どうしよう…
ホントに、俺、和也くんのこと好き。
嘘じゃない…。
だからこそ、恥ずかしくって堪らない。
いやらしい俺を……見られたくない……。

急いで、部屋に戻って鍵を閉める。
ルームメイトの先輩は鍵持ってるけど、3年生の先輩が帰ってくるまでには、まだ数時間あった。
ベットの方に行って、まだ硬くなったままのペニスを取り出す。
「ぁっ…はぁっ…」
さっき和也くんにされた行為を思い出すとそれだけで体が熱くなる。
それを考えていると、自然と手が動いてしまっていた。
「っ…ぁっ、あっ…和也…くぅ…ンっ…」
して欲しいよぉ…。
どうして『やだ』とか言っちゃったんだよ…。
だって、したことないくせに、こんなにいやらしくって…。
声とか…出ちゃうし…。
「ぁ…あっ…や……」
亀頭から溢れる蜜がいやらしく音をたてる。
もぉ…こんな自分、嫌だ……。




『……馬鹿……』
夜…。春に、今日の出来事を電話で話して…。
第一声に『馬鹿』ってっ!?
「…っだって……もう、駄目だよ。明日、休むかも…」
『……それで朔はいいわけ? いいってんなら何も言わないけど…』
よくないよ…。
「でも……もう会えないもん…」
すっごく気まずいよ…。
『…朔…両思いなだけで充分、幸せモンなんだぜ?』
ぐだぐだしている俺にしびれをきかしてか、
俺の部屋に春が来て、半ば無理やり俺を引っ張り出す。
「やだ、春っ…会えないっ」
「絶対後で後悔するって、お前…。無理やり連れてこられたって風ならまだ、会えるだろ?」
なにも言えず、春に手をひかれるままに和也くんの部屋に行く。
部屋番号教えちゃう俺も俺だけど…。
部屋の前まで来ると、やっぱり緊張しちゃう。
「駄目、春、どうしようっ」
「このまま帰ったら後悔するだろ?」
迷ってるうちにも春がインターホンを押して中の返事も確認せずにドアを開く。
「……あれ……啓吾……??」
春が部屋の中に入ると、そう言い放つ。
俺は春の後ろに隠れながらも少しだけ覗いてみると、昼、春の部屋にいた奴…。
「……水城? なに? 和也と知り合い?」
「そりゃ、こっちのセリフだっての…」
その会話の中、ベットの方にいる和也くんが目に入った。
寝てる……のか寝てるふりしてるのか…。
「俺は、和也のルームメイトとわけあって今日、部屋変わってんの。ま、和也とも友達だけど?」
「へぇ…ラッキーじゃん。よかったな、朔?」
「あー…昼の…。水城の弟くん?」
この人が、春と同じベットで…ちょっと見ちゃったからなんだか気まずい…。
「こんばんわ。俺はね…春耶くんの愛人で啓吾っていうんだけど…」
「つまんねー冗談言ってんなっての。それよりさ…この部屋空けて欲しいんだけど…」
冗談…??
にしても、それだけでその啓吾って人はわかっちゃったのか、俺と和也くんを一瞬見比べる。
「……一発で、手、打つけど…??」
軽く笑みをこぼしてその人は言った。
「駄目……こいつ、和也ってやつとしかやる気ねぇみたいだから」
「ちょっ…っ」
確かにそうかもだけどっ…。
和也くんが聞いてるかもしれないってトコでわざわざ言わなくてもっ。
恥ずかしいよぉ…。
でももしかして…わざとだったりする…??
「へぇ残念。……ってか、弟くんには手ぇださねぇって昼にも言ったっての」
昼にも俺の話題が出てたわけ?
「兄の方。水城が一発相手してくれる?」
え……。
だって頼むまでもなくそうゆう関係なんじゃないの…?
「……冗談。なんで俺が啓吾と……」
「そ? 残念。じゃ、俺ココで今日、デバガメしちゃっていいわけ…?」
俺の方を見るもんだから、慌てて首を振る。
っていうか……俺、やっぱこれからしちゃったりするの…?
この啓吾って人が、いてくれたらやらずに済むかも…。
って、断わってばっかじゃ駄目だって、春に言われたのに、またやらずに済む方法とか考えちゃってる…。
「……とりあえずその和也ってやつ、ドコ?」
春のその言葉に、啓吾って人が手招きをする。
春がそっちの…ベットの方に行くもんだから、一人でドアの方に残ってるわけにもいかず、春の後ろに隠れつつ、和也くんの方へ行った。
「……今日、俺が相手する予定だったんだけどね…」
啓吾って人がそう言いながら、ベットに寝転がってる和也くんの髪に指を絡ませる。
冗談…だよね……。
和也くんはそれに対してなにも反応せずに、少し不機嫌そうに目を開いた。
やっぱ起きてたんだろうな…。
じゃぁ、さっき春が『和也ってやつとしかやる気ねぇみたい』とか言ってたの…聞かれた…?
……恥ずかしいよぉ……。
「……和也? 朔耶の兄だけど……こいつ、マゾだからもう、やだとか言っても無理やりやっちゃっていいから。あと極度の恥ずかしがり屋なだけだから…」
「ちょっ…春っ、なに言ってっ…」
マゾだなんてっ…。
恥ずかしがり屋ってのはあってるけどっ…。
「…俺より、エロいくせに」
「エっ…エロくないもんっ」
ちょっと…嘘だけど…
「和也とやりたがってたくせに…」
「やりたがってっ…んっ…」
ないもんっ……って、売り言葉に買い言葉…で、言っちゃいそうになった時、啓吾って人が、手で俺の口を塞いでくれた。
「じゃぁさ…何しに来たの…?」
啓吾って人が、俺に言って、手を放す。
「…話…しに…」
「そ…? ま、いいけど…」
春に隠れている俺の耳元で、啓吾って人がこっそり…
「初心者にはきつい相手だぜ…? 和也は…」
「え……」

「水城…安心しなって。弟と一緒に貫通式じゃん?」
「ふざけんなって…。誰がお前とやるかよ…」
そう言って、啓吾って人は、春と一緒に部屋を出て行った。