……どうしよう。
 今日は日曜日だからいつもみたいに、厘の部屋に遊びに来てたんだ。
 でも厘はいなかったんだよ。
 だから、部屋で待つことにしたんだけど……。
 机の上にたくさんカメラが置いてあったから気になって手に取って見てたんだ。
 そしたら行き成りドアが開いく音がするからビックリして落としちゃって……。
 カメラはそんなやわじゃないと思うし、見た感じ壊れてはないと思うんだけど…。
 衝撃でネガ飛び出ちゃった。
「要―。ごめんごめん。尚吾がノート貸してっつーからさぁ。持ってってたの。あぁ、そうだ。取りに来いって話だよねぇ?」
 厘が俺の背後でそう言う声が聞こえるけれど……俺はもう固まっちゃってそれどころじゃない。
「厘………湊瀬先輩、怒ると恐い?」
 俺は振り向きもせずに、厘に聞く。
 湊瀬先輩ってのは厘のルームメイトの先輩で、このカメラの持ち主。
 俺が週1で厘の部屋に来ると、いつも一緒に遊んでくれたりして…
 さりげに俺、湊瀬先輩のこと、気になってたりした。
 でも、そんな湊瀬先輩の写真台無しにしちゃって……。
 嫌われちゃうよ…。
「どうだろ? 怒らせたことなんてないしー…。1年間、いやでも仲良くしてかなきゃいけない相手だから、そんな気まずくなるようなことはあえてしないしねぇ。まぁ、いやじゃないけど」
 俺は……?
 別に1年間、付き合う相手でもないし怒られるかも……。
 厘の友達だから少しは許されるかもしれないけど。
 厘は俺がカメラを持ってるのにも気付かず、自分のベットで制服から私服に着替えを始める。
「湊瀬先輩、写真好きだよね」
「うん、好きだよ〜。写真部の部長さんだしね。なに、要。やたら湊瀬先輩のこと聞くじゃん。気になるの?」
 気になる……そりゃもうっ。
 厘の言ってる気になるとは別の意味だろうけどっ。
「……どうしよう厘。俺……」
「なになに?」
 着替えかけの厘が、まるで友達の恋の話でも聞くようなテンションで寄ってくる。
 そんな甘い『どうしよう』じゃないよ……。
「カメラ……落としちゃった……」
「えぇっ!?」
 厘はもちろん驚いて俺の手に持つカメラに視線を落とす。
「でもっ……こんな風に机の上に出しとくのもちょっとは悪いよねぇっ?」
 俺は必死で厘に聞く。
「でも湊瀬先輩いつも俺に触っちゃ駄目だってちゃんと言ってるし……。あ、でも壊れてないんじゃない……?」
 厘が手を出すから、俺はそっとカメラを渡す。
「傷とかないじゃん。大丈夫だよ、うん」
「でも……ネガ出ちゃったんだよ……」
 とりあえず…また入れてみたけど……
「入れておけばいいんじゃないの?」
「駄目だよ。ネガに光入っちゃうから……撮った写真がパーになっちゃうんだよ……」
「へぇ。そうなんだ。知らなかったー。俺、湊瀬先輩とカメラの話とかしないからさー。 ……大丈夫だよ。謝ればたぶん、許してくれるよ。それか……知らないフリしちゃう?」
 知らないフリはやばいよね?
「……謝るよ」
 駄目だ、すっごく緊張する……。
 しばらくしゃべったりして遊んでたんだけどもう気が気じゃなくって。
 厘もそれがわかってか少し気を使っているみたいだった。



