好き…って…。
そんなの信じられるかっての。
あぁ、でも友達として好き?
そうかも。
それだったら、俺も晃とか好きだし。
「…なぁ…好きって…例えば…バナナが好きだとか…そんなノリだろ…?」
隣で寝転がってる啓吾の方も見ずに、口に出す。
「…なにそれ…?」
恋愛としてなのか…友達としてなのか…。
啓吾が俺のこと好きっての、信じられねぇ以前に、今だに男同士の恋愛とか…ちょっと疑問…。
それって、本当に好きなのかなぁって思うんだよ。
独占欲が強い、友達関係みたいなもんじゃないのかなって…。
だって…男はさ…? 女を好きになるように出来てるんじゃねぇの?
それとも…ただ、快楽を求めてんのかも。
そうだったら…女じゃなくってもよくなっちまうのかも…。
好きってのは…ほら、一緒にいるとドキドキしちゃうだとか…
そういったもんじゃねぇの…?
チラっと啓吾を横目で見てみる。
ボーっと天上を眺めてる啓吾がちょっとだけかっこよくってドキっとしたり…。
違う違う…これは、好きだからとかじゃなくって…
啓吾がわりと整った顔してるからなんだよ…。
触られたりすると…ドキドキしちゃうけどさ?
それはしょうがねぇことじゃん?
好きとは違うんだよ………たぶん………
「……啓吾さ……晃のこと…好き…?」
俺も天上を見上げたまま聞いてみる。
「…ま…ぁ…好きだけど…」
「…それはさ…バナナが好きとか…」
「だからそれ意味わかんねぇって…」
俺の言葉を啓吾が言葉で制した。
「……頭…いいくせに…」
わかんねぇかな…。
頭いいやつって変なトコで頭…かたかったりするから…。
バナナが好きだとか…そうゆうのってもちろん恋愛の『好き』じゃない。
ドキドキしたりしないし…ただ好きってだけ…。
俺、馬鹿だからうまく言えねぇけど…。
「…晃とは…やった?」
「…やってたら…ヤキモチとか妬いちゃう?」
「…別に…今、春だしモチは焼かない…」
「年中無休だろ?」
わけのわからないまま、話が飛んでって、結局はぐらかされる。
…別に啓吾が晃とやっててもかまわねぇけど。
でも…それなら晃がかわいそうだよな。
晃はふられちゃったんだし…
やってたとしたら、やった相手をふるなって話だ。
そうだ…かわいそう。
「なぁ、やってないんだろうな」
そう啓吾の方を見て問いただす。 <
「…やって…ねぇけど…なんで深敦、そんなムキになってんの…?」
晃がかわいそうだから…。
でもそうとも言えず、俺はまた啓吾から目線を外した。
「…別に…ヤキモチ妬くとかじゃねぇからな」
「はいはい」
あまり信じてもらえてないようでちょっと嫌になる。
でも…俺も啓吾のこと、信じてない。
だってさ?
啓吾が俺のこと好きだっての…それ信じてもさ。
あとになって…このやり終わったあとの充実感っつーか、なんつーか…
なにもかも冷めちゃってから
『あれは、その場を盛り上げるための冗談に決まってるだろ?なにお前、マジだと思ってたわけ?』
とか言って馬鹿にされそうで…。
だったら、初めから信じなきゃいいんだよ。
うん…絶対そうだ。
信じないよ……啓吾が俺のこと、好きなんて…
信じれないし……信じたくない…
後で泣きを見るのは嫌だから…。
「…もう…部屋戻るの面倒だから…ちょっとココで寝てっていい?」
啓吾は『いいぜ?』って言いながら、まだ裸のままの俺の股間に手を触れる。
「…おい…なに触ってんだよ、てめぇ…」
「…今日、泊まってくんだろ…? …もの足りなくねぇ?」
「足りました、はい、もう寝るからお前は外に行けっ」
「いや、俺の部屋だって。泊まり代いただかねぇと…」
最低…。
「だから…さぁ…。なんで…お前はすぐやろうとするわけ?」
「…好きってのは信じてないわけだ?」
くすくす笑って、ペニスを掴み上げてくる。
「…っひっぁ……信じる…わけなっっ…」
ベットから起き上がって逃げようとするが、その手を啓吾が引っ張って、またベットに思い切り倒れこむ。
「…深敦はイきまくりでもさ? 俺ってあんまイってねぇし?」
…それじゃぁ、俺が早漏みてぇだろ…
むかつくけど…俺って、早漏なの?
啓吾に触られるとすぐ勃っちゃって…
「…信じろって…。好きだっての…」
「…っや…だっ…はなせっ…てっ…」
また…止まらなくなりそうで…
「…はやくっ…離せっってっ」
ペニスに触れている啓吾の手を、啓吾に取られてない手でどかそうとする。
「…好きだったらいいんだろ?」
そんな…付け足しみたいな『好き』は絶対、信じねぇってば。
「離し…っ…や…」
もう…すごくゾクゾクしてきてる。
体が熱くって、俺、このままじゃ…また流されてやっちまう。
「…もう…欲しがってるくせにさ…。…深敦…好き…」
俺の横から耳元に近づいて囁くように言う。
「…や…だ…っもっ…帰る…帰…からっ…離し…っ」
啓吾は…俺のこと好きじゃなくって…
からかってるだけだから…
あとで、絶対、『冗談もわかんねぇの?』とか言われたり…。
やりたいから『好き』って言ってるだけ…。

