『功くん功くーん!! おもしろい物発見しちゃってさー』
 修学旅行中、夜、霞夜と凍也と凪がルールも守らず外へと遊びに行っちゃって、俺は他のクラスメート達と寝床で雑談してたんだけど。
 凪からの電話。
「そろそろ戻った方がいいんじゃない? 見回りで怒られちゃうよ」
『わかってるよー。あのね、誰かのH現場に遭遇しちゃってさ。あ、見てはいないんだけどね。声だけ』
「それ、霞夜も?」
『そうそう。おもしろいでしょ。だからね。いまたぶんムラムラしちゃってる状態で、怒って一人、そっちに向かったから』
 なるほど、ね。
 それは確かにおもしろいかもしれない。
「ありがとう、凪」
『どういたしましてー』

 凪と凍也は2人でまだ遊んでるんだろう。
 霞夜はなんていうか、すこし純粋なところがある。
 最近はずいぶんエロくなってきたけど、それでも人前ではそんな素振り見せないし、下ネタが嫌いだ。
 嫌いだからこそ一人で溜め込んでしまう。
 このままほっといても別になんてことはないんだろうけど、やっぱりHになってる霞夜も好きだし。
 俺は1人、部屋を出る。  

 少しして、霞夜の姿が目に入った。
「ああ、駕崎なにやってんだ?」
「そろそろ霞夜たち帰ってくるかなって思って」
「出迎えるほどじゃねーだろ」
「まあそうなんだけど。霞夜、なんかあった? 顔赤いけど」
 赤くなってなどいないがそう鎌をかけてみる。
 霞夜は、あくまで冷静を装ったまま。
「別になんもねーけど」
 そう言いながらも俺から顔を逸らした。
 目を離した隙を狙い霞夜の頬に手を振れる。
「っ!」
「ん、どうした?」
「なに、急に……っ」
「別に? やっぱ顔赤いよね」
 嫌がるよう俺の手を払いのけようとする霞夜を無視し、両方の手で顔を包み込む。
「ね、霞夜。キスしていい?」
「なに考えてんだ、てめぇ」
「ほら。部屋はみんながいるし。少しだけ」
「ふざけんな」
「ふざけてないよ」
 少し強引に口を重ねると、霞夜は俺の体を叩いた。
 それすら愛おしいと思ってしまう俺も重症だな、なんて感じつつ壁へと霞夜の体を押さえつける。
「んっ! んっ」
 舌を差し込み、右手で霞夜の股間に触れ掴み上げると、霞夜は体を軽く跳ねさせ俺の右腕を掴んだ。
 ギリギリと爪を立て引きはがそうとするけれど、元々霞夜より俺の方が力はある。
 薄手のズボンの上から少し揉み上げるだけで、そこは硬く熱を持ち始めた。
 舌を絡め、頭を撫で、何度も何度も布越しに擦り上げていく。
 右腕を掴んでいた霞夜の手が、今度は俺のシャツをぎゅっと掴んだ。
「んぅっ! んっ……」
「はぁ……すご……霞夜。ビクビクしてる」
 口を離し耳元で教え込むと、俺から顔を逸らした。
「ぁっ……んっ……キス、だけってっ」
「だけ? そんなこと、言った?」
「ふざけっ……はぁっ! あっ」
「霞夜……廊下だから、声抑えて」
「んぅっ! んっ! はぁっ!」
「ああ、霞夜は恥ずかしいこと大好きだから、余計感じちゃう?」
 霞夜は小さく首を振り、俺の二の腕に爪を立てる。
 息を荒げ、足元をふらつかせる霞夜を見ていたら、俺も体が熱くなってきた。
 かわいくて仕方が無い。
「痛いよ、霞夜。わざと? それともどこかに爪立ててないと苦しい?」
「はぁっ! ぁっ……ん、駕崎っ……駕崎ぃっ……」
 なにかを訴えるみたく霞夜は俺の名を呼ぶ。
 珍しいな。
「ん、どうしたの?」
「はぁっ、んっ……あっ……いくっ」
「どうして、今日はそんな風に教えてくれるの?」
「はぁっあっ! んっ」
「ああ、ここで服汚しちゃまずいもんね。待って」
 俺はいったん霞夜から手を離ししゃがみこむ。
「ぁっ……駕崎?」
 ズボンと下着を少し下ろし、勃ちあがった霞夜のモノを咥えこんだ。
「くぅっ! んっ! んぅっ」
「ん……いいよ、出して」
「はぁっあっ……あっ、んぅんんっ!!」


