やばい。
うざかったんすけど。
うざがってたのは俺ですけど。
夏休み、7月はあいつ近くにいたよ?
でも8月はいなくて。
1ヵ月経つと、やりたくなるっつーか。

…前はこんなんじゃなかったのに、あいつが7月中、やりまくったせいだ。

一人んときにちょっと、後ろに指入れてみたりしたけどなんか違うっつーか。

でも、もう新学期だし。
美和がいるわけで。
どうせやるだろ。
やりにくんだろ。


今日1日我慢。
そう思うのに。

こいつはもー、他のやつと話してばっか。
いや、前からそうだったけど。
むしろ、俺と学校で話すことなんてほとんどなかったけど!!

だからいいけど。
っつーか、体がうずくんでどうにかしてくれますかーなんて言えるわけねーし。
たとえ相手が美和でも言えねーし。
むしろ、美和だからこそ言えなくね?

やっべぇなー。
始業式どころじゃないし。

熱い。

ボーっとしてくるし。
やりてぇし。
教室に戻って、先生がなにかしゃべって。

あぁ、今日はこれだけか。
もう帰れるのかって、理解は出来るけど、なんか面倒で体が動かない。
熱いんだよ。
体がうずくっていうか。
なに俺、変態だ。
眠いし。
俺の席が壁の隣だから、この壁にもたれてると少し冷たくて気持ちよくて好きだ。
あぁ、でもマジで寝そう。


「玲衣くん」
「うわぁあっ!?」
耳元でいきなり話しかけられる。
びびって変な声出ちまったし。
美和だ。
「てめぇ、いきなり声かけてんじゃねぇよ」
「ごめん。そろそろ帰るかなって」
「へ…」
見渡すと教室内には俺らだけ。
あぁ、寝ちゃってたか。
「くっそ。誠樹のやつ、起こしてけよなー…」
「声、かけてたみたいだけど。玲衣くん起きなかったから、俺が起こしておくって伝えたんだ」
はいはい、そうですか。

「じゃ、帰りますかねー」
しょうがなく立ち上がると、その俺の体を壁に押さえつける。

前もあったな、こういうの。

「っ…なに…」
やば…。

なんかドキドキするし。
一瞬びびったけど、すぐに期待に変わったっつーか。
そりゃ、ここではどうかと思うけど、でももう…っ。

「やりたそうな顔してる」
「っ…ばっか、てめぇ…っ。んなわけ…っ」
やりたいやりたい。
美和の顔も見てらんねぇし。

「そっか」
「へ…?」
そっかって?
顔をあげるとなんでもないみたく笑って。
「玲衣くん、やりたいのかなーって思ったけど、違うならいっかって話」
そう解説。

いや、やりてぇってば。
とりあえずキスくらいさぁ?
ほら、一ヶ月ぶりの再会なわけだし。

「ってめ……マジでうざい」
「物欲しそうな顔してる」
「してねぇよっ」
「ホント?」
ホント? って聞かれてもわかるわけねぇだろ。

それなのに俺が応える間もなく美和は俺の口を塞いだ。
久しぶりのキスだ。
熱い。
「んっ…」
頭がボーっとする。
一人Hじゃ絶対無理な気持ちよさだし。

舌が絡まって、頭ん中、やらしい音響いて。
やばい。
元々やりたかったのに、今もう最高レベルに達してる。

「んぅっ…んーっ…」
美和の足が、俺の股間に触れて。
俺、勃ってんのバレる。

いやもういまさらだけど。

口をやっと離してくれて、すぐさま美和は俺のズボンのチャックを下ろしていく。
「っ…美…和…っ」
やべ。
あきらかに俺期待してるし。
こんな場所でとか、思うことはいろいろあるけれど。
したい。

美和の手に直接握られると、それだけで体がビクついた。
久しぶりの感覚。
1ヵ月、おあずけされてたっつーか。
…おあずけって、別に犬じゃあるまいし。
でも、やりまくった後に一ヶ月も空けられると、無理っつーか。


美和の手が、俺のをそっと上下に擦っていく。
「ぁっ…んっ…ンっ…はぁ…っ」
「…もう一度だけ、聞くけど。やりたい…?」
馬鹿か、てめぇ。
ここまで来て違うわけねぇだろ。

