『啓吾×深敦』
カウンター毒樹園4000番v
リクエストテーマは、最後、読み終わった後で 照らし合わせてください(笑)
設定⇒深敦2年生です





 
 月曜日。
 拓耶先輩から、なにも聞いてねぇよな…?
 変にドキドキするじゃんよ。


 
「じゃあな」
 いつもみたいにそう声をかけてくる。
「っあのさ。今日は委員会だっけ?」
 一応、確認してしまう。
「…あぁ、そうだけど」
「あっそ」

 感づかれないように、俺はなんでもないフリをしていた。



 
 
 7時。
 夕飯は早めに珠葵と済ませた。
 
 俺は、ゲームソフトを持って、啓吾の部屋へと向かう。

 ドアを開けた先。
 啓吾の姿はなくて、拓耶先輩が、俺に少し申し訳なさそうな表情を見せていた。
「…なに…」
「ごめんね、みつるくん。もうすぐ啓吾くん来ると思うから」
「別に、あやまらなくっていいけど」
 むしろ、なんか恥ずかしいし。
「委員会のあと、部活やってきてるかもしんない」
 あぁ。そういうこと。
 そりゃ30分でも顔出した方がいいかもしんねぇけど。
「いいよ、別に」
 俺はまた、なんでもないフリをする。
「もうすぐ来るだろうから、みつるくん、ここで待ってなよ。俺は、出かけるから」
「俺、啓吾が来る前に出かけたくなったら、カギ閉めれねぇよ?」
「開けっ放しでもいいよ。すぐ来るだろうし」

 拓耶先輩にそう言われ、俺は一人、啓吾の部屋で待つことになった。

 
 あぁあ。
 春耶と晃はいまごろ2人で宿題やってるんだろう。
 もしかしたら、珠葵も、御神先輩と遊んでるかもしれない。
 俺だけじゃん。
 妙な寂しさを感じながら、啓吾のベッドに寝転がった。
 
 寝転がってるとつい、眠りそうになる。
 
 
 しばらくたったんだろう。
 ドサっと。
 俺の上に被さる重みで目が覚める。
「痛ってぇっ」
「っあ…。深敦? いたのかよ」
 啓吾が思いっきりベッドにダイブしてきたみたいで。
「…確認しろよな」
「ってか、普通、自分のベッドに誰か寝てねぇかなんて確認しねぇし」
 
 あぁ。
 なんかいつもの啓吾なのが妙にうれしいような感じがした。
 
「で。今日はなんなん? 夜這いでもしにきたわけ?」
 冗談めかして啓吾が言う。
「あぁ、借りてたゲームをさぁ…」
 そう言いかけて思いとどまる。
「あ、前貸したやつ?」
 啓吾は、着替えながらそう答える。

 俺、別にゲーム返しに来たわけじゃないし。
「……あのさぁっ…」
「なに?」
「………用がないと来たら駄目なわけ?」
 つい、怒り任せに聞いてしまう。
 別に怒ってねぇけど、変に怒り口調になっていた。
 啓吾も、着替えの手を止めて俺を見る。
「……別にんなこと言ってねぇけど」
「なにお前…。なんかむかつく」
 俺、なに一人でキレてんだろうなー。
 意外と相当たまってたんだ。

「啓吾、お前、平気なわけ? もっとっ……メールとかすりゃいいのに。後輩とばっかしてんじゃねぇよ」
 結局、俺にはなにも来ねぇし。
 俺、すっげぇ恥ずかしいことで怒ってるってわかるけど。
 苦しい。
 しょうがないじゃんってわりきりたくもなる。
 
 だって。
「俺……」
 啓吾の彼女なのに。
 
 啓吾は、ベッドにドカっと座ると俺の手を引いて。
 力強く口を重ねる。
 
 これじゃあ、俺に付き合ってしょうがなくしてくれたみたいでちょっと不愉快だ。
 だけど、抵抗なんて出来ないし。
「んぅ…んっ」
 久しぶりの感覚で気が狂いそう。
「はぁっ…啓っ…んっ」
 何度も重ねなおしてから啓吾は俺を押し倒して、やっと口を開放した。

