真乃と白石に付き合ってもらって、俺は中学校に行った。
「おい、なんだ、君たちは……」
校門を入ってすぐだ。
ジャージを着た運動系の先生が2人、俺ら3人のうちの、主に真乃と俺を見て寄ってくる。
「おいおい、こうやって母校来てやってんのに、生徒のこと、忘れるわけ?」
2人のうちの一人に真乃が軽いノリで言う。
「真乃、そいつ、新任っぽいから、たぶん、俺の事、知んねぇよ」
俺は真乃を制してもう一人の先生の方を見た。
「霞夜……?」
驚いたように、そう言って俺の方を指差す。
サッカー部の顧問で、体育の先生だった。
俺の担任でもあった先生だ。
「………人のこと、指差してんじゃねぇよ」
なんとなく覚えていてもらえたのがうれしくて、少しだけ照れくさくなった。
「悪い悪い。よく来たな〜。どうしたんだ? 2人は」
クシャクシャと俺の頭を撫でて、先生は真乃と白石に目をやる。
「……高校の友達」
「うまくやってるみたいだな。あ、こいつ、ココの卒業生なんです」
もう一人の新任らしい先生に俺のことを言う。
「こう見えても頭、いいんですよ」
「こう見えてもは余計だっつーの」
真乃と白石には悪かったが、少しばかり、その先生と話し込んだ。
「で、サッカー部、運動場でやってるよな?」
「ああ。功、観に来たのか? 毎週がんばってるぞ」
がんばってるって?
部活以外にも、中学生とやってんだろって。
先生は俺が駕崎と仲がいいのを知っていた。
教室で一緒にいたのを見ていたのだろう。
俺らは5人で、運動場の方へ向かった。
新任のやつもついてくるところをみると、サッカー部の第2顧問かなんかなんだろう。



「あのさ。先生。俺らがどこの高校行ってるか知ってんだろ?」
「ん。帝星学院だろ。頭いいよな。大丈夫?」
知らないわけないよな。
「……じゃぁもちろん、駕崎があんま頭よくねぇって知ってんだろ。中学に呼ぶのやめろって」
駕崎のために言ってるっぽい台詞。
でも実際には、俺が行って欲しくないと思っていただけかもしれない。
「週1だし、いい息抜きになるかなとも思ったけど……やっぱ、駕崎にはつらいよな。ただ…部員がものすごく懐いてるし」
ったく、懐いてんじゃねぇよ。
「じゃあ、部員が理解したらいいんだろ」
そう言い出したのは真乃だった。
「え……」
俺と先生の声がかぶる。
「霞夜が一番、わかってんだろ。功のこと」
にっこり笑ってそう言ってくれる。
期待とか裏切れない性格で。
また来て、なんて言われたら絶対断れないんだよ、あいつは。
土曜日、1日ここ来なかったら、その間に勉強だって出来るし、体力ある分、日曜日にだってつなげれるんだよ。

