泊まりたくないみたいだったけど、それでもなんとか、佐藤先生は俺の家に泊まってくれた。
 ベッドで横向きに眠る佐藤先生がかわいすぎて、唇を指でなぞる。
 小さく開いてくれた口の中に親指を差し込むと、佐藤先生の温かい舌を感じた。
「かわいいなぁ……」
 つい呟きながら、佐藤先生の舌を軽く撫でる。
 すると、今度は佐藤先生の方から舌を絡めてくれた。
 無意識だろうけど、舐めたりしゃぶったりするのが好きなのかもしれない。
 眠ったままの佐藤先生が、俺の指を優しく吸いあげてくれる。
 こんなことされたら、引き抜けないんだけど。
 ちゅうちゅう吸われて、しゃぶられて。
 この口でフェラされたら、たまんないだろうなぁなんて想像させられる。
「……さすがにダメでしょ」
 つい考えてしまった妄想を、打ち消す。
 相手は寝てるし。
 パートナーでもないし。
 フェラなんて、したこともされたこともない人だ。
 キスなら許してくれる……?
 っていうか、指、ずっとしゃぶってくれるんだけど。
 親指を引き抜いて、今度は変わりに人差し指を中指を押し込んでみる。
「ん、んぅ……」
 佐藤先生は、すぐさま2本の指に舌を絡めてくれた。

 親指をしゃぶっていたときは、かわいいと思ってたけど、いまはうってかわって色っぽい。
 ちゅうちゅうしゃぶるのとは違って、なんかやらしいし。
 1人Hするとき、なにかをしゃぶったりはしてないだろうけど、キスも、最初からうまかった。
 経験がなくて慣れてないだけで、いろいろうまいのかもしれない。

「はぁ……」
 指を舐められてるだけなのに、つい吐息を漏らしてしまう。
 俺も、しゃぶっちゃおうか。
 佐藤先生は、どんな反応してくれるだろう。
 こっちから攻めるみたいに、指で舌を撫でると、佐藤先生が俺の手を掴んだ。
「わ、ごめ……!」
 慌てて謝るけれど、佐藤先生は、俺に手を引かせてはくれなかった。
 手で掴んだまま、より奥まで口に含んでくれる。
「んー……ん……」
「あー……なに? 抜かれちゃうと思ったんだ? もっと欲しかった?」
 理解しているのかどうかわからないけど、佐藤先生は小さく頷くように顎を引いた。
 それなら……。
 少し奥の方まで入れた2本の指で、舌を横から挟んで、くすぐってあげる。
「はぁっ……ん……」
 どうやら、お気に召してくれたらしい。
 佐藤先生自身、これがエロい行為だって、無意識かもしれないけど、自覚していそうだ。

 その証拠に、俺の手を掴んでいない方の手が、自らの股間へと伸びていく。
 起こした方がいいんだろうかって思ったけど『オナニーしかけたんで起こしました』なんて告げたら、この人、絶対いっぱいいっぱいになっちゃうだろう。
 気まずくて、俺の顔も見れなくなったりして。
 それは避けたいのと、単純に、このまま見ていたい欲が膨れ上がった。