「っなにっ…」
「なにじゃねぇだろーが…。こういうことやられに来たんだろ」
「っ…すっげぇむかつく。違ぇよ、馬鹿。なんだよそれ。そんなん、俺がやりたがって、お前がそれに付き合って…。俺、お前のファンの子とかわんねぇじゃんかよ」
「別に、ファンの子としてねぇし。お前がやりたがるから付き合ってやるわけじゃねぇよ。お前見てたらやりたくなったからやるわけ」

 俺だって、したいとは思うよ、そりゃ。
 でも、俺に付き合ってくれるのはうれしいけど、そうじゃなくって。
 啓吾自身が求めて欲しいじゃんかよ。
 
「…どーせ疲れてるくせに、やりたいとか思うなよ」
 なに俺、反抗的な態度取ってんだろう。
 もうわけわかんねぇよ。
 だって、啓吾、実際疲れてるだろうし、ホントにやりたいなんて思ってるのかって。
 俺に付き合ってるだけな気がしてしょうがない。

「…お前は疲れてたら、ぬかないわけ? 悪いけど俺、年中無休だし?」
 あいかわらず、馬鹿なことを言いながらも強引に俺を押し倒し、シャツに手をもぐりこませ、胸を摩る。
「っんっ…馬鹿っ…」
「泣きそうな顔してんじゃねぇよ」
「してなっ…ぁっ……」
 やばい…。
 久しぶりなせいで、変に感じるかもしんねぇ。
 啓吾の指が、俺の乳首を何度も転がして、そのたびに体がビクついてしまう。
「んっ…んぅっ…」
「あぁ。泣きそうな顔じゃなくって、やらしぃ顔だった?」
 耳元でそういうむかつくくらいに意地悪な言葉すら、ゾクゾクしてくる。
 捲り上げて露わになった胸へと啓吾が舌を這わして、空いた手がズボンを脱がしてく。

「もうすっげぇ、硬くしてんやん…?」
 たくらむような口調で。
 なんだよ、俺、マゾじゃねぇんだから、こんなんで感じてんじゃねぇっての。

「やっ……」
 ズボンと下着を引き抜かれて、あろうことか啓吾はいきなり舌を俺のに這わす。
「んっ…ぅんんっ…」
「もっと、声出せって」
「っんっうるさっぁっ…」
「出したくないわけ?」
 上から見下ろすようにして、企むような笑みも。
 やっぱり、かっこいいかもしんねぇ。
 こんな啓吾は、たぶん、ファンの子は知らないんだろう。
 
 指先を啓吾が舐め上げる仕草とか。
 ものすごく色っぽくってドキドキすんだよ。
 
「…なに、そんなジっと見てんだって」
 少しからかうようにそう言われ、つい顔を背けた。
「別に、そんなに見てねぇし」
「早く入れてほしいって?」
「んなこと言ってねぇよっ」
 俺が反発すると、やっぱり笑みを見せて。
 指先が奥の入り口を撫で上げる。
「んっ…」
 刺激に耐えるよう体がつい強張る。
 それなのに、啓吾は指先を入れないで、何度も付近を撫でるだけ。
「っ…んぅっ…」
「そーいえば、数学のテスト範囲ってもう発表されたっけ?」
 なんでもない話題を振って。
啓吾の指は微妙に入りそうで入らない。
「っぁっ…知らな…っ」
「俺が知らないのに、お前が知ってるはずないか」
「んっ……はぁっ…」
 馬鹿にするなとか、言い返したいのに、無理だし。
 もうじれったくて、腰が浮く。
 なに、俺。すっげぇ恥ずかしいじゃんかよ。
「最近、授業とかまともに聞いてねぇから、うっかり聞き逃してるかなぁと思ってさ?」
 もうどーでもいいんですけど。
 わざとだってわかってるけど。
 むかつくってば。
「啓吾…っ」
 啓吾が、今度はからかうように、余ってる手の指で、俺の亀頭のヌメリを掬う。
「やっ…んぅっ…馬鹿っ」
「お前も聞いてない?」
「はぁっ…やっぁっ…啓っ…んっ…啓吾っ」
「どーして、こんなヌルヌルなわけ…?」
 あ、いきなりなんで、今度は話題を現実に戻すんだよ。
 羞恥心が高まる。

