今日の須藤は、まるで酔ったときみたいに理性を飛ばしていた。
 媚薬のせいだろう。
 それでも、最初はなんとか理性を保っているようだったけど、何度かイッて、考えることを手離してくれていた。

 仰向けに寝転がる須藤の膝を深く折りたたみ、腰を抱えながら窄まりのナカを舌で愛撫する。
「ああっ……あっ……ぁんっ……いくぅ……」
「んー……何回目?」
 言葉を挟みながら、舌を出し入れすると、須藤の右手が掴んだシーツを手繰り寄せた。
「はぁっ、んっ……わかんな……ぁあっ、あっ、んぅんんんっ!!」

 ここを舐め始めてから、3回は達してくれただろうか。
 何度か小さく体を震わせていたし、俺が把握していないだけで、もう少しイッてんのかもしれない。
「はぁっ、はぁっ……んんっ……せり、ざわぁ……」
「なに?」
「はぁっ……あっ……きもちい……はぁっ」
「気持ちよかったんだ? うん、よかった」
「もっかい……」
「いいよ。もう一回、舌、奥の方まで入れるから……少し広げるよ」
 窄まった秘所が広がるように、両手の親指で押さえつけながら、ヒクつくそこに口づける。
「んぅんっ! はぁっ……」
 さっきよりも奥まで届くように舌を差し込んで、そのままゆっくりナカで動かすと、須藤は俺の髪の毛を掴んできた。
「はぁっ……あぁあっ……すごぃ……ああっ、あっ……あんぅ……せりざわぁ……ああっ、それぇ……きもちい……あうっ……いくぅ……」
 さっきイったばっかりなのに。
 そう指摘したくなったし、指摘されて須藤が恥じらうのも好きだけど、いまはしゃべるより舌を動かした方がいい。
 圧迫してくる肉壁を広げるみたいに、舌でナカを掻き回してやると、すぐにまた須藤の体が大きく跳ねあがった。
「ふぁっ、あっ……あぁあっ!」

 ヒクつくナカをしばらく舌で堪能した後、ゆっくり引き抜いていく。
「あっ……んぅ……んっ……」
「次はどうして欲しい?」
 俺の髪から手を離した須藤が、ぼんやりした瞳で俺を見つめる。
「須藤、まだ、満足してないでしょ?」
「ん……足、舐めるって……」
「うん。約束したもんね。じゃあ、舐めるよ」
 正直、ここまでたくさんナカを弄った後なのに、いまさら足を愛撫されて喜んでくれるのか、わからなかったけど、須藤はそれを望んでくれていた。
 左手で須藤の足を抱えながら、まずは親指に舌を絡めて、しゃぶっていく。
「んぅっ、んっ! ぁっ、あっ!」
 理性が残っているときは、ほとんど声を出してくれないけど、そもそも理性のせいでこれほど素直に感じられないのかもしれない。
 いまは理性もないし、頭も働いていないみたいだし、なにより媚薬も入ってる。
 須藤が感じているのは明らかだった。
 たぶん、媚薬がなくても、須藤は足が弱いんだろうけど。
「ひっ、ぁっ……あっ……あんっ、んっ!」
 くすぐったくてたまらないみたいな感覚を、官能的に捉えられるんだろうか。
 抱えた足が、ビクビク引きつっていた。
「くすぐったい?」
 そう尋ねると、須藤は耐えるみたいに上半身を横に捻りながら、シーツを掴んで頷いた。
 なにか握ってないと、落ち着かないらしい。
「くすぐったいの……好き?」
「はぁっ、あっ……あぅっ、んっ……すき……あっ、あっ!」
「じゃあ、もっとくすぐっちゃうね?」
 また小さく須藤が頷いたのを確認した後、他の指にも舌を絡めながら、右手で足の裏を優しくくすぐってやる。
「ぁあっ、あんっ、んっ! ひぁっ、んっ!」
「声、我慢しなくていいよ。足……すごい逃げちゃうね。ジッとできない?」
「あぅっ……できなっ……はぁっ、あうっ……せりざわっ……押さ、えて……」
 反射的に逃げてしまうみたいだけど、嫌というわけではないらしい。
 むしろ、押さえつけてでもして欲しいようだ。
 足首を逃げないように強く掴みながら、指の間や足の裏にまで舌を絡める。
「ああっ、あっ……ぅ、んっ……はぁっ、あっ、あぁあっ!」
 須藤の腰が浮きあがったかと思うと、勃起していた性器から勢いよく精液が飛び出してきた。
「はぁっ、あっ……んぅ……ん……」
「足だけで射精すんの、久しぶりじゃない?」
「はぁっ、ん……しらな……」
「ああ……須藤はほとんど覚えてないか。お酒飲んでたくさん酔ってセックスしたときだったかな。足だけでイっちゃってたけど、いつもだいたいその前に、俺が触っちゃうからね」
 須藤の右足首は掴んだまま、俺は空いている右手で、イッたばかりの性器に触れる。
「ああっ、ああう……らめ……うっ……れる……」
「かわい……出してよ」
 舌で足の指を舐めながら、溢れた精液を塗りたくるみたいに亀頭を指先で撫でてあげると、須藤の体が小さく震えた。
「ひぁっ……ああっ、あうっ、あっ……あんんんんっ!!」
 そうして須藤が潮を噴いた後も、鈴口のあたりを何度も指で擦ると、立て続けにまた噴き出てくる。
「はぁっ……あぁあ……! れるってぇ……あっ、あっ……あぅっ、んっ……ふぁっ、あぁあっ!」
「うん。いっぱい出てる。須藤、潮噴くの好きでしょ」
 俺がそう尋ねると、意外だったのか、須藤は一瞬目を見開くようにして俺を見た後、そっと視線を逸らす。
「……俺が気づいてないと思ってた? いいよ。潮噴きしたいって言ってくれたら、いつでもしてあげる。酔ってないときでも俺は引かないし、いいから」
 須藤は視線を逸らしたまま、俺の方も見ずに頷いた。
「もうちょっと強くするよ。まだ出るよね?」
 今度は手のひらで亀頭を包むようにして刺激を与える。
「んぅんんんっ! ああっ……いくっ……いくぅっ……!」
「ああ……ナカイキもしそうになっちゃってんだ? ナカは弄ってないけど……亀頭、きもちいい?」
「はぁっ、ああっ、ぅんっ、んっ……ああっ、あっ、あぁああっ!」
 須藤はまた潮を噴きながら絶頂を迎えてくれた。

