適当に一人で夕飯を食べて。
久しぶりにゲーセンなんか行ってみたりもして。

9時半。
公園のベンチで一人、尋臣を待った。
終わるのが9時半だっつってたから、少しかかるんだろうけど。





少しして、尋臣が走ってきてくれる。
走らなくてもいいのに。

「先生っ」
「……あのさ…。お前、いつまで俺のこと先生って呼ぶわけ?」
いつも、やりだしてノってくると、俺のこと名前で呼んでくれるけれど。

卒業した今、普段から呼んでくれたって構わないだろ。
「…その…」
尋臣は恥ずかしそうに俯いて言いとどまる。
「まぁいいからさ。とりあえず座れ?」
「はい…」
俺の隣に座って。
静かに俺の言葉を待ってくれる。
さて、なにから話せば良いのやら。

むしろ、そっちから話してくれたりしないだろうか。
結構、考える時間はあったのに、なかなか整理がつかなかったというか、会って聞かないと進まないよなぁとか思ってたってのもあるし。

「いいですか…?」
言いとどまっている俺に、話しの許可を得ようと恐る恐る尋臣が口を開く。
「…いいけど?」
「……雅と一緒に暮らし始めて…あいつの彼女がよく家に来るんです。だから…ちょっと寂しくなって、昨日は不満そうなものの言い方をしてしまいました…」
恥ずかしそうに、それでも精一杯にそう言ってくれるのがかわいくてたまらない。
はい、重症。
っつーか、それ以前に、雅と暮らしてることに関してはこいつ、気にしてないのか。
とりあえず、平静を装いつつ。
「言いたいことは、それだけ?」
「…やりたくて会うんだったら、どうしようって」
「お前は? やりたくねぇの?」
「……したいです…けど…」
「俺と会ってない間、お前、どうしてんの? 一人でヌいてんの?」
「っ……そんなの…してないですよ」
「じゃあ、雅でヌいてんの?」
「っそんなわけ…っ」
「へぇ……」
俺は立ち上がり尋臣の手を取ると、ベンチの後ろにある木陰へと、尋臣を連れ込む。

「先生…っ」
まだ呼ぶか、こいつは。
大きめの木に尋臣の体を押し付けて、右手で尋臣の股間を撫で上げると、ビクついて俺を見上げた。
「…やめっっ」
「なに…。期待してた…? お前、いつからココ、勃ててたんだ?」
「ん…っ…違…っ」
片手でズボンのチャックを下ろし、そのまま直に尋臣のを擦りあげていくと、俺の肩に手を置いて、押し退けようとする。
「っん…やめてくださっ…ここっ、外ですっ」
「…そういえば、外でしたことなかったか。すげぇ、溢れてきてるんですけど。感じる?」
耳元でそう言ってやると、逃げるように反対方向へと顔を逸らした。
「はぁっ…やっ」
「お前、ホントにヌいてねぇの…?」
「してなっっ…」
「欲求不満で雅に頼ったりしたらどうすんだよ」
手を止め、つい、強くそう聞いてしまう。
「そんなことっ」
「しないって言い切れんの?」
「言い切れますよっ」
言いとどまらないのか、こいつ。

手を下着の中へ突っ込み、溢れ出ている尋臣の先走りを纏った指先をゆっくりと挿入していく。
「んっ…くっんぅんっ」
「じゃあ、久しぶりにココに指入れられる気分は?」
「はぁっあっ…やめっ…んっ…あつっぁっ…んぅっ」
「ホント、お前ん中、熱いな。入れたばっかなのにずいぶんやわらかいし」
「あっあっんっっ…やっめ…ぁんっ…ぃくっやっ…」
「まぁだ入れたばっかだろ。まぁいいや。一回、イきな?」
軽く指を動かしてやるだけで、尋臣は過敏に体をビクつかせ、俺の腕に爪を立てる。
「やっ…やぁあっ…ぃくっやっ…あっあぁああっっ」

イってしまった尋臣は、トロンとした目で俺を見た。
「…気持ちよかった?」
声も出せず、ただコクリと顔を頷かせるが、足りないのか、俺をそっと見る。
「…なに」
「あ……智巳…」
「ちょっと動かしただけなのになぁ…」
入ったままの指先で、前立腺を突いて示すと、俺のシャツを引っ張ってしがみつく。
「んっ…やっ…そこっ…」
「俺ので擦ってやるよ」
「…は…い…」