 ドアが開く音に、俺の体が必要以上に強張った。
「やだ……厘」
 俺は、つい厘の腕を取っていた。
「……大丈夫だよ」


「厘っ。今日はなぜか優斗がお菓子くれたから。賞味期限切れてたりして……」
 上機嫌でお菓子を持った湊瀬先輩が入ってくる。
「あ、要。1週間ぶり。なんか…元気ない? 大丈夫?」
「……はい」
 本当は全然大丈夫じゃないけど。
 湊瀬先輩はベットの上にお菓子を置くと、机の上からカメラを取り上げる。
 もうバレちゃったとか……?
 どうしよう……。
 ドキドキしながら湊瀬先輩の手に取られるカメラを見上げる。
「じゃ、ちょっとまた出かけてくるから。すぐ戻ってくるけど」
 そう言って、カメラを持ったまま出かけようとする。
「……何しに行くんですかっ?」
 つい聞いてしまった。
 だってカメラ持って……やっぱ写真撮りに行くのかな。
「あと、2枚くらい残ってたと思うで、なんか撮ってから現像しに……」
「現像っ!?」
 厘が叫ぶように言った。
「そ。あ、お菓子食べんといてな。なんか仕掛けてあるかもしれんで」
 そう言って、部屋を出て行ってしまった。
 つい、そのまま見送っちゃって……。
「……要、行った方がいいんじゃない? このままごまかし通すって手もあるけど」
 ごまかす? でもそんなことしたら、厘が疑われちゃいそうだよ。
「……俺、行ってくるよ」
「ついてこうか?」
 厘と湊瀬先輩はこれからあと半年以上一緒の部屋で過ごすんだ。
 万が一、コレで仲が微妙になっちゃったりしたら悪いし。
「ううん。1人で大丈夫」
 俺は、部屋を出て湊瀬先輩の姿を捜した。



「湊瀬先輩っ」
 湊瀬先輩の背中に向かって呼び止める。
「あれ? 要……厘は?」
「あの、ちょっと、話が……」
 少しだけ、驚いた表情を見せてから、『わかった』ってな風に、俺の頭を軽く叩いた。

「そのカメラ……どんなもの、撮ったんですか?」
「コレ? これはねぇ。由沙っていう子が撮ってあるんだ。すごいんだぜ? 由沙、いろんな格好してくれっからさ。 ホントはこんなことしちゃ駄目だろうけど、高く売れるんだ。もちろん、由沙に了承は得てるけどね。 お金だって多少払ってるし。でも金目当てでやってるわけじゃないんだよ。写真、好きだから。 現像されるときが一番ワクワクするよね。まぁ、明日とかでもいいんだけど……由沙以外にも風景撮ったんだ。綺麗だったから、今日現像して、 要がいるうちに見せようかと思って」
 楽しそうに話す湊瀬先輩を見て、俺の気分はどんどん暗くなった。
 でも言わなきゃ……。
「……あの……俺……そのカメラ落としちゃって……」
「え……」
 湊瀬先輩が足を止めて俺に向き直る。
「……っごめんなさい…俺。カメラ気になって触っちゃって、落としちゃって……。ネガ出ちゃったんです……」

 湊瀬先輩は何も言えなくなっていた。
 沈黙が辛くなってくる。
「っその………代わりに俺、写りますっ」
 そう言ったあと、俺なんかじゃ由沙って人の代わりになんかならないんじゃないかって思った。
「あのっ……俺、どんな格好でもしますっ」
 恐くて、顔が上げれなくなってた。
 しばらく湊瀬先輩は何も言ってくれなかったから、やっぱ困ってるんだろうと思った。
 そうだよね。
 せっかく撮った写真、駄目にされちゃったんだもの。
 湊瀬先輩が俺のアゴに手をまわして、嫌でも顔を上に向かされる。
「………いいね……。じゃ、モデルになってもらうよ」
 その後、会話もなく、俺らは『写真部』と書かれたプレートのある部屋に行った。
「今日は部活ないから誰もいないよ。ソコのアルバム、由沙が載ってるから……見てていいよ」
「……はい」
 俺がこの子の代わりに写るんだ……。
 そんな気持ちでアルバムを開く。
 そこにあった写真に写った子は、すごい……どうしよう。
 めちゃくちゃかわいくって……さらにいうなら露出度が高いっていうか……。
 湊瀬先輩を見ると目が合って……
 湊瀬先輩……写真を見てる俺のこと、見てたんだ……。
「……出来ない?」
「……あ……その……」
 こんなの……恥かしい……。
「……売るんですか……」
「……由沙のは売ってるけど……。要のは売らないよ」
 俺なんか、売れないのかな……。
 じゃあ、その分、俺がお金払うのかな……。
 お金払うだけじゃ駄目なのかな……。
 そりゃ、出来上がった写真のネガってお金に変えられないものだとは思うけど……。
 湊瀬先輩は写真を撮るのが好きだから……お金なんか払っても駄目だよね……やっぱ。
「……やります」
 売られないなら……湊瀬先輩にしか見られないなら……。
 湊瀬先輩なら……。