 須藤の足と性器から手を離して、ぐったりした姿を見下ろす。
 脱力していると思ったけど、須藤は荒い息を整えるより早く、体を起こして俺に抱き着いてきた。
「須藤……?」
「ん……んぅ……」
 俺にキスをした後、しがみつきながら腰を揺らす。
「はぁっ……ん……芹澤……いれて……」
「体、まだ落ち着いてないでしょ」
「いい……」
 上に着ていたシャツを須藤が脱がしてくれる間に、ズボンと下着を脱ぐ。
 座る俺に抱き着いたまま、須藤は腰を浮かせて自ら俺の性器を咥え込んできた。
「ああっ、んっ……あっ、あぁあっ!」
「はぁ……待って。そんなに一気に入れて苦しくない?」
「いい……もぉいい……」
 須藤は根元の方まで俺のを受け入れると、俺にしがみついたまま腰をくねらせる。
「はぁあっ、あんっ、あっ……あぁあっ」
 今日は本当に、いろいろタガが外れちゃってるみたい。
「はぁ……かわいい。須藤……気持ちいいね?」
「きもちい……ああっ、あんっ、んっ、ぁあっ、せりざわぁっ!」
「……ん? キスする?」
「ぅん……んっ……する……んっ、ぅんっ……はぁっ、ん!」
 舌を絡めながら、腰を揺らしてくれる須藤の体を、俺もまた下から突き上げる。
 須藤のナカは熱くて、すぐにでもイきそうならくらいだったけど、須藤も同じくらい切羽詰まっているように見えた。
 腹に押し当てられた須藤の性器は、これでもかというほど硬くなっている。
「はぁ……須藤……俺、もういきそうなんだけど……」
「んっ……いい……ああっ、いって……はぁっ、ああっ、きて……んぅっ……あっ、ああうっ」
 俺をイかせようと、須藤が激しく腰を揺らす。
 煽られるようにして、俺もまた須藤の腰を掴みながら、激しく何度もナカをつくと、痙攣するみたいに須藤のナカが脈打った。
「ああっ……いくっ……あっ、ああっ、いっひゃう……あっ!」
「うん……一緒にいこ?」
「ああっ、んっ……せりざわぁっ……ああっ、あっ、あっ、あぁあああっ!!」

