なんだかものすごくエロい夢を見た気がする。
 俺は鳥島先生に甘えて、キスしてもらって、抜いてもらう夢。
 すごく気持ちよかったんだけど。
 気づくと、なぜか鳥島先生がタオルで俺の体を拭いていた。

 なにしてるんですかって、反射的に言いそうになったけど、予想が出来てしまい口をつぐむ。
 夢精……したのかもしれない。
 だから、泊まりたくなかったのに。
 鳥島先生は、まだ俺が起きたことには気づいていないみたい。
 このまま、俺もまた、気づかなかったフリをしてしまおうか。
 薄暗い部屋の中、タオルで下腹部を拭ってくれる鳥島先生を、薄目で確認する。
 鳥島先生は、あろうことか俺の性器まで、タオル越しに触れてきた。
「……んっ」
 思わず声が漏れかける。
「んー……軽く拭くだけだからねー」
 寝言だと思ってくれているんだろうか。
 本当に寝ていたら、ここまで反応していなかったかもしれない。
 ズボンと下着をおろされた状態で、鳥島先生に間近で見られているせいか、過敏に反応してしまった気がする。
「あんまり強くするわけにもいかないし、どうしよっか」
 そんなことを言いながら、鳥島先生は、タオル越しに亀頭をちょんっとつついてきた。
「っ……!」
「ああ、ごめんね。強かった? でも、ここいっぱい、ぬるついちゃってるからさー」
 そんなことしなくていいって、早く言うべきなのかもしれない。
 そう思うのに、体が動かない。
 本当に、そうするべきかどうかもわからなかった。
「どうする?」
 鳥島先生も迷っているのか、ただ至近距離で俺のを眺める。
 視線が突き刺さって、恥ずかしくて、それでもなんとか感じないように、意識を逸らそうとしてみたけれど、鳥島先生が、ふぅっと息を吹きかけてきた。
「んぅ……!」
「ほら、息吹きかけたら乾くかなーって思ったけど、この状態で、乾かしてもいいのかな」
 わかっていないのに、勝手なことしないで欲しい。
 こんなの、とっとと適当に拭って終わらせてくれたらいいのに、反応してしまう。
「あれ……ちょっとまたおっきくなってる?」
 最悪だ。
 鳥島先生にも気づかれる。
 そもそも、こんなことをしてくる鳥島先生のせい。
 ……いや、こんなことくらいで感じる俺が、おかしいんだろうか。
「はぁ……かわいー。マジで、舐めちゃいたいなぁ」
 一人で呟きながら、鳥島先生がまた、息を吹きかける。
 そのたびに、それがピクピク震えてしまうのが自分でもわかった。
 このまま、舐められるんだろうか。
 想像するだけで、とうとう勃ってしまう。
 たぶん、イッたばっかりなのに。
「どうして、おっきくしてくれてるの? 舐めてくださいって言われてるみたいなんだけど」
 舐められたら、どれだけ気持ちいいんだろう。
 舐められてみたい。
 あと数センチ、腰を浮かせたら、鳥島先生の口に触れる。
「ま、さすがに許可もなく舐めたら怒られちゃいそうだし、我慢するけどさー」
 ため息を漏らしながら、鳥島先生が体を起こす。
 我慢しなくていいのに。
 舐めればいいのに。
 俺がいま、許可を出したら、舐めてくれる?
 だとしても、そんなこと言えるはずがない。
「うう……」
 なにも言えなくて、気づくと、ただ俺は呻いていた。
「ん……あれ、起こしちゃった?」
 鳥島先生が俺の顔を見る。
 一瞬、目が合って、俺は慌てて腕で顔を隠した。
「ごめんごめん。ちょっと、なんていうか……体拭いてただけなんだけど」
「わかってる」
 それより、謝るのは俺の方だろう。
「……すみません。俺……体、拭かせるようなこと……」
「あー……まあ、それはとりあえずおいといて。勃起しちゃってるし……抜いとく?」
 今度は、鳥島先生の手が、俺のに触れる。
「ふぁっ……んっ!」
「いつから起きてた? 俺が……舐めちゃいたいって言ってたの、もしかして聞いてた?」
 腕の隙間から、俺のに触れている鳥島先生の手だけを確認する。
 どんな顔をしているのかは、わからない。
「聞いてたんなら、舐められるの想像して勃起しちゃったってことでいい?」
 少し手で擦られると、抜かないわけにはいかないくらい完全に勃ってしまっていた。
「や……」
「や? 舐められるの、いやなら手でするよ。でも、期待してくれてるんなら、舐めたいな」
 俺に合わせているわけじゃなく、鳥島先生自身が舐めたいって思ってくれてるんだろうか。
 俺が寝てると思っている間も、一人でそう呟いてたし。
「とりあえず、脱がせるね?」
 中途半端に足に絡まっていたズボンと下着を、鳥島先生が引き抜く。
