「……あ…れ……尚吾…?」
それは、高校入ってすぐのこと。
俺、藤宮厘は中学校から仲のよかった要と高校も同じで…運がいいことにクラスも一緒になれた。
一緒に、教室に入り、中を見渡すと、そこには小学校のとき、仲のよかった真宮尚吾の姿があった。
「…厘?うっわ。久しぶりじゃん」
「久しぶり♪…あいかわらず派手じゃん。なに?メッシュ入れてんだ?」
「おまえはただの茶髪なの?もっと派手にしろって」
笑いながらそう言った。
「…で、そっちの子は?おとなしそうじゃん…。厘にしてはめずらしい友達だな」
「ま…ね…。俺、中学から変わったから。要っていうんだ。なっ?」
要の方を見て訴えると、要は少しおどおどした様子で大きく頷いた。
要って人見知りするから…。
いきなり、メッシュ入れた奴に気楽に対応するのも無理な話だ。
「尚吾―っ」
だれかが、尚吾を呼ぶ声が聞こえた。
尚吾はそれに答えて『またな』って言い残すと、そっちへ行ってしまった。


「要、今のね。俺の同じ小学校のやつで尚吾っていうんだ」
「…そ…なんだ…。ね…厘って、小学校のころ…なんか違ったの…?」
少しだけ不安そう。
なんか違ったって……
あぁ、俺が『中学から変わった』って言ったからか…。
「…う〜ん……小学校のころは、ホントよく先生とかに注意されたり…はしゃいでてね。少しだけ違ったかも…」
中学に入ってからは、なんていうかまわりの環境にもよるんだろうなぁ。
俺の中学で初めて出来た友達が要だったから、それからずっと要といたし……。
要にあわせて、あまり派手なやつとは付き合いがなかったんだよな。


入学式の後、学校が終わって、俺は尚吾の部屋に行くことにした。
さりげに…俺、尚吾のこと好きだったっていうか…。
つるんでてすっごく楽しかったから…。
うん…やっぱ好きだなって、今日、教室で会って思った。


