「じゃあ、一枚ずつ取って、冊子作って」
少しキツめの口調で、そう言ったのは、学祭実行委員の委員長。
テキパキしてるというか。
まじめに、取り組まないやつは容赦しないみたいな。
容赦しないってことはないけど?
あいかわらず、かったいなぁ。

「すみませ…っ」
っと、そこに遅れて入ってきた生徒が一人。
なぜか副会長と一緒に。
表情から、委員長が怒ってるのが伺える。
まぁ、1回くらいの遅刻でとやかく言うようなやつじゃないから、何度も遅刻してる…もしくはサボってるんだろう。

怒る委員長…尋臣を、なだめる副会長と、間に挟まれながら、困り顔の子供っぽい生徒。
わりとありがちな光景。

暇だし、俺も生徒に混ざって、冊子を作っていた。
生徒の方も、俺を気にはとめるが、大してなにか言うわけでもなく、ただ、冊子作りに取り掛かる。

しばらくして、活動時間が終了。
遅れてきたやつは居残りをさせられていた。
もともと、自主的な活動なんだからいいのになぁ?
それなりの言い分はあるらしいが。

活動を終えた生徒たちは、次々と教室を出て行く。
最後、遅れてきた居残り組を残して、尋臣が出て行く……って
俺のこと、完璧無視しやがりますか。
軽く舌打ちをして、尋臣に続いて、教室を出る。
教室の扉を閉めてから、速攻で、尋臣の肩に手をかけた。
「っ…な…っ…」
「何って? それは俺が聞きたいし。なぁに無視してんだか」
尋臣は体を避けて俺の手から逃れ、顔をそむける。
「別に無視したわけじゃないですよ。ただ、委員長としての仕事を…」
「はいはいはい。硬い硬い。これだから、ちょっといじられた数学とか解けないんだよ、お前は」
「数学は関係ないでしょう? そもそも樋口先生は俺の数学担当じゃないですし」
それでも、本当のことを言われたであろう尋臣は少し、ムキになっていた。
2人で歩きながら、職員室の方へと向かう。
尋臣はできた分の冊子を置きに行くんだろう。
まぁ、俺が持ってってやってもいいんだけど?

尋臣って、ホント、硬いよな。
仕事が終わるまで、相手してくれないつもりなのだろうか?
つまんねぇ。

それに居残りの子達が冊子を作らされてるってことは、別に今日中ってわけじゃないんだろ?