 啓吾の指先が、俺の亀頭を何度も滑ってく。
「もぉっ…あっ…やっあっ」
「なぁに、お前。突っ込まれてもねぇのに、そんな声出すんだ?」
「違っ…んぅンっ…」
「腰浮かして、早く入れて欲しくて、やらしーこと考えた?」
「あっ…違ぇってばぁっ」
「じゃ、別に入れてほしくないわけ?」
 もう、亀頭から溢れ出た液体が、竿を伝っていく。
 ぬるぬると、後ろの入口を指先が何度も撫でるたびに、ゾクゾクして、入れて欲しくてたまらない。
「やぅっ…啓吾っあっ…んんっ…」
「なに…。ここ、撫でられただけで、イきそう?」
「違っ…ぁっんぅっ」
 啓吾は、俺に被さるようにして、髪の毛を絡み取って。
 俺の耳元に舌を這わす。
「中、ぐちゃぐちゃに掻き回してやろうか…?」
 囁くようなトーンでそう言って、耳元を濡れた舌の這う音がいやらしく響く。

「やっ…あっ…啓っ…」
「3本くらい入れちゃって…たっぷり拡げて、始めは緩くな…? 慣れてきたら、音がするくらい激しく掻き回して…」
 わざと音を立てながら、耳を舌で舐め上げて。
 そんなこと言われたらリアルに想像しちまうし、やばい。
「もぉっ…ゃっやぁあっ…」
「イっちゃいそう?」
「はぁっ…駄目っあっ…啓吾っ」
 イってしまいそうなのに、刺激が足らなくてイけなくて、もどかしくて苦しくて。
 すでに開脚状態で、やらしいったらありゃしねぇ。
「なに…?」
「あっんんっ…やぁっ…イけなっ…はぁあんっ」
「お前って、焦らされてイきたくてもイけないときとか、やらしー声、出すよな…。感じたいから?」
 そんなんわかんねぇってば。
 でも、声出すと、殺すよりは感じれて。
 このじれったい愛撫をもっと感じようとしちゃってるのは自分でもあると思う。

 そんな場合じゃないっての。
「ぁっ…もぉっ…」
「しゃーねぇなー」
 あいかわらず何様だ、こいつは。
 あぁ、啓吾さまですけど?

 散々、遊んでた指先がゆっくりと中に入り込む。
 俺に数を教え込むようにして、1本ずつ。計3本。
「はぁっ…あっ…ばかっ……そんなに…っ」
「太すぎて、感じすぎちゃうってか?」
「や…あっ…キツいっ…てっ」
「なにお前。真面目に、禁欲してたわけ?」
 久しぶりすぎる感覚。
 キツくて、啓吾の指を締め付けてしまう。
「ぁんっ……啓吾…」
「なんだって。ちょーっと素直じゃん?」
 そりゃ、だいぶ啓吾とやるのに慣れてきてますから。
 付き合ってるし。

 ゆっくり、中を掻き回されて。
 気持ちよくって、蕩けそう。
「はぁっあっ…あっ…啓…」
 
 そのときだった。
 携帯の着メロが鳴り響く。

 啓吾が起き上がって、俺の中を掻き回しながらも、胸ポケットから携帯を取り出した。
「…気になるわけ?」
 ジっと見てしまってる俺に気づいてか、楽しそうにそう言う。
「っ違…ぁっ」
「……出ようか…?」
 啓吾はまた、俺に体を被せて。
 携帯を持っている左手の肘をベッドに付いた。

