体を起こしてベットに座り込む俺に…。
「いや…だった?」
そう問いかける和也くんに、『ううん』と首を振る。
だって…好きだから……。
でもでもやっぱり恥ずかしいのに代わりはないっ。
自分が裸なのを思い出し、慌てて近くにあった自分のシャツで股間の辺りを隠す。
それを見て、和也くんがまた軽く笑うもんだから、恥ずかしくって……。
そっと伸ばされた手に誘われ、ゆっくりと顔が近づく。
「ん…」
キスをして…より深く重なり合う唇の隙間から、ゆっくりと入り込む舌先に、応えて舌を絡める。
「はぁっ…んっ」
そう、何度も何度も……
たびたび離れる口先からはいやらしく自分の声が洩れちゃうけど…っ
「んぅ……はぁ…」
一頻り、キスの嵐が過ぎさって…。
恥ずかしいけど、うれしくって、満足…。
気持ち…よかったし…。
そっと、シャツを着ようと俺はしたんだけどぉ…。
その手を、和也くんに掴まれちゃって…。
「…和也…くん…?」
「ねぇ……もしかしてこれで終りとか…思ってる?」
「え…」
終りじゃ…ないの…??
もしかして、最後までやっちゃう…?
この続きがなんなのか、知ってるけどぉ…。
「あぁああああのっっ…俺っ、その…。まだ…会って間もないし…。そんなの…」
慌てて言うと、和也くんは少しだけ、不満そうな表情をして…
「俺、消化不良なんだけどな…」
って……。
そうは言われてもっ…
『じゃぁ口で…』とか、言えるわけもないし、この続きをしちゃうのも心の準備がなさすぎだしっ…。
そりゃ…ここで止めてくれるとも、はじめは思わなくって、全部やられちゃうんじゃないかって思ったけどぉ…。
俺…ちゃんと後ろで感じるのかなぁ…なんて…。
だって、そんなトコ…使ったことないし…。
もっと知識つけてからがいいよぉ……。
一人で考えて下を向いてる俺に向かって、和也くんが溜息を洩らすのが聞こえる。
「…っ…」
呆れてる…?
「うん…。今日はいいよ」
笑ってそう言ってくれる。
「ごめ…っ…。和也くん、ごめんなさ…い。俺が、告白した方なのに…こんな…」
「別に…俺もね…。そんな朔耶くんが好きだから」
恥ずかしげもなく言う和也くんにこっちが恥ずかしくなる。
でもそう言われれば言われるほど、申し訳ない気がしちゃうよぉ…。
「ごめんね…。俺…今日は駄目だけど…もうちょっと、待って…。絶対…その……」
最後までやるから…なんて言えずに、黙り込んじゃう…。
それでも和也くんは、俺の頭に手をやって…
「ん…待ってる…」
そう、にっこり言ってくれて…。
「うん……」
はやく出来るようにしないとな……そう思った。




結局、昨日は、1人ずつお風呂に入って、一緒のベットで寝たんだけど…。
駄目駄目だよぉ…俺…。
また双子の兄、春の部屋に行ってみる。

インターホンを押すと、中からかすかに『入っていいぜ』って声が…。
「う……」
…っとと…。
また、春が啓吾って人と一緒にベットにいるもんだから、焦る……ものの、昨日、自分も和也くんと一緒に寝ちゃったし…。
「あっと…水城の弟くんじゃん…」
春は、まだ寝てるようで、上半身脱いだ状態の、啓吾って人が答える。
「…また…後で来ます…」
そう言って、部屋を出ようとしたんだけど…
「まぁ、せっかく来たんだし、土曜だし、そんなする事ないだろ…?」
ゆっくりしてけばって、そう言われて、留まらされる。
啓吾って人が、俺にお茶を出しながら
「…で…和也とはどうだったの…?」
って…っ
「っ…なっ…」
渡されたお茶、落としそうになっちゃうじゃんかぁ…。
「…してないですっ」
そう言いきる俺に、啓吾って人は、『え?』って驚きの表情…。
「そっか。ま、いいんじゃない?ゆっくり仲良くなってけば…」
自分の分のお茶を入れながら啓吾って人はそう言って…実は結構いい人かも…なんて…。
「でもさ。あいつ、やろうとして来なかったわけ? 嫌がったんだ?」
俺はお茶を飲みつつ、『うん』と頷く。
「どうして? 別に好きなんだろ?」
「そんな……好きだからって、いきなり無理…だよぉ。心の準備とか…わかんない事たくさんだし…」
「ふぅん…心の準備と、わかんない事ね…」
体の方もだけど…うん…なんとなく…。
「おい、水城―…そろそろ起きろって…」
軽く、春を啓吾って人が揺すって起こそうとするけど、春は全然起きようとしない。
「あの……もしかして昨日…遅くまで起きてたとか…」
「……昨日は、そだな…。確かに遅くまで俺とやりまくってたけど…?」
笑いながらそうは言うけどっ…
やりまくってたって…??
いやぁああ……泣きたい…。
「ね…わかんない事って…? 俺が教えてあげようか…?」
くすくす笑ってそう言ってくる。
「いい…いいですっ」
慌てて首を振って、後ずさりすると、軽く笑って『違う違う』って…。
「別に、弟くんを、やろうってわけじゃないから安心しなって。ただ、そうゆう関連のことでわかんねぇ事あったら、たぶん教えてやれるってだけだからさ。特別に…見せてあげてもいいけど…?セックスシーン」
「えぇえ…そんなのっ」
見たい…けどぉ…。
「春のそんなのは…ちょっと…」
見れない……よぉ……。
「別に俺、水城とやるとは言ってないんだけど…」
「え…違うの…??」
「そ……。そうだな…。昨日やりすぎで俺も疲れちゃってるし…明日かな…。夜8時ごろ、俺の部屋に来なよ…。あ、俺、佐渡啓吾ね。一応、プレート確認して入ってきなよ」
つい…約束しちゃって…寮の部屋番号を教えてもらっちゃった…。