 写真部の部室は別の部屋とつながっていて、その部屋に行くとベットが奥にあった。
 俺は湊瀬先輩に言われるがままに、ベットの上に座って待っていた。
「いいよ。そんな硬くならないで……。脱げる?」
「……あ、はい……」
 そう頷くけれど、手が……まるで冬の日の朝みたい。
 かじかむような感じ……。
 シャツを脱ぎかけると、シャッターを切る音が聞こえた。
 行き成りだったから、びっくりして手を止めてしまう。
「……気になる…よね。自然体が撮りたかったから。行き成り撮っちゃって悪いね」
「……いえ」
 俺は、そのまま上のシャツを脱いでいき、そのたびに湊瀬先輩のシャッターを切る音が響いた。
「……いいよ。かわいい……」
 カメラのレンズ越しに、ピントを合わせてしっかり見られていると思うと恥ずかしくてたまらなかった。
 かわいいなんて言われて、お世辞だとわかってても体が熱くなっちゃう。
 どうしてもぎこちなくなっちゃうよ。
 そんな俺を見てか、湊瀬先輩は、カメラを片手に自分もベットに乗りあがった。
「…いい……? 力抜いて……自然でいて?」
 そうは言われても無理だよ。
 人前で……いくらズボンははいたままとはいえ、上半身裸の状態をじっくり見られたことなんてない。
 ましてや写真に撮られるなんて……。
 プールでふざけて撮ったこととかならあるけど……。
 それに相手が湊瀬先輩だといつも以上にドキドキしちゃうよ。
 湊瀬先輩の手が、俺に近づくけれど、逃げれなくって、その手が肌に触れる。
「…っ…」
「……そのまま、寝転がって……」
 頷いて、湊瀬先輩の手が触れたままの状態で俺はベットに寝転がった。
 湊瀬先輩は俺に立ち膝状態で跨ると見下ろしながらカメラを構える。
 なんだか……恥かしいには恥かしいんだけど……
 それよりも、ドキドキする。
 湊瀬先輩は、上から一枚、写真を撮ると、カメラを横に置いてしまった。
 やっぱ……俺なんかじゃ代わりにならない?
「…ごめん…なさ……」
 恐る恐る謝ると、湊瀬先輩は軽く笑ってくれた。
「いいよ……緊張してるみたいだから…もう写真は撮らないから」
「でもっ…」
 それじゃあ、どうすればいいの…?
 俺が緊張してるから、全然いい写真が撮れなくて駄目なんでしょ?
 でも緊張はしちゃうもの…。
「…代わりに…今、焼きつけさせてもらうから……」
 俺を跨いだまま、ゆっくりと胸あたりを撫で回され、指先で乳首を擦られる。
「っ…ぁっ…あっ…っ」
 やだ…俺、変な声、出ちゃって……
「口、塞がないで……」
 やさしく湊瀬先輩にそう言われると従っちゃうよ。
「っ…ンっ…ぁっ…」
 撫でられ続けるうちにソコが次第に硬く尖っていくのが自分でもわかる。
 ゾクゾクする……。
 やらしいよ、俺……。
 だって、湊瀬先輩にこんな風にしてもらえるなんて……
 恥かしいけど、なんか嬉しいような……。
「…見せて……ココ……」
 湊瀬先輩は、俺の体から降り、横から股間の辺りを布越しに撫でる。
「あっ…っんっ」
 見せるって……?
 湊瀬先輩を見上げるともう一度、『見せて』って言うもんだから、俺は自分のズボンのチャックに手をかけるものの、そこから先がなかなか進まない。
「…手伝おうか…?」
 そう聞かれて、俺は頷いてしまっていた。
 湊瀬先輩は、俺の手を退かし、俺のズボンのチャックに手をかける。
「…いい…?」
 頷く俺を確認すると、ズボンのチャックをゆっくりと下ろしていく。
 そのまま流されるようにしてズボンと下着を脱がされてしまっていた。
 体のすべてを見られるのが恥かしくって……それでもどうにも出来ないから、ただ、耐えるしかなかった。
「……要は細いね……。壊れそう」
 抱き起こされて、湊瀬先輩は俺を後ろから抱き締めてくれる。
「要……。厘とは……恋人じゃなくって友達だよな」
「…う…ん…?」
「もしもだけど……要が厘と大喧嘩したりしたら」
「しないよ」
「例えばだよ。要がもう厘に会いたくないってくらいな喧嘩とかしちゃったら……もう、俺の部屋には来ない……?」
 湊瀬先輩の部屋……?
 つまりは厘の部屋。
 厘に会いたくないんだとしたら……俺、厘の部屋にはやっぱ行かなくなるのかな。
 湊瀬先輩と会えないのは寂しいけれど……。
 湊瀬先輩に会えるのは、厘がいるからで……
「…ね……要は厘がいなかったら、俺に会いに来たりしない?」
 抱き締めてる手を下げて、そっと俺のに触れられる。
「…ぁっ…ん……わか…んな……」
「わかんない…?」
 湊瀬先輩は、俺のを掴んで上下に擦り上げながら耳元で囁くように声をかける。
「…来て……」
「ぁっ…あっ…っ…ンっっ…ひぁあっ…」
 人の手でそんな事…
 しかも湊瀬先輩……。
 優しく声をかけながらそんな事されたら……
 体がおかしくなりそう。
「ね……厘がいなくても、来て」
 厘がいなくても……?
 俺だって呼ばれたら、湊瀬先輩に会いに行くよ。
 自分からは行きにくいかもしれないけれど……。
 俺は、後ろから抱き締められたまま、頷いていた。
「……厘じゃなくって、俺に会いに来て」
「……?」
 よく意味がわからなくって、抱き締められたまま、振り返って湊瀬先輩の方を見た。
「もちろん、要は厘と仲良しだから厘に会いに来るのもわかるよ。でもたまには俺だけのために来て……。厘のついでに俺に会うんじゃなくって……」
 それって……?
 なんとなく、湊瀬先輩に求められている気がしてなんだか嬉しくて、何も言えなくなっていた。
「要……?」
「ん……うんっ……」
 もちろん会いに行く……。


