ベッドに寝かされて、靴を脱がされて.
何もできないでいる俺のズボンを鳥島先生が脱がしていく。
「あ……」
「さすがに脱ぎたいよね?」
 もちろん、このまま履いていたいわけじゃない。
 すっきりしてるはずなのに、ぼんやりするのは、酒のせいだろうか。

 前も、出したところを見られたけれど、出し終えて、ぐちゃぐちゃになっている下着を見られるのは、また違った恥ずかしさがあった。
 みっともない。
 さすがに引くだろう。
 そう思ったのに、鳥島先生は笑みを浮かべていた。
「……笑いたいんですか」
「笑いものにしてるわけじゃないからね。興奮してるだけ」
「は……?」
 興奮してる笑み……だったのか。
 ……なんで?
 理解できないでいると、鳥島先生もまた、自分のモノを取り出す。
 しっかり勃っていて、本当に興奮しているんだと理解する。
 俺だけイッてるし、出したい気分になるのももわかるけど。

 こないだ見たときは勃ってなくて、それでも大きかった。
 いまは……当然ながら、それ以上に大きくてかなり立派だ。
 あんなに大きくなるなんて……。
 鳥島先生のを見ていたら、感情移入でもしたのか、俺まで興奮しそうになる。
 慌てて、鳥島先生のモノから視線を外したけれど、俺の心臓は、高鳴ったまま。
 どうするつもりなんだろう。
 なにか、意思表示した方がいいんだろうか。
 わからないでいると、
「足、開ける?」
 鳥島先生が、そう俺に聞いてきた。
 俺はなんとか首を横に振る。
「そっか。じゃあ、俺が開くね?」
「え……」
 それでいいんだろうか。
 鳥島先生は、俺の足を開かせると、当然のように腰を寄せてきた。
「あ……」
「ああ、大丈夫。いきなり入れたりしないからねー。佐藤先生、うまく嫌がれないみたいだし。実はあのとき嫌でしたーなんて、あとから言われたくないしね」
 少し、ホッとする俺を見て、鳥島先生はまた笑う。
「ただ……俺も出したいなーって思ってさ。足開いてくれる佐藤先生見ながらでもいいんだけど……また、興奮してる?」
 鳥島先生の手が、さっきイッたはずの俺のモノに触れて、また勃ちかけていることを自覚した。
「うう……俺……」
「いいよ。嬉しいし。兜合わせしよ」
 かぶとあわせ。
 たしか、お互いの性器を重ねるんだっけ。
 俺が理解するより先に、鳥島先生は俺のシャツを胸元までめくると、覆いかぶさってきた。
 そのせいで鳥島先生の性器が、俺のに当たってしまう。
「あ……」
「えっちしてるみたいな体勢だけど、平気?」
 なんで自覚させるんだろう。
 平気なはずがない。
 上から見下ろされて、首を振ろうと思ったけど、鳥島先生に口をふさがれてしまう。
「んぅ、ん……!」
 鼻で呼吸すればいいんだって、わかってるはずなのに、息苦しい。
「はぁ……あ……」
 口を開くと、鳥島先生は俺の舌を舐めてくれた。
 少しだけ口を離してくれて、呼吸もさせてくれる。
「はぁ……はぁっ……ん……んぅ……」
「んー……どうしたの。そんな舌出しちゃって。また吸われたい?」
 いつの間にか、舌先を伸ばしていたらしい。
 俺が恥ずかしいと思う間もなく、鳥島先生が舌を吸ってくれた。
「ぁ、んっ……んぅ……ふぁ……」
「はぁ……かわい……腰、動かすよ」
 動かすと、どうなるんだろう。
 頭で考えるより早く、鳥島先生が腰を揺らす。
「ぁあっ! ん、んっ!」
「手で掴むのとは、またちょっと違うよね……。佐藤先生の……さっき出した精液で、ぬるぬるしてるし……はぁ……気持ちい……」
 鳥島先生は、本当に気持ちよさそうな声を出していた。
 どうして素直に、気持ちいいって言えるんだろう。
 別に、恥ずかしいことじゃないから……?