「なに、お前、まさかタチじゃねぇよな?」
「…まさか…。要はただの友達…」
そ…俺、小学校のときは…なんていうか、下ネタとかバンバン言っちゃうタイプだったんだ。
中学ではそんなこともなかったから、要は俺がそーゆうタイプだって知らないだろうな…。
そうゆうのから、ずいぶん離れてた気がする。
真面目になったというか…。
けど、尚吾としゃべる時は、なんとなく小学校の頃の自分に戻した方がいいかなと…。
尚吾の持ってる俺のイメージを崩さないようにしようとか思ったわけ。
下ネタが嫌いなわけじゃないしね。
「飲む?」
冷蔵庫から缶ジュースを出される。
でもよくみるとアルコール入り。
俺…こんなん飲んだことないし…。
でも、尚吾のイメージ…
つまりは小学校の頃の俺のイメージなんだけど……
そうだったら、普通にこうゆうの飲んでそうだよなぁ…。
夜遊びとかしそうなタイプだったし…。
まぁ、小学校のころはもちろんまだ12歳だし、してないよ。
でも中3くらいになってたら普通にしてただろうなって話。
「…サンキュ♪」
しょうがなく、少しずつ飲むことにした。
「厘、タバコなに?」
「いや…吸ってないよ…」
「…そ…なんだ?なんで?お前、手、出しそうなのに…」
うぅうん……。
やっぱ、尚吾から見る俺のイメージってそんな風なんだろうなぁ……。
たわいもない会話が続く中、尚吾に渡された飲み物を飲むうちにだんだんと顔が熱くなってくるのがわかる。
すごく、心臓がドクドクいってる。
眠くなってきたし…。
やばいかも……。
「…厘?」
それに気付いて、尚吾が俺の頬に手を触れる。
冷たくて気持ちいい…。
「…なに?弱いんだ?」
「…あつい……」
全然、尚吾の問いかけに合っていない答えを返すと、尚吾は軽く笑って俺のシャツのボタンに手をかける。
「…な…に…」
「いや、あついんだろ?」
俺は、体がだるいような…よくわからない感覚で眠かったから、そのまま尚吾のベットに寝転がった。
「…な…少し、ココで寝てっていい…?」
「…なにそれ。誘ってんの?」
冗談っぽくいう。
「ばーか」
俺も冗談っぽく返しておいたけど……。
尚吾って……絶対、俺のこと、もう経験済みだと思ってそうだよな……。
でも、俺、やったことない。
尚吾は……ある…よな…。
もし、いまココでやっちゃったりしたら、俺が経験してないっての…バレるだろうし…。
それはまだいいんだけど、なんていうか、すでに慣れちゃってる尚吾にされるのって恥かしい気がした。
他の子と比べられそうだし…。
そうこう考えてるうちにも尚吾は俺のシャツのボタンを外す。
「…なに…?やる気…?」
「駄目?」
「…ごめん…今日、腹の調子悪い…」
やること自体はなんでもない行為であるように答えてみる。
「…じゃ、口でイかせてやろうか?」
「…俺はやらないよ」
というか…やれない…。
口でなんて、どうやればいいのかわからないもん。
「いいよ。一方的で」
そう言って、尚吾は俺のズボンのベルトを外しにかかった。
「…する…の……?」
「…いいだろ…?」
「…まぁ…いいけど…」
駄目…。
すっごくドキドキしてる。
ただでさえ、アルコールのせいでドキドキしてたのに…。
尚吾に思われてる俺のイメージを、崩さないようにって思ったら…。
俺、こんな口でされるくらいで騒ぎたくないし…。
なんでもない行為なフリをする。
尚吾が俺のズボンのチャックを下ろしてしまい、直に俺のを取り出す。
駄目…本当に恥かしくなってくる。
必死でなんでもないような顔を作る。
そんなの…人の手で触られたことなんて…ないし…。
尚吾は、なんのためらいもなく俺のに舌をつける。
「っ…ン…」
やっぱ…慣れてるのかな…。
慣れてるのは…ちょっと嫌かも。
「はっ…ぁっ」
「ねぇ…もう少し、足、広げて…」
…そうゆう…もんなの…?
俺は、尚吾の言うとおり、少し足を広げた。
ねっとりと、舌で根元から先端に向かって舐め上げられ、ゾクリとした感覚とともに体がビクンと仰け反る。
「あっ…っあっ…」
こんなの…はじめて…
体がおかしくなる…。
ピチャピチャと…いやらしい音を響かせて尚吾が舌で強く俺のを舐め上げるたびに、体が震えて口からは変な声が溢れてくる。
「ぁっ…ンっ…ぁっ…はぁンっっ」
あろうことか、尚吾は、俺のを口の中に含んでしまい、口内すべてで味わうようにいやらしく舌を絡める。
「ひっぁっ…ぁっあ…っ」
俺はいやらしく膝とか立てちゃってた。
必死で、耐えるようにベットのシーツを掴む。
でも、尚吾が袋を揉みしだきながら吸い上げるもんだから……
もう限界…。
「…ぁ…ぁあっ…尚吾っ…あぁああっ」
恥かしいことに、俺は尚吾の口の中で、イってしまっていた。


人にイかされるのなんて初めて…。
わけもわからず涙が溢れそうになった。
呼吸を整えるのにいっぱいいっぱい…。
「早いんじゃねぇの?」
少し、からかうように冗談っぽく笑いながら言われた。
「…尚吾こそ…うまいじゃん」
なんでもないように、笑い返してみたり…。
「…もうそろそろ…夕飯だけど…どうする?食べに行く?」
「…悪ぃ…食欲ない…」
「あぁ、腹の調子悪いっつってたもんな。ゆっくりしてけよ」
「…尚吾は…食べてきていいよ」
俺の頭を軽く叩いてから、尚吾は部屋を出て行った。

すっごい…ドキドキした。
もう…体に力入らないもん…。
俺は、少し落ち着くまで尚吾のベットでうたた寝してから、尚吾の戻らないうちに自分の部屋に戻った。

別に……尚吾のこと、俺好きだし…。
尚吾にならやられてもいいよ…。
でも…尚吾にとっては…俺ってなんなんだろ…。
ただの仲間って感じかな。
SEXなんてどうってことない行為…。
尚吾はそう思ってそう。
俺も…そうゆう風に考えてるって、尚吾は思ってそう…。
まだ…俺、SEXに慣れてないから…恥かしいよ…。