…そして、今日…。
迷ったすえ、俺は夜8時…きっかりに啓吾くんの部屋に…。
「…よく来たね…。いいよ。たっぷり教えてあげるから…。そだね。俺の方のベットにいた方がいいかな」
って…。
啓吾くんって人のいない方のベット……先輩の方のかな。そっちのベットを見ると、いろんなものがっ。
だからその……バイブとか……。
「すごいだろ…。俺んとこのルームメイト、結構盛んなんだ。というか…全部彼氏からの貢物らしいけどね…。なんか…馬鹿な彼氏…」
なんか…ホント、すごいな…。
ドキドキしちゃうよぉ…。
「あ…今日、ルームメイトの人は…??いないの…?」
「うん。ルームメイトの彼氏に頼んであるから…」
なんだか知り合いの多い人だなぁ…と、思いながら、啓吾くんの座ってる方のベットに座り込む。
「じゃ、俺はこれから相手呼んでくるからちょっと待ってて…」
「…俺が見てるってバレたら…?」
それは大丈夫…って…ヒラヒラと、大きいハンカチみたいなのを見せびらかした。
「目隠し、しちゃうから。じゃ、一応、入る前にインターホン押すから心の準備、しときなよ♪」
部屋を小さい、薄暗い電気にして、啓吾くんは出て行った。


俺……の前でホントにやっちゃうのかな…。
めちゃくちゃドキドキしてきちゃう…。
啓吾くんのベットを借りて、そっと寝転がった時だった。
インターホンがなって…
ガチャって扉が開いて……
「…え……和也…く…?」
なぜか…和也くんが来て…。
「なんで…?なんで和也くんがココに来るのっ?」
俺、啓吾くんに騙されたのっ??
そう思いながら、和也くんの顔を見る。
「…朔耶くんの方こそ…なんで……」
「え…」
理由なんて…言えるわけないよぉっ。
和也くんとやるために、勉強として、セックスを見るため…なんて…。
自分で、思い起こしただけでも顔が爆発しそう。
「…和也くん…先に言ってよぉ…」
…俺は…言うつもりないけど…ってずるいかな…。
「…俺は…ルームメイトの恋人が来てさ…。なんていうか…その2人があまりに仲いいもんだから…。ルームメイトは『気にするな』って言ってたんだけど、やっぱ居づらいじゃん?で、そのルームメイトの恋人がこの部屋だっつーから、空きのベットあるかなって来てみたわけ…」
えぇっと…
つまり…啓吾くんのルームメイトと…和也くんのルームメイトが…付き合ってるって事…?
そんな……
「で、朔耶くんは?」
「え…?えっと…その…」
迷ってるうちにもインターホンが…。
今度こそ、啓吾くんだ。
「和也くっ…隠れてっ」
啓吾くんのベットの方に引き寄せて、寝てもらうと、布団を全身に被さるようにする。
「な…朔耶く…?」
「お願いっ」
俺もその布団にもぐって、小さく顔を出し、向い側のベットが見えるような体勢に…。
「なんか…あるの…?」
……って……しまったぁ。
つい…見つからないように和也くんの事隠しちゃったけど、見つかった方がよかったのかもっ。
このまま、2人で、啓吾くんたち見ちゃうのも……