俺は、冊子を持ったままの尋臣の肩にまた手をかけると、無理やり壁へと押し付けた。
「…なんですか…?」
俺の意味不明な行動に、あきれたようにため息をつく。
危機感ねぇなぁ、こいつは。
「尋臣くんはお堅いから、頭まわらない?」
にっこりそう聞く俺に、またカチンときてるのが見てとれる。
「なんのつもりか聞いてるんですけど」
ホント、堅いやつ。
抵抗するとか振り払うとかないんですか、こいつは。
「尋臣さ…。ホント、わかんねぇ…? セックスはベッドでやるもんだとか思ってる? それはないか。別の場所でもやるし?」
耳元でそう言って、片方の手で肩を抑えたまま、空いた手でズボンの上から股間のモノに手を触れる。
「っ……何、考えて…」
「何だと思う? わっかんないかなぁ。今お前のこと、犯そうとしてるんだけど?」
冊子で手がふさがってるせいか、まともに抵抗しないで、ただ、少しだけ焦って。
それでも悟られないように、平静を装う。
「何言ってるんですか。冊子、持ってくから…」
そう言って体をどかそうとするが、俺は、肩を抑えたまま、強く股間を何度もなで上げてやった。
「っん…ぅん」
ほら…。
すっげぇおとなしくなる。
いつもはお堅い委員長様のくせに。
頬を紅潮させて、少し恥ずかしげな目が、冊子のせいで見えないだろう俺の手の方向に向く。
「部屋…行く…?」
俺は股間をさすったまま、耳元で、囁くように聞く。
「っ…ん…何…言って…」
少しだけ目を潤ませて。
反発する感じでもなくそう答える。
「あっそ」
もっと、俺に『行こう』って押して欲しかった?
あえて俺はそっけなくそう言うと、ズボンのチャックを下ろし、尋臣の前にしゃがみこんだ。
「っな…」
取り出した尋臣のを、口に含むと、尋臣の体が過剰にびくつく。
「っんぅっ…あ…っ」
舌を絡ませて舐めあげていくと、尋臣の足が少しだけ開いた。
「ゃ…あっ…せんせっ…」
「このまま廊下でやられるか部屋行くか、2択でよろしく」
口を離して舌先で、舐め上げながらそう聞いてやった。
「っ…はぁっ…ぁっ…行く…」
「へぇ。もうイクんだ?」
なんてな。
「っぁっ違…っぅンっ…部屋…っ…行く」
「はいはい。じゃ、中途半端だし、1回、イッとこう?」
たまにはこういうのも新鮮で楽しいし?
強く舌先を絡めて、吸い上げてやると、予想してなかったのか、過剰に反応して、冊子を取り落とす。
「やぁっっ」
「……っ…」
嫌なのはこっちですって。
冊子、全部、頭に降ってきたんですけど?
まぁ、とりあえず無視?
尋臣も余裕がないみたいだし?
「ふぁっ…ぅンっ…あっ」
指で亀頭を撫でてやると、先走りの液ですべるのがわかる。
わざとらしく立ててる音とか、耳に入ってんのかねぇ?
「はぁっんっ…ぅんっ」
少しだけ、無理やり体を立たせている感じ。
そっと、俺の髪の毛に指を絡ませてきた。
「ふぅっ…ぅんんっ…あっ…っぁ…せんせ…っ」
「出そう?」
手で擦りあげながら上を見ると、不安そうに涙をためて俺を見下ろしてる尋臣が、そっと頷く。
「じゃぁ、俺が咥えてからイけよ? イク前にちゃんと言えよ? 俺だって、予告なくいきなり出されちゃつらいし?」
そうとだけ言って、咥えこんでやると、髪の毛に絡めていた手が、少しだけ強く俺の髪の毛を掴む。
「っはぁっ…ぁっあっ…ぅんっ…」
軽く出し入れしたり、舌を絡ませながら吸い上げてやるたびに、少しだけ尋臣の体が震えていた。
「っぅんっ…ゃっ…やぁっっイクっ…」
俺って、根がサドいから?
やっぱ、苛めたくなるときってあるじゃん…。
あえて、そこで口を離す。
「っっなっぁっ…あっ…」
涙を溜めた目で、信じられないように俺を見下ろす。
俺は、その様子を見てから、なんでもないみたいに、咥え込まずに、舌先で何度もなめあげてやった。
「っやぅっ…あっ…先せっ…あっ…」
「言いたいこと、あったらハッキリ言えな?」
指先でも、根元の袋を撫で上げながら、舌でなおも愛撫を続けた。
先走りの液が溢れて、そのいやらしさに欲情させられる。
俺が咥えてからイケって言ったこともあり、それまでは我慢しようとか、しなきゃいけないんだとか思ってんだろ。
「ひゃあっ…ぅんっ…はぁっ…出っ、ゃんっあ…」
「もっとさ、喘げよ」
手で愛撫したまま、口を離して立ち上がり、そっと耳元に舌を這わす。
「声出して、いやらしく俺のこと誘えよ…。いつもみたいにさ…。俺らしか、いないんだし…?」
そっと、囁くように言ってやると、尋臣の手が、すがるように俺の腕を掴む。
「っ…はぁっ…」
さっきまで舐めてたのと先走りのせいで、もうぐちゃぐちゃだ。
俺の手が尋臣のに絡みつく。
「っぁっあっ…ッ…智巳…」
少し、躊躇ってから、尋臣は俺の名前を呼ぶ。
「なに…?」
「イきたぁっ…あんっ…はぁ…ぅンっ」
もうトロトロに酔ってやがる。
少し俺に腰を寄せて。
イきたいとか言うくせに、切羽詰った様子ではない。
イきそうでイけないギリギリの快楽を味わい尽くしてる。
ここが、廊下ってすっかり忘れてるよな、こいつ。
「ぁっ…あっ…智巳ぃ…っ、ゃあ…もぉっ…」
「わかったから…。入れてやるよ」
尋臣のを触ってた手を奥へと進め、指先で入り口を撫でてやる。
次来るだろう刺激に耐えるべく、俺の腕に手を強く絡めて身構えて。
準備が出来ると、そっと俺を盗み見る。
「…わかってる」
俺は、人差し指と中指を、同時に2本差し込む。
「ぁくっ…あぁんんっっ」
準備はしていたものの、やはり指を入れられる刺激は尋臣にとって相当なものらしく、必死で俺を引き寄せるようにして背中に手を回した。
「2本くらいラクだなー…。昨日、さんざんやったからか」
独り言のようにそう呟く俺の言葉を聞き取って、尋臣は少し恥ずかしげにさりげなく顔をそむける。
「っはぁ…っあっ…」
こんなすぐイかれてもな…。
俺は少しだけ指を動かして、刺激が足らないようにそっと焦らす。
「ンっ…ぅんっ…はぁっ…」
目を瞑って。
焦らされる感覚にもどかしさを感じながらも、少し物足りないくらいの刺激が心地良いのか、そっと甘えるように背中に回した手に力を込められる。
「気持ちいい…?」
「っぁ…あっっ…いい…っ」
……じゃねぇ。
こいつと同じで、俺も、廊下っての忘れそうに。
やべぇよな。
焦らしてる場合じゃないし?
早くとっとと1発イかせて、場所変えっか?
別に、1発、イかせなきゃなんねーわけじゃないけど、やっぱ、そこはな?
いまさら、中断するのもアレだし。
でも焦らすの楽しいだろ。
ここまで酔った尋臣見ると特に、焦らしていろいろ言わせたくなるけど。