ズボンと下着を引き摺り下ろし、片足を抜かせ、木へと手を付かせる。
後ろから、尋臣の腰を掴んでゆっくりと俺自身を挿入していく。
「んっあっ…んーっっ」
「…力抜けっての」
「やっあっ…だっめ…智巳っ…やっ…動かなっ…やあっ」
前に手を回すと、尋臣のが今にもイってしまいそうなくらいに、硬くなっていた。
「…なに、お前…。入れられただけでイきそうなの?」
「んっ…違ぁっ…」
「違うのか。じゃあ、奥までサクサク入れますよ?」
そう言い奥へと腰を進めると、尋臣は体をビク付かせ、木にしがみつく。
「ぁあっあっ…だめっやっ…イっちゃうっ…」
「さっき違うって言ってただろ」
指摘しながら、奥まで入り込んだ自分のを退かせ、軽く抜き差ししてやる。
「あっ…んっ…やっあっやぁあっっ」
大きな声をあげ、尋臣がイきそうになるもんだから、俺は尋臣のモノの根元へと指をキツく絡めイかせないようにした。
「ひぁっあっ…やっ」
尋臣は体をひねらせ俺をそっと見た。

「なぁ…なんで、雅と暮らしてんの…?」
「あっんっ…そんな…っっ…やっ…もぉっ」
「外だから? 久しぶりだから感じまくってんの? イきたい…?」
「はぁっあっイきたぃっ…やっ…あっ」
前に向き直って、木に爪を立てながら、懇願する様子が楽しくて、つい虐めたくなった。

「お前は、俺が誰か別の男と暮らしてたら、どう思う…?」
尋臣の感じる所を突き上げながら聞いてやる。
今、聞いても答えにならないだろうなーってのはもちろんわかっていた。
けど、そんなのは関係ない。
「ぁ…ンっ…やっやぁっ、もう、お願っ…」
「なにをお願いしたいのかなぁ、尋臣くんは」
「はっんっ…あっイかせてっ…くださぁっあっぁあっ」
「気持ちよすぎて死んじゃう?」
「ぅんっあっ…やっ…死んじゃうっやあっ…駄目っ…お願ぁっ」
「…後で、もっと激しいHしてもいい?」
「んっ…やっそんなっ…あっどういう…っ」
ちゃんと内容を聞いてくれるあたり、いい子過ぎだよな、こいつ。
というか、無条件にOK出してくれりゃいいものを。

「そうだなー。とりあえず、跪いて、足舐めてもらって。俺は縛り上げた尋臣に蝋燭垂らすから。あとは、自慰行為を携帯動画にでも撮影しようか」
「やっ…あっそんなのっ…」
「なに? 出来ない?」
「んっ出来なぁっ…もぉやっ…はやくっ」

「いやだっつーんなら、もう今日は終わり。抜きますよ」
ゆっくりと、カウントダウンでもするように、自分のを退かせていく。
尋臣は少しだけ間をおいて。
「や…るっあっ…やるからぁっ」
俺のが抜け切る前にそう言った。
「へぇ…。何をしてくれるって?」
「んっ…あっ…足、舐めるからぁっ…」
「それだけじゃないよ?」
「あっあっ…蝋燭…とかっ…一人も、するっ…あっするからっ…お願いっ…もぉっ」
そんなに、苦しいですか。
さすがに狂いすぎですよ。
あなた、元委員長なのに。
元部長なのに。

こんなんじゃ、快楽におぼれて、他の奴も相手にしかねないだろ。
心配だなぁ。

「はぁっあっ…智巳ぃっ。イかせてっ…もぉっ」
「わかったよ。しょうがねぇな」
まぁそんな風にしょうがないだなんて思ってないし。
俺も、そろそろこんな風にちんたら味わってるのに限界キてますから。

尋臣のモノに絡めていた指先を離し、腰を掴み激しく中を突き上げる。
「ひっあっぁああっ…」
外とか忘れてますかねー。
もういっぱいいっぱいだな、こいつ。
「はぁっあんっ…ぁああっ…智巳っ…ぃくっ…やっ」
「中、出していい?」
「やっ…やぁっ」
そんなに拒みますか。
そっと、腰の動きを緩めると、また止められると思ったのか、
「あっ…いいれすっっ」
慌てるように言い直す。
舌、回ってないんですけど。
「なにがいいって…?」
ワザとイけないように、奥に入り込んだまま、少しだけ腰を回し、中途半端な刺激を送りつつ、耳元で聞く。
「あ…っ…やっ…」
「言ってごらん…」
「はぁっあっ…中っ…出して…っ」
「出してもいいって? いいだけ? お前は望んでないの?」
「違っ…あっ…出してぇっ…」
「あいかわらず、言葉の足りないやつだな」
俺の性格はわかってるだろうに。
「はぁっ…智巳のっ…あっ中で出してっ…お願っもぉっ…あっぁあっ死んじゃうっ」
だから死なないって。
「はいはい。わかったから。…たっぷり出してやるから」
「はぁっあっ…んっ」
今度こそ、ラストスパートですよ。
ガンガン突き上げてやると、尋臣は体を大きくビクつかせる。
「ぁあっあんっ…あっやぁあっ…いくっ智巳ぃっ」
「ん…。いいよ…イきな?」
「ひぁっあんっあっ…やっあぁあああっっ」

