ」
「俺がっ……やらしいとか言いふらしたら」
「言わないって」
「ホントに、こんなん好きかよ」
「うん」
「みんなが、下ネタ話してんのとかも、すっげぇ嫌だったし今でも嫌なのに」
霞夜らしい。
でもそれって、本来あるべき人の姿っていうか。
ちゃんとしたモラルみたいなもん?
真面目なんだよな、こいつ。
「霞夜の言いたいこと、なんとなくわかるから。俺の前でだけ、見せてくれればいいし」
「……ん。駕崎が……こういうの、好きならいい」
「うん。好きだから」
自分が嫌だと思っている自分のことを、俺が好きだって言ってもなかなか信用出来ないんだろうけれど。
少しは、信じてくれたかな。
「駕崎、そろそろ風呂入ってくる」
「ああ、うん」
霞夜はそう言いつつもしがみついたまま。
……さすがに自分からは言わないかな。
「霞夜、一緒に入っていい?」
「……駕崎が……」
あいかわらずだな。
「俺は、入りたいよ」
「……じゃあ、一緒に」
小さな声で霞夜がそう言ってくれた。
素直じゃないというより、あとはもう照れ隠しだろう。
頭を撫でると、恥ずかしそうに顔を伏せる。
それがまたかわいくて、もう一度、きつく抱きしめる。
「駕崎……っきついって」
「ん。ごめん。やっぱ俺、霞夜のことすごく好き」
「……ばかかよ。んな恥ずかしいこと改めて言ってんじゃねぇよ」
それでも、顔をあげた霞夜は、そっと俺にキスをしてくれた。
自分から。
「え……」
「……え、じゃねぇよ。もういいからとっとと風呂行く」
「あ、うん。ありがとう」
「だから、ありがとうとかいちいち言うなよ」
相当、恥ずかしいのか。
申し訳ないけど、もう霞夜の中に入りっぱなしだった俺のが大きくなっちゃったんですけど。
霞夜だってもちろん気付いているだろう。
「霞夜、あのさ」
「……わかってる。俺だって、お前のこと1回しかイかせらんねーやつって思われたくねぇし」
誰になんだか。
かわいいな。
霞夜もどうせまたイっちゃいそうだけど。
「……だから、とっとと風呂行くっつってんだろ」
「うん、そうだね」
俺はしがみつく霞夜を抱きしめたまま、風呂場へと向かった。
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