つい、勢いで聞いてしまった。
少しばかりの沈黙。
その沈黙で、ハッと我に帰る。
目の前で明らかに困ってる深敦くんの姿。
僕は、啓ちゃんが深敦くんとやったって知ってるのになんでわざわざ深敦くんの口から聞こうとしているのだろう?
「深敦くん、その、ごめん。別に僕、怒ってるとかじゃないし隠さなくってもいいと思うし……」
「いや、そのなんつーか確かに手とか出されたけど……。別に啓吾が俺のこと、好きとかそうゆう感じの手の出され方じゃねぇし……。
からかっただけみたいな感じだから……その……」
気にするなって?
深敦くんはいい人だ。
啓ちゃんって絶対深敦くんの事好きだと思う。
実際、今日、啓ちゃんが前の席の水城くんと話してるの聞こえちゃったし。
深敦くんみたいなのがタイプなんだって……。
僕は、やるだとかそうゆう対象じゃないみたいで……。
「……僕と深敦くんって……どこらへんが違うのかな」
そう言うと、深敦くんは、難しい顔をして考え込む。
違うよね……全然……。
「わかんねぇけど……違うよな」
そう……どことか言えないけど、タイプが違うんだよね……。
「なんか……ごめんね。暗い感じになっちゃって……。僕、もう行くよ」
カバンを持って、その場に立つ。
「晃っ……俺、全然そーゆうのいいから。なんつーかさ。今まで男同士とか考えたことなかったからよくわかんねぇけど、いろいろ話してくれんのって、うれしいし……。俺なんかじゃ役に立たないかもだし……むしろ晃の悩みの種作っちゃってんの俺みたいだけど……。また、暇だったらしゃべろうぜ?」
深敦くんはそう言ってくれた。
深敦くんが、悩みの種作ってるわけじゃない。
僕が勝手に考え込んでるだけ……。
こうゆうグチグチしたのが駄目なのかな。
「ありがと……また、遊びに来るね……」






「…よっ」
ドアを開けると、すぐそこに水城くんが立っていた。
「水城くん。あ、プリント、ちゃんと渡しといたから……」
元はといえば、このプリントは水城くんが深敦くんに持っていく予定のものだった。
「うん。ありがと。あのさ……これから俺の部屋来ない?」
僕ってほら、人見知りするし、こうゆう風に誘われるのってすごくうれしい。
なに話せばいいのかとかわかんないけど……。
とりあえず僕は頷いて、水城くんに続くようにして部屋に入った。

時間的には、まだ昼って言ってもいい時間。
だから、先輩たちがそれぞれの寮に帰ってくるにはまだ早い。
「紅茶、飲む?」
そう聞かれると『さっきお茶飲んだから』とか断われなくて、
「うん」
そう言ってしまう。
あぁ、なんか僕、すっごいそっけない態度とってるかも。
そんなつもりはないんだけど、なんか知り合ったばっかの人って緊張しちゃって。
深敦くんもそうなんだけど、僕って語りだすと止まらない感じで。
そう、語りだすまでがなかなか……って一人で語っちゃうのもなんだけど。