 ビクビクと体を震わせ、霞夜は俺の口内へと精液を吐き出す。
 霞夜は、壁にもたれたまま、ずるずるとその場へ座り込んだ。
「大丈夫?」
「っふざけんなよっ」
「ふざけてないよ。……まだ足りてないでしょ」
「んなわけねーだろっ」
 そう言う霞夜の体を抱え上げる。
 力が抜けてて抵抗できないようだ。
「おろせ」
「トイレ行こうか」
「なんでだよっ」
 霞夜を無視する形で移動の最中、尻を撫でると、霞夜は小さく体を震わせ息を吐いた。
「はぁ……」
 本当は、エッチなことしたいって隠せてないな。
 かわいくて、何度も何度も尻を撫でまわす。
「っ……駕崎、やめ……」
「もう俺とセックスする気でいてくれるよね?」
「……むかつくからしない」
「でも、このまま寝ちゃったら、霞夜、変な夢見て寝言でいやらしい声出しちゃうんじゃない?」
「んなわけないだろっ」
 そう言いながらも、体びくびくさせる。
 ホント、かわいい。
「大部屋だしさ。みんなに聞かれちゃまずいよね。霞夜があんあん寝言で喘いじゃうの」
 霞夜は、俺の背中を叩きつけ、膝で腹まで蹴りかかる。
「っも、触んなっ」
「どうして? 抜いておこう?」
 尻から手を離し、今度は優しく頭を撫でる。
 霞夜は諦めたのか、なにも反論しなかった。  

 トイレの個室へと入るが、霞夜は不機嫌そうに、俺から顔を背ける。
「……マジで言ってんの?」
「え?」
「だからっ……駕崎といるときとか。寝言でそういうこと……」
「霞夜、いやらしい夢見てるんだ?」
「っ……そういうんじゃねーけどっ」
「どうだろうね。それより、まだ顔赤いよ」
「それよりじゃねーよ。別に言わないんなら、もう戻って寝る」
「いま寝たら、絶対、エッチな夢見るよね」
「……1人で抜くから、お前出てけよ」
「どうしてそんなこと言うの? 霞夜、2人でしよう?」
 霞夜の体を壁へと押さえつけ、首筋にそっとキスをする。
 意外にも、霞夜は俺を叩くことも逃げることもなかった。
 シャツに潜り込ませた手で、胸元をそっと撫で上げる。
「っ……はぁっ、駕崎ぃ……」
 甘えた声。
 まあ勘違いかもしれないけど、
 やっぱり誰かがやっちゃってる声聴いたせいで、結構そういうモードになってるのかもしれない。
 霞夜は右手だけ俺の背中に回し、ぎゅっとシャツを掴む。
 突起した乳首を転がし、首筋を軽く吸うだけで、霞夜は体を小さく震わせた。
「1回イったのに、すごくエッチだね……」
 胸元を撫でていた手で、ズボンの上から股間を確認すると、またそこは硬くなっている。
 撫で回すと、シャツを掴んでいた手で背中に爪を立てられた。
「はぁっ……あっ……あっ、やっ」
「や?」
 ズボンを脱がせると、下着はもう先走りの液で少し濡れている。
 その下着も引き摺り下ろし、濡れた先端をそっと指先で撫でた。
「駕崎っ……ゃっ……あっ、やめっ」
「やめたくないな」
 空いた左手で頬を撫で顔を覗き見ると、霞夜は不安そうな表情で、目を潤ませている。
「え……」
 そんなに嫌か?
 右手に収まる霞夜のモノは熱を持ったまま。
 それどころか、トロトロとさっき以上に液を溢れさせている。
 どうしても嫌って態度には思えないんだけど。
「やっ……んっ駕崎ぃ」
「教えてよ……。悦く無い?」
 指先を動かし、溢れる蜜を塗り付けていく。
「はぁっあっ……んぅっ!」
 霞夜は顔を真っ赤にして、俺から顔を背けることも出来ずポロポロと涙を零した。
「……もしかして恥ずかしい?」
「っ……違っ……」
「そういえば、こうやって誰かに聞かれるかもしれない所でするのは初めてか。ああ、保健室で少しされちゃってたこともあるけど、あのときはまだ恥じらう余裕、なかったもんね」
 違うと言ってはいるが、どうやら間違ってはいなそうだ。
 指の腹で何度も何度も、先端を撫で回していく。
「はぁっあっ……あっ」
「なに。誰かに聞かれると思ったら、興奮しちゃったの?」
「っ……んっ! や……っぁっ……ぁっ駕崎ぃっ」
「ちゃんと教えて?」
「はぁっ……わかんなっ……」
「わかんないじゃ、俺もわかんないよ」
 指先の動きを止めても霞夜は息を荒げたまま、あいかわらず不安そうな表情で俺を見上げてくれる。
「こんな……場所で、したくねぇ……っ」
「そうなの? 泣くほど嫌? ……ちゃんと言って」
「はぁっ……こんな……人が来るかもしんねーのに。なんでっ俺っ……勃起してんのか、わかんねーしっ」
 ああ、霞夜はホント、そういうの嫌いだからなぁ。
 外でやるとか、教室でやるとか、絶対に嫌だってタイプだし、そういう場所でしてるやつらのこと軽蔑してたと思う。
 いざ、自分がそっち側になっちゃって、しかも感じちゃって、困惑してるわけね。
「霞夜は知らないんだ? こういうところですると、いつもより興奮して感じられるって」
「っ……んなわけな……っ」
「こんなに、先走り出してんのに?」
 指先でたらたらと溢れ出てくる霞夜の先走りを拭い、霞夜の目の前で糸を引いて見せる。
 霞夜は、真っ赤にした顔を、横へと逸らした。
「さっき、廊下でもすごい感じてたよね。ここより危ないよ。誰が来るかわからなかった」
「っ……ん」
 ああ、おもしろいなぁ。
 こんなに恥ずかしがってくれるなんて。
 その上、こんなに感じてくれるなんて。
 もう処女でもないし何度もセックスしてるのに。
 泣くほど恥ずかしいのか悔しいのか。
 どっちにしろたまんない。
「霞夜から、たくさん溢れて、もうすぐにでも後ろ、入れられそうだね」
 濡れた指先で、足の付け根、中心部分を撫で上げる。
 霞夜のソコは、ヒクついて指を欲しているようにも思えた。
 導かれるよう俺は指を少しだけ差し入れていく。
「ひぁあっ……ああっ……やめ……っ」
「うん、指。奥まで入れちゃうね」
 霞夜の言葉をまったく聞きいれず、ずぶずぶと挿し込んでいくと、霞夜は俺の背中にまた爪を立て、体を大きく跳ねさせた。
「んぅううっ! んぅっ!」
 声我慢してる霞夜、かわいいなぁ。
 指先で、霞夜の感じる内壁を撫でながら、耳元に軽くキスをする。
「気持ちいい? 霞夜」
「ひっぅっ! んっ……ぁあっあっ」
「教えて?」
 かわいすぎて、苛めたくなる。
 強めに何度も何度も、前立腺の付近を撫でて押さえつける。
「ひぁっあっ……くっ! あぁああっっ!!」