「っん…っ」
「やりたくないの? …さっき、別にやりたくなさそうだったもんね…。やめとこう」
なにも応えない俺にそう言って、手を離してしまう。
「ばかっ…」
「ばか?」
いや、こいつ馬鹿ではねぇけど!
むしろ馬鹿は俺か。
いろんな意味で。

こいつが俺になにを言わせたいのかもわかってるっつーか。
俺から求めないとしないっつーか。
俺がめちゃくちゃしたくてたまんねぇの、わかってんだろ。

「…ばか……っ…」
なに俺泣いてんの、馬鹿すぎね?
美和の指が、俺から溢れるぬめりを取って遊ぶ。
軽く爪を立てられ、体が大きくビクついた。
「ひぁっ…!!」
その刺激に、立ってられず、一気に腰が抜ける。
うわ、もう最悪。

「玲衣くん、俺、馬鹿って言われるの嫌いだって、わかってくれてなかった?」
バカは俺の口癖で。
別に本当にバカだと思ってるわけじゃなくてもつい口をつくっつーか。
「…知るかよ…っ。初耳だし…っ」
「いや、嫌いっていうか、好きかな」
どっちだよ、こいつ。
「なんか、玲衣くんにバカって言われると、いじめたくなっちゃうし」
さわやかに言うな。

しゃがみこんだ美和の指先が焦らすように俺のを撫で上げる。
「んっ…あ…っ」 「
たくさん、溢れてる。でもやりたくないんだよね…?」
んなわけねぇだろ。

昔なら言わなかったけど。
もうなんだかんだでがっつり付き合っちゃってるし。
頼まないとこいつがしないのもわかってきてる。
「っ……したぃ…っ」
俺はそう言うだけで、涙が溢れた。



1本の指が、何度も俺の裏筋を撫でて、亀頭から溢れ出る液を拭って。
美和はマジなとき、声のトーンが少し違うというのを1ヶ月前学習した。
前はわかんなかったんだけど。
明らかに俺を下に見てるような、サドっぽい声になる。
いつもみたく、冗談なのか演技なのかマジなのかわかんねー感じとは違って。
このとき、たぶん美和はあきらかにわかっていながら聞いているんだ。
「指だけでいい…?」
ほら。
このトーンね。

駄目。
掴んでもっと擦りあげてくれねーと。
って、お前わかってんだろ。
前は、美和のこと俺もよくわかってなかった。
本気で聞かれてると思ってたから、結構平気で違うとか駄目とか、もっととか注文できたけど。
今は、わざと聞かれてるってのが理解出来ちゃって。
羞恥心を植えつけられた。

その違いに俺が気づいたことに、こいつ自身、気づいてるのかはわからないけれど。
なにか俺の態度が変わったことはどこかで感じてるんだろう。
よく質問されるようになったから、絶対、楽しんでやがる。
「玲衣くん…教えて?」
「んっ…美…和っっぁっ…」
「うーん。答えないってことは、指だけでいいって解釈でいいのかな」

あ…。
ズボン、脱がされる。
っつーか、教室でって。

初めてこいつと深く接触したとき、ここでヌかれたけど、脱がされてはいなかったし。

ここですんのって、まずいだろ。
「っちょっ…美和…っ待っ…っ」
ズボンと下着を引き抜かれ、ちょっとしたパニック状態。

「…そういえば、玲衣くんって、もしかしてこういう場所ですんの、すごい抵抗あるタイプなんだ…?」
「なんで…」
「初めて俺が襲ったとき、すごいテンパってて、なにも出来ずにいたもんね」
襲ったって、こいつ肯定しやがった。
「っわかってんなら…脱がすなよ…。部屋に……」
「わかってるから、脱がしたんだけど」
軽く笑われて、俺の先走りの液を纏った美和の指先が、後ろの入り口をトンっとつつく。
「っ……」
「抵抗あるけど、それってすごく興奮してるの…?」
興奮…?
いや、違うだろ。
だって、こんなとこでって。
いつ誰が来るかわかんなくって恥ずかしくって。
やってられっかよ。
無理だろ。
「っ違ぇよ…っ。だって…見られたりしたら、どうすんだよ…っ」
「だから、興奮するんでしょ」
見られて興奮するって?

