英語の課題を終わらせた美和と、入れ替わるようにしてイスに座らされる。
「じゃあ、いいよね? 玲衣くん」
 わかってる。
 英語の課題やってもらったし。
 いつものことだし。
 そもそもずっと待ってたし。
「いいけど……」
 美和は、俺が映るようにして、机にスマホを立てかけた。
「玲衣くん、結構動いちゃうせいで顔映っちゃいそうだし。もういっそ顔は映して、目隠ししない?」
「えー……」
「動かない自信あるなら、いいけど」
 自信はない。
 まあ、目隠しされた方がいい……か。
「わかった」
 そう告げると、美和はタオルで俺の目をふさぐ。
「手も縛っておくよ。自由にさせとくと、スマホ倒しちゃいそうだし」
「しねぇし。たぶん」
「でも俺は、縛られてる玲衣くんで興奮できるから」
 なんだその理由。
 そう思ったけど、興奮されて悪い気はしない。
 イスに座ったまま、手を後ろに回すと、美和は慣れた手つきで俺の手首にコードを巻きつけた。
 まだなにか始まったわけでもないのに、それだけで俺まで興奮してくる。
 美和がスマホで静紀に連絡する頃には、もう、かなりその気になっていた。

「静紀くん、いま大丈夫?」
 美和がそんなことを言いながら、さっそく俺の股間を撫で回す。
「う……ぁ……」
『うん、大丈夫だよ』
 そもそも、最初から連絡済みだろう。
 美和は、静紀となんでもない会話をしながら、ズボンのチャックをおろし、取り出した俺のを手で擦りあげる。
「うっ……ん、はぁっ……ぁ……あっ!」
 しっかり勃起させられると、美和は静紀との会話を切り上げ、俺の耳元で囁いた。
「ねぇ、玲衣くん。いまなにされてるか……わかる?」
 もちろん、わかってる。
 美和はイスに座る俺の後ろから肩を抱いて、右手で性器を――
「言って?」
「んん……」
「言えるよね? 言えないなら、静紀くんに伝わらないし、映そうか?」
 そこを映されるのはさすがに困る。
「美和に……んん……手で、擦られてる……」
 しかたなくそう告げた瞬間、なぜだか、体が一層、熱くなるのを感じた。
 腰が小さく跳ねる。
「ふぅ……くっ……んぅ、ん……!」
 気持ちいい。
 的確な速度と圧力で手で擦られて、耳元で囁かれて。
 このままじゃもう……。
「はぁっ……だめぇ……あっ……美和ぁ……ん、ん、いきそぉ……!」
 そう伝えると、美和は楽しそうに俺の耳元で笑った。
「まだはじめたばっかりだけど」
 お前が英語の課題やってる間、この後やるってわかってて、ずっと待ってたし。
 焦らされまくってたし。
「玲衣くん、やっぱり、言わされるの好きだよね」
「ちが……ぁあっ、あっ、ん、んぅんっ……いくぅ……」
 言わされて、感じてるわけじゃない。
 ……たぶん、だけど。
「いいよ。でもイッたら、今日はもうおしまいね」
 おしまい?
 ふざけんな。
 おしまいになんてできるはずがない。
 せっかくヤる気でいたのに、散々待って、手でイかされて終わりだなんて。
「や……ゃあ……やだ……ぁっ、んっ……まだ、する……んっ……んっ!」
「したい?」
「したぃ……ぁあっ、んっ、んんっ! あっ!」
「なにをしたいの?」
 立て続けに聞いてきやがって。
 つーか、わかってるくせに。
 ああ、でも、こいつは言わないと本当にしない。
 平気で、おあずけしてくる。
 だから言うしかない。
「はぁ……あっ……ん、んんっ……せっくす……んっ、する……んぅんっ!」
 告げた瞬間、イきかける。
 もちろん、美和はそれを見逃してはくれない。
「言わされて、イきそうになっちゃったね。俺もしたいけど、玲衣くん、手で擦ってるだけで満足しちゃうんでしょ」
「しなぃ……はぁっ、あっ……1回……いくだけぇ……! はぁっ、あっ……まだ、いく……んっ、いく、からぁっ!」
「……じゃあ、10回くらいイかせていい?」
「はぁっ? 10回も……むり……っ」
 さすがに無茶だ。
 そう思うと同時に、少し期待してしまう。
 10回ってことは、射精だけじゃ厳しいし、メスイキさせられたりして。
 そんな俺の考えなんて知らないで……いや、わかってるのか?
「だったら、いまイくのも我慢しようか。手、止めるよ」
 美和がぴたりと手を止めてしまう。
 イキそうなくらい気持ちよかったのに。
「ゃだっ、やっ、やぁっ……くっ、んんっ……やめんな……やっ……やだ……いく……いく、のに……」
「我慢する? それともこのまま、なにもされずにイク?」
「はぁっ……あっ……されて、いく……。手、動かして……んんっ……んっ!」
 美和が動かさないなら、自分で動くしかない。
 そんなことを思うより早く、美和の手に擦りつけるみたいに、腰が揺れてしまう。
「そうやって、勝手に腰揺らしちゃうなら、手、離すよ」
「だめっ……離すの、や……擦って……美和ぁ……」
「どうしようか。さっき言ったこと、覚えてる?」
 なんだっけ。
 ああ、そう、10回、イかせるとかなんとか。
「はぁっ……ん、んっ……いく……10回、いく……はぁっ……いくからぁっ」
「……いいよ。まずは1回……イくとこ、見て貰おうか」
 言われて自覚する。
 スマホの画面越しに、静紀に見られてるってこと。
「んっ……ぁあっ……あっ、ああっ……見られて、る?」
「うん。見てくれてるよ。ね?」
 美和が尋ねると、
『う、うん。見てるよ』
 すぐに静紀がそう答えた。
 美和の声が聞こえるくらいだし、当然、俺のはしたない声も聞こえてるだろう。
 下半身は映ってないはずだけど、それでも、美和にこんなことされている姿を、見られて――
「はぁっ、あっ、あっ、んぅっ……ぁあっ……ぁあんんんっ!!」