水城くんがわざわざ紅茶を入れてくれる。
綺麗に赤く透き通ったその飲み物にしばし見入ってしまう。
そんな様子を見てか、水城くんが軽く笑うのがわかった。
「ねぇ……アキは啓吾と小学生の頃から一緒なんだよね」
「うん。僕、保育園とか行ってなかったから、初めて出来た友達なんよ」
近所の子とかとも大して遊ばなかったから、ホント初めて。
「そっか。昔って、啓吾どんなんなの?」
水城くんに啓ちゃんの事を聞かれるとは思わなかった。
僕は少し紅茶を飲んで、昔の事を思い出す。
「僕、女の子っぽくって、よく『女の子みたい』とか言われてて……。たぶん、言った方も悪気はないと思うんだけどね。 それに小学生の頃なんてホント女に見える男とか男に見える女とかいると思うし……。 でも僕的には結構それがいやで……。啓ちゃんはそうゆうのわかってくれて、いつも『あんなん気にするな』って言ってくれたり……」
「いい奴なんだ」
「うん……」
なんだかなにを言えばいいのかわからなくって、ちょっとした沈黙……。
その沈黙が辛くて、僕はゆっくりと紅茶を飲みながら、水城くんの出方を待った。
「……アキ、啓吾の事、好き?」
唐突に沈黙が破かれてしまう。
水城くんに聞かれるだなんて……
「まぁ友達として……好きだけど」
ホントは友達としてなのかそれ以上なのか、よくわからなかったけど。
水城くんに言うべきかわからないし。
だって、水城くんは、啓ちゃんのタイプが僕じゃなくって深敦くんだって知ってるわけだし。
「水城くんは……?」
…話す事に困って、そんな事聞いてどうすんだろう? と思いつつも、オウム返しに聞いてしまう。
「俺? そーだなぁ……まだ知り合って間もないしよくわかんないけど……俺もいいやつだと思うな」
「……どうして……」
「いや、結構話合うし。あ、アキが啓吾のこと、友達以上に思ってないっつーから言うんだけどさ。これから啓吾、深敦の部屋行くみたいだよ。見舞いだって言ってたけど」
見舞い? そんなの嘘っぽい。
水城くんは、僕が啓ちゃんのこと、友達としてしか好きじゃないんだって信じてんのかな。
「啓ちゃんはやさしーから、結構見舞いとか来てくれるんよ」
……ホントはそんな風に思ってない。
やさしいけどたぶんわざわざお見舞いなんて。
入院とかするほどだったらたまに覗いたりするかもだけど…
ただの風邪で……しかも知り合って、まだ2日。
僕は風邪ひいても来てもらったことなんてないし……。


風邪……
そういえば、なんだか僕も体が熱くなってきた。
風邪……うつっちゃったかもしんない。
「……水城くん……なんか風邪っぽいから僕もう自分の部屋に……」
ちょっと言い出しにくかったけど、このまま風邪っぽい体でここにいると、水城くんの方にも迷惑だろうし。
その場に立ち上がる。
「風邪……? 熱とか?」
水城くんが、僕の隣に来てオデコに手を当てる。
と、その手をうなじに回し、一気に引き寄せられ、水城くんの口が僕の口と重なる。
「んっんぅっ」
水城くんを引き離そうにも、そんな事されてて体に力が入らないしで……。
頬を軽く掴まれると、それに従って口を軽く開けてしまう。
その間から水城くんの舌が入り込んで、ゆっくりと中を嘗め回してから僕の舌に絡まる。
「ふぅっ……んっ、んぅっ」
何度も角度を変えて深く重なり合う唇と絡まり合う舌に、気が遠くなりそうで。
口が離れるとそこから唾液の糸がひいて、ものすごく恥ずかしく感じた。
でも、その時には、すでになにがなんだかわからなくって、ちょっと放心状態。
「水城く……」
「ねぇ。アキってホントに処女……?」
答える間もなく、僕の力の入ってない体を軽々と持ち上げ、ベットの上に落とす。
「アキね……風邪じゃないから安心して? 体、熱い? だるくて力とか入らないかもしれないけれど 」
「ど……して」
仰向け状態で、水城くんを見上げる。
「……さっきの紅茶、アキには悪いけど、薬混ぜさせてもらったから……。害はないよ」
「そんな……」
害がないからいいとかでなく……。
体がどんどん熱くなっていく気がしてくる。
薬を飲んでしまったと思うと変に意識しちゃって……。
くるっと、体を半転させられうつ伏せにさせられると、手を片方ずつとられ、何かをハメられる。
両手ともはめられた所で動きが限られて、それが手錠なんじゃないかと気付いた。
もう一度、体を返されもとの仰向けに戻されると水城くんは上から僕の体を跨ぐ。
「水城くん……こんな、手……」
「いや? アキ、処女だから痛いといけないし抵抗とかしちゃいそうだし……。 薬入ってるから大したこと出来ないと思うけど、俺に任せて欲しいからさ」
そう言って、ゆっくりと僕の着ているシャツのボタンを外していく。
「や……ぁ、水城く……」
「そんな不安そうな顔しないで……アキの事、好きだからしたいとか思うんだよ」
「でも、まだ知り合って間もないし」
「時間とかって関係ある? ……長く一緒にいたぶん、近いとも限らないでしょ」
それが啓ちゃんと僕の事を言っているかのようで、ちょっと胸が痛む。
「知り合って間もないからこそ……もっと知りたいと思うんだよ」
すべてボタンを外してしまったシャツから僕の肌が露わになる。
それをあまりにじっくり見られると恥ずかしさで顔が熱くなるのがわかった。
「ココ……すごくかわいい……」
水城くんは体を被せると、僕の乳首に舌を這わす。
「あっ……水城くっ、や……」
いやなのに……いやなはずなのにすっごいドキドキして。
なんだか気持ちよくって、もっとして欲しくなる。
僕が好きなのは啓ちゃんじゃないの?
水城くんじゃないはずなのに……。
それなのに、こうゆう風にされてどんどん体が熱くなってきちゃって。
水城くんは、もう片方の乳首を指で擦るように刺激しながら、膨らんできた胸の突起をキツく吸い上げる。
「ふ……っくンっ。ぁ……水城く……」
痛いほどにキツく吸い上げては、それをいたわるかのように、やさしく舐めてくれる。 なんだかそれが堪らなくなってきて、身をよじる。
「アキ……ねぇ。ホントに啓吾のこと、友達以上に思ってない……?」
水城くんが口を離して、僕の方をジッと見る。
僕はその視線から逃れるように顔をそらした。
あらためてそう聞かれると、『思ってない』ってはっきり言えなくて…
「わかんないよ……」
あいまいなことを言ってしまう。
「人見知りとかするから啓吾についてってるんだなとも思ったけど……。アキは好きなんじゃないかって」
わかっちゃうのかな……。
―啓ちゃん…―
やっぱり僕は啓ちゃんが……。
体が熱くて、考えが定まらなくて。
水城くんにされてるのに、ただ気持ちイイって事だけしか深く考えられない。
ずっと……
啓ちゃんにこうされたかった。。