それから…教室では、俺は要といたし、尚吾も他の友達といたから話す機会はあんまりなかった。

それでも夏休み直前…。
夏休みにパーっとみんなで花火でもしようって話になったんだ。
俺と要と尚吾と…尚吾の友達の村尾淳って人と…。
「な…尚吾…。要は真面目だから…酒とか持ってくんなよ?」
先に言っておく。
要だけじゃなくって…。
本当は俺も、少し真面目になってたと思う。
酒とかタバコとかに後ろめたさを感じるあたり…。
「OK。まぁ、淳も…真面目ってわけじゃねぇけど子供っぽいし…しゃーないからナシで行くか……」
内心ほっとしていたときだった。
「じゃさ…先に2人で打ち上げねぇ?1学期終了を祝して」
「ばーか。何が祝してだよ」
笑いながら言うけど…
OKって言ってるようなもんで……。
だって…やっぱ尚吾に誘われるのは嬉しいから…。
「今日、部屋来いよ」
そう言われて『わかった』と答えてしまっていた。



「…尚吾…俺、アルコール弱いって知ってんだろ?」
部屋で俺にアルコールの入った飲み物を勧める尚吾に不機嫌そうに訴える。
「少しくらいは飲めって」
「はいはい」
味は嫌いじゃなかったから、俺は尚吾の手から2つのうち1つの缶を手に取って、少しだけ口にした。
「…厘……彼氏とかいんの……?」
「は…?」
唐突な質問。
手から、缶がすり抜けそうになった。
「……な…んで……?いないけど…」
「じゃぁさ…。1発どうよ」
「……」
沈黙を繋ぐように俺らは缶を口元に持っていってた。
「……いくら出す…?」
「……金…取るんだ……?」
尚吾は3本の指を俺の前に出す。
「……3千…?」
「30円」
「安っ……サイテー…」
軽く笑って『冗談だって』って言うもんだから、そのまま話は流れるのかと思った。
「…3000円ならいいんだ?」
流れると思った話はまた振り戻って、そう聞く尚吾に俺は『駄目』と笑って答える。
「じゃ、3万」
「もうちょっと」
「10万とか?」
「足りないね」
別に…金なんか出さなくても、俺のこと、していいのに…。
でも、いまさらそんなこと、言える状況じゃなった。
「50万」
「………」
どんどん…金額あげて…馬鹿みたい…。
「………どうせ…払えないだろ?」
「…少しずつ払うよ…。で…1月に1回…。50万いったら終わり…」
その言葉を聞いて、俺は一瞬固まった。
「じゃぁ、1月以内に50万、使わせるよ」
笑いながらそう答えてみるけれど、心の中は全然笑えてない。
50万……いったら終わり……。
そんなの…いやだよ…。
お金がなくても全然構わないから…
付き合って欲しい……。
金の切れ目が縁の切れ目とか言うけど……。
それって、普通だったら俺が言うはずの立場であって、尚吾から切り出すことじゃない。
なんか……苦しくなってきた……。
気を紛らわすために、俺はつい缶の中身をガブ飲みしてしまっていた。