わかってる。
駕崎のこと、誰よりもわかってるつもり。

体しか知らない中学生とはわけが違うんだよ。
「……多少のことは目を瞑るけど、あんま部員、苛めんなよ」
ため息交じりに先生がそう言ってくれる。
「ん……」

とりあえず、俺と真乃と白石は、部活を見学することになった。

「なぁ、駕崎はいつも、どいつらを見てるわけ?」
「んー。1年。ほら。あそこに固まってるだろ」
先生がそう教えてくれる。
「……そっか」

俺は、先生から離れて、そいつらの方へと向かった。
駕崎はいない。
まだ来てないのか?
それとも部室にいたりするんだろうか。

「かわいー。中学1年生」
白石が、すぐさま、中1のやつらと話し込む。
中1のやつらも、金髪や赤髪の俺や真乃より、少しは話しやすかったりするだろう。

どいつが、駕崎の相手なのかわかんねぇ。
やたら、1年を念入りに観察してしまう。
白石が、1年と戯れて。
俺と真乃は、ただボーっと、2、3年の試合風景を見守る。

沈黙を破ったのは、真乃だった。

「霞夜……。俺もさぁ。好きでもない奴とやったこと、あるよ」
 なんでもないみたいにそう口に出す。
「っんなこといちいち……」
「霞夜が、その手の話、嫌いだと思ってあんまりしなかったけど。功と凪とはよくするから。ホントは、功のことも知ってた。中学生の子、相手にしてるって。俺や凪から見れば、なんでもないことなんだ。付き合ってるっぽい子いるって、功は言ったけど、付き合ってるわけじゃないし。割り切ってると思う」
 割り切ってる?
「割り切って、そういうこと出来るのかよ」
「出来るよ」
 あっさり。
 少し冷たい口調で、真乃は言った。
「だけど、霞夜は、割り切れないってわかってる。俺も、功も。だから、功はお前に、手、出せなかったんだ」
 視線を、中学生に向けたまま、真乃は言葉を続けた。
「お前が、俺らみたいに割り切れるやつだったら。とっくに手、出してたと思う。セックスから始まる関係だってたくさんあるし。だけど、功からしたら怖かったんだろ。お前に嫌われたくないからお前が苦手なことはしないでいたんだ。お前を彼女にするのも、女扱いされるのが嫌だって、霞夜が言い出すんじゃないかとか。そういう変なとこ、気を使うんだよ。今の関係、崩したくねぇから、霞夜以外で、欲求、満たせる相手、都合よく捜してたんだろ」
 そんな風に、あいつは俺を見てたのかよ。

「俺は……」
 中学生なんかに取られるのは、嫌だ。
 別に、負けず嫌いだとかそういった感情じゃなく。
 賀崎が好きなんだろう……。


「……功のこと、わかってんだろ?」
 俺を見て、真乃がそう言う。
「わかってっけど……」
 なんで今、それを言うのかわからなくって、眉を寄せる。
 
 真乃が少し、ため息をつきながら笑う。
「だったら。今日。あいつがココに来るはずないってのも。わかるだろ」
 苦笑いしながら、やさしい口調でそう言った。

「あの先生に、聞いてみれば? 駕崎から連絡あったかって。あいつなら、休むとき、ちゃんと連絡入れるだろ」
 保健室で休む理由もちゃんと考えるようなやつだ。
 連絡くらい入るだろう。
 
 俺は、真乃に言われたとおり、先生の方へと向かった。
「先生、駕崎から連絡あった?」
 やたらと緊張が走る。
「ん……? あぁ。さっきちょうどな。今日は大事な用事があるから来れないらしいな」
 先生は、部員たちを眺めたまま、そう告げた。
「大事な……用事って……」
「そこまでは知らないけど」

 俺は、真乃の元へと戻る。
「連絡あったって?」
「ん……。なんか、大事な用事があるから、今日は来れねぇんだとか」
 真乃は、やっぱり……と言わんばかりの目を俺に向けた。
「霞夜、先に帰りな。俺は凪と一緒に、もう少し、ココで中学生らと遊んでくから」
 つまり、白石と一緒に中学生をどうにか説得しようとか思ってるんだろう。
「別に、俺……」
 なにを言おうと思ったのかはわからない。
 ただ、こいつらにまかせて自分だけ帰るのもあれだし。
 そう思った。
「……わざわざ霞夜のために、休んだんだろ。功」
「俺のため?」
 真乃が、あっけにとられたような表情を俺に向ける。
「お前、自分で言っただろーが。明日くらい休めばって。誕生日だろ?」
 すっかりそんなこと忘れてしまっていた。
 
