あれ。
 明日って出校日?
 って、宿題提出するんだっけ?
 もう夕方なんだけど。

「誠樹−。あのさ、明日って宿題出すっけ?」
 一応電話で聞いてみる。
『出すよ。お前3年にもなっていまさらなに言ってんの』
「……いや、忘れててさー。どうしよう」
『俺は今日の夜行で予約取ってるから手伝いに行けねぇよ』
 だよなあ。急だし、今寮にいない誠樹をわざわざ呼び出すってのも。
「確認したかっただけだから」
『そ? でも、お前は美和がいるから大丈夫だろ』
 やっぱりそうなるか。
「まあいいや。サンキューな」

 

 とは言ったものの。
 美和に頼るのか?
 いやいやそれは……。 
 しかしこの量は一人でやれる量ではないし。
 もう忘れましたって言って、期限を延ばしてもらおうか。

 そうこう考えているときだ。
 コンコンとノックの音がした直後、ドアが開く。
「玲衣くん?」
「美和……なんで」
 寮でずっとだらだらしちまってる俺とは違ってお前は、家に帰っただろ。
「玲衣くん、宿題出来てないかなって思って。来ちゃった」
 にっこりとそう言ってくれる。
 こいつ俺のことわかってる!
 けど、俺もこいつのことわかってる。
 絶対、タダでやってくれるような人間じゃないってこと。

「……あと少しなんだけど」
 本当はまだたくさんなんだけど。
「俺が手伝うまでもない?」
 どうしよう。
 いや、ホント俺一人じゃ無理だと思うし。
 美和一人なら楽勝な気もするけど。

 やっぱ頼るか。
「……あのさ。少し手伝って欲しいかなー」
 そう言う俺ににっこり笑う。
 こいつの笑顔、苦手だな。
 なんか企んでそうで。
「少しでいいんだ?」
「……まあ」
「あと少しって言ってたよね。じゃあ、俺がそれやるから。その間、俺の言うこと聞いてくれる?」
 絶対イヤなんですけど。
「無理に決まってんだろ」
「少しなんでしょ。10分くらい? 縛られてくれてたらその間やってあげる」
「えぇええ……なにそれ」
「趣味かな」
 馬鹿だろこいつ。
「つまり、俺が縛られてる間だけ、お前がやってくれるってこと?」
「そう」
「いや、2人でやろうよ」
「縛りプレイ?」
「違ぇよ、宿題」
 
 まあ俺のスピードじゃ終わらないこの量も、こいつのスピードならわりと早くに終わるだろう。 
 俺が1人でやるよりはこいつ1人の方が絶対に速いと思う。
 でも二人でやるのが一番だよな。
 こいつ、その気はない……か。
「……じゃ、ホントに俺が縛られている間は宿題やってくれんだろうな」
「いいよ」
「なんも手、出してこねぇよなっ!?」
「終わるまでは出さないって、約束しようか」
 それって宿題終わったあとにするってことか?
 1回Hするくらいなら……。
 まあ最近溜まってるし。
「どう縛んの?」
「嬉しいね。玲衣くんが素直に俺に縛られてくれるなんて」  
 


 美和は、イヤホンのコードを使って俺を後ろ手に縛る。
 あ、なんか拘束されるとちょっとエロいこと考えちゃうな。
「これだけでいいの?」
「もっと縛られたい?」
「そうじゃねーよ」