 竿が擦れて、敏感な亀頭を鳥島先生の性器で撫でられると、腰がビクビク震えた。
「んぅんっ! あ……ああ……!」
「あ……これ、気持ちいい? さきっぽ、きもちーよねぇ。俺も好き……」
 覆いかぶさった鳥島先生がさっきよりも短いストロークで腰を揺らす。
「あっ、んっ! んんっ……あ……!」
「わかる? 佐藤先生の亀頭と、俺の亀頭がぶつかって、擦れて……あ……はぁ……俺もね……先走り、出てきちゃってるみたい……」
 ぬるぬるしてるのは、俺が出してる液だけが原因じゃないようだ。
 鳥島先生の先走りが俺の先端に撫でつけられてると思うと、ものすごくやらしい気がしてしまう。
 実際、やらしいんだろう。
 やらしいし、気持ちいい。
 そういえば、さっき気持ちいいかどうか聞かれてたっけ。
 答える余裕はないけれど、気づくと自分の腰も浮いていた。
「んぅん……あ……あっ……ん」
「はぁ……かわい……腰、浮いちゃうね。はぁ……ん……かわいすぎて……いっちゃいそ……」
 そう言いながら差し出してきた鳥島先生の舌に、自ら舌を絡めにいく。
 そうしたいと思ったわけでも、そうしなきゃいけないと思ったわけでもない。
 ただ、そうすることが自然であるみたいに、鳥島先生の頭に手を回して、引き寄せていた。
「んぅっ、んっ……ぁ、んっ」
 舌先だけじゃ物足りなくて、もっといっぱい、舐めて欲しかったのかもしれない。
 行動した後に、理由を理解する。
「はぁ……ん、佐藤先生、キス、好きだよね?」
 小さく頷いて、何度も何度も舌を絡め合う。
「ん、ん……はぁ……ぁ……あっ、ん……」
「こっちは? はぁ……亀頭合わせんの……いっぱいあたって……擦れて……んっ……はぁ……好き?」
 擦られるたび先端がじんじんして、体の奥の方まで快感が伝わってるみたいだった。
 頷きながら、鳥島先生の亀頭に押し当てるみたいに、もともと軽く浮いていた腰をさらに浮かす。
「ぁあっ! あっ、あっ!」
 その瞬間、さっきよりも強く亀頭同士が擦れて、大きな声を洩らしてしまっていた。
「ああ……いまのすご……。びっくりしちゃった? 腰……いっぱいビクついて……」
「はぁ……あっ……あっ」
 もうなにも言えなくて、ただ鳥島先生にしがみついたまま、頷く。
 顔も見えていないだろうけど、それでも、頷いているのはわかったようだ。
「ゆるーくしてたけど……そっちがその気なら……ちょっと強めに当てちゃうね?」
 俺が、どの気だっていうんだろう。
 あいかわらずわからないでいると、腰を落とした鳥島先生が、さっきよりも密着するみたいにして、性器を擦り合わせてきた。
「ひぁっ! あっ……ぁあ……あっ!」
 お互いの腹に挟まれた鳥島先生の大きくて硬いモノが、ずるずると行き来する。
 そのたびに、竿同士が擦れて、亀頭も擦れて、強すぎて腰なんて浮かせてる場合じゃない。
「あっ……ああっ、あっ……んっ!」
「わぁ……佐藤先生の、ビクビクしてる……あ……ん……いきそ?」
「んっ……んぅっ……ぅん……んっ!」
「うん……教えてくれてありがと……はぁ……ん、俺も、いくからね……一緒にイこ?」
 一緒になんて、どうすればいいんだろう。
 どっちにしろ、我慢なんて出来そうにない。
 鳥島先生のも、ビクビクしてるみたいだった。
 熱いので擦られて、浮かせられなくなっていた腰が、ガクガク震える。
 一緒にって言われたからには、伝えなきゃいけないような気がして、俺は必死に訴えた。
「はぁっ……あ……あっ……いく……いくっ……あっ、んぅんんっ!!」