「…なに、自分の部屋なのにインターホン鳴らしてんだって」
って声が…。
薄暗い中でもわかる金髪の人。
「いいだろ?ルームメイトへの気配りってやつ」
「…あっそ。今ルームメイトいないっつってなかったか…??にしてもなぁ…。この目隠し取ってなんもおもしろいもんなかったら、キれるからな」
おもしろいものがある……とか言われて来たのかな…。
「じゃ、後でキレな」
「な……騙したわけっ?」
啓吾くんってば……。俺の方をそっと見て目を合わす。
すると、俺の後ろの方を指差して…『その塊は??』みたいに…。
俺は手振りで慌ててはみるものの、声を出さずにどう示せばいいのかわからず…。
察したのか、『OK』って指で作ると、ルームメイトの方のベットに金髪の人を連れ込んだ。
誰かいるって…わかったかなぁ…。
『な…に…』
小声で俺に聞きながら和也くんが布団から顔を出す。
『ああっ』
そのころにはもう、啓吾くんは金髪の人をうつ伏せにベットに押し倒して、後ろ手に手錠をかけていた。
『隠れてよぉ…』
そう言うと、布団の中に顔を隠しながらも、少しだけ覗かせて、俺と一緒に啓吾くんの方を見る。
『……朔耶くんってそうゆう趣味…?』
そうゆうって……デバガメ……?
『ちが……うもん…』
そうとだけ言って、とりあえず、この際、和也くんは無視で啓吾くんの方を見入った。

「ふざけんなよ…。おもしろいモン見れるっつったのにっ」
「信じる方が悪いね」
啓吾くんは後ろからシャツを脱がせてズボンも脱がせて、アッという間に全裸にさせると、あろうことか、両方の膝裏に手を回して大きく開けさせる。
それも、こっちによくみえるように…。
「な…馬鹿やろっ…離せって」
「いいじゃん…?誰も見てないんだし、俺も後ろだから見れないし?」
そう言って、彼をなだめさせる。
啓吾くんは、彼の体を後ろから足で挟むと、その足に、彼の足をかけさせて閉じれないようにする。
「な……いきなり…さかってんじゃねぇよ」
「いいから……黙って俺にやられろって…。悦くしてやっからさ…」
ゆっくりと…啓吾くんが彼のペニスを手にとって上下に擦り上げていく。
「ふ…ぁ…っ…ぁ…っ…やめっ…」
「…これが止めて欲しいならいきなり突っ込んでもいいんだけど?」
啓吾くんって…彼に対しては意地悪なんだなぁ…。
片隅のローションを手に取ると、啓吾くんは上を向いちゃってる彼のペニスに上からゆっくり垂らしていく。
「ひぁっ……あっ…くっ…」
「やらし〜…。深敦、体液とローションで、もうベトベトじゃん」
笑いながらそう言って、啓吾くんは自分の指にもローションを垂らして、彼のアナルに指を当てる。
「ば…か…入れんな…よ…?」
「欲しいくせに」
入れ……ちゃうの…?
ドキドキしながら見守る。
「やめ…ひっく…っ…ぁっ」
彼の言葉は無視で、指先がゆっくりと、中に入り込んでいく。
やだやだ……どんどん…入ってっちゃう……。
その時だった。
背後から、和也くんが俺の股間に手をやってきて…。
『…っっ!!』
うそ……そんな…。
布越しに擦りあげてくる。
『もう…勃っちゃってる…』
やさしくそう言って、チャック、下ろされちゃって…。
直にペニスを取り出して擦りあげられる。
『や…やぁっ…和也く…駄目…』
こんなトコで…そんな事…。
布団に潜った状態で、手を出してくる。
声…殺せなくなっちゃうよぉ…。
駄目駄目……っっ
『やっ…』
和也くんから逃れようと、思いっきり体を振り払っちゃうと、変に体に布団が絡まって…。
『え…ぁっ』
ドスンって……すごい音がして、布団ごとベットから落っこちてしまう。
「な…っ…?」
啓吾くんの相手の人が、俺の落ちた音に対して疑問の声を洩らす。
「いや……ちょっと棚の上の本が落ちただけ…」
啓吾くんはそう言ってくれたけど…。
見上げる形で啓吾くんを見ると『大丈夫?』って口パクで言っている。
「……」
ただ、ひっくり返って布団の絡まった情けない格好のまま、俺は頷いた。
フっと、啓吾くんの視線が和也くんの方にいくのがわかる。
それにあわせて俺もそっとそっちを盗み見ると、ちょっとつまらなそうにしている和也くんが…。
だって…俺、ベットから落ちるほど嫌がっちゃったし…。
だって…つい…。
「……風呂場…使う…?」
啓吾くんが口パクで、風呂場の方を指で示す。
「……え……?」
反射的に和也くんの方を見てしまい、その後慌てて目をそらす。
それって……風呂場でやれって事…?
それともただ…風呂に入れ……ってそれじゃ意味わかんないし…。
「じゃ、借りるわ」
そう言ったのは和也くん。
「えっ、えっ、やだっ」
いきなりの和也くんの返事についそう答える。
それでも和也くんは無視で、巻かれた布団を剥ぎ取ると、腕を取って俺を立たせる。
「そ…じゃ、弟くん、あんま虐めんなよ」
そう言って、ヒラヒラと手を振った。