 湊瀬先輩は俺をギュっと抱き締めると、後ろから首筋にそっとキスをした。
「…っ…湊瀬…先輩…」
 湊瀬先輩は、俺の両方の膝裏に手をまわし、軽く持ち上げる。
「……ぁ……」
「……もう溢れてんのな……。要って、ホントはエッチなんだ…」
「なっ…そんなこと……」
「……こんな濡れとったら言い訳出来んよ……?」
 湊瀬先輩は、濡れているということを示すかのように、亀頭を指先で拭る。
「っぁっ…だ…めっ…っ」
「…ずっと…要にこうしたかった。でも、1週間に1回しか会ってないだろ?  だから……要の中で、俺ってどんくらいの存在なんだろうって……。厘のいる前で告白とか出来んし……。 かと言って、どっかに呼んで告ったりして失敗したら、気まずくって、要がもう来んようになったらどうしようとか ……要が来るんじゃなくて厘が行くことになったらどうしようとか思って……。 このまま会えんようにはなりたくなかった。だから、言えんかった……」
 なんだかこっちが恥かしくなってきて、俺は黙って、湊瀬先輩の話を聞いた。
 でも、そう思われるのは嬉しかった。
「要……どうせ、ネガのことで、気まずくなってもう来れんかもしれんよな。いい機会だから、言うよ。……要のこと、好き」
 ギュっと、俺の体を抱きながら言った。
 信じられなくって、嬉しくって、抱き締められている腕に自分の手を添えた。
「…俺も…好きです…」
「…ネガのことなら気にしなくていいよ…。義理で言ってもらっても意味ないし」
 義理とかじゃなくって、俺、湊瀬先輩に好きって言ってもらえてめちゃくちゃ嬉しい。
 俺も好き……。
「義理なんかじゃ……ないです…」
「週1回しか会ってないのに?」
「だったら、湊瀬先輩もっ」
 週1回しか会ってないよ……。
 それなのに……。
「…そうだね。もっと会いたいと思った。要は?」
 俺は……
「いつも日曜日……湊瀬先輩と会えるの楽しみにしてました…」
「ホント? ……ありがとう。こっち向いて……」
 湊瀬先輩に言われて振り向くと、手をとられて流されるがままにベットに仰向けで倒れこむ。
「……キスしていい?」
「…はい……」
 上から体を被せるようにしてそっと口を近づけられる。
 口が触れるか触れないかの所で目を閉じた。
 そっと口を重ねられ、ゆっくりと舌が入れられる。
 絡められる舌先に応えて、自分も絡め返していた。
「…ン…っ…ん……」
 口が離れても、2人ともいやらしく、絡めた舌先を最後の最後まで触れ合わせていた。
「……しちゃいたい……。要、いい?」
 頷くと、湊瀬先輩はベットの傍にある引き出しからビンのようなものを取り出す。
「…なに……?」
「ローション。こないだ、うちの部員がココに置いてった。使わせてもらう」
 俺の体をそっと抱き起こし、湊瀬先輩の体を跨ぐような形で抱き締められる。
 後ろで、カラカラ……と、フタがあく音がした。
「初めて?」
「うん……」
「大丈夫そう?」
「……う……ん……」
 湊瀬先輩の指が背中の方からそっと双丘を割って、ゆっくりと中へ入り込んでくる。
「っあ……っんぅうっ」
「……嫌だったら言ってな」
 ギュッと、湊瀬先輩のシャツを掴むと、それに応えてくれるかのように、もう片方の手で俺を抱き締めながら、そっと中の指を動かした。
「はぁっ…ぁっ…あっ…湊瀬せん…ぱぁっ…」
 たっぷりとローションをつけた指が中をかき回していくと、次第にクチュクチュといやらしい音が耳につく。
「…ぁっ…くぅっ…ンっっ…あっ…っ」
 指を増やされても、ローションのせいか痛みとかはなかったけれど、もうわけがわかんなくなっていた。
「…大丈夫……?」
 湊瀬先輩は、何度も何度も俺を気遣いながら、やさしく中を拡げてく。
「ぁあっ…っンぅ…ぁっ…あっ…湊瀬…先輩…もぉっ…」
「…イきそ…?」
 イってしまいそう……。
 でも、湊瀬先輩とつながってみたい。
 先にイっちゃうと、あとでイクにイけなくなっちゃいそうで……。
「…もぉ……湊瀬…先輩……」
 入れてだとか、欲しいだとか…そんなの恥かしくて言えないよ……。
 ギュっと湊瀬先輩に抱きついた。
「……いいの?」
―入れても―……耳元でそっと、そうつけたす湊瀬先輩に、頷いていた。
 指を抜き取られ、代わりに湊瀬先輩のモノが押し当てられる。
「…壊れそう…」
 湊瀬先輩はそう言って、そっと俺に口づけると、俺の体を操って、ゆっくりと中へと押し進んだ。
「っひっぁあっ…やっ…」
「…駄目なら、すぐ止めるよ…?」
 俺は、首を横に振って『止めないで』と答える。
 入り込んでくるうちに、どんどんなにも考えられなくなってくる。
 それでも、満たされていく気分がした。
「…ぁっ…はぁっ…ぁあっ…」
「…要ん中……気持ちいい……」
「…っんっ…ぁンっ…」
 双丘に手を回され、ゆっくりと上下に体を動かされると、背筋がゾクゾクして、耐え難い感覚に湊瀬先輩の背中に爪を立ててしまう。
 何度も内壁を擦り上げられ、先端が中のある部分を突くたびに、体がビクビクとふるえあがった。
「…ぁあっ…せん…ぱぁっ…イっちゃう…っっ」
「ん……いいよ…。俺も…イく…」
 湊瀬先輩にそう言われると、少しだけ、安心したような感覚になる。
「ぁっ…あっ…イく…っ…ぁっ…ぁああぁあっ」
 湊瀬先輩に与えられる快楽に溺れて、自ら申告までして、頂点に達してしまっていた。
 湊瀬先輩はというと、俺がイってしまってすぐ、中から抜き出してくれたから、俺の背後でイったのかもしれないけれど、 俺はもう考えてられなくて、よくわからないまま、湊瀬先輩にもたれかかって脱力していた。