 縛られた状態でベッドに寝転がる。
 横向いても上向いてもちょっと違和感あるし、手が痺れそうだ。
 座った方が楽だな。
 床に座って、ベッドもたれかかった。

「なあなあ美和、テレビつけろよ」
「駄目だよ。気が散る」
「ちぇ」
 まあ少量ならともかく結構な量だし言うこと聞いておこう。

 そういえば、終わったら手、出されるかもしれないんだよな。
 それはいいとして。
 ……もしかして俺、縛られたままやることになるのか?
 いや、それは困る。
「あのさ、美和」
「なに」
 あ、少し冷たい口調。
 邪魔するなってことか。
「あ、あとでいいや」
「そう? ああ、俺が宿題やってる間、言うこと聞いてくれるって約束だったよね」
「……それは無理だっつっただろ。縛られるだけだって」
「手は出しちゃ駄目なんだっけ」
 くるりと回転椅子を回して、俺の方へと体を向ける。
「踏んでいい?」
「へ?」
 理解出来ずにいると、美和の足が俺の股間をそっと踏みつけた。
「なっ……ぁっ」
「手は出してないよ」
 子供か、お前は。
 けど少しくらいなら付き合ってやっても……。
「最高の踏み心地だね」
「っさいあくっ」
 やっぱ駄目だ。
 ズボン越しにフニフニと踏みつけられ、上から見下ろされ、なんか屈辱的だし。
 でも、絶妙な加減で揉まれてるみたいでちょっと気持ちいい。
「んっ……」
 今朝、ちゃんと抜いときゃよかった。
 こんなわずかな刺激でもうやばいし。
 ちょっと興奮してきたかも。
 悟られないようにしねーと。
 チラっと美和の表情を伺う。
 なんか、やらしい顔で俺を見下ろしてる美和と目が合った。
 駄目だ、これ。
「美和……っぁっ、約束が違っ」
「約束? 縛られてくれてるからちゃんと、宿題進めてるよ」
 中断しやがって。
 と、思った矢先、美和は問題集を机から手に取り左手で支えながらペンを走らせる。
 俺のを踏んだまま。
 テレビつけると気が散るとか言ったくせに。
 問題集のせいで美和の表情がわからない。
 美和からも俺が見えてないはず。
 それでも、足で擦られ踏みつけられて、体が熱くなってきた。
「っんっ……はぁっ」
 手で擦られてるわけでもないのに。
 足だぞ。
 足で踏まれて……。
「ぁっ……」
 駄目だ、なんか余計感じてきた。
 俺、今、美和に足で踏まれて擦られて、見下ろされて。
 なんでこんな感じてんだよ、マゾかよ。
 そう思うのに、美和の足が気持ちよくてたまらない。
「んっ……ぅんっ!」
 体がくねる。
 腰もなんか動いちゃうし。
 まるで美和の足に擦りつけるみたいに揺れてしまう。
 しょうがねーだろ、気持ちいいんだから。  

 腰を動かすと、少し強めに足が当たって、すごい気持ちいい。
 美和は……あいかわらず問題集見てるからどうせ見ていない。
「んっ! はぁっ……」
 すごい、これ、気持ちいい。
「はぁっ……っぁあっ!」
「どうしたの? 玲衣くん」
 なんでもないと首を横に振る。
 どっちにしろお前、見てないだろうけど。
 美和の足の裏が、竿を踏みつけて、足の指が亀頭部分をぐにぐにと揉んで、頭がボーっとした。
「あっん、んっ!!」
 駄目、いく。
「っあっ……美和っ」
「ん、また約束とか言う? じゃあやめようか」
「んっっ……」
 いまここでやめんな、バカ。
 焦らすみたいに足が少し離れ、つま先で裏筋あたりをなぞっていく。
 もっとさっきみたいに踏んでくれないと。
 って、俺なに考えてんだ。  

 なにも言えずにいると、美和の足は離れてしまい、何事もなかったかのようにくるりとまた回転椅子を机の方向へと向ける。
 嘘だろ、嘘だよな?
 いや、踏んでる間あんなら集中して宿題やれよって思ったのは俺だけどっ。
「っ…美和?」
「うん。宿題終わるまでは、手を出さないようにするね」
「足っ……」
「足ならいいとか、そういう問題じゃないでしょ」
 いきなり聞き分けよくなってんじゃねーよ。
 バーカ。
 ああもおうむかつく。
 わかっててやってんだろ、どうせ。
 いつも引っかかる自分のバカさ加減にもむかつく。
 素直に初めから欲しがってたら、こんな風にはなってないのかもしれないけど。

 美和。
 もうこういう関係になって1年以上経つ。
 何度もセックスして、好きになった。
 ……美和がっていうかセックスが。
 元々エロいことは好きだけど、知らなくて、美和に教えられた。
 教えられたはずなのに、美和はまだ新しいことを教えこんでくる。
 足でされるなんて初めてだ。