 やっと、今日が4月13日で、俺の誕生日で、自分が、功に何気ないノリで、休めと言ったのを思い出す。

「帰れよ。お前は、中学生よりも大事にされてんだからさ」
 少しからかうような言われ方をしたけれど、かまわなかった。
 
 こんなところで、意地なんてはってる場合じゃないのだろう。
「……悪ぃ」
 そうとだけ告げて、俺は高校へと向かった。


 駕崎の部屋へと入り込む。
 中には駕崎しかいなくて、いつものように机に向かっていた。
「あ……霞夜」
 振り返って俺を確認して。
 安心したような表情を見せた。

「馬鹿じゃん、お前。なにしてんの」
 つい、そう言ってしまう。
 駕崎は怒る様子もなく、逆に俺を怒らせたことにあせりを見せる。

「中学、行かねぇの?」
 あえて、そう聞いてみる。
「今日は……行かないことにしたから」
俺が休めって言った事に関しては、触れないでいてくれた。
こいつって絶対、恩の押し売りとかしないやつなんだよ。
「駕崎さぁ。俺のことどう思ってるわけ? 中学生のこと付き合ってるっぽい相手っつってたじゃん。じゃあ俺はなんなのさ」
 なにをムキになっているのかわからなかったが、そういった口調でしか言えなかった。

 駕崎は、椅子から立ち上がって、正面から俺をじっと見る。
「霞夜のこと、そういう対象で見ていいわけ?」
 真面目な顔。
 妙に緊張する。
「……別に……」
「欲情とかされても、霞夜は平気?」
 欲情という言葉に、一瞬、嫌気がさした。
「なんだよ……それ」
「そうだろ? 恋愛対象で見るってことは、そういうことなんだよ」
「そういう目で見るのかよ」
「だから、霞夜が嫌がると思って。俺は霞夜には自分を隠す部分があったけど、全部は言えなくて……っ。でも霞夜に全部言えって言われて、言ったら、嫌いになりました、なんて理不尽だろ」
 隠されるのはいやだ。
 だけれど、俺に嫌われないようにと思ってしてたんだろ。

 昨日、駕崎が、全部言わなきゃいけないのかって言ってきたときも。
 隠さないと、俺に嫌われるとか思ったんだろうか。

「……隠すなよ。別に、嫌いになんてなんねぇし」
「ホントは霞夜のこと犯したいとか思ってる人間なんだよ? そんなやつと、いままでどおり、一緒のベッドで寝たり出来るわけ?」
 それでも。
 大丈夫。
「いいっつってんだろ。お前がそうしたいと思うのは自由だし」

 今日。
 ホントは中学校に行って、毎週のように、中学生の子とやってくるつもりだったんだろう。

「駕崎……欲求不満になるだろ?」
 俺は、目線を逸らして、そう聞く。
「え……」
「今日……やるつもりだったのが、なくなったら……欲求不満になるだろ」
 俺は、自分のズボンのベルトをはずし、チャックを下ろす。
「霞夜……?」
「犯せよ……。そうしたいって思ってんだろ」
 駕崎の手を取って、自分のを触らせる。
 他人に触れられ、体が必要以上に強張った。
「ちょっ、無理すんなってっ」
「無理じゃねぇんだってば。うるせーな」
 俺は力まかせに、駕崎の体をベッドへと押し倒した。
「嘘つくなよ、隠してんじゃねぇよっ」
 俺は、駕崎のズボンのチャックを下ろし、下着から駕崎のモノを取り出す。
 
 すでに硬くなっているソレを、少し震えてしまう手で握ると、上下に擦りあげてやった。
「霞夜……」
 どうすればいいかなんて、さっぱりわからなかった。
 
 昨日、やられたみたいに……。
 そう脳裏に浮かぶ。
 俺は、心を決め、顔を近づけると、駕崎のモノに舌をつけた。

 まったくわかんなくて。
 一度、咥えこんだが、歯を立てちまったから、それはやめにして、ただ、横から舐めあげる。
「霞夜……」
「っ……んっ、ン」
「もう……いいから」
 駕崎が、俺の頭を引き剥がす。
「なにそれ……。俺が、下手だからかよ」
 こんなん初めてで、どうすればいいかわかんねぇし。
 中学生の方が、たぶん、何倍もうまいんだろう。
 悔しい。
「っ……しょうがねぇじゃん。わかんねぇんだよ。下手だけど……っこんなん、お前にしかやろうと思わねぇんだよ」
 駕崎は、そう言った俺の腕をいきなり引いて、抱きしめる。
「なっ……」
「別に下手とか言ってるわけじゃない。苦手なら無理してしなくていいってことだよ」
「無理なんてしてねぇよ」
「気持ちだけで、すっげぇうれしいし。霞夜が嫌なことを無理にしてもらっても、うれしくないし……」
 抱かれてるせいで、体が強張っていた。
「別に……嫌じゃねぇ」