 足を開かされて、膝を立てさせられると、恥ずかしくて涙が溢れそうになった。
 鳥島先生は、そんな俺の足の間に寝転がりながら、また至近距離で股間を眺める。
「ね……いいの? 舐めちゃって。あとからホントは嫌でしたって言われんのやだから、できれば、ちゃんといいって言って欲しいんだけど」
 舐められたら、どうなるんだろう。
「俺は、手でもいいから、佐藤先生が好きな方、選んでいいよ」
「……や……」
「ん?」
「はぁ……選ぶの……」
「ああ、選びたくない? じゃあ、俺が好きな方していい?」
 鳥島先生が好きな方なら、俺が頼んだわけじゃない。
 鳥島先生のせいにできる。
 責任逃れするみたいに、俺は小さく頷いた。
「……いいんだよね? 舐めちゃうよ?」
 もう一度、確認されて、鳥島先生が俺の目を下からじっと見つめる。
 逸らせなくて、俺は鳥島先生の目を見たまま、頷いた。
「やった。それじゃあ……いくよ……」
 鳥島先生の伸ばした舌先が、根元に触れて、ゆっくりと這い上がってくる。
「あっ……んぅ……ん……!」
「んー……気持ち悪くない? 大丈夫?」
 鳥島先生は、そう俺を気にしてくれるけど、答える余裕はない。
 ただ、嫌がらないでいると、先端まで這い上がってきた舌が、亀頭に絡みついてきた。
「あっ……んっ……んぅっ……ぁんぅ……!」
「声、かわいー……もっと出していいよ。亀頭、弱いよねぇ」
 チロチロととがらせた舌先で撫でたり、平らにした舌でねっとり舐め上げられて、腰が勝手にビクついてしまう。
「あぁっ、んっ、あっ、あっ……んぅ、んっ……あ、んぅっ!」
「ぅん……ん、声、殺せないね……もっと気持ちよくしてあげる」
 そう言うと、鳥島先生は、ぱくりと俺のを咥え込んだ。
「んぅんっ!!!」
 先端の方を、舌の奥で撫でられたまま、竿にまで舌が絡みつく。
 熱い口内に包まれて、吸いあげられると、恥ずかしいくらいに体が震えた。
「あぁっ! やぁっ、あっ……あっ、いっ……んぅん、あっ……ああっ! いくっ」
 首を振っても、当然、鳥島先生は見ていないし、やめてくれなかった。
 でも、本当は、こんなところでやめられても困るって、俺自身思ってるのかもしれない。
 鳥島先生は、やめるどころか、さらに奥まで、俺のを導いてくれる。
「ひぁっ、あっ! んぅんっ! ぁあっ……いっ……あぁっ、んっ、ほんとに、いくっ……あっ、いくって……あぁあっ……あんんんっ!!」
 我慢したつもりだったけど、吸われながら先端を締めつけられると、あっという間にイかされてしまっていた。
 自分でも、早いって自覚してるし、恥ずかしくてたまらない。
「んっ…んぅ……ん……」
 鳥島先生は、大きく跳ねた腰を押さえつけながら、コクコクと喉を鳴らす。
「やめ……やぁ……あ……ん、飲まないで……」
「ん……く……んー? はぁ……そういうのは先言ってもらわないと……っていうか、喉の奥で出されたら、そりゃ飲んじゃうよー」
 顔をあげた鳥島先生は、いつもの調子で、冗談っぽく笑っていたけど、俺は申し訳ない気持ちでいっぱいだった。
「……気持ちよくなかった?」
 顔を歪める俺を見て、鳥島先生が問いかける。
「……よかった、けど。飲むから……」
「なんでそんな飲まれたくないの」
「……悪いし……やれって言われても……俺は、できない……」
 そう告げると、鳥島先生はまた、俺のモノにキスをして、先端を吸いあげた。
「ああっ、あっ!」
「悪くないし、やれとか言わないし、できなくていいよ。ただ俺が、佐藤先生の舐めたくて、飲みたかっただけだからねぇ」
 よく理解出来ないけど、鳥島先生にとっては、そういうものらしい。
「なんで……」
「好きだから?」
「……精液が?」
「いや、佐藤先生がだよ。だれのでも飲みたいわけじゃないから」
 好きな人のものは欲しくなる……とでもいうのか。
 もしそうなら……。
「……俺……鳥島先生のこと……好きじゃ……ないのかも」
「待って待って。精液欲しくないイコール好きじゃないって解釈、やめて? 好きでも、飲みたくないとか舐めたくないなんて、ざらにあるからね」
 鳥島先生は、慌てた様子で説明してくれるけど、こんなことで慌ててくれる鳥島先生を見ていたら、なんだか少し照れくさくなった。
「だからさー、もっと気軽に考えて、好きになっていいから。ね?」
 気軽に考えていいのなら、たぶん……好きなんだろうけど。
 ちゃんと言葉には出来なくて、とりあえず頷くと、それだけで鳥島先生は嬉しそうに笑ってくれた。