 すぐにイってしまう霞夜の体を撫でながら、今度はゆっくりと指で中を掻き回した。
「はぁっ……ぁあ……っ」
「ね、霞夜が教えてくれないから、わかんない。でもイっちゃったね。良かった?」
 霞夜はやめろと言わんばかりに俺の体を押しのけようとする。
「んぅっ……も、掻き混ぜんなぁっ」
 そんなこと言われて素直にやめるほど俺も優しくない。
 強すぎないよう抜き差しすると、霞夜はまた体を震わせ、俺のシャツを掴み直した。
「はぁあっ! ぁあっ! ぁんぅっ」
「……ね、霞夜……。入れていい?」
 耳元で、囁くよう声をかけてみるが、霞夜は小さく首を横に振る。
 最近、少しはマシになったと思っていたけど、まだまだ霞夜はちょっと頑固なところがある。
 とりあえず耳に軽くキスをして、2本目の指を差し込む。
 さっき、イってしまった精液がたらたらと垂れて濡らされた俺の指はすんなりと飲み込まれていった。
「ぁあっ! あっ! あっっぁあっ」
「……霞夜。声出しすぎ。ねぇ、俺のでこん中、広げさせて?」
「んぅっ! んぅうっ! ぁああっ! 駕崎ぃっ、ぁっあっ無理っ」
「無理ってなにが? 声殺せない?」
 足を広げて、腰まで俺に寄せて、かわいいというよりいやらしい。
 だいぶやりたくなってきているのがなんとなくわかった。
「ぁっあっ! ……駕崎ぃっ……ぁあっ、違う、とこでっ」
「違う所?」
 そっと指の動きを止め、霞夜の頭を撫でてやる。
 霞夜は大きく呼吸したあと、そっと俺を見上げた。
「はぁ……あ……」
「違う所でなら、したいんだ?」
「っ……俺がじゃなくて。……駕崎、したいんだろ」
 またそれか。
「そうだね。でも、ここでする方が興奮出来るよ」
「……他の場所じゃ、やなのかよ」
「そういうわけじゃないけど」
 そもそも他に出来そうな場所なんて無い。
「駕崎は……こういう場所じゃねーと、興奮出来ねぇの?」
 それ、肯定したらここでしてくれる?
 そんなことを考えるけれど、あまりにも不安そうに見上げられ、言い留まる。
「いつもは……それほど興奮してねーってこと?」
 そういう心配してくれちゃうんだ?
「そうじゃないよ、霞夜。ちゃんと興奮してる。でもたまにはこうして、もっと刺激のあることしてみてもいいだろ」
「……こんな場所でセックスするなんて、間違ってる」
 なんで、そういうとこ真面目なんだろうな。
「霞夜だって、トイレで1人Hくらいするくせに」
「っ……1人はいいけど」
「同じだよ」
「全然違う」
 難しいなぁ。
 このまま強引にやっちゃうのは、あとが怖いっていうか、やっぱり嫌われたくは無いし。
 ああ、霞夜は、少し引いた方が罪悪感覚えて気にしてくれるかもしれない。
 霞夜の善意を利用するのは悪いけど、そっと指を引き抜く。
「んっ……」
「じゃあ、やめようか。別々で出た方がいいかな。先、行くよ?」
「……ん」
 霞夜は少し戸惑いながらも、なにも言えないのか小さく頷く。
 俺は内心、期待しながら、トイレの個室をあとにした。