「もしもし?」
 こんな近距離で、話してんじゃねぇよ…っ。
 啓吾は、俺の中を掻き回す指を止めないもんだから、俺は必死で手で口を抑えた。
「んぅっ…んっ」
『啓吾先輩ですか? 今日は最後の方しか参加されてなかったですねー』
「あぁ、委員会だったからな」
 向こうの声も洩れて聞こえるくらいだし。
 俺の声だって聞こえかねない。

「ンっ…あっ…んーっ」
『寝てると思ったんですけどー…今、お暇ですか?』
「んー…。今は、ちょっと、お遊び中なんだよ」
『お遊びですか? なにしてるんです?』
 ちょっと笑いながら1年生がそう言うのが聞こえた。
「教えようか…? ちょっと待ってな?」
 啓吾がそう言うと、携帯をベッドに放置して、あろうことか、俺が口を抑えてた両手を一まとめにつかみ上げる。
 あぁ。俺、片手で抑えてればよかった。
 なんて思ってももう遅い。

「深敦…」
 耳元でそう言うと、散々、慣れて来た中に入り込んだ指が、少し強めに掻き回していく。
「ひぁっあっ…んーっ」
 馬鹿か、こいつは…っ。
 出し入れしながら掻き回されて。
 何度も前立腺を突かれてく。
「ぁあっあんっ…やめっ…あっ…」
「なぁに…声、殺せねぇの? 深敦…」
 こいつ、わざと名前出してねぇか…?
「ばっかっ…あっ…ぁあっんっ…やっ…」
「やらしぃな、深敦…。こんなに腰振って、おねだりしちゃって」
 してねぇよ。
 ってか、お前誰だよ的、言葉づかいしてんじゃねぇっての。
「やぁあっ…ンっ…んーっ」
 啓吾は、めちゃくちゃ楽しそうだし。
 
 満足したのか、携帯をまた手に取る。
「という、お遊び中なんだよね」
『あ…彼女さん…ですか?』
「そう」
 ……なんか。
 即答されたの嬉しいかも。
『やっぱりいたんですねー。どんな人か気になりますよぉ』
 勘弁してくれ…。
「んー…。俺が、初めて好きになった男だよ。じゃあ、またあとでな」
『はい、お邪魔してすみません』


 そう言って啓吾は携帯をしまうと何事もなかったように、愛撫を続ける。
「あっ…んっ…ちょっとっ…」
 携帯で声聞かせて羞恥プレイってのは、そりゃ啓吾にとっちゃあ何事もないことかもよ。
 
 でもそれじゃなくって、初めて好きになった男って。ホントかよ。
 気になるじゃん。
 
 啓吾が、そっと指先を引き抜いて、自分のモノを取り出す。
 俺は、なにか携帯のことで言い返すでもなく、もう混乱中。

「啓吾…さっきの、本当かよ…?」
「んー? お前が腰振っておねだりしてるって? ホントにお前、腰動いてたぜ? ねだってんだろ、あれは」
 違ぇよ。
 啓吾ならそうくると思ったけど。

「っそうじゃなくて…っ」
「あぁ。俺が、疲れてそうで悪いなーって思ってるんなら、深敦から来いよ」
 啓吾が俺の腕を引っ張って。
 座り込んだ啓吾の体を跨がされる。
「っ…やめ…」
「ほら…入れろって…」
 啓吾が下から自分のモノを押し込んでくる。
 それを俺はゆっくりと受け入れていった。

「んっ…くっ…んぅっ…」
 奥までゆっくりと入り込んで。
 体が震え上がった。
「っあっっんぅ……」
「やけにやらしーやん…? そんなに気持ちいいわけ?」
 啓吾の指が、俺の胸元に触れて、ゆっくりと腹をなぞってから俺のモノに触れる。
「っんっ…」
「トロトロやん…」
 啓吾が、寝転がったまま俺を下から見上げて。
 俺のモノをこすり上げながら、表情を伺う。
「ぁっ…啓吾…っ…あっ」
「動きたかったら動いてえーよ?」
「うるさっ…あっ…んーっ」
 啓吾が、俺の腰を掴んで、そっと前後に動かすもんだから、中がかき回される。
「ひぁっ…はぁっあっ…」
 そっと下から突き上げられて。
 そのたびに甘い痺れが体を支配していく感じ。
 わけわかんねぇけど、もう体がおかしい。
「ぁあっ…んっ啓…やぁっ…あんっ…やぁっやばっ…っ」
「やばいって、なんやん」
「もっやめっ…ぁんっあっ…やっ…あっあぁああっっ」