 駕崎は、逆に俺を押し倒して、俺のズボンと下着を引き抜いた。
「……最後まで、していいわけ?」
 最後まで……。
 緊張が走る。
「……っ」
 どう言えばいいのかわからず、なにも言えないまま、頷いた。
 
 駕崎が、手を伸ばして引き出しからなにか取り出す。
「……ローションだよ」
 俺が、目を向けたせいか、そう説明して、その液を自分の手にたらしていた。

 滑りを纏った手が、俺の股間に触れる。
「っ……ん」
 ひやりとした感覚に、体が震えた。
 やんわりと扱かれて、たまに変にビクつく。

「ぁっ、んぅ」
 駕崎は、俺の右足の膝裏に手を回すと、ゆっくりと持ち上げるようにして、俺の足を折り畳んでしまう。
 そのせいで、駕崎からは、奥まった部分までが丸見えだ。
 
 駕崎の指が、奥へと進み、入り口を撫で上げる。
「っ……」
 見える範囲で、駕崎の手に視線が向く。
 ぬめった感触の指が、少しさ迷うように撫でたあと、ゆっくりと押し入ってきた。
「んぅんっ……」
「力、抜いて……」
 俺は、顔をそむけ、なるべく力を抜くようにした。
「はぁっ……んっ」
 ゆっくりゆっくりと。
 奥の方まで入り込んでくる。

 奥まで入った指が、今度は少し退いて、中で小刻みな動きを繰り返す。
「っんっ、ぁっ……くっ」
「苦しい……?」
「あっ、んぅんっ」
 俺は苦しくないんだと、首を横に振った。
 
 何度か動かされるうちに、次第にスムーズになる。
 小刻みだった動きは、少し大きな動きへと変わっていった。
「はぁっあっ……駕崎ぃ、あっ」
「もう1本、足すよ」
 わざわざ言ってから、2本目の指を押し込んでいく。
「あぁあっ……キツっ」
「やめようか……」
 俺は、首を振って、続けることを要求した。

 また、ゆっくりと慣らされて。
 ローションのせいで、いやらしい音が響く。
 
「はぁっあっ……んぅっ」
 キツいと思っていた感触も次第にだいぶラクになってきていた。
「……悦くなってきた?」
 さっきまでとは違い、だんだんと心地よさを感じる。
「ンっ……あっ」
「声、変わってきたよ……」
 駕崎の指が、抜き差しされるたびに、敏感に感じるところを、やんわりとこすっていく。
 気持ちよくて、うまく物事が考えられなかった。
「あ、んっ……はぁっンっっ」
 2本の指に慣れてきて、ころあいとみたのか、駕崎が指を引き抜く。
 
 また、妙な緊張が走った。
 駕崎が、俺の両足を広げさせると、自分のモノを押し当てる。
「っ……」
「いい……?」

 わざわざ確認して。
 俺が頷くと、ゆっくりと腰を進め、中へと押し入ってきた。
「んーっ……」
「力、抜いて……っ」
「あっ……くっんっ」
 なかなか力が抜けず、駕崎が半ば強引に入れ込んいく。
 奥の方まで入ってくる感触がした。

「大丈夫……? 入ったよ」
「ん……」
 キツい。
 駕崎が少し腰を動かすだけで、体が変にビクついた。
「んっ……くっ」

 少しかき回すように、中を動いて。
 小刻みな出入りを繰り返す。
「ぁっんーっ……っくっあっ」
 キツすぎて、苦しくて。
 息が詰まりそうだった。

 けれどたまに、ゾクっとしたなにかが走る。
 その頻度が増えていく。
「あっ……アっ、んっ」
「ココ……いいんだ?」
 駕崎が、俺の感じるところを見つけたのか、今度は執拗にそこを刺激した。
「ぁあっ……はぁっ、ぁっあんっ……んぅっ」
「感じてきた……?」
「あっ……ぁあっっ……ンっ」
 いやらしい声だと自分でも思うけど、どうにもならなかった。
 さっきまでとはなんか違う、変な声。

