目を開くと、辺りは真っ暗で、いつの間にか夜になっていたのだと気付く。
 隣には、手を繋いだままの芳春。
 疲れてしまったのか、眠っている。

 体調はずいぶんよくなった。
 風邪薬はとうに切れた時間だろう。
「治った……かな」
 1人呟き、隣で眠る芳春のオデコにキスをする。
 芳春は、くすぐったそうに少しだけ身を震わせた。
「……かわいいね、芳春は」
 さすがに、我慢の限界だった。
「ね、もう治ったから、いいよね?」
 芳春の耳元でそう囁く。
 きっと届いていないだろう。
 それでも、自分を抑えられなくて、俺は芳春の上に覆いかぶさり、唇を重ねた。
 舌先で割り開いて、芳春の舌を絡め取る。
「ん……」
 かわいらしく漏らす声を堪能しながら、もっと深く。
 我慢していた分を取り戻すよう、芳春の舌を舐めて、吸って、唾液を流し込む。
「ぁ……はぁ……」
 それでも、いまだ目を覚まさない芳春の頬を撫でる。
 シャツの中へと手を差し込んで、ゆっくり脈打つ鼓動を手の平で感じながら、いまはまだ柔らかい乳首を指先で押しつぶす。
 次第に、そこは指先で転がせるまでに硬さを増した。
「ぁ……」
 小さな甘い声。
 もっと聞きたくて、俺はシャツを捲り上げると、小さな突起へと舌を絡めた。
 吸い上げて、少しだけ歯を立ててみる。
「ぁっ……あっ、ん……」
 小さく体が跳ね上がる。
 かわいくて、俺はそのまま、芳春のズボンにも手をかけた。
 芳春が抵抗しないのをいいことに、ズボンと下着を引き抜いて、かわいくて愛おしい芳春のペニスに指を絡ませる。
 眠ったまま、乳首を少し弄られただけだというのに、少しだけそこは硬くなっていた。
 俺は唾液でたっぷり濡らした指先で、芳春のアナルをそっと撫でてあげる。
「ぅん……ん……」
 寝ている最中ってのは本当に無防備で、いつもなら恥じらってしまう芳春も、いまは欲しがるよう自ら足を開き膝を立ててくれた。
「そろそろ起きないと、本当に入れるよ?」
 このまま、寝込みを襲ってみたい気持ちもあるけれど、芳春だって我慢してくれていた。
 せっかくだから、起こして、ちゃんとかわいがってあげたい。
「芳春、起きて」
 少し体を揺さぶると、うっすら芳春が目を開けた。
「ん……せんせ……?」
 まだ寝ぼけているのかもしれない。
「ココ、欲しそうにすごいヒクついてる」
「ぁ……あ、なに……」
 覚醒しきれていないのか、驚きよりも戸惑いの方が強いのだろう。
 わけがわからないといった様子で、それでも俺は構わず、芳春の中へと指をそっと押し込んだ。
「ひぁっ!? あっ、あっ」
「すごい……柔らかいね。芳春。2本すぐ入っちゃった」
「はぁっ、あっ……なにっ……あっ……せんせっ、あっ、なにしてっ」
「俺が唐突に芳春襲うのなんて、今に始まったことじゃないでしょ」
「ふぁっ……あっ……待っ」
「あー、3本いけちゃいそう」
 入り込んだ2本の指に沿うよう、もう1本指を飲み込ませていく。
「ひぁっ! あっ! や、やめてくださっ」
 言葉で拒絶しつつも、芳春のそこはぎゅうぎゅうと俺の指を締め付け喜んでくれる。
「芳春、かわいいね。こんなにたくさん一気に飲み込んで」
「待っ……ぁっぁあっ……だめっ……ひっうっ……だめっ」
「どうして、だめ?」
 芳春は、少し涙を浮かべた目で俺を見上げ服を掴む。
「ぁっ……あっんっ! んぅっ! せんせっ……あっ、俺っ……」
「なに?」
 芳春は恥ずかしそうに、俺の首に手を回し耳へと口を寄せた。
「っ……我慢、できなっ……」