脱衣所に腕を取られるまま入って…ドアを閉められた直後だった。
いきなり壁に俺を押し付けて、口を合わせる。
「んぅっ…っ」
貪るような激しいキス。
舌を絡め取られ、角度を変えて、口内を探るように何度も……
駄目…なんだかもう酸欠になりそう……
「っはぁっ……」
力が抜けて膝が折れる。
ズルっと、壁に背をつけたまま、ゆっくりと俺の体は崩れてく。
いやらしく、最後まで名残り惜しむかのように触れ合った舌先から、唾液の糸が引いた。
「……朔耶くん……俺、もうね……我慢できそうにないんだ…」
和也くんの方を見れず、座り込んだまま話を聞く。
「…好き…だから…」
そう言って、俺と同じ高さにしゃがみ込むと子供を扱うかのように俺の体を持ち上げる。
「和也く…」
好きだから…
そう言ってくれたのが嬉しかった…。
されるがままに上のシャツを脱がされ、パジャマ代わりに来ていたジャージのズボンを一気に下着と共に下ろされる。
「やっ…やだっ」
抵抗する隙もなかったよぉ…。
「…中、入ってて?」
そう、言われるように俺は風呂場に行く。
恥ずかしいからすでにお湯が入れられた湯船の中に沈む。
その間に、和也くんが服を脱いでいくのがわかった。
「和也く…電気、消して欲しいよぉ…」
風呂場から、脱衣場に向かって言うと、『わかった』って、電気が消える。
とはいっても、脱衣場の方がついてるから、中途半端に薄暗い感じだった。