尋臣がイくと同時くらいに、中へとたっぷり放っていた。
…尋臣さん宅の雅さんは、風呂とか使わせてくれるだろうか。

その場に座り込む尋臣の隣へと俺も腰を下ろした。

「尋臣さ…。どうして、電話したとき、雅のこと言わなかったんだ?」
「え…」
「俺が泊まりに行くっつったとき。なんにもない家だっつって、俺を来させないようにしてた?」
「そういうわけじゃ…。本当に、なんにもない家ですし…」
「雅と暮らしてることに対して、罪悪感とかあんの?」
「え…」
尋臣は、まだボーっとしたまま、俺をそっと見る。
あんまりないんだろうな。
「彼女が他の男と一つ屋根の下にいるんですけど」
「…でも、去年もそうでしたよ」
去年も寮生活で、ルームメイトと一緒だったってことか。
でも、そういう施設的な物とは違うだろ。

「雅にだって、彼女はいますし」
「知ってる」
「…知ってたんですか」
「佐渡兄弟の1人だろ」
「…はい。結構、遊びに来るんです」
それで、あてつけられて寂しかったりするんだろうか。
「じゃあ、お前はなんで、今日、部屋で会ったとき、ばつが悪そうな顔してたんだよ。俺と目、合わせないようにしてたろ」
「それは……俺が電話で不満そうなこと洩らしてしまってましたし…」
やっぱり、雅のことは、本当に悪気ないんだなぁ。
あったとしたら、先に、俺に許可とか得ようとしてくれそうなタイプだし、こいつ。

「まぁいいや。今日、お前の家に泊めて」
「え…」
「雅に俺から頼めばいいだろ」
「……はい」
あいかわらず、いいのか悪いのかよくわからない返答しやがって。

「これからも、雅と一緒に暮らしていくつもりなら、俺らのこと知っておいて欲しいと俺は思うんだけど」
「……はぁ…」
「ちゃんと、付き合ってるやつがいて、それは俺だって、伝えておきてぇんだよ。お前、言ってねぇんだろ」
尋臣は、了解してくれたのか、そっと頷いてくれた。

本当は、雅と尋臣が一緒に暮らしてるのも、あんまりよろしくないんだけれど。

軽くキスをしてから、俺らは、尋臣の家へと向かった。


あ、俺初めに、変な理由つけてたっけ。
なんか、部活のことで話したいことがあるから尋臣に会いに来ただとか。
恥ずかしすぎだろ。
まぁいいや。
忘れていただこう。

家に入る前。
「雅と二人で話したいから、お前、席外して欲しいんだけど」
「どうしてですか」
「…いや、お前、いても緊張するだけだろ」
「そうですけど……。……わかりました」
少し迷うようにしてか、それでも了承してくれて、やっとドアに手をかけた。

「おかえりー…って、樋口先生も一緒だったんですか」
雅がそう出迎えてくれる。
「あぁ。ちょっと話したいんだけど、いいか?」
「はい、いいですけど…」

尋臣に目を向けると了承したのか、
軽くお辞儀をして、別の部屋へ。

「…2人でですか?」
「そう。座っていい?」
「はい」

二人で座り込んで。
さて。
どこから話そうか。
「なにか…」
「いやまぁ、別にそうかしこまらんでも。桐生が、雅はおもしろいヤツだっつってたから、少し話してみたくなって」
「桐生先生が?」
言ってませんけど、まぁいいだろ。
「そう。俺、桐生とわりと仲いいからさ。……尋臣と雅は、おんなじ大学なんだよな」
話しやすいように、なるべく友達みたいなトーンで聞いてみる。
「はい、そうですけど」
「…で、部屋代節約のために、二人で暮らしてると」
「はい」
きょとんとした様子で、少し首を傾げながらも肯定してくれていた。
その様子からすると、まだ一応、俺と尋臣の関係には感づいてないか。
「ふーん。ぶっちゃけ、一つ屋根の下一緒に暮らしてると手、出したくなるっしょ」
軽く冗談っぽく。
「あはは、それはないっすよ」
…あっさり否定。
「…そう?」
「だって、尋臣、すごいストイックな感じじゃないっすか。やろうだなんて思いませんよ。やられる気もしませんし。どっちもタチでしょう? それに俺、モロにかわいい子が好みですし」
軽いノリでペラペラと語ってくれる。
あれ、佐渡兄弟って、2人もかっこいいんだけど。
…まぁ俺から見ればかわいいけど、間だけかわいいとかいうことがあるわけか?