 羞恥に耐えられなくなったからか、わからないけど、そのままイッてしまう。
「ああ……結局、大して擦ってもいないのにイッちゃったね」
「美和がぁ……中途半端なとこで、手、とめるから……。変なタイミングで、イッちまったし」
「見られてるの、意識して感じちゃったんでしょ」
「っ……も、もういいから」
 全部、美和の言う通り。
 見られてるって意識して、美和にそんなことされてるって考えた瞬間、頭ではよく理解できないけど、それより先に体が反応してしまう。
「ありがとうね、静紀くん」
 美和が、静紀にお礼を告げる。
『ううん。俺でよければ、全然構わないよ』
「それじゃあ、また」
『またね……』

 そうして二人のやりとりが終わると、美和は俺の目隠しを解いてくれた。
 イスを引いて、俺の前へと美和が回り込む。
「ああ……泣いちゃった?」
「泣いてな……」
「でも涙出てる。かわいい……」
 美和は俺の目元にキスをした後、顔を上に向かせて、唇を重ねる。
「んん……ん……」
 舌が絡まって、唾液を送り込まれて、
「飲んで……」
 一瞬、口離してそうとだけ告げた後、また、舌を舐められた。
 少し差し出した舌を吸ってくれて、それが気持ちよくて、イッたばっかりだってのに、また勃ち始める。
「んぅ、んっ……ん……」
 口内に溜まった唾液をコクリと飲み込むと、美和は俺の口を解放した。
「はぁ……」
「玲衣くん、蕩けた顔してる……」
「してない……」
「さすがにこの顔は、見せられないなぁ」
 楽しそうに口の端をあげながら、美和は俺の着ていたシャツのボタンを外していく。
「美和……。その前に、手、外せよ」
「なんで?」
「なんでって……やりにくいし」
 後ろで固定されたままじゃ、身動きとり辛い。
「10回イカせる予定だし、順番にね」
 そう言うと、美和は俺の手に絡まるコードを解くこともなく、指先で俺の乳首に触れてきた。
「あ……」
 イッた直後だからか、体中が敏感になってるみたい。
 少し撫でられただけなのに、いつもより気持ちいい。
「あ……ん……んぅ……美和……」
「ん……どうした?」
「はぁ……あ……右も……」
「じゃあ、右は舐めるね」
 美和は俺の前に跪くと、右手で俺の左乳首を撫でながら、右乳首に口づける。
「んっ……ぁあっ……んっ……はぁっ」
 舌でつつかれて、弾かれて、優しく吸い上げられると、たまらない気持ちになってきた。
「はぁっ……はぁっ、ん……んぅっ! あっ、あっ……」
 ああ、マジでやばい。
 頭ふわふわすしてる。
 俺の乳首舐めてる美和もエロいし。
「あ……ぁ、ん……美和ぁ……下……下も、触って……」
「どうしよう」
 どうしようじゃねぇし。
「ぁ、ん……んっ……触れってぇ……あっ、あぁあっ、いく……」
「ああ……もうイッちゃいそうになってたんだ?」
 確かめるみたいに、美和の左手が俺のに触れてくれる。
 胸は撫でたまま、舌を絡めたまま。
 美和の左手が、俺の性器から溢れる蜜を拭うみたいに先端を撫であげた。
「あぁあっ……あんっ、んっ、あっ、あっ、そこっ!」
「ん……ぬるぬるしてる。先端……鈴口、いじられるの好きだよね」
 反論する余裕もないくらい気持ちいい。
「んぅんんっ……あっ、あっ……あぁああっ!!」
 ビクビク体が跳ねて、俺はすぐさま2度目の射精を迎えた。