「……大丈夫かよ、厘」
寝転がってる俺を見下ろして尚吾が言う。
「………」
俺……いつ、寝転がったんだろ…。
シャツは脱がされたのか、上半身が裸の状態だった。
「……厘……」
尚吾が俺のズボンに手をかけるが、なんとなく…理解できなかった。
それがどうゆう行為なのか…。
あっさりズボンと下着を脱がされてしまうが、俺は頭がボーっとして、されるがままになっていた。
「……尚……吾……」
もう…俺、尚吾になら…されてもいいかも…。
酔ってんのかなぁ、俺。
初めてだからとか、考えてられなくなってきた。
「……酔ってんの……?それとも、いつもこんな感じ?」
尚吾の問いかけに、『うん』とも『違う』とも言えず、ただボーっと尚吾の手を見て次の行動を読み取ろうとしていた。
尚吾の手は、俺の胸元をそっと撫で上げると、指が乳首のあたりを行ったり来たりする。
「ふぁ…ん…」
次第に、ソコが硬くなって、尚吾の指が引っ掛かる。
爪で乳首の先端を引っ掛かれると、痛くないんだけどチクって感じがして…
引っ掛かれた先端を中心に周りが変にゾクっとした。
背筋にも、変にゾクリとした感覚が走る。
…俺……感じてるんだ……。
そう思うと一気に体が熱くなるような感覚に陥る。
「ぁっ…尚吾…っ…あっ…」
散々、チクチクと爪で弄んだ乳首に、今度はゆっくりと舌を這わす。
「っあっ…んぅ…っ」
尚吾の舌が温かくて……心まで温まる感じ…。
舌を這わしていない方の乳首を指で摘み上げると転がすように愛撫される。
「やっ…ふっ…ぁっ…あっ…」
俺は、尚吾の髪の毛に自分の指先を絡めていた。
「…ん…厘、ココ、すげぇ、感じるんだ…?」
少し笑うように言われるけれど、もういつもみたいに言い返してられない。
そんな……余裕ない……。
「はぁっ…尚吾…っ…」
「気持ちいい?」
「…っぅ…ンっ…っ…」
俺は、目を瞑ったまま、頷いていた。
それを確認してからか、尚吾は俺の乳首への愛撫をやめてしまう。
少し物足りなさを感じてると、尚吾の手が俺の股間のモノを掴みこみ、やんわりと撫で上げた。
「んぅっ…やっ…」
上下に手を動かされると、変に体がビクビクして、もう先走りの液が溢れる。
「はぁっ…あっ…んぅ…」
亀頭からぬめりを取り上げると、尚吾は後ろの秘部の方へと指を這わす。
「…尚吾…」
俺…このまま、尚吾にやられちゃうんだ……。
ふと……さっきの尚吾の言葉を思い出す。
50万いったら終わり……
「…や…だ…」
小さく洩らした俺の声は聞いてもらえなくて、尚吾はそのまま俺の中に指を差し込んだ。
「っひっぁっ…っ」
入り口を広がられると、後はどんどんと奥に入ってくる感じ…。
「っんぅ…あっ…くっ…」
「…厘…すっげ…キツ…」
そりゃ…そんなトコは、指を入れるところじゃないからね…。
「…尚吾…っ…なぁ…50万いったらっ…終わりって…?」
やっぱ、どうしても気になって…
「…え…」
じっと、尚吾を見つめると、少し困ったように俺を見下ろした。
「…いつから…お前、冗談通じなくなったんだ?」
金を出すとか…そんなん冗談だって、分かってる。
でも…『50万いったら終わり』ってのは…
たとえ、冗談でも、そうゆう気持ちがあるんでしょ…。
「…笑えねぇよ…その…冗談…」
「……別に…俺の都合で言ったわけじゃねぇから…」
尚吾はそう言って、中にもう1本、指を差し込む。
「んぅっ…ぁくっ…」
俺のって………尚吾の都合じゃないって…?
どうゆう事……?
「…厘の方が…そう思ってるんじゃ…ないかって…」
「…はぁっ?」
わけがわからなくなってた。
「代わりに言ったんだよ」
「……そ…んな……」
「…お前…いつも…利益がない事はしたがらなかっただろ…」
そんなの…いつの話だよ…。
「だから…厘が言うと思ったんだよ。金がなくなったら終わりって…」
「俺っ…が、言うならいいだろ?冗談で通じるから……」
「…………」
尚吾が、俺の前髪をかきあげて、そっと口を近づける。
「……ん……」
軽く、触れるだけのキスだった。
それでも、心が満たされるような気分になった。
「……冗談…でも…聞きたくなかったから、俺が先に言ったんだって」
そうとだけ言うと、俺の髪をかきあげていた手を膝裏に回し、足を、折り曲げさせられる。
後ろを見られてると思うと、ものすごい羞恥心にかられた。
「ぁ……尚吾……」
尚吾は、まるで何事もなかったかのように、俺の中に差し込んだ指を動かし行為を再開する。
「はぁっ…ンっ…ぁんっ…」
俺ら、冗談ばっか、言い合ってたから、今さら真面目な話なんてし合うのは少し恥かしささえ覚えた。
尚吾もそう思ってる…?
「…俺もっ…聞きたくなっ…」
金がなくなったら終わりだなんて…
聞きたくなかったよ…。
でも、たしかに尚吾が言い出してなかったら…自分から聞いてた?
じゃぁ、50万、使っちゃったら、終わりだねって…。
……でも、それはたぶん…尚吾の気持ちを確かめるために聞くみたいな感じで…。
決して、冗談で言うだとかじゃなくって…。
冗談は冗談なんだけど、ちょっと違う。
尚吾を引っ掛けるためみたいな感じ…。
なんにしろ、自分の気持ちで、金がなくなったら終わりだなんて発言はしないよ。