水城くんは、僕の股間あたりをズボンの上から撫で回す。
その行為に体がビクンと仰け反った。
「っ……水城く……」
「……もうココ、固くなってるね……薬のせい? それとも感じてくれた…?」
ゆっくりとズボンと下着を脱がせようとする手から、逃れるためにひいた足は逆にソレを助けることになってしまう。
あっさり脱がされて、はだけたシャツ以外、なにも身につけていないような状態。
「やだ……水城くん、こんなの……」
まだ、太陽が高く昇った状態で、部屋は明るく照らされている。
羞恥心にかられて、大事な部分を隠そうと膝を曲げる僕の足の間に割り込んで、足を閉じさせないようにする。
「……っ」
恥ずかしさからか、ジワリと目が潤う。
「ホント……かわいいよ。ココも……ここも……」
そう言いながら、水城くんは僕の唇とか、乳首とかを指で撫でる。
両方の膝裏をそれぞれの手でつかまれると、グイっと持ち上げるかのようにして、M字型に折りたたむ。
「っ水城くっ……やだっ……」
「どうして……? かわいい……」
立ち上がってしまってるペニスを水城くんがジッと見ているのがわかる。
カァアっと、熱が一気にソコに集中するような感覚。
見てられなくて……かといって目を瞑るのも怖くって。
どうしようもない状態でいるときに、生暖かいような感触が熱を帯びているペニスに送られる。
「や……っあ、うそっ……やだっ」
水城くんが僕のペニスに舌を這わしている。
フェラとそうゆうのくらい、知ってはいるけれど、まさかこんなやられるとは思ってなくて。
舌を尖らせて、竿の裏筋を強くゆっくりと下から舐め上げる。
「っあっやっ……やぁっ」
したくもないのに体がビクンと仰け反ってしまう。
よくよく見ると、トクトクと脈打ったペニスからはジワリと先走りの液が溢れてく。
恥ずかしくって、顔を背ける。
ピチャ……とか、舌が舐め上げる音に耳を塞ぎたくなる。
もうどうしようもないくらい体が熱くって……。
「やっんっ……ンぅんっ……だめぇっ……水城くっ……」
駄目。
こんなの……。
手で触りながら、吸ったり、やさしく舐めてくれたり。
すっごく気持ちいいんだけど……すごく恥ずかしくて。
気持ちイイからこそ、自分の気持ちがわからなくなる。
僕が、こうして欲しい相手は啓ちゃんのはずで……。
「はぁっぁン……やっ……けぇちゃ……啓ちゃぁんっ……」
助けを求めるかのように啓ちゃんの名前を口にする。
ソレを聞いて、水城くんは今までの行動をストップすると僕の方をジッと見てきた。
「……俺のこと、啓吾と間違えたり?」
啓ちゃんだと思って呼んだわけじゃない。
首を横に振る。
そんなんじゃなくって。
水城くんにされてるせいで、よくわからなくって。
啓ちゃん。
名前を呼んで、気持ちを確かめたかった。

