「…なに…??」
「えぇえっとぉ……」
あぁあ、どうしようっ!?
一大決心で告白するって決めたものの、恥ずかしくって……。
まだ会って2日目だけど、一目惚れっていうか……。
ちょっとやさしく声かけられたらクラァっと………。
「えっとっ……その…また…今度でいい……ごめん……」
やだ俺……何言ってんだろうっ??
すっごい迷惑……?

また…春に相談しようかな……。
春ってのは俺の双子の兄で、春耶っていうんだけど、こうゆうとき、いつも頼っちゃう…。
俺って一人じゃなんにも出来ない…な…。



「春…何して……」
春の部屋に行って俺が見たのは、なんか、春が別の男と一緒にベットで……服は一応…下はいてるけどっ。
あわてて、俺は部屋を後にする。
どうして…春はそうゆう風に出来ちゃうのかな…。
恥ずかしいとか思わないのかよぉ……。

しばらくして。
春からの電話。
『友達、帰ったからさ……会いにきただけじゃないんだろ? 用事?』
「電話でもいいよ」
そう言ったが、電話代の関係で結局、春が俺の部屋に来てくれることになった。

「春……あのな…??」
「…どーせ、また男だろ…??」
バレバレ…??
こればっかり、相談してるからだ。
俺ってすっごい惚れっぽいから……。
「前付き合ってたやつは、どうしたんだよ」
「だって…卒業してから…春休みとか全然連絡ないし…自然消滅みたいな…」
「その前は…??」
「えぇ…っと……合わないみたいって…言われちゃって…その…」
ひどいよね…。
向こう側から告白してきたのに……。
「……なんで、お前フられるか自分、わかってる…??」
「…わかってたら、フられないよ…もうっ……」
春はあきれたように俺の方を見る。
「…あのなぁ…少しくらいは体の付き合いとか??考えてみたことねぇの?好きだったらやりてぇって気持ちあるわけよ。おまえ、いっつも断わってるだろ?」
……体の付き合いって
だって……そんなの……
「って、なんで知ってっ…」
断わってるってのっ!!
「…いや、お前の彼氏にたまに言われて……。全然やらせてくれないっての……。初めは初々しくてイイとか言うんだけど、しばらくするとツライみたいだぜ?」
「知ってんなら、なんでそん時に言ってくれないのっ!??」
「いや、だって、お前告られてばっかだろ??ホントに好きで付き合ってんのかわかんねぇし…。言ったところでやったのかよ…」
好き…だよ、多分……。
でももしかしたら好きって思い込んでるだけかも…??
俺のことを好きでいてくれるだけで嬉しいし……。
そりゃ、わかったからってやったかどうかわかんないし…。
やろーとばかり思ってる奴もどうかと思うかもだしっ…。
「で、結局、どうしたんだ?」
「あ…だから、好きな人が……出来たから…告白とかしてみるべきか…な…と…」
「…は…? お前が…? めずらしー……。初めてじゃねぇの? 告白とかすんのって…」
そう…結構たくさんの人と付き合ってきたけど、自分から告白とかそうゆうことはしたことなくって……。
「…失敗したら、1年間つらいよねぇ……」
溜息交じりに言う。
「大丈夫じゃねぇの? ま、人生上のいい経験にもなるっての」
「う……ん……」
「……にしてもお前から告るなんてさ。そうとう惚れたわけ? 好きならあんま断わったりすんなよ。呆れられるよ、あんま断わってると。それでお前、いままで終わってんだから」
って体の付き合いってやつ?
うぅう……。