…そんなこと考えてる場合じゃないのに気づく。
視線。
突き刺さってきやがる。
見るの怖ぇけど、見ないわけにもいかないっつーか。
そっと目を向けると、その先にいたのは俺と同じ数学教師、桐生だった。
尋臣の学年担当。

「……」
少しだけだけど、安心してしまう。
生徒とか、他の先生よりはマシだと思う。
いや、生徒の方がマシか?
俺はいい。
だけど、生徒に見られた場合、尋臣が、キツいか。
だが、桐生だって、困るには困る。
尋臣のこんな姿を見せるはどうにも気に食わない。



「ンぅんっ…智巳…っ」
心地良いとおりこして、じれったい、生ぬるい刺激をどうにかして欲しいのか、自然と腰が寄る。
そんな様子を、少し離れた位置から、桐生も楽しそうに眺めてやがる。

俺は、空いている左手で、桐生を追い払うように手を振った。
桐生は、両手を軽く振って『おかまいなく』みたいなしぐさを俺に向ける。
「……」
俺は、これ以上、尋臣がせがむ姿を桐生にさらさないためにも、少しだけ指の動きを強めた。
中途半端な刺激おくってっと、欲しいとか言いかねないしな。
「ゃんんっ…ぁっ…はぁっ」
…これも、十分、さらせない姿だけど。

俺は、ポケットから携帯を取り出し、桐生にメールを左手で打つ。
『どっか行け。行かないなら、桐生、犯すけど?』
たぶん、桐生の携帯も、今はマナーモードだろう。
そう送った後、一応、自分の携帯がサイレントモードになっているか確認した。
桐生の方を見ると、携帯画面を見た後、こっちを見る。
少し笑みを見せてから、メールを打つ仕草。

『無理でしょー』
そう返事が来る。
俺が、犯そうと思えば、おまえくらい簡単に犯せるが。
そんなこと、詳しくいま、伝えられる状況ではなさそうだ。

「ぁあっんぅっ…智巳…っぃいっ…もぉっ」
足を開いてすがりつく尋臣は、普段の姿からはまったく想像できないだろう。
ここで、尋臣に桐生がいることを伝えるわけにはもちろんいかないし。

『だったら、雪之丞、襲うけど』
雪之丞。桐生の彼女…というわけではないが、それっぽい関係の子だ。
一応、両思いらしい。
そう送った画面を確認してか、桐生は、駄目だと指先で×印を作って首を振る。
だったら、去ってけと、手で追い払う。

「んっ…イきそぉっやぁあっっ」
俺は、桐生に伝えることだけ伝えて、またポケットに携帯をしまう。
空いた左手で、そっと尋臣の頬をなでた。
「わかった」
そっと、頬にキスをして。
軽く桐生の方を盗み見る。
俺の思いが通じたようで、その場から立ち去っていた。
…どうせ、階段に隠れてるだけだと思うが。
それでもまぁいい。
俺はしゃがみ込んで、少しだけ尋臣のズボンと下着を下げながら、口に咥え込む。
「はぁっあっ…っぅンっ…アっ、智巳っっ」
俺は、とっととイかせようと、指で中を刺激し、舌を強く絡める。
「ゃうっあっ…出ちゃっ…ぁっあぁぁああっっ」