「…あの写真……どうするんですか」
 俺の写真。
 俺が買うのかなぁ…。
「コレはオカズにでもする。ホント、カメラのことは、気にしなくていいって」
 オカズって……なんか恥かしい…。
「初めから……許してくれる気だったんですか…?」
「ん……まぁね。ごめんな。廊下で立ち話もなんだし、 部屋戻っても厘がいるしで、2人で話すのに、どうも理由がなかったから……こんなトコ、来させてまって……。 びっくりしたよね…? 別に、怒ってないし、要を由沙の代わりにするつもりもなかったよ。風景だって……またいつかきっと見れるから、そう要は気にしんでいいよ」
 湊瀬先輩はそう言ってくれた。
「まぁ…要を撮りたかったってのもあるけど」
 そう付け足して、俺の頭をやさしく撫でた。


 部屋に戻って。
 厘に『遅い』って怒られたけど、そのあとそっと耳打ちで『大丈夫だった?』って心配してくれた。
 帰り際に、湊瀬先輩は、俺が落としたカメラを見せて
「はやいとこ、全部撮って現像するかな。1週間、これで我慢するわ」
 そう言った。
 俺の写真のことだよね……。
 恥かしさと嬉しさがごちゃ混ぜだ。
 厘が『わけがわからない』といった顔をしていた。


 今日、あったこと……。
 恥かしいけど、嬉しくて、誰かに話したくなっちゃうな。
 明日……湊瀬先輩がいないところで、厘に聞いてもらおうかな。