さてさて、リベンジ……。
一人でいる俺にやさしくしゃべりかけてくれたんだよ。
やさしさが身にしみたなぁって。
俺は、大好きな同じクラスの和也くんの部屋に。
「和也くん……?」
鍵の開いたドアをそっと開けて名前を呼んでみる。
いや、さっきの春みたいに別の男と一緒だったりしたら…どうしよう……
「…ん?」
ドアの方に和也くんがくる。
「……今、和也くん、一人……?」
「あ、うん、入りなよ」
「あっ…でもっ……」
入っちゃって失恋したら…出づらいっていうか……
「ちょっと…言いたいことが…」
「あ、さっき言いかけてたやつ?」
……どうしよう…めちゃくちゃドキドキしてきちゃったよぉ……。
でもまた今度ってのは、もう2度目だしっ…
今…言うしか……
「えっとっ……」
「あ、朔耶くんってさ…中学んとき、結構男と付き合ってたって聞いたけど……」
そう言われて、ハっと顔を上げる。
「っ…なんで…っ…」
「や…その……朔耶くんと同中のやつに聞いて……モテるんだ?」
「そんな……ことっ……」
少し…沈黙…どうしよう……。
「あ、ごめん……話そらしちゃって…なんだった?」
「……和也く………その俺…付き合って……欲し……」
声が上手くでなくって、掠れちゃって、しかもすっごい小さな声でしか言えなかった…。
聞いてくれた……?
顔が上げれないよぉ……。あとからすっごく恥ずかしくなってくる。
「…え……と……」
…断わり方とか、考えてる……?
「ご……ごめっなさっ……」
ドアを閉めてダッシュで帰ろうとした時だった。
腕を思いっきり、和也くんに引かれ、部屋の中に入れられる。
その勢いで、和也くんの体にもたれかかってしまった。
「……っ…」
すごく…ドキドキしちゃってんの、伝わっちゃってる…??
後ろで、ドアが閉まる音。
と、同時に俺の体をドアの方へ押し進める。
「…っ…和也く……」
肩を掴まれ、まっすぐに見てくるもんだから、恥ずかしくってしょうがない。
でも…目がそらせなくって……。
「ねぇ……キスしていい……?」
キス……くらいなら……。
頷いたまま顔を下に向けていると、和也くんが軽く屈む。下から近づいてきて、口が重なった。
渇いた、軽いキス…
そう思ったのもつかの間で……。
後頭部に回された片方の手で、和也くんの方に引き寄せられる。
唇の間から入り込んできた舌先がゆっくりと歯列をなぞって頬裏あたりを撫でるように這いまわるとゾクリとした感覚に口が開く。
「んっ…っ…」
その隙をのがさず、舌が入り込むと、俺の舌に絡まってきた。
「んぅっ……んっ……」
舌を吸い上げられるようにされ、和也くんの唾液が送りこまれる。
こんなのっ……
「…っんっ…んっ…」
飲み込めなくて、口の端からこぼれ落ちる。
アゴを伝わる唾液の感触に、羞恥心から体が熱くなる。
くちゅ…っと音をたてて離れた舌先からは、いやらしく唾液の糸がひいた。
「ぁっ…っ……」
それが恥ずかしくて、下を向くと慌ててアゴを伝う唾液を手で拭う。
「…和也く……あのっ……。…俺、もう、戻るね…」
なんだか…これ以上されちゃうんじゃないかと思うと、和也くんの存在が怖くって…。
今日はもう、告白できて、それだけで充分で…。むしろそれ以上、する気とか今、全然なかったしっ。
ちゃんとした返事をもらったわけじゃないんだけど、…キスしてくれたし……。
たかがキスかもだけど、されどキス…。
いきなりの深いキスに…ちょっとクラクラしちゃったり…。


ドアの方に体を向けたときだった。
後ろから、和也くんが俺の体を抱きしめる。
「っ…和也くっ…?」
「……俺もね………好き……」
耳元で囁くように言われる。
駄目……だって……
すっごくドキドキしちゃって、伝わっちゃうよ……
「……いい……?」
そう言って、後ろから回した手で、上からボタンを外しにかかる。
…ってっ…えっ……!?
「っ…和也くっ…!?…なにして……っ」
「駄目……?」
和也くんはそのまま手を休めずにちゃくちゃくとボタンを外していく。
「っ駄目っ…だよぉっ……」
和也くんの腕の裾を掴んでその行動を止めようとするけれど、ドキドキしちゃって、手に力が入らない。
ボタンが下まで外されてしまい、素肌に直接、手が触れる。
「どうして…?」
胸あたりをいやらしく這いまわる手が、ふいに突起を押しつぶすかのように撫でる。
「あっ…やっ…」
「ほら…ココ、硬くなってきた…」
突起を親指と中指で摘み上げながら、人差し指で先を突く。
「ぁっっあっ…やだ……和也くっっ…はなっ…してよぉっ…」
それでも和也くんは執拗にソコを愛撫してくるから、もう恥ずかしくって…。
ひとしきり、愛撫し終わると、
「…向こう行こうか…」
和也くんが切り出す。
ベットの方のコト…!?
俺…和也くんのコト、好きだけどっ…。
でも、まだ心の準備が出来てないっていうかっ…。
「…和也く……俺…今日はちょっとっ…」
かといって、明日ならいい? とか聞かれちゃったら困るけどっ…。
「……もう…いろんな人とやってるんでしょ」
全然、してないよぉ…。
後ろから回った手が、下の方へ移動していく。
「っっ…駄目っ、和也くっっ」
それ以上、下げられたら…っ…
そんなトコっ……触られちゃったらっ…
ホントはもう、ちょっと胸触られただけで感じちゃって、ソコが硬くなっちゃってるっての……バレちゃうよぉ……
「…やっ…やだぁっ……」
涙が溢れてくる。
俺の泣くような声を聞いてか、和也くんも手を離す。
「…和也…く……」
後ろの和也くんの方を振り向くけれど、顔が上げれない。
「……朔耶くん。そんなにいやなわけ…? 俺のコト…好きじゃないの…?」
怒ってる?呆れてる?
「ごめ…なさ…っ。俺っ……俺っ…」
「イヤなら別にいいけど」
沈黙が、すっごく痛い…。
「また……来てもいい……?」
「うん……」
「…また…来るね…」
そのまま…和也くんの顔も見れず、部屋を出た。