「ん……我慢しなくていいよ。その代わり、イく顔はちゃんと俺に見せて?」
「んっ、ゃっ、やぁっ」
「や、じゃないでしょ。ほら、ずっとしがみついてたらちゃんと顔見られない」
 少しだけ芳春を引き剥がして、その顔を間近でじっと見てあげる。
 芳春は真っ赤にした顔で、視線だけを逸らした。
 芳春の好きな場所を指先でトントンと突いてあげると、ビクビク体を震わせ、俺の腕に爪を立てる。
「あんっ……あっ、あっ、あぁああっっ!!」

 大きな声をあげ、芳春が勢いよく射精する。
 ぐったりしたまま、芳春の中が痙攣するよう脈打つ。
「はぁ……あ、なんで……こんな、いきなり……っ」
「んー、寝てる芳春がかわいかったから」
「風邪、治ったんですか?」
「うん。だから、いいよね?」
「ぶり返したらどうするんですかっ」
「芳春だって、寝る前、我慢してるって言ってたでしょ。本当は俺とセックスしたかったくせに」
「っ……い、言ってないと思います」
「え? せっかくかわいいと思ったのに、そんな嘘ついちゃうの?」
「俺……っ」
「それと、まだ俺の指ここに入ってるの、忘れてないよね?」
 浅い所ばかり弄っていた3本の指をさらに奥へと押し進める。
「ひっぁっ……や、ずるぃ……」
「もう嘘つかないって約束出来る?」
「そ、そんなの、わかんないですっ」
 嘘でも、嘘つかないって言えばいいのに。
 なんて素直な人なんだろう。
「どうして芳春のここ、こんなに簡単に入っちゃったのかなぁ。久し振りなのに」
「んっ……知らな……」
「芳春が、俺とセックスしたくて我慢出来なくて、1人でHなことしてたからだよね?」
「ち、違っ」
「本当?」
 散々煽るだけ煽って、俺は芳春の中から指を引き抜く。
 ぽっかり開いたそこは、ヒクついて、いまだなにか求めているように見えた。
「指じゃ届かない奥の方、欲しくない?」
「っ……ぁ……」
 本当に、嘘のつけない人だ。
 けれども、俺はもっと芳春の困る顔やすがる顔、俺を欲しがる姿を見たくて仕方ない。
「まあ1回イって、もうすっきりしちゃったんならいいですよ。やめましょうか」
 3本、さっきまで芳春の中に入り込んでいた指先に舌を絡ませる。
「っ……」
 芳春は固唾を飲み、俺の舌先に目を向けていた。
「ああ、1回じゃなくて2回でしたっけ? お風呂場で、何回イきました?」
「き……聞いてたんですか?」
「どうでしょう?」
 俺は言葉とは裏腹に、自分の猛りきったモノを取り出し、芳春に見せつける。
「っ……な、なんで出してるんですか」
「芳春にその気がなくとも、俺はその気なんで。そこでなにもせず寝てくれているだけでも、充分、おかずにして抜けます」
「人のことおかずとか言わないでくださいっ」
「すみません。……それで、どうします?」
 俺は体を寄せ、先端をヒクつく芳春のそこへと押し当てる。
「ぁ……あっ」
「かわいいなぁ、芳春のココ。俺の先端にパクパク食いついて……」
 入りそうで入らない位置を彷徨わせると、芳春は身体を震わせ、シーツを握りしめた。
「はぁ……ん……あ……っ」
 次第に、こらえきれなくなったのか、芳春は顔を逸らしながらも、腰を僅かに浮かせた。
 それを受け流すと、追いかけるよう芳春の腰が揺れる。
「んぅう……んっ」
「欲しい?」
 芳春は俺の方も見ずに、ただ僅かに頷く。
「口で、言って?」
 催促するよう指先で唇を撫でてあげると、少しだけ潤ませた目で俺を見上げる。
 けれども、すぐさままた目を逸らして、ゆっくりと口を開いた。
「ん……欲し……ぃ」
「足りない」
「っ……ゃっ……」
「今日は芳春、たくさん嘘ついちゃったし。もう少し恥かいてください」
 笑顔で芳春に伝える。
 芳春だって、わかっているはずだ。
 俺がその気になら、本当にずっと焦らし続けると。
 そして、それが耐えられないのは芳春自身。
 すでにまた上を向く芳春のペニスを、そっと指先で根元からなぞる。
「ぁっ……あっ」
「トロトロですね。ちょっと前にイったのに、こんなにまた我慢汁溢れさせて」
「せんせっ……」
「我慢してる?」
「っ……は……ぃっ……。も……くださっ……」
 我慢出来ないと言わんばかりに、芳春は腰をくねらせ、ヒクつくアナルを俺の亀頭に押し付ける。
 俺の方が、我慢の限界に達しそうになる。
 なんとか堪え、俺は芳春を見下ろし、言葉を待つよう舌なめずりをする。
 芳春は、呼吸を荒くさせ、目を潤ませて。
 俺の服をぎゅっと掴んだ。
「いれて……、いれてくださっ……あっ……ん、ん、俺っ」
「ここは学校でもないし、どんなはしたない事言っても、俺しか聞いてないよ」
 そう教え込み、耳に口付け、頭を優しく撫でてあげる。
 そもそもこの人、生徒に聞かれるかもしれない場所であっても、俺が焦らすと、つい欲しがってくれるけれど。
「もっ……もぉ、入れてぇ……」
 本当に、なんてかわいい人なんだろう。
 入れて欲しくて、涙目になってくれるなんて。
「我慢できなっ、出来なぃ……」
 そう言い、芳春の手が俺のを掴む。
「熱ぃ……の、くださっ……」
 そろそろ頃合いだろうと、俺は芳春に導かれるがまま、ゆっくりと腰を押し進めた。
「ひぁっあっ……あんんぅ……っ!!」
 そのまま、芳春の足を抱えるようにして、奥の方まで貫いていく。
「んーっ! んぅうっ! あぁあああっ!!」
 相当我慢してくれていたのか、最奥まで届くか届かないかのうちに、芳春はビクビクと体を震わせ、また射精してしまう。
「あーあ……。イクって言って欲しかったなぁ」
「あぁっあっ……ごめ、なさっ……俺っあっ……い、イくと、思わなくてっ」
「次はちゃんと言える?」
「も、もぉ……だめっ……」
「俺はまだイってないんだよね」
 さすがに、ここでやめるのは俺としてはキツい。
 芳春は、顔を歪めながらもコクコクと頷く。
「はぁっ……少し、待ってくださぁ……」
「落ち着きたい?」
「はぃっ……あっ……あっ、まだ、動かなっ」
「じゃあ、ゆっくり掻き回して、上手く感じれるようにしようか」
 俺は奥まで入り込んだままのモノで、ゆっくりナカを掻き回す。
「ふぁ……あっ……んぅ……んっ」
 ビク、ビクっとたまに体を跳ねさせながらも、芳春は目を蕩けさせ俺を見上げる。
 本当に気持ち良さそうで、このままこの人は眠ってしまうんじゃないかとすら思う。
「あっぁあ……ん……ぅあっ、ぁんっ、あっ、せんせぇ……」
「気持ちいい?」
「気持ちぃっ……いい……っ、はぁっ……ん、んぅう……」
 そのまま、内壁押し広げるようにして、徐々に愛撫を強めていく。
 ゆっくりと、それでも少し大きめに抜き差ししながら、芳春の前立腺を突き上げる。
「あぁあっ……あっ、いく……」
「また? どうイくの?」
「やぁっ……あっ、あっ、出さずにいっちゃうっ」
「ドライでイきそうなんだ?」
 芳春はコクコク頷きながらも、俺の背に爪を立てた。
「んぅっ、もっと、あっ、もっとぉっ、いくっいくっ、ひぁあっ! あぁああっ !!」
 ビクビクと芳春の中が痙攣し、ぎゅっと締まる。
 芳春が、射精せず女の子みたいにナカでイってしまったのだとわかった。
 その衝撃に、俺もまた耐えきれず、芳春の中で射精してしまう。
「はぁ……もう少し我慢する予定だったんだけど」
 そんな俺の声も届いていないのか、芳春は俺のしがみついたまま、快楽に浸っていた。

 俺は、芳春の体を抱きかかえ、繋がったまま体を起こす。
「はぁ……あ……気持ちぃ……」
「ドライでイクの好き?」
「好きぃ……ん……」
 ずいぶん、トリップしているようだ。
「俺も、好きですよ。芳春の中で射精するの」
「ん……俺も……中出し……好き……」
 そんなに煽られると、またこのまま勃起しかねない。
 なんとか、俺は深呼吸し体を落ち着かせる。
 芳春の背を撫で、芳春の体も落ち着かせていく。
「はぁ……秋正さ……」
「……どうして、思考もままならないような状態なのに、俺の名前呼んでくれるの?」
 芳春は意味が理解出来ないのか、なにも答えず俺へと体を預けたまま。
 つまり、意図的なものではないということだろう。
「もしかして、1人Hのとき、俺の名前、呼んでくれてる?」
「え……?」
 口には出さずとも、想像してくれているのかもしれない。
 そうでもなければ、普段からずっと俺を先生と呼ぶ芳春が、咄嗟に俺を名前で呼ぶはずがない。
「ごめん、芳春。もう少し、休ませてあげられないかも」
「ん……んぅ……待ってっ……あっ」
「あー、だいぶ正気戻って来ちゃいました?」
「あ……俺っ……」
 自分の発言をいまさら恥じるよう、芳春は体を強張らせ、俺から離れようとする。
 もちろん、ぎゅっと抱きしめ逃がさない。
「も、病み上がりなんですよ!?」
「ありがとうございます、心配してくれて」
「そ、そういうお礼が聞きたいわけじゃ……」
 少し腰を突き上げると、結局、芳春は俺を受け入れ締め付けてくれる。
 そんな芳春に甘え、俺たちはもう一度行為に及んだ。



 あれからどれくらいの時間が経っただろう。
 風呂場で事後処理をし、2人で倒れるよう眠って。
 時間の感覚が少し麻痺していた。
 芳春よりも先に、目が覚める。
「おはよう」
 そう声をかけても、まだ起きる様子はない。
 それもそうだ。
 何度もイって、体を酷使した。
 それだけじゃない。
 芳春は、風邪の俺を看病してくれていた。
 大したことではないのかもしれないけど、きっと気疲れみたいなものもある。
 少し昼寝を挟んだとはいえ、まだ足りないのだろう。
「……いいですよね、こうして一緒のベッドで目覚めるのって」
 俺は返事など必要とせず、1人、宮本先生へと話しかける。
「芳春が倒れたら、俺もすぐにでも看病したいんだけど」
 そのために……
「一緒に、暮らす?」
 眠ったままの、芳春に小さな声で提案してみる。
 芳春は、たぬき寝入りが下手だ。
 今は、しっかりと眠っている。
 その姿を確認し、俺はそっと頭を撫でた。
「う……ん」
 さすがに、こんな提案を面と向かってしたら、芳春はたぶん戸惑うだろう。
 少し早過ぎる、重いかもしれない……それは俺でも理解出来ていた。
 俺は芳春を起こさないようそっとベッドから抜け出す。
 芳春が脱いだコートのポケットから鍵を取り出し、そこへ、自分の家の合鍵を足しておいた。
「……これくらいなら、いいですよね。いつでも、俺のところに来て下さい」



『柊×宮本』
カウンター478478番v
『柊先生×宮本先生、柊先生視点、H有、甘々な感じで』
リクエストしていただきました。 甘々というより甘えてるネタっぽくなってしまいましたが、一応最後に甘さをだしてみました。 大変遅くなってしまいすみませんっ。
ささかまさんへささぐvvリクエストどうもありがとうございました♪