泣きそうに喘ぎながら、イってしまうと、ずるずるとそこへと座り込む。
ったく、いきなり座られちゃ、こっちが困るっての。
せめて、最後まで飲み干すまで立ってろ?
ゆっくりとした速度で座り込んでくれたおかげで、俺もまあ、尋臣に合わせれたけど。
指を抜いて、口を離して、座り込む尋臣を見ると、赤くなった頬と潤んだ目がなんともいえずかわいらしかった。
「尋臣が、はじめっから部屋行くって言ってくれればな」
もちろん、それのせいじゃないけど?
それでも、こういうときの尋臣は頭がちゃんと働いてないのか、そっと頷く。
間違った意見が正当化するのって、なんて楽しいんだろう。
「…部屋…行く?」
「…ン…」
ズボンをちゃんと上まで上げてやって。
不安げな表情のまま、そっと俯く尋臣を眺めていたときだった。
足音がして、そっちの方向に尋臣と向く。

桐生だ。
尋臣は、あわてて冊子を拾いまとめると、ただ、冊子を落としちゃっただけで、それに俺が居合わせたみたいな? そんなそぶりで、軽くお辞儀をして、とっとと職員室まで小走りで向かって行ってしまった。
チャック、ちゃんとどこかで閉めてくれればいいけど。

「グッドタイミーング♪」
「…バッドタイミーング…。なんのつもりだ? 桐生」
「なんのつもりもなにも、ここ、通りかかっただけだけど?」
「去らなければ、犯すと言ったが?」
「だから、尋臣がイクときは、ちゃんと、隠れてたじゃん」
それがまた、今、中途半端に出てきやがって。
「2人が去ってくまで待ってあげてもよかったんだけどね。やっぱほら、おもしろいことになると思ったから♪最中に尋臣にバレなかったんだからいーじゃん。ありがたいでしょ」
「柊に性格が似てきたな」
保健の先生である柊も、なんとなく他人の恋愛沙汰を楽しむタイプだから。

にしても厄介だ。
ただでさえ、人前ではお堅い委員長で通ってるわけで。
尋臣の方も、冊子を落としただけ…なフリはしたものの、変な態度だったって、わかってるだろうし。
桐生になら感づかれたかも…って考えるだろ。


「あんな尋臣、初めて見た」
桐生が、楽しそうに俺に言う。
「当たり前だろ。俺の前でしかあぁじゃないんだから」
「うわ…モロ、ノロけてるよ、この人。むかつくねー」
職員室に向かうと尋臣と会う可能性が高いから、俺は桐生と一緒に、職員室と逆方向に歩いた。
俺だけだったら会ってもいいんだけど、桐生もいちゃぁな。
「お前はどうなんだよ。雪之丞」
「…んー…。智巳ちゃんほど手懐けれてないね…。ってか、尋臣、智巳ちゃんに手懐けられまくりじゃん。なにあれ」
普段の尋臣とのギャップがそんなにあったのか、桐生は少し感心したように言う。
「まぁ、調教の賜物?」
「調教済みかよ。…雪之の方はなかなかそうもいかないわけよ」
「お前が調教下手なんじゃねぇの?」
「ひでぇね。雪之は、軽い人間じゃねぇの」
「なにそれ? 尋臣が軽い人間だって言いたいわけ?」
「そうじゃねぇよ。智巳ちゃんはよくやった」
よくやった…じゃねぇよ。
「……桐生…。ちょっと耳かしな」
そう言うと、なんの疑いもなく、桐生は俺の方に耳を向ける。
馬鹿。
俺は、手をまわしてそのまま首筋に口付けた。
「っな…ぁ…智巳ちゃん…? 何?」
そのままキツく吸い上げて、跡を残して。
そっと、口を離してやる。

「なんなわけ? 智巳ちゃん…」
「別に。雪之丞の反応でも見てみようかと?」
「…ほんっと、意地悪だなー」



「…っつーかさ…。桐生、今のことネタに尋臣、からかったりすんなよ」
この人ならやりかねないというか。
尋臣の数学担当教師が桐生だから。
どうしても桐生と尋臣は関わってしまうわけだ。
「はいはい」
「ンだよ、その態度。明日、尋臣、授業ある?」
「明日―…。うん、あるね」
気まずいだろうな…。
この桐生が何事もなかったみたいにしてくれるかは、わかんねぇし。