 佐藤先生は、ズボンと下着をずりさげると、すでに勃起していた性器を指先で掴む。
 手のひらで、ぎゅっと掴んだりはしないらしい。
「はぁ……ん……んぅ……ん……」
 優しく掴んで、亀頭に人差し指を当てたまま、なかなか手を動かそうとしない。
 やっぱり、寝てる状態じゃ、うまく手を動かせないんだろうか。
 もごもごと口を動かす佐藤先生に気づいて、少し指を引き抜く。
「ああ、苦しい?」
「ん……ん……んぅ……み、て……」
 会話のキャッチボールは出来ていないけど、どうやら苦しくはないようだ。
 というか、みてって……。
 思わず、佐藤先生の股間に視線を落とす。
「見ていいんだ? 性器? それとも1人Hしてるとこ?」
 佐藤先生は俺の言葉を無視して、指先で先端をゆっくり撫でる。
 我慢汁が塗りたくられて、どんどん溢れてきているのがわかった。
「はぁ……はぁ……ん……んっ……ここぉ……」
「今日、兜合わせしちゃったもんね。亀頭、気持ちよかった?」
「んっ……んぅ……ん……んっ!」
 ああもう、たまんないかも。
 寝込みを襲うのはやめようっと思ったけど、少しだけ……。
 名残り惜しいけど、佐藤先生の手を外して、口から指を引き抜く。
 性器を掴んでいる佐藤先生の手に軽く触れると、それだけでなにか通じたのか、佐藤先生は先端から指を離してくれた。
 竿は掴んだまま、待ってくれてるみたい。
「触るよ」
 さんざん舐められてヌルついた指で、先端に触れる。
「んぅんん……!」
 ゆっくり、さっき佐藤先生が自分でしていたみたいに。
 先端を撫でながら溢れる蜜を撫でつけていく。
「はぁ……ぁ……んぅ……んっ……はぁ……ん、んんぅ!」
「声、出していいからね。いきそ?」
 頷くかわりに、佐藤先生も竿を擦っていた。
 もう唾液で濡れてるのか、佐藤先生の先走りで濡れているのかわからない。
 性器もビクビク震えてる。
 それでも、なんだか我慢しているみたい。
 やっぱり寝てるから?
 本能的に、ダメだって意識が働いているとか。
「いいよ。いいからね」
 耳元で教えてあげながら、2本の指で何度も何度も亀頭を撫でる。
 佐藤先生も、腰が浮くほどいっぱい擦ってた。
 たぶん、起きてたらこんな風にはしていなかっただろう。
「ぁ……ん、んっ……んぅ……くっ……」
「ん……いけない? 我慢しないでいいよ」
「んぅ……くっ……ふぅ、うっ……キス……」
 ……ああ、そういえば、ずっと舌を撫でてあげて、それで勃起までしたのに、そっちは放置しちゃってたか。
「ごめんね。しようねぇ、キス」
 口を重ねると、すぐに舌を絡め取られる。
「んっ……ふぅ……」
 気持ちよくて、こっちが声を漏らしかけていた。
 そのまま先端を擦ると、佐藤先生の体が跳ねる。
「んぅんっ! んーっ……んぅんんんっ!!」

 舌を絡めたまま口を離して横目で確認すると、佐藤先生のモノから精液が溢れていた。
 今日、あんなに出したのに。
「はぁっ……はぁ、ん……んぅ……はぁ……!」
「んー……いけたねぇ」
 やっと舌先を離して体を起こす。
 佐藤先生は、もっとキスしていたかったみたいだけど、さすがに息苦しいだろうし。
 なにより、俺も我慢しすぎてんだよね。
「自分だけ、こんなに気持ちいい思いしてるんだから、ちょっとは、ご褒美もらってもいいよね」
 佐藤先生の股間に顔を近づけて、亀頭に乗っかる精液に舌を絡める。
「んん、ん!」
 佐藤先生の腰が震えているのに気づきながら、亀頭に口づけて、軽く吸いあげた。
「ひぁっ……んっ! あぁ……あっ!」
 尿道に残っていた精液をすすると、佐藤先生は息をのむようにして、甘い声を漏らしてくれる。
「うん。変なことしないからねぇ。ちょっともらっただけ。これくらいは、いいでしょ」

 佐藤先生を窺うと、横を向いたまま、目を伏せていた。
 少し泣いてしまっていたのか、目元が濡れている。
 佐藤先生は、感じると泣いちゃうタイプみたいだし、これはたぶん悪い涙じゃない。
「ちゃんと、タオルで拭いてあげるね」
 名残り惜しいけど、佐藤先生の味を堪能しながら、タオルを取りに向かうのだった。