……にしても……冗談でも聞きたくなかったって……
俺も聞きたくなかったから……だから、尚吾も俺と同じ気持ちだったって事……?
金がなくなっても終わらせたくないっていう……
まだ、始まってもいない気もするけど……。

「…ぁっ…尚吾……俺っ………したことない…」
「……そ……なの………?」
ここまできてなんだけど、まだ経験無しだって訴えると、尚吾は思ったとおり、驚きの表情を見せ、中に入れていた指の動きを止まらせる。
「…尚吾は……あるん…だろ……?」
「…ねぇよ…馬鹿…」
尚吾はそう言うと、指を引き抜いて、俺を抱き上げる。
「っ……なっ……」
尚吾も……した事、ないの…?
「…だったら……なんでそんな……余裕ぶって……。…先言えって」
「…厘こそ…先、言ってくれればいいだろ?余裕ぶってたじゃん」
「全然、余裕ぶってないってばっ」
「いいや、余裕ぶってたね。めちゃくちゃ慣れてんのかと思って緊張しただろ?」
「それはこっちのセリフだってば」
久しぶりに言い合って…
それがなんだか楽しくって、お互い笑いあった。

「…じゃ、お互い、脱童貞みたいな?」
「ばーか」
少し…気が楽になった。
ほら…俺ら、気、使わなくってもいい関係だったじゃん…?
自分を隠さなくってもいい、一緒にいて、疲れない関係だった。
それなのに、尚吾に合わせて、作ってた自分が、少し馬鹿らしくも思えてきた。
俺は俺で、人が変わったわけじゃないから…そのままの自分、さらけ出してればいいんだよね…。
たとえ、中学で真面目になったとしてもさ…。
気、使わずに尚吾としゃべってれば、作らなくっても自然に、昔みたいに戻ってる。




尚吾は、抱き上げた俺の背中に手をまわして、後ろから濡れた指を挿入し、時間をかけて慣らしてくれた。
「は…ぁっ……も…いいよ…」
確かに、尚吾の指も気持ちいいけど…
早く、最後まで味わいたいって、気持ちがあった。
「大丈夫かよ、お前…処女のくせに」
「…童貞が、気、使うなって」
からかうように言い合って……
ほら…こうゆう風に、言い合えるのが好き…。
決して尚吾に合わせて作り上げてるんじゃなくって…
素で、言い合えるのって、いいよね…。

尚吾が、引き抜いた指の代わりに自分の昂ぶりを、ゆっくりと押し入れる。
「…っく…ぁっ…」
信じられないような、圧迫感…。
でも、気持ちいい…かも……。
「…厘…動かすよ…」
「ん…いちいち…聞くなよ…」
軽く笑うと、尚吾は俺の腰を掴んで上下に揺さぶりをかける。
「ぁっ…ぁあっ…んっ」
自分からも、尚吾の肩に手をかけて腰を動かし、尚吾に与えられる快楽に溺れていく。
「尚吾…っ…ぁっ…くっ…ンぅっ」
「いい…?」
からかうようにでなく、真面目に聞いてくる尚吾に対して、俺も心から、『気持ちいい』と答えた。
内壁を擦り上げられるたびに、ゾクゾクと電流みたいに快感が走って射精感が高まっていく。
「はぁっ…ぁンっ…尚吾ぉ…イク……ぁっ…ぁああっっ」
恥かしくも宣言してしまった直後、俺が頂点に達してしまうと、尚吾もその後、すぐに欲望を弾け出した。



「…金…いる?」
「…いらねぇって……そう言うの分かってて聞いてんだろ…?」
尚吾は笑って『まぁね』って言うと、寝転がってる俺の頭をやさしく撫でた。
「…厘…利益なくってもいいわけ…?」
不意に尚吾がそんなことを聞く。
「…じゃ、尚吾も利益ないじゃん」
寝転がったままそう言うと、尚吾は
「俺は、やれた事が利益」
って、言うもんだから俺も言い返してやった。
「…俺も…尚吾とやれたことが利益」
「真似すんなってっ」
「あははっ、真似じゃなくって、ホントだもん」

尚吾とやれて…
尚吾と一緒にいれることが利益みたいなもんだから…。
これって、お金と違って、一生なくならない、形のないものだもんね。
一生なくならないから……
一生、付き合ってもらうよ。