「珠葵くん…。明日、水城くん、誕生日なんだけどさ。なにかあげた方がいいのかなぁ」

4月1日。
早めに学校の寮へと戻った僕は、同じく早めに戻って来ていた珠葵くんの部屋へ。

誕生日なんて、友達同士でも、そう祝ったことなんてないし。
でも、なんとなく気になって、珠葵くんに相談してしまう。
「あ。そっか。4月って言ってたもんね。うーん。春耶くんなら絶対、『アキが選んでくれたものならなんでも嬉しいよー』とか『アキが欲しい』とか言いそうだよね」
…恥ずかしいけど、そう言いそうなんだよね…。
「なにを選べばいいのかわかんなくって」
「ねーねー。2人って結構、あれでしょ。ハードなことしてんでしょ」
「なぁっ!」
唐突になんてことを…っ。
「そっ…そんなことしてないよぉ…」
「え、じゃあなに? ハメるだけ?」
「いやっ…普通の…だと思うし」
うん…。
そうは言うけど、本当はちょっと違うかなぁとか思ったりもする。
僕がHだから、水城くんは、付き合ってくれるのかな…。

「……動画で撮ったりとかって…それくらいはみんなするよね…?」
「え、しないよ。普通」
「ぇえっ!? そうなの…? そっか…」
「こりゃ、他にもいろいろしてますねぇ。じゃあ、誕生日プレゼントとして、一人H動画でも送っちゃえ」
楽しそうに珠葵くんはそう僕に言うけれど。
「そんなのっ…っ。喜んで…くれるかな」
口ではそう言うけれど、春耶くんなら喜んでくれそうって思っちゃう。
「絶対喜んでくれるからっ。だってその前に撮った動画もさ、どうしてるの? どうせ春耶くん持ってるわけでしょ♪」
「う…ん…。そうなんだけど」
「もう、大丈夫だから。絶対っ!」
なんか変なテンションだな、珠葵くん…。


そんなわけで。
一応、準備してみようとか思っちゃうんだけど。
だって。
水城くんのためだし。

というか、僕も、こういうの、ちょっとドキドキするし。

今日。
ルームメイトの先輩は、実家に帰ってるのか、まだ学校にも寮にも来ていないようで。
僕一人。

水城くんには、珠葵くんと遊ぶって伝えてあるから、たぶん、啓ちゃんの部屋にでも行ってて、僕のとこにはこないだろう。

大丈夫。

部屋の鍵を閉めて。

動画撮影の出来るデジカメを机の上に置いて。
ちょうどいい高さに教科書とかで調節して、ベッドに向ける。

…はぁ。
僕、、やっぱ恥ずかしい…かも。
でも、本当は、恥ずかしいのとかドキドキする。

とりあえず、やってみてあまりにも変だったら消してしまおう。


あ。
そうだ。
前に水城くんがくれたローター。
ちゃんと使ってるよって、教えた方がいいよね…。

とはいえ、一人で使う用にくれたわけじゃなく、一緒に使ってそのままって感じなんだけど。
使おう…かな。
カバンから取り出して。


デジカメのスタートボタンを押す。

「えっと…水城くん…? 誕生日、おめでとう…あの…これ、ありがとうね。…ちゃんと使ってるから。見ててね…?」

一応、ローターをレンズの前で示して。
ベッドへ。

上…脱いだ方がいいのかな…。
もう全部見られたことある体だし…。


僕はズボンと下着を脱いで、その後に、シャツも脱ぐ。
水城くんが。
レンズの向こうにいると思えばいい。

とりあえず、濡らさないと。

ローターに舌を這わしながら、自分のを擦り上げていく。
「んっ…ぅんっ…」

水城くん。
やばいな。
まだ始めたばっかなのに、もうエロくなってきちゃった。
何度も擦りあげてると、すぐに後ろに欲しくなる。

ねぇ。
すぐ入れちゃっても平気だよねぇ。

「ぁんっ…んっ…あっ…入れ…入れる…ね…?」

見えるように、入れた方がいいのかな。

僕は、足を開いて、レンズへと恥ずかしい箇所が映る様な格好に。
「あ…見える…かな…」
そのまま。
ゆっくりと、たっぷり唾液を絡めたローターを押し込んでいく。
「んっ…あっ…ぁあっ…」
奥の方まで入れて。
スイッチをONに。
「あっぁああっっ…んっ…」

気持ちいい。
やばい。
でもやっぱり一人Hなんて駄目かも。
もう、水城くんとこういうことするようになってから、ずーっとしばらく一人でなんてしてないから。
いくらローターがあっても足りないかもしんない。
前を擦りあげて、後ろもローターが刺激してくれて。

気持ちいいんだよ?
でも、駄目。
欲しい。

「あっぁんっ…水城くっ…」
どうしよう。
足りないよぉ。

電話したら…。
僕が来てって頼んだら来てくれる?

啓ちゃんと遊んでるよね…?
でも、よく一緒にいるし、いまだけ…。

僕はとりあえず、ローターのスイッチを切って、水城くんに電話をかける。

「水城く…?」
『ん? アキ? どうしたの…?』
「…今、啓ちゃんと遊んでるんだよね…」
『一応ね。でも、大丈夫だよ? どうした?』
ごめんね、啓ちゃん。
「あの…ちょっと…いいかな…」
『ん。いいよ。行けばいい?』
「ごめんね…うん…僕の部屋…」
『うん。行くから。待ってて?』

バカ。
啓ちゃんに後でちゃんと謝ろう。
だって、自分のことだけしか考えてないじゃんか。



1分も経たないうちに、ドアがガチャガチャって。
あ、そうだ。鍵かけてた。

ローター入ったままだし。
どうしよう。
恥ずかしいけど、スイッチを持ったまま、ローターを中に入れたままでドアへ。
「水城くん…?」
少しだけドアを開けて確認。
「一人…だよね」
「一人だよ」

水城くんを中へと入れて。
僕の姿を見てか、水城くんはすぐに鍵を閉めてくれる。
「どうしたの、アキ」
「ごめん…。啓ちゃんと遊んでたのに…っ」
「それはいいよ。気にしなくて。おいで」
水城くんは、僕の体を抱きしめて。
そのまま抱えるようにしてベッドに体を下ろされる。

上から見下ろされると、それだけで、体中が熱くなって。
一人じゃ絶対、こんなの味わえないなって思った。

「どうしちゃったの…?」
「あ…僕、一人で…イけなくて……っ」
水城くんは僕の頭を撫でながらそっと、僕のモノを緩やかに擦り上げてくれる。
「あっんっ…ンっ…」
「一人で…? 一人でしたかったの…? 欲求不満だった? ごめんね…」
あぁ。
どうして水城くんが謝ってくれるのかなぁ。
いい人すぎて申し訳ないよ。
「違…つ…んっ…あっぁあっ…ンっ…水城くっ…」
「気持ちいい…? このローター…前に俺があげたやつだね…」
そう言って、スイッチを入れてしまう。
「あっぁあっんっんっ…水城くンっ…はぁっぁあっんっ」
全然違う。
水城くんがココにいるだけで。
何倍も感じれるんだよ。
気持ちいいよぉ。
「はぁっあんっ…あっ…いいよぉ…っ…水城くっ…ぁあっ…欲しぃよぉ…っ」
「このまま、入れていい…?」
このまま?
ローター入ったまま…?
「…あっ…ぃいっ…入れて…っ」
「ん…ちょっと待ってね…」
ちゃんとそう言って、僕の頭を撫でてくれてから、引き出しの中のローションを取り出す。
ほら。
優しいんだよ。
早くして欲しくて、腰がくねる。
「あっ…水城くっ…」
「うん…入れるよ」
たっぷりとローションを付けた水城くんのが俺の中に。
「あっぁあああっ…んぅんっ」
奥まで。
ローターが押し込まれてっちゃう。
「ひぁっ…んーっ…あっっ…やぁあっ」
「そんなに気持ちいいの…? アキは本当にかわいいね。俺ので、感じてくれてる?」
「はぁっあんっ…やぁあっ…気持ちぃいよぉ…っ」
「それって、俺のが? それとも、ローター? ローターだったら寂しいなぁ」
耳元で、そう言いながら、ゆっくりとローターを引き抜いていく。
「ひぁっ!! んっ…んーっ」
水城くんのが入ってるのに。
その横をローターがゆっくりと移動していく。
中がたっぷりと押し広げられて、体中がしびれるような感じだ。
「あんっあぁあっ…水城くっ」
僕は水城くんのシャツにしがみついて。
水城くんはあいかわらず、俺をなだめるように頭を撫でてくれて。
頭がボーっとしちゃうよ。
「ね…ローター無くても平気? 俺のだけで、イける?」
そんなの、イけるに決まってる。
本当は、もうイっちゃいそうだけれど。
なんとなく、今の状態じゃローターの刺激でイってしまったみたいになりそうで。
水城くんに悪いから我慢しようって思っちゃうんだよ。

ローターが全部抜けきって。
水城くんのだけ。
「あっ…水城く…動いて…欲しぃよぉ…」
「うん。ねぇ、アキが感じる所、たっぷり突いてあげるね…?」
「うんっあっ…ぁああっ…んっそこっ…」
「わかってるよ…。イイ…?」
全部、全部わかってくれてる。
僕の体のこと、どこが感じるのかも、全部。

「ぃいよぉっ…いっちゃうっ…あんっあっ…」
「一緒にイこ…?」
「うんっあっ…水城くっ…ひぁっあっあぁああっっ」


水城くん。

大好き。

イってしまって、それが気持ちよくって。
ついボーっとしてしまっていた。

水城くんの視線が不自然に積み上げられた教科書とこちらに向けられたデジカメに…。
「あっ…それっ…」
「…どうしたの?」
「……ちょっと…」
「そっか」
ほらね。
水城くんは、本当にいい人で。
俺が濁すと、聞かないでいてくれるんだよ。

でも、いろいろ、言った方がいいこともあるってもちろん思ってる。

なんか、水城くん、ちょっと元気ないし。
「水城く…? ごめんね。なんか、僕…水城くんのこと、困らせちゃった…」
「え、あ。いや、全然、構わないって。そうじゃなくって…。
アキがさ。一人でやろうだなんて考えなくてもいいくらい、一緒にいてやりたかったなぁって思って。あ、でもたまには俺とやるより一人でやった方がいいかな。…でもそれだったら、今、俺のこと、呼んでないよね…?
ごめんね。ちゃんとアキの欲求不満とか、解消してあげれなくて」
もう。
全然違うよ。
最近したばっかだし、そんなすぐ僕だって…っ。

「あのね…水城くん…。
本当は…ね。欲求不満なんかじゃなくて…。だから今もなかなか一人じゃイけなかったのかもしんないし」
じゃあ、なんで…? という視線を向けられる。
言う…かなぁ。
「あの…もうすぐ誕生日やん…? なにあげればいいのかわかんなくて…。こんなの恥ずかしいんだけど、前ね…水城くんと一緒に撮ったやつ、水城くん持ってってたでしょ。
だから、一人で…やった姿とかも、あれば…貰ってくれるかなって…思って…」

水城くんはやっぱりというか、僕のことをキツく抱きしめてくれる。
「本当…? そう考えてくれてたの…? すごい嬉しいな。俺って、幸せ者だね」
「でも、結局、出来なくて。遊んでるのに呼び出しちゃったし…っ」
「啓吾と俺は、暇なモン同士で一緒にいただけだから。大丈夫だよ。ね。すごい嬉しいから。ありがとう。じゃあ、あとでアレのデータ、貰っていいんだ?」
そうデジカメの方を指差す。

「あ…だって、どう撮れてるかわかんないし、途中でやめちゃったし」
まだ止めてないや…。
そんな容量ないから、どっかで切れてるんだろうなぁ。

「いいよ。嬉しい。アキが俺のためになにかしてくれた記念にね。誕生日プレゼントとして、欲しいな」
頷く俺を確認して、キスをしてくれる。

ねぇ。
僕はホントに、失敗ばかりで。
水城くんのためにしてあげたいこととかあっても考えるだけで精一杯で。
いっつもちゃんと出来ないんだよ。

もう失敗ばかりでHも下手で、自分からなにかするのは、やめちゃった方がいいかなって思うときもあるけれど。
水城くんは笑顔で喜んでくれるから。

それが嬉しくて、僕もまた、なにかしてあげたいって気になれるんだ。
水城くんと一緒だと、本当に、不安とかなくなっちゃうよ。

「アキ…ありがとうね…」
「うん…」
「ね…。一つお願いがあるんだけど。明日になるまで一緒にいてくれる…?」
誕生日の日を一緒に迎えたいってこと?

もしかして、前からそう思ってくれてたのかな。
だとしたら、僕、珠葵くんと遊んでるって予定入れちゃってて、申し訳なかったかな。
「あのねっ…。珠葵くんと遊んでたのは、ホントに、相談に乗って貰ってて…。あとは、水城くんにコレ、バレないようにしてたからで…。ごめんね。忘れてたわけじゃないんよ」
「大丈夫だよ。気にしてないし。俺のこと考えてしてくれてたってわかってるし。
いまから、一緒に過ごせるだけで幸せだから」
頷く俺の手をぎゅっとにぎってくれる。

ただ、2人でいるだけの時間ってのは、いつのまにか流れていて。
もう24時。
過ぎちゃった。

「水城くん…誕生日、おめでとう…」
「ありがとう」
これからもずっと一緒に誕生日を迎えられたらいいな。