…だから…俺は、絶対啓吾のこと、好きにならない…
なりたくないのに、そうやって啓吾に『好き』って言われるたびに、一段と体が熱くなって……

もしかしたら、自分は啓吾のことが好きなんじゃないかって…思えてくる。
でも、それってたぶん、こうやって触られたりして…
気持ちがいいから思考回路が定まってないんだよ、きっとそう。
だから、快楽をさ? 与えてくれる啓吾を良く思っちゃったり…しちゃうんであって…
たぶん、俺の方こそ、日常に戻ったらなんとも思ってないはず…。
本当は啓吾のこと、好きじゃないけど、今は体から強制的にそう勘違いさせられてるんだよ…。

…こうやって、啓吾が気持ちいいことする間は…やっぱそう思っちゃうんだよ。
…好きなんじゃないかって、勘違いとかしちゃうんだって…。

俺の方こそ、『やってる時だけ好き』みたいでいやだ。
だけど…啓吾もだろ…??


「……深敦が信じなくってもいいからさ…。とりあえず聞き入れろって。『嫌い』って言われながらやるより『好き』って言われながらやる方がいいだろ?」
たしかに…そう…。
今だけ…
好きでも…今だけなら…。
なんの問題もねぇよ…。
「…啓吾…」
俺の方こそ『あれは冗談だって、ばーか』って言ってやる。
絶対に…セックスが終わって、冷めてから…
『本当に俺のこと好きなの?』とか聞かれたら…
『盛り上げるために言っただけに決まってんだろ?』って言ってやる。
…今…だけ…
「…ん…はぁっ…啓吾っ……好き…」
自分の『好き』って感情が抑えれなくって…
つい、啓吾に言っていた。
「…は…? な…に…言って…」
気持ちがいいから好きなだけ。
快楽を与えてくれるから…『好き』な気がするだけだよ。
啓吾に好きって言われるたびに、すごく強く感じちゃってる…。
今だけは…素直にお前のこと、好きだって、認めるよ…。
「だ…からっ…好きって…っ」
一度…今、この『好き』って感情が『啓吾に与えられる快楽のせい』って理由づいちまうと、簡単に『好き』って言えちまう。
なんとなく、それって、『いい言い訳』が見つかったって感じでもあるけど…。
俺がこんな感情になってるのは、『男の性』っつーか、『本能』っつーか…。
「…今…だけだからなっ…っ?」
そう釘さしておく。
盛り上げるためだけだって前もって教えておいてやる。
すると啓吾は軽く笑って
「そりゃ…お気遣い、どうも…」
って…。
啓吾は…俺が嘘で好きって言ってるって思うかな…。
一応…今だけだろうけど…
この『好き』って感情はさ…勘違いかもしれないけど…
本物だよ…。
俺、演技下手だから…
そうゆう気持ちがなかったら…『好き』とか…言えねぇもん…。