「…雅の恋人は、モロにかわいい子なんだ?」
「そうですね」
「…佐渡啓吾の兄だろ。あいつ、結構かっこいいけど、似てないんだ?」
「あれ、知ってるんですか。もう一人の兄の優斗と啓吾は似てるんだけど、透…って言うんですけど、あいつは、さらに妹の由架にそっくりなんすよ」
…あいつんち、4兄妹だったのか。
「なんか、写真とかないの?」
「えっと…携帯にあったかと…」
そう言って見せてくれた写真はたしかに、啓吾には全然似ていない。
啓吾より年上だとも思えない。
天然パーマなのか、少し髪がウェーブってて、かわいらしい子だ。

「ふぅん。こういうの好きなんだ?」
「そうですよ」
「……俺が、好きなのはぶっちゃけ尋臣なんだけど。今後とも手、出さないでくれる?」
「…え…?」
雅が言葉を失って、俺をただ見つめてくれる。
そう。
お前がさっきあっさりと否定したそいつに、俺は手を出したくなるんですって。

「初め、変な理由つけてたけど、本当は、会いに来たんだよ。俺の彼女だから。もう5年目。あいつが浮気するとは思ってないけど、あー見えてエロいし、体が求めちまうってこともあるかもしれないし。そういうの、出来れば避けたいわけ。
やっぱり、彼女が他の男と一つ屋根の下、一緒に暮らしてるってのは気になるしね」
雅はあいかわらず、なにも言わないでボーっと俺を見たままだから、俺は雅の目の前で手を振ってみせる。
「…聞いてるか? お前」
「あ、はい。え……付き合ってるんですか?」
「うん」
「高校のときから…?」
「うん」
「…あいつ、エロいんですか?」
「体だけね」
と、言ったところで、頭になにか飛んでくる。
「痛…」
消しゴムか。
目を向けると尋臣。
こっそり聞いてやがったか。
消しゴム常備ってどういうことだ。
なにかあったら投げるつもりでいたよな、こいつ。

「尋臣。まぁいいや、お前も来い」
「…はい」
なんだか、よくわからん雰囲気になるから3人で話すのも微妙だけど。

「…まぁ、雅にも尋臣とはまったく違うタイプの彼女がいるみたいだから安心だけど」
…まったく違うからこそ逆に手を出したくなるという考えもあるが、きっとタイプではないのだろう。

「尋臣には手、出さないでいただけますかね」
「…はい、それはもう…」
「もし、したのがわかったら、まぁただじゃ済まないから、覚えておいて」
にっこり笑う俺に、つられて苦笑いしながらも頷いてくれた。

「あともう一つお願いがあるのですが、ちょっとの間、泊めていただけますか」
下手に出てそういうと、雅は快く…なのかはわからないが、OKしてくれた。

尋臣の部屋へ2人で入る。
尋臣は少し不満そうな顔をしていた。
「…怒ってんの?」
「あんなの…恥ずかしいです。俺のことエロいだとか…っ」
「だって、ありえんほどエロいし」
「それはっ…智巳のせいだ…っ」
「そうですけど」
「……っ!!」
肯定してやったのに、また恥ずかしがるし。

「…なぁ。雅に聞こえそうになりながらヤるってのも悪くないだろ」
「っ悪いですっ」
「お前、雅と雅の彼女がやってる声、どうせ聞いてんだろ」
「…そりゃ聞こえますけどっ」
「だったら、対して気にすることないだろう。雅だって、気にしないでいてくれる」
「雅は、声出さないしっ。彼女の声しか聞こえませんっ」
「じゃあ、俺が代わりに喘ごうか? ハメてみる?」
「っ冗談言ってないで…っ。もうしません…っ」

なんだかんだで、こうやって尋臣と一緒に夜を過ごすのが初めてなもんだから、テンションあがるな。
二人で同じベッドに入り込む。
「…まぁ、3泊するから、きっとお前、我慢出来なくなると思うけど」
「っなっ……3泊もするんですかっ」
「嫌なのかよ」
「嫌じゃないですけどっ。どうしてそんな…」
「祭り行くっつってんだろうが」
「……祭りって、ただの口実だと思ってたんですけど、本当に行きたかったんですね…」
あ、だから、ただやりたくて来ただけだと思ってたんか。
しかも言い方がなんか子供扱いされた気分だ。
「…いいから、行くからな、祭り」
「わかりましたよ」
わたあめ買おっと。

「尋臣…寝る前に、キスくらいしていいだろ」
「なに…言って」
尋臣を無視して腕を引っ張り、口を軽く重ねる。
「おやすみー」
「っ…智巳…っ」

結局、尋臣はベッドでキスなんかしたら、我慢出来ないやつだってわかってるし。
そのまま、行為に縺れ込んだのは言うまでもない。