で……和也くんが入ってきて…
俺の方を見て軽く笑って出ておいでって。
「っ…」
いや…って、言いそうだたけど、やっぱ、俺、和也くんのこと好きだし…
そんなにも嫌がっちゃ駄目だよね。
ゆっくりと浴槽からでて、和也くんの方へ行く。
「…あんま見ないで…」
浴槽から出た俺は、洗い場の小さなイスに座ってる和也くんの前に座って、どうにもできずにただ、俯いていた。
和也くんが、イスから降りて下に座り込むと、俺を引き寄せて抱き締める。
なんか……こんな…裸で抱き締められるとすっごいドキドキしてくる。
あぐらをかいた和也くんを跨ぐような格好で、向かい合って座らされちゃう。
「ね……後ろに手、まわしてて…」
言われるように、首に手をまわしていると、和也くんの方が、腰に回した手をしだいに下げていき、やんわりと俺のお尻を掴み上げる。
「…っ和也く…やっぱ…俺っ…」
俺の後ろでパチンって、なにかのフタが空く音がする。
「やっ…」
「まだ…なにもしてないよ。ただのリンス」
そういって、後ろから、リンスをまとった手で、双球を割り開くとアナル付近に手を埋める。
「やだやだっ」
そう言いつつも、しっかりと和也くんの首に手を回したまま。
その代わりってわけじゃないけど、和也くんの手から逃れるように、少し、腰が浮いていた。
「お願……入れ…ないで…」
そう頼んでも、無理…。
ゆっくりと、和也くんの指先が中に入り込んで来る。
「やっ…ンぅ」
駄目駄目……どんどん入り込んで来るのが分かる。
もっとゆっくり入れて欲しいよぉ…。
でも、余裕がなくってそんなことも言えない。
「はぁっ…ひぁ…ぁあっ」
「すっごい狭……」
俺はもう立ち膝状態…。
和也くんは、俺の背中に手を回してゆっくりと胸の突起を吸い上げた。
「んっ…ぁっ…」
それが気持ちよくって……気が遠くなりそう…。
すると、不意に後ろに入り込んでいた指でゆっくりと和也くんが、中をかき回す。
「あぁっ…ぁっ…くぅ…っ」
やだやだ…変な感覚…。
和也くんが動かすたびに体がゾクってして、変になる。
わけがわかんない…。
「2本くらいならラクでしょ…?」
そう言ったかと思うと、俺が頭で理解するより先に、和也くんの指がもう1本入り込んで来る。
「やぁっ…ぁっ…駄目っ」
駄目って言ってももう入っちゃってたり…。
奥まで入り込んだ2本の指を、まるで中を拡げるかのように動かされる。
「ぁあっ…駄目…ぁ…駄目ぇ……っ」
こんな…後ろなんて使うの初めてなのに、気持ちよくって堪らない。
もちろん恥ずかしくてそんなことは言えないけどっ。
もう…いつイっちゃってもおかしくないってくらい感じてる。
でも…前も触られてなくって、後ろだけでイっちゃうなんて恥ずかしい。
「大丈夫…?」
その問いかけに、思いっきり首を横に振る。
駄目…
「もぉ…駄目…」
「ね…俺のためにがんばって…?」
「ぁっ…く…」
和也くんのため…?
そんなの…それじゃあ、がんばらなかったらものすごい俺が悪ものみたいじゃんかぁ…。
それでも、なんのためらいもなく『うん…』って言っちゃうあたり…俺、やっぱ和也くんのこと好き…。
指を増やされて、ゆっくりと慣らされていく。
和也くんは、そう俺を慣らしてくれるのは嬉しいんだけど、もうイきたくなってきちゃったよぉ…。
でも指だけでイっちゃうのってすっごい恥ずかしい気がするから、我慢しちゃう。
「はぁっ…ぁっ…やっ…もぉ」
入れてくれていいよ……
痛くっても全然平気だもん…。
でも言えないから、ただ気持ちだけ通じるように、ギュッと抱き締めてみる。
「…いい……?」
そう俺の耳元で問う和也くんに、頷くと、ゆっくりと引き抜いた指のかわりに和也くんのモノが押し当てられた。
はずかしから…早く入れちゃって…。
そんな俺の気持ちが分かってか、入り口を指で少し押しひろげ、和也くん自身が入ってくる。
「ひ…ぁっ…あっ…」
指なんかと比べ物になんないよぉ…。
すごい圧迫感。
熱くって…溶けそう…。
痛みなんてふっとんじゃうもん…。
全部中に入り込んでしまい、一息すると、俺の腰あたりをつかんでゆっくりと動かされる。
「はぁっ…やぁっ…んっ…」
揺さぶるようにして、小刻みに動かされある程度慣れてくると、だんだんと、俺を大きく動かして、内壁を擦り上げる。
「ぁっ…あぁっ…やぁっ…」
もぉ、イきそうっ。
和也くんがある1点を集中的に刺激して、そのたびに俺の体がビクンって跳ねる。
「すっごいね…朔耶くんの中…気持ちいいよ…」
わざわざ言わなくてもいいことを言って、俺の羞恥心を高める。
「やっ…やぁっ…ぁあっ…駄目…ぁああぁぁっっ」
我慢しきれず、達してしまうと、それに一瞬遅れて和也くんが一気に俺の中からペニスを引き抜き、外で欲望を弾け出すのが分かった。

「ごめん…俺さ…止めらんなくて…」
和也くんがボソっと言った。
「…そんな…こと…」
「朔耶くんがいやって言っても無視したりしちゃったし…」
「でも…」
やるのがいやなんじゃなくって…
恥ずかしいから嫌だったんだよぉ…。
俺なんて好きだってのに、恥ずかしいってだけで断わってきたんだよ。
だけっていっても、恥ずかしいものはしょうがないけどさぁ…。
でも…
「和也くんが…謝ることじゃないよぉ…」
そう言うと、やさしくキスをしてくれた。
たまに意地悪だったりもするけれど、それでもすっごく優しいんだよね…
そんな和也くんが大好き。
もう一度、はっきり伝えたいな。
「和也くん……」
「なに?」
ジッと、俺の方を見て、言葉を待つ。
「えぇえっとぉ……やっぱ…いい……」
たった2文字の言葉…それだけが言えない。
だってやっぱ恥ずかしいから。
きっと、何百文字も何千文字も難しい論文とかを言わされるよりも難しいかもしれない。
でも…俺にとってはそれだけ大きな意味を持ってるんだよ。
和也くんに…分かってもらえてるかなぁ…。
「じゃ、言いたくなったら言って?」
軽く笑って和也くんはそう言った。
うん…。
きっと…和也くんなら分かってくれてるよね。
代わりに…抱き締めてる和也くんを、少しだけ強く、抱き締め直してみた。