…好き…



「深敦…俺の体、跨いで」
「は……ぁ…? いっぺん、死んでみる?」
寝転がってる俺をひっくり返してまた手錠をかけると、強引に足を持ち上げて跨がされちまう。
「お…い…」
上半身だけで起き上がって、たち膝状態で啓吾を見下ろすと、悪寒のようなものが走った。
「…ぁ…」

いや…ほら…さっき中に出された啓吾のが…
「…どうした? なんかやらしー顔、してるやん?」
軽く笑って言うと、啓吾は下から手を出して俺のペニスを愛撫する。
「っン…っぁ…やめ…っ」
あんまり…ソコ、弄られると後ろに意識が集中出来なくって、流れ出そうになる。
「っや…めろって…っ…はぁっもっ…やっ…あっ…」
ツー……っと…アナルから液が流れ出てくる。
その感覚が…ゾクゾクするし、恥ずかしくって堪らなくって目じりが熱くなる。
「…やらしーなぁ? 深敦…」
「…うる…さ…っ…」
反抗したいのに…今回だけはまともに出来ないかも…。
なんていうか…恥ずかしさの限界に近いトコに達していた。
「全部…出してまう?」
そう言うと、ペニスを触っていた指が、ゆっくりとアナルに差し込まれる。
「ぁ…っ…あっっ」
もう…2本くらい簡単に入っちまってる。
「やめ…っ……マジで……やだっ」
「…いいやん…。深敦のやらしーとこ、見てんの好き…」
啓吾が好きでも…俺は恥ずかしくって堪らないっての。
俺が嫌がるのも無視で、啓吾はゆっくりと二本の指で中を押し広げた。
「やっ…」
「ほら…やらしいなぁ? 俺の手、深敦ん中から出てきた液でベタベタやん…。まぁ…俺のだけどな…」
後半は少し冷めたように言った。
「…う…るさ……っ」
「そーいやぁさぁ…深敦、ローター好き…なんだろ…?」
笑いながらそう言うと、指を引き抜いてローターを中に入れる。
途中まで入っちまうと、電源を入れて、振動した状態のローターを奥の方まで入れていった。
「や…っ…やぁっ…啓…っ…吾ぉ…」
なんか…この小刻みな振動が堪らなく刺激的で苦しくなる。
啓吾は俺が、ローター相手に体を震わせるのをおもしろそうに見る。
「…っば…かぁっ…ぁっあっ…」
「あぁあ、後ろだけでイってまう? なんか、溢れてきとるよ」
啓吾は寝転がったままでジッと俺を見上げる。
俺は啓吾を跨いだままの状態…。
いやらしく内股をさっき啓吾に出された精液が伝っていた。
「…抜…ぁっ…抜けっよぉ…」
「…抜いてまって…いいん…?」
「…はっ…ひぁっ…」
頷くと啓吾はローターを少し引っ張って抜きかける。
「ぅっンっ…」
「ローターはいやなん…? やっぱ、男根咥えたい?」
くすくすそう笑った。
「…っちがっ…馬鹿っ…」
啓吾はペニスに手をやると、溢れてる雫を掬い取り、出てきた箇所に戻すかのように、亀頭に塗りたくる。
「やっ…啓吾っ…それっやっ…」
「…や…じゃなくって、いいんやん…?」
執拗に亀頭を撫で回されて、ローターで中を刺激されるともう本当に…わけが分かんなくっていた。