「あぁあっ……駕崎ぃっ、俺っあっ」
「なに……」
「あっ……変っぁっ、だめっあっ……やぁっあっ」
 駕崎の動きが速く大きくなると、もう意識が飛んでしまいそうだった。
「ぁあっ……あんっ、やぁっあっ……やぁあああっ」

 クラクラした。
 駕崎のが一気に引き抜かれたけれど、そんな感覚もわからないほどで。
 自分も、わけのわからないうちにイかされた感じだった。



「霞夜。大丈夫……?」
 俺は、答える元気がなくて、ただ、そっと頷いた。

「つらいだろ……? 俺に付き合ってこんなこと、嫌いなのにする必要ないしっ」
 あせった様子で、駕崎が言う。
「別につらくねぇよ……。嫌じゃねぇって。嫌なら隠さずに俺は嫌だってお前に言うから……。お前も、隠さずに、やりたいと思ったら、俺に言えよ」

 駕崎は、そっと頷いていた。

「霞夜……。俺と付き合ってくれる?」
 緊張した面持ち。
 あいかわらず、こいつは、変なところが男らしくない。
「……いまさら何言ってんだよ、てめぇは」
 少しだけ、間をおいて。
「よくなきゃ、わざわざ犯されたりしねぇよ」
 そう言う俺の口を、駕崎が口で塞ぐ。
 直後、うれしそうな表情を見せた。
 いつも、申し訳ない顔ばかり見せるから、なんとなくこんな駕崎は久しぶりな気がした。




 結局、中学生の対処をどうしたかというとだ。

 俺としては、別に本当のところ、たぶんヤキモチで。
 駕崎の勉強が追いつかないだとかは、あまり考えてはいなかったと思う。
 別に、中学に行ってもかまわない。
 ただ、そういった行為をするのは、やめてもらいたいと思っただけ。
 けれど、次の日、真乃たちに話を聞いたところ、結局は頻度を下げ、二週間に1回へと変わったそうだ。


「その中学生は、文句、言わなかったのかよ」
 一応、やる相手が二週間に1回しかこなくなる。
 来たところで、そういうことはしないで欲しいわけだし。
 そう聞く俺に、真乃と凪は楽しそうに。
「いやぁ、ホント、昨日は悦かったねぇ、凪ちゃーん」
「ホント、若いっていいねぇ。というか、こう初々しさがあるっていうかぁ。かわいすぎ」
 会話の意味が、いまいちわからなかった。
「どういうことだよ」
「だからさぁ。大丈夫。俺らが、食ったから」
「……食った?」
「俺らが、Hの相手して、欲求満たしてあげたから、大丈夫だって。これからも、いつでも連絡くれれば、してあげるって言ってあるし?」
 
 最低だな。
 だけれど、そのおかげで、駕崎がその相手をしなくてすむ。
 こいつらは、俺らのためを思ってしてくれたのだろう。
「……そっか」
 そう言うと、真乃と凪が、2人で顔を見合わせる。
「……めずらしー。霞夜に殴られる覚悟出来てたのに」
「おとなしいね。さすが功くんの力」
「っつーか、功、中学生とできない分、霞夜とやったんだろ」
「あ、やっぱり? そうかなーとは思ったんだよね。じゃあ、そういうネタ、大丈夫になったとか」
「ぶっちゃけると、中1のどの子が功の相手かわかんなかったから、7人いたけど凪と手分けして、全員、やっちゃったんだよなー」
「あははは♪ そうそう。みんな、盛ってるねー」
「だから、今度、欲求不満になっても、そいつら同士でやるんじゃねーの?」
 さすがにそういう二人は、躊躇なく、殴っておいた。