 俺が須藤のナカで射精すると同時に、須藤もまた絶頂を迎えてくれていた。
 須藤は体をビクビク震わせながら、俺を強く抱く。
 たぶん、ナカイキと、射精もしているみたいだった。

「須藤……」
 かわいくて、愛おしくて、しがみついてくれている須藤の頭を撫でる。
 須藤は、素直に頭を撫でられたまま、俺に身をゆだねてくれてた。



「……疲れた」
 どれくらい経っただろう。
 須藤はそうぼやきながら腕を緩めると、そのままベッドに仰向けで倒れ込む。
「だろうね」
 ゆっくり入ったままだったものを引き抜いて、須藤を見下ろす。
 須藤は横を向いたまま。
「媚薬なんて、飲まなきゃよかった……」
「後悔してんだ? どうして?」
 須藤は少し間をおいて、ゆっくり話し出す。
「……俺はすげぇしたいのに、芹澤は、いつもの感じだし……」
「いつも以上に、めちゃくちゃ興奮してたけど?」
「俺ほどじゃないだろ」
 たしかに媚薬飲んだ須藤と比べたら、少しは冷静に判断できていたかもしれない。
「すげぇエロいことした気する」
「まあ、したね。したくなかった?」
「……お前がすんのはいいけど。俺が誘ったみたいなのとか、全部覚えてんの、結構はずい」
 どうやらいま、恥ずかしがっているらしい。
「酔ってるときより、覚えてるもんなんだ?」
「……酔ってるときは、なんかそういう感覚じゃないし。した気するけど夢っぽいっていうか。それ以上、考えないようにしてたから。それでも、芹澤はいいって言いそうだし」
 たしかに言ってたかもしれない。
 無理に思い出して、須藤が恥ずかしい思いして、遠慮するくらいなら思い出さなくていい。
「つーか……酔ってもここまでしてねぇだろ」
「……うーん。今日の方が激しかったかな。でも俺は、嬉しかったよ。理性とかタガは外れてたのかもしれないけど、欲しがってくれる須藤、かわいかったし。俺の名前もたくさん呼んでくれたし」
「……引いてねぇ?」
「引かないよ。須藤だってわかってたでしょ。俺が引かないって。だから、あそこまで欲しがってくれたんじゃないの?」
「……わかんない。とまんなかったし。でも芹澤だし……とも思ってたかも。だとしても内心、引いてるとかわかんねぇし」
「内心でも引いてない」
「お前のベッド……スーツも、ぐちゃぐちゃにした」
「いいよ。そんなことより、須藤が喜んでくれる方が俺は嬉しい」
「お前さぁ……」
 須藤はゆっくり体を起こすと、顔を俯かせたまま、ぼそりと呟いた。
「恥ずかしいよ」
「……ん? え、俺が恥ずかしいの?」
「そういうの、堂々と言いすぎ」
「そういうのって? えっと、須藤が喜んでくれる方が嬉しいとか? だって俺、須藤のことめちゃくちゃ好きだからね」
「……もう、黙れ」
 本当に恥ずかしがってるみたいだし、俺は須藤の頭を軽く撫でて、それ以上、突っ込むのはやめにしておいた。
「ご飯の前に、風呂入るよね?」
「ん……」
「めんどい?」
「うん……」
「めんどいけど、入りたいよね?」
 ゆっくりと顔をあげる須藤の体を、お姫様抱っこでもするみたいに抱える。
 須藤は、慣れた手つきで俺の首に腕を回してきた。
「芹澤……」
「ん……」
 キスね。
 かわいいから聞かずにしてあげると、須藤の方から舌を差し込んできた。
「んぅ……ん……」
「……須藤、疲れたんだよね?」
「ん……芹澤、1回だけだろ。ゆっくり……する」
「ありがとう、須藤。好き。大好き」
「……言わなくていい」
「……ごめん」
「謝んな……俺も……すき」
「うん、ありがとう」
 聞き取るのが難しいくらい小さい声で呟いてくれた須藤を抱きしめながら、風呂場へと向かうのだった。