啓吾が起き上がると、俺の背中の方に手を回してローターのコードを引っ張った。
「ぁっ…やぁっ…ぁっ…っ…」
引き抜かれる感覚についソコに力が入っちまって、締め付けちまう。
「…そんなに締めたら抜けんわ…」
啓吾が軽く笑って、俺の乳首を甘噛みする。
「ぃっ…ぁっ…くっ」
立ち膝状態でいるのが辛くなってきて、俺は啓吾上に座り込んでしまっていた。
「っはぁっ…啓吾…っ…もっ…イク…」
なに…馬鹿なこと、言ってんだよ…俺…
いちいち啓吾に『イク』なんて伝えなくってもいいんだよ…
わかってるけど…止まんない…。
「…やらしぃコト、言うやん…。ついでに…ココ、俺のに擦りつけてさぁ?…深敦…最高…」
やらしいコトに、啓吾が言うとおり、俺は座ったときに触れた啓吾のペニスに自分のを押し付けてしまっていた。
「っン…うる…さっ…ぁ…」
「…まだ…イくなよ…?」
そう聞き取った直後、中のローターの刺激が一段と強くなる。
「ぃっ…やっ…やっ…やぁっ…」
まだ……ローター、MAXじゃなかったのかよ…。
駄目だ…刺激が強すぎてホント、わけわかんねぇ…。
「…やめっっ…啓吾ぉ…っ…イク…も…イクっ…」
何度もいやらしいことをわざわざ口に出して言ってしまう。
顔を上げてるのも辛くなってきて、啓吾の肩にオデコを乗せていた。
「…まだイくなっつってんだろ?」
優しいようにもキツイようにも聞き取れるように啓吾が俺の耳元で言う。
「やっ…だ…っ…もっ…駄目っ」
啓吾は、俺のペニスの根元に指を絡めて、イかせてくれようとしなかった。
「…イ…かせ…っ」
「…お前、あんまイクと体に悪くね?」
わけわかんねぇことを言って、啓吾は俺の中のローターを力任せに引き抜くと、そのコードで、ペニスの根元をキツく縛った。
「…もっ…やっ…なぁ…っ…ホントはっぁっ…嫌…ぃっ…なんだろっっ?」
「何が…?」
なんでもないように答えてくるのがなおさらムカツク。
俺は…本当に好きかもしれない。
今だけかもしれなくって、やり終わって冷めたら啓吾のことどう思ってるか、わかんねぇけどっっ
……今は……好きなのに……。
「啓吾っっ…俺のことっぁっ…嫌いっ」
断片的にしか言えなかったが、それでも啓吾には通じたようで、
「…違ぇって…好きだっつってんやん…」
そう言って、尻に手をまわす。
「じゃっ…ぁっイかせっ…」
焦らされて…
俺のこと、好きならもっとよくしろよっ?
「……ホントに…好きなん……。先、イかれんのって、寂しいやんか…」
ボソっと啓吾がそう言うのが聞こえた。
そんなこと言われると、なんか『早くイかせろ』とか言いにくいじゃんか…。
「…ば…かっ…駄目っだ…ってっ…俺っ……」
そんなにもたない…。
「…もう少しだけ、我慢して…」

そんなの…自分勝手だ…。
なんで俺が啓吾のために我慢しなきゃなんないんだよ…。
なのに…
それが『好きだから』だと思うと『わかった』って思っちゃう。
言わないけど…我慢してみようとか思っちまう。
啓吾の言ってること、全然わかんねぇよ。
嘘か本当かわかんねぇもん。
信じたいけど…
それが本当だったら…いいなぁとか思っちまうけど…
後でツライのは嫌だ。
のめりこんじまったら、もう戻れねぇもん。
絶対、苦しくなる。


啓吾は俺のアナルにゆっくりと自分のものを差し込むと、背中に手を回して俺を後方に傾けさせる。
「ぁっ…くっ…」
仰け反った勢いで、顔があがると、すかさず口づけをした。
「んっ…んぅっ…ん…」
「…好きじゃなかったらな…先イかれようが…かまわんよ…。イきたきゃ…勝手にイけって感じだし……俺も…そいつが何回イこうが関係なしで…突っ込むかもしんねぇ…」
啓吾が、俺の内壁をゆっくり擦り上げながら、話をするもんだから、言葉を理解するのにいっぱいいっぱいだった。
「ぁっ…ぅンっ…ひぁっ…」
「そりゃ…焦らすのも…楽しいかもしれんけど……深敦んこと、こうやってさ…焦らしてんの、ただ…楽しいってだけじゃないから…」