 俺の体がひときわ大きく跳ねると同時に、鳥島先生の体がビクつく。
「くっ……う……はぁ……はぁ……ああ……いまの……いくって言ってくれんの……まじで、かわいすぎ……」
 かわいいのは、いいことなんだろうか。
 体を起こした鳥島先生が、俺のお腹を見下ろす。
 そこには、俺と鳥島先生と、2人分の精液が乗っかっていた。
「はぁ……はぁ……ん……ふぅ……」
 なんとか息を整えようとする俺とは対照的に、鳥島先生が余裕そうなのは、俺と違って1回目なのと、慣れているのと、そもそも基礎体力が違うせいだろう。
「もっとかわいー佐藤先生、見たいなー」
 鳥島先生はそんなことを言いながら、精液を右手で拭い取ると、あろうことかその手で俺の亀頭を包む。
「ああっ、あっ!」
「うん……イったばっかで敏感だねー。イッたばっかじゃなくても敏感な場所だし、触られ慣れてないみたいだから、なおさら……」
 包み込まれた亀頭を優しく撫でられると、くちゅくちゅ卑猥な音が立った。
「あ……あっ……やぁ……」
「なに?」
「……いっ……あっ、あっ!」
「うん……イッたのに、立て続けに亀頭ばっか攻められたら、おかしくなっちゃうね……」
 伝わった?
 伝わってるのに、なんで続けてるんだろう。
 前も立て続けに2回イかされたけど、鳥島先生は、いつも連続でするんだろうか。
 鳥島先生だけじゃなく、もしかして、それが普通ってことも……。
 わからないけど、俺はもう出せそうにない。
「んんっ……あっ……ん、も……出ない……」
「うん。いいよ。出さなくても、いいからね」
 おかしくなる……鳥島先生はそれがわかってて、それでも続けてて。
 出さなくてもいいって。
 理解が追いつかない。
 ただ、亀頭を撫でられ続けると、体の奥の方が疼いた。
 知らない感覚だ。
「はぁ……はぁ……あっ……あ……せんせぇ……」
「どうしたの?」
「はぁ……ああ……あ……ん……きゅうって……んぅんっ!」
「んー……お腹の中、きゅんきゅんしちゃってる?」
 小さく頷くと、鳥島先生は亀頭を撫でたまま、空いた手の指で玉の下からお尻の穴にかけて押さえつけてきた。
「ぁんんんっ! んーっ、んぅっ!」
「あ……いきなり強く押し過ぎちゃったかな。苦しい? 声、いっぱい出していいからね」
 まるで疼いている箇所を、当てられてるみたい。
 妙な感覚が、徐々に快感へと変化していく。
「ああっ、あっ……ぁんっ……うっ……なに……」
「ここ? 前立腺。いきなりナカ、指突っ込まれんの不安でしょ。だから外から、こうして、押さえつけて……」
「あっ……あんっ! んっ……くっ……あっ……やぁ……」
 まさか自分が、あん、なんて喘ぐ日がくるだなんて思ってもみなかった。
 声は抑えられないし、さっきから、きゅんきゅんするのもおさまらない。
「んー? なにがやだった? 気持ち悪くは……ないよね? あんって言っちゃうのかな」
 どうやら鳥島先生には、お見通しようだ。
 否定しないでいると、それを肯定だと受け取ったらしい。
「我慢するから、あんってなっちゃうんだよ。俺は、ああって喘ぐのも、あんって喘ぐのも、んぅってなっちゃうのも好きだけど」
 だったら、どうすればいいんだろう。
 それより、喘ぎ方を考えている場合じゃない。
 亀頭を手のひらでいっぱい擦られて、外から前立腺を押されて、俺の中で限界がきてしまう。
「くぅっ……あぁっ、あっ……あんぅっ……あっ、ぁああっ!!」

 ビクビク体が跳ねて、気づくと大きな声を漏らしていた。
「ふぅ……うう……はぁ……あ……んぅ……」
「……ああ……イケたね」
 イケ……た?
「はぁ……あ……出て、ない……」
「うん。出さずに、ドライでイケたよね。上手上手」
 ドライで。
 そっか。
 これが、ドライでイクってことか。
 さっき体が跳ねた瞬間、たしかに絶頂を迎えた。
 その自覚はある。
 いまもまだ、気持ちいいのは、ドライでイッた余韻だろう。
「上手、とか……」
「だってホントに上手だもん。俺、なかなかドライでイけないからさー。体質の問題かな」
 子ども扱いされてると思ったけど、とりあえず悪気はないようだ。
 ぼんやりしたまま、余韻を味わう。
「気持ちよかった?」
 それに関しては、迷う余地もない。
「ん……」
 なんとか頷いて返事をする。
「じゃあ、これまでしてこなかった分、俺といっぱい、気持ちいいことしよ?」
 ここは拒むとこだろう。
 好きかどうかもわかってないのに。
 ……好きじゃなくても、こんなに気持ちよくなれるんだろうか。
 わからないけど、気持ちいいことはしたい。
「俺はしたいよー。ね?」
 鳥島先生がしたいなら、いったいなにに遠慮する必要があるんだろう。
 わからなくて、気づくと俺はまた、頷いてしまっていた。