「間違えるわけないか……。そこまで俺と啓吾って別人? 啓吾と、どこが違う?」
……わかんないよ。そんなの……。
僕だって自分が深敦くんとどう違うのがわかりたい。
人はそれぞれ違うっtrわかっているけど……。
「俺じゃ啓吾の代わりになれないの?」
そう言うと、僕の腰を掴み上げ、高々と持ち上がられる。
するとアナル付近をじっとりと舌で濡らしていく。
「ひぅっ……ン、ぁっ……やっ」
さっき、舐め上げられたことで、すでにイッてしまいそうだったソレが、さらに熱を帯びていく。
「やっ、やだっ……そんなっトコっ……」
チロチロと舐めていた舌先が、ゆっくりと中に入り込んでいく。
抜き差しされる舌に次いで、指がゆっくりと挿入される。
2本もの指が入ってしまっても薬のせいか、痛さとかそんなんは全然なくってただ気持ちイイって事だけ。
その感覚に体がビクビクと震え上がり、恥ずかしくって堪らない。
「やぁっぁっ……やっ……啓ちゃぁんっ」
啓ちゃんの名前を呼ぶと、少し乱暴気味に中を指でかき回す。
啓ちゃんじゃない……水城くんにそんな風にされてるというのに、僕の体はすっごく熱くって。
「はぁっ……ぁンっ……やっぁ……イっちゃ……」
啓ちゃん……。
こんなんじゃ、啓ちゃんの事、好きって言えないよ。
「もぉっ……やぁっ、啓ちゃあっ」
イってしまいそうなトコロで、水城くんが僕のペニスの根元にギュッと指を絡める。
「ひぁっ……ぁっ」
「……俺に言う事はなにもないわけ……?」
水城くんの気持ちには応えられない。
それでも、止められた欲望が苦しくって。
「水城く……離し……っ」
中をかき回していた指が引き抜かれると、僕のペニスの根元を抑えたまま、空いてる手で水城くんが自分のモノを取り出す。
「入りたい……ねぇ、アキの中に」
僕が何かを言うまでもなく、水城くんは強引に中に押し入る。
一応、指で中を押し広げてあったせいか、ちょっとした痛みはあるものの、ゆっくりと中に収まって行く。
「ぁっ……ふっ、やぁっ……」
言葉とは裏腹に、体が水城くんを欲しがって動いてしまう。
水城くんがゆっくりと腰をスライドさせ、抜いたりまた入り込んだりしているうちになにも考えれなくなってきた。
気持ちよくなりたい。そうゆうことしか考えれなくって……。
「ぁっあ……っ水城く……んっ」
自分からも腰が動いてしまっていた。
いやらしい。
恥ずかしくって堪らないけれど、もうそんな事を考えてられなくって。
「……一緒に」
そう言った水城くんに頷いて答えてしまっていた。
根元に絡めた指を解いて、激しく突き上げ、内壁を擦り上げられると、あっさりと頂点に上り詰める。
「ぁあっ……ひぁんっ……ぁっあっ。あァあぁんっ……」



気が遠くなって。
気を失ったのか、疲れて寝てしまったのかわからない。
気がつくと、服を着せられベットに横になっていた。
隣には水城くん。
「おはよ、アキ………ごめん……」
僕が起きるのをずっと待っていたかのよう。

どうして……。
そんな風にやさしくいい人、しちゃうわけ……?
今までのこと全部許したくなっちゃう……。

ホントに正気の状態なのに。
自分の気持ちわかんないよ……。