『先、イかれんのって、寂しいやんか…』

思考の定まらない中、啓吾がさっき言った言葉だけがふと思い出された。
「はぁっ…寂…っしいっ??」
啓吾は俺の問いかけには答えてくれなかった。
「……それに…焦らせば…焦らすほど…深敦、俺に頼ってくんやん…? それが…好き…」
「…ぁっあっ…んぅっ」
俺は啓吾みたいにさ…口では…言えないけど…
そう…思われるの…悪くない…。
「…そろそろ…イこか…」
コードをはずすと、啓吾は俺を押し倒して、出し入れを繰り返す。
「ぁっあっ…ぅンっ…啓吾っ…はぁっ」
やってる最中なんて思考回路、めちゃくちゃだ…。
啓吾だって、きっと思考回路めちゃくちゃなはずだ。
きっと後で、『なんであんなこと、言ったんだろう』とか思うに決まってる。
啓吾が、さんざん言ってきたことだって…
本当のことか、わかんねぇよ…。
でも、いままでそんな風に言われたことなんて、一度だってなかったから…
恥ずかしいけど、すっごくドキドキして…
俺……どんどん啓吾のこと、気になってる…。

「…な…もう一度…俺んこと、好きって言って…?」
「…ぇ…っあっ…」
「…今だけでいいから…嘘でもいいで、言ってみて…」
「っん…啓吾…っ……」
…嘘…なんかじゃ…ねぇよ…。
「…好き…」

俺は素直にそう言ってしまうと、啓吾に突き上げられて、恥ずかしがる余裕もなくイかされてしまっていた。



少し…眠ってしまっていたらしい。
目が覚めると、服を着た状態でベットに寝転がっていた。
……夢じゃ…ねぇよな……
どんくらい時間がたったかわかんねぇけど、まだ脱力感にも似た体の火照りがあって、現実にあったことだと実感する。
…啓吾が…着せてくれたんだろうな…。
もう…今日は俺とやる気ねぇのかな…。
まぁ、これ以上やったら俺ももたねぇけどさ。

日常に戻ったら…きっと啓吾のこと好きじゃなくなってる…
そう思ってたけど…いつ日常に戻るんだろ…。
まだ、ほわほわしてるよ…俺…。
「あ…深敦、起きたん…」
ベットの横で、ペットボトルの水を飲みながら啓吾が俺を見下ろしていった。
「いる?」
そう言われて、力なく頷くと、啓吾は勢いよく口に水を含んで、俺に口付けた。
「んぅっ…ンっ…」
これだけのことで、体がすっごく熱くなって、ただでさえ、やったあとで、さらに寝起きで思考回路が定まらないのに、わけわからなくなってくる。
「っんぅ…」
流れ込む、水を飲み干しながら、啓吾のシャツを手で掴んだ。
「っはぁっ…」
水を飲まされても…なんとなくまだ、喉が渇いてる気がした。
「…そんな嫌がんなって…」
軽く笑ってそう言いながら、俺の手をシャツから優しく引き剥がした。
…いやがってなんかないっての…。
「啓吾…さっきの…俺が啓吾のこと…好きって…」
啓吾に『言って』って言われて言った『好き』
「……さっきだけなんやん…? …わざわざ弁解せんでもわかっとるって」
なんでもないように、俺に背を向けそう言った。
「…う……ん…」
喉が詰まりそうで…そうとしか答えれなかった。


はじめに…あんなこと言わなきゃよかった…。
『今だけだから』とか…言わないでおけばよかった…。
たぶん…俺…日常に戻っても冷めねぇよ……。