「馬鹿だろ、お前…っ」
「自覚ない…? 恥ずかしいことされるたびに、玲衣くん感じまくってんの。ココもひくつかせて欲しがってる」
「違ぇよっ。それは…っ」
ただ、やりたいだけで、そんなとこ指でつつかれたら反応するに決まってんだろ。
「ほら…どんどん溢れて、後ろまで伝ってきちゃったね…。教室で犯されるって、考えたら感じちゃった?」
「っ違ぇって…っ…」
うるさい。
指は入りそうで入らない位置を変にさ迷うし。
美和が耳元でしゃべってくるのとか、なんかもうイジメだ、こんなの。
涙溢れる。
「じゃあ、俺の声に感じてる?」
お前のその素のサドっぽい声も反則だ。
「ちが…っ…ぁっ…」
「かわいいね…」
「っんぅっ…だからっ…ぁっ違うってばっ」
やばいやばい。
感じる。
最悪。

「犯していい? ココで」
「っ…ゃだ…っっ」
ここでって。
犯していい? って。
なんでそんな表現すんだよ。
「ばっか…っ…」
「教室で、犯して中出ししちゃおうか」
耳元でそう言う声に、脳内が反応して、勝手に想像してしまう。
教室で。
見られるかもしんない。
聞かれるかも。
美和に犯されて、中で出されて。
「やっだ…っあっ…」
大きな声が出そうで、やばいと思い慌てて右手で口を塞ぐとすぐさまその手を捕まれ取り上げられてしまう。
「やぁあああっっ!!!」

もう片方の手で押さえる間もなく、俺は大きな声をあげて、イってしまった。

「どうしたの? 玲衣くん…。想像しちゃった?」
「馬鹿、死ねっ…っ!! もう最悪だっ」
そんな俺を無視して、さ迷っていた指先を美和が押し込んでくる。
「ひぁあっっ!!?? やぁっ」
マジかよ。
このタイミングで入れてんじゃねぇよ。
声、殺し損なった。
体、制御できないし。
指が、出入りして何度も感じる部分を突いていく。
「ぁっあっ…ぁんっあぁあっ」
涙溢れるし、声止まんない。
「やぅっ…美和ぁっ…あっゃだっ…もぉ…っやぁあっ…」
「どうして?」
「ゃあっ…っ…出来なっぁっ…あんんっ…ひぁあっ…やぁんっ…」
「玲衣くんの声、やらしいね…響いてる」
わかってんだよ。
俺、たぶん声殺すの元々苦手なんだ。
なのに、イった直後とか。抑えらんねぇし。
しかもこんな場所で、たぶんこいつの言う通りいつもより興奮してるし。
1ヵ月ぶりだし。
「ゃだっ…やあっ…無理っ…やめっやっ…やぁあっそこっ…」
「ココ、気持ちいいでしょ…? 知ってる。ココで指を曲げてさ、何度も突いてあげるといつも声出しまくっちゃうよね…。でも今日は、その前からすでに殺せてないか」
「だっめ…ぇっ…あっやぁあっ…ばかぁっ…もぉやっ…やあっ…美和ぁあっ…やぁあああっっ!!」


立て続けに2回、イかされて放心状態だった。
そっと指が引き抜かれる。
「…もぉ…無理…」
「…わかってる。指だけでいいって約束だったからね」
そんな約束した覚えはないが。

さすがに声出しすぎたし。
誰かがかけつけるとまずいとでも感じたのか。
それとも本当に、指だけで終わろうと初めから思っていたのか。
なんにしろ、俺ももうぐったりだし。

もうしばらくいいや。

…とは思うものの、1ヵ月は確実にもたないだろう。
「一ヶ月、待ったかいあったよね」
にっこり笑ってくれますけど、なにが待ったかいがあっただ。
最悪だ、俺は。
ただ、欲求不満になっただけだ。
でもこいつのこと。
なにか下手に反抗すると、また1ヵ月平気で待たしてきそうだし。

「…つーか、お前、抜かなくていーのかよ」
「玲衣くん、部屋で相手してくれるんでしょう?」
「…なんで」
「部屋に行きたがってたし」
そりゃ行きてぇよ。
でも、それはやる前の話で。
ここでやるよりは部屋でって意味合いだ。
めんどくさい。
……まぁこいつ全部わかって言ってんだろうけど。
「もう疲れた」
「腰、砕けてるんでしょう…? このまま置いてってもいいんだけど」
鬼だな。

「死ね、馬鹿。おぶってけ」
「はい。……行為中も含めて、何度か馬鹿って言ってたの、覚えといて?」

そう笑顔で言われ、つい反射的に『馬鹿』と言ってしまいそうだった口を、俺は必死で噤んだ。