「あ…そうだ。桐生の授業参観したいな…」
以前、授業参観とか言って、俺の授業を見学されたことがある。
俺も、したことがある。
最近はしてなかったけど。
「俺、明日、結構空きあるし。4年1組がいいね」
尋臣のクラス。
自分の授業、少しほっぽってでも行くよ。
「…へぇ。じゃ、楽しいことしたいね」
「やってみろ? 俺も楽しむから」
とりあえず今日は。
今、尋臣んとこ行っても、変に言い合ってどうにもならない気がするんだよな。
あんなとこで、お前がやるからとか言われそう。
今日1日、おとなしく距離をおくか。
「智巳ちゃん、俺が襲ってやろうか」
「誰を」
「尋臣を。それを智巳ちゃんが助けて仲復活…みたいな」
「なにベタなこと、言ってんだ、お前。だいたい復活以前に、別に壊れてないし」
それより、見られたことに関して、尋臣がどう考えてるかだ。
こんなことで、崩れる関係だとは思ってないけれど、あんまりにも気軽にこんなとこで手を出した自分を反省した。
「お前の方こそ。俺が雪之丞、襲ってやろうか? 助けに来いよ」
「いやぁ、それはヘタすると、ホンキで、雪之が、智己ちゃんに流れそうで怖いわ」
「…そこまで、うまく行ってねぇわけ?」
「最近、ご無沙汰だし。まぁ…俺のことはどうでもいいでしょ」
適当に切りやがって。
「じゃあ、雪之丞のことはいいとして。とりあえず、お前はあとで犯すから」
「は…?」
「俺がお前を犯すと言ったとき、お前、去らなかっただろ。しかも後からまた来るし。雪之丞はまぁ許してやる。お前は、やるから」
「またまたぁ。無理でしょ」
楽しそうに笑って、俺の肩を叩く。
俺はその手を取って、そっと指先に舌を這わした。
「…智巳ちゃ…」
桐生は、俺の行動に戸惑ってか何もできずにただ見守る。
手をとったまま、俺は余った方の手で、桐生の股間のを撫で上げた。
「っちょっ……え? マジ?」
何度も、ズボンの上からこすりあげてやって。
桐生の腕を引きながら体を寄せて耳元に舌を這わす。
「っ智巳ちゃん、勃っちゃうって」
「まぁ、やらしいね」
「まぁ…じゃなくってっ…」
桐生の後ろは壁。
押さえ込んで、片手でズボンのホックを外してジッパーを下ろす。
「っちょ…。冗談ですまなくなるっしょ?」
「お前の場合、やっても冗談ですむだろ」
「なっ…。ホント、まじでさぁ。智巳ちゃん相手に抵抗とかしにくいからぁ」
「俺は、別にマグロでもかまわないし」
「そういう意味じゃなくって。…やだって」
ちょっと俺に手をかけて押しのけようとするものの、あまり力は入ってない。
俺のことを拒むと、今後の友情関係に支障が出るからだろう。
「桐生の声、好きなんだよなぁ。喘ぎ声も聞かせて?」
耳元でそう教えながら、手を下着ん中に突っ込んだ。
「っ…廊下…なんだけど」
「廊下じゃないなら良いと」
「そういう意味でも…」
「廊下でも、指入れるくらいなら余裕で大丈夫だと立証済み」
「意地悪だな…。っ頼むから…。こんなん、誰かに見られたらシャレになんないって」
「シャレになんないことをした俺は馬鹿者と?」
「っ違うって。生徒がやってんのと先生同士じゃまた違うっしょ?」
慌てやがって。
「…部屋でやろうか」
「…本気?」
「本気。お前のせいで、これから尋臣とやる予定が台無しだし」
「っじゃあ、今から尋臣、追いかけてあげてっ」
「ちょっと距離置くって決めたからいいんだよ。それより、お前」
「な…。智巳ちゃーんっ」

桐生の言葉は無視して、強制的に、一番近くにあった利用できそうな部屋…保健室へと連れ込んで、まぁ、たっぷりかわいがって。



「ま、とにかく明日。行くから」
ぐったり凹んでる桐生にそう声をかける。
「へーい。お待ちしておりますわ」
力なくそう答えて。
俺は、保健室に桐生を残したまま、自分の部屋へと戻った。