 くっそ、俺もう変態決定?
「早…」
 啓吾に指摘されて羞恥心が高まる。
「っうるさ…」
「もっかいくらいイけんだろ…? 溜まってね?」
 啓吾が、俺の腰を動かして、中を掻き回して。
 イったばっかだし、そりゃやべぇってば。
「ぁくっ…ひぁっあっ…あぁあっ」
「やらしーな、お前」
「うるさっぁっあっ…んぅっっ」

 もう、頭がボーっとする。
 おかしいってば。
「やっんっっ…ぁんっあっ…」
「自分から腰振ってるやん?」
 わかってるって。
 ほっとけ。
「ぁあっ…啓吾っ…んぅっぁあんぅっ」
「中で、イっていい?」
 馬鹿な了承とってんじゃねぇよ。
 恥ずかしいっての。
 こいつ、わざと言ってんだろうけど。
「はぁっもぉっ…やぁっやああっ」
 ヒートアップされる刺激に、イったばっかだというのに、またイってしまいそうで。
 クラクラするっての。
「啓吾…っあっ…もぉやあっ…やっあぁああっ」


 啓吾のが、流れ込んで、背筋がゾクリとした。
 満足したのか、妙な脱力感に見舞われて、俺はぐったりと啓吾に手を引かれるがままに、倒れこんでいた。



 啓吾の手が、そっと頬に触れる。
「…寂しかったりしたん?」
 いつもみたいなからかう口調じゃなかった。
 真面目に、そう聞いてくれる。
 俺は、少し迷ってから、そっと頷いた。


「深敦…お前だけが寂しいとか思ってたら、間違いだでな…」
 俺の頭に手を置いて。
 あいかわらず遠まわしに、啓吾は自分の事を話してくれた。

 なんで、素直に俺も寂しいとか言わねーんだよ、こいつは。
 まぁ、言われても恥ずかしいけど。


 だけれど、いままで抱えてた不安とか、いろんなもん、全部、どうでもよくなってたり。
 しちゃうんだよな…。


 
 
「深敦せんぱーいっ!!」
 朝っぱらから、うるさいくらいに響く声で、2年4組の教室に堂々と入り込んでくる後輩。
 大輔だ。
「…どうした?」
「どうしたっていうかぁ。深敦先輩、すっごい噂になってますけど」
 昨日のことか。
「………どう噂になってんだよ」
 聞くの恐ぇんですけど。


「なんか、啓吾先輩が昨日、Hしちゃってる声を電話越しに聞いた子がいるんですよ」
 やっぱり。
「…で?」
「で、その相手が深敦って名前で…高岡深敦先輩じゃないかって…」
「っつーか、この学校で深敦って、俺しかいないと思うしな…」
「やっぱり、深敦先輩ですよね…。ってか、俺は知ってるんですけど。それだけなら、別に問題ないんですよ」
 まぁ一応、啓吾と俺が付き合ってるってのがおおやけになったってだけだしな。
「まだあんのかよ」
「なんか…深敦先輩が、すっごいやらしくて、H好きみたいな…」
 ちょっとまてよ、おい。
「…なんで、そうなるんだよ…やってる最中だったら、いやらしいもなにもねぇだろ?」
 ってか、やってたの肯定してどーすんだよ、俺も。
 まぁいいや。

 いやな噂がたったもんだな…。


「あ、深敦せんぱーい、今日の放課後、お暇です? 今、啓吾先輩、バレーで忙しいでしょ。よければ俺と遊びません?」
 って、水泳部の後輩だ。
 大輔に話聞いた直後だから、下心あるんじゃないかとか考えちまうじゃん。
 っつーか、あるんだろ。
 大輔に先に聞いといてよかった。
「部活出ろって。俺も出るし」
「深敦先輩、美術部来てくださいよー」
 って、いつからそこにいたんだか、わからん後輩がもう一人。
 
「なんだよ、お前らはっ」
「だって。啓吾先輩と最近、ご無沙汰で、体もてあましてるって聞いたし」
 くっそぉ。
 変にねじれてんじゃん。
 微妙に嘘じゃねぇけど。
「別に俺はH好きじゃねぇから」
「えぇえ。昨日、すごい求めてたじゃないですか」
 って、美術部の後輩。
お前か。電話の相手は。
 こんな身近なやつとは思わなかった。

 ったく。
 啓吾はなにか助けようとかねぇのかよ。
 ちょっと振り返ると意外にも近くに啓吾がいて、机に座りながらこっちを見ていた。

「って、おい。てめぇ…」
 我関せずみたいな。
 第三者的態度取ってんじゃねぇよ。

 もっとなんかねぇのか、お前は。
 でも、啓吾は、自分が忙しいせいだから、俺が後輩とかにやられても、しょうがないとか思ってんだろうか。
 っつーか、啓吾が電話で変なこと言ったせいだろ。

「実際はどうなんです?」
 って。
 水泳部の後輩が、俺の視線が啓吾に行ったのを見てか。
 啓吾にそう聞く。
 んなこと聞くなよ…。

「ん? やらしいよ」
 にっこりと。営業スマイルで啓吾が答えやがる。
「…馬鹿な返答してんじゃねぇよ…」
 啓吾は机から降りて、後輩たちと向かい合う。

「だからさぁ。下手に相手すると傷つくよ? そんなヌルいのじゃイけないとか、下手とか痛いとかって。愚痴ばっかこぼすから」
 どこをどう突っ込めばいいのかわからず。
 なにも言えないでいると、啓吾が言葉を続ける。
「…まぁ、俺よりもテクに自信あんなら、やるやらないは本人次第だけど。それとも、俺のレクチャー受ける?」
 って、いやらしい目を後輩に送るもんだから。
 
 ……俺のファン二人、啓吾に取られたな…。
 そんな言い方したらさ。
 レクチャー受けたいかもって思っちまうだろ。

「1年っ、早く戻れよー」
 っとと。
 担任の渡部先生だ。
 後輩たちは、急いで教室を出て行く。
 渡部先生っていっつも来るの早ぇよな…。

「…啓吾…。なに馬鹿なこと言ってるわけ?」
「自分で撒いた種、摘んでるだけだろ。終わりよければすべてよくね?」
「…よくねぇ。終わりよくねぇし。お前にファン取られたし。勘違いされてるし」
「勘違い? 世の中上手いやつばっかじゃねえんだよ。痛かったりヌルかったり下手なやつも、多いんだって」
 ……そうなのかって思っちまう。
 まぁ啓吾はたぶん、うまいんだろうけどさ。

「まぁ、あいつらも、やる気減少しただろーし。いいだろって」
 結果オーライってか。
「…もう少し他の方法あるだろって…」

 そうは思うけれど。
 啓吾の気持ちが嬉しかったりもした。

 あと二週間くらい、どうってことないだろ。
「まぁいいや。バレーがんばれよ」
「…ん…。サンキュ」
 あぁ。
 バレーがんばって欲しいって。
 そう俺が思うことに関して、感謝してくれてたりするんだろうか。

 妙に嬉しくて。
 会えない間でも、それなりに近づくことって出来るんだなって、思った。
 


『啓吾×深敦』
カウンター毒樹園4000番v
リクエストテーマは、深敦が啓吾にかまってもらえなくて寂しくて泣いちゃう…です。いかがでしょう(汗)申請いただいてからものすごく時間がかかってしまい申し訳ありません。莱花さんへ捧ぐ…vv