結局、秀一がローターを引き抜いてくれ、なんとか我慢しながら、喫茶店をあとにした。

 家に着き、玄関のドアを閉めるとすぐ、秀一は後ろから抱きしめてくれる。
「雅紀……本当にエッチでかわいかった」
 改めてそんなことを言われると、やっぱり恥ずかしい。
 後ろから、髪をなでられ、耳に口付けされる。
「ね。雅紀……もっとエッチなことさせて」
 秀一の方からそうやって言って来るのは珍しかった。
 ……1週間も空けたから?
 さすがに秀一も欲しいと思ってくれてるのだろう。

「秀一……」
 頷くと、後ろからシャツの中に入り込んだ両手で、胸をまさぐられる。
「んっ! んぅ……」
 足の間に、秀一の足が割り込む。
 軽く跨いだ状態で、胸をもまれるが、なかなか秀一は先に進んでくれない。
 どうせなら、秀一が欲しいと思ってくれるがままに……そんなことを考えもしたけど、結局自分の方が欲しくてしょうがない。
 気が向かないと、言うまでしてくれないのもわかってる。
 秀一は、俺に言わせたいんだ。
「秀一……っ乳首も……っ」
 まだ理性が残ってる状態で言うのには、抵抗があった。
 恥ずかしい。
 ペニスでもなく乳首を撫でて欲しいだなんて。
 でも、この状況で、胸はいいから早く先に進めだなんて言えるわけがない。
 秀一が、せっかく揉んでくれてるのに。

 秀一の指先が、突起に触れるとそれだけで電流が走ったみたいに体がぞくっとした。
「ぅんんっ! んっ!」
 昔から少しは感じていたけれど、最近はそれどころじゃない。
 すぐに硬くなってしまうし、すごく敏感になったと自分でも思う。
 秀一が、以前、変態みたいにちくちくと乳首だけを愛撫してきたせいだ。
 たぶん、調教というか、開発されてしまったのだろう。  

 ゆっくりと、硬くなった乳首を丁寧に転がされ、それだけで足がふらついた。
「ぁっ……あっ! 秀一……っ」
「乳首だけで、イってみせて?」
「はぁっ……ぅん……っ」
「エッチなこと考えて、声たくさん出した方が、感じるでしょ? 今、なにされてる?」
「秀一の、指がっん……乳首、転がしてて……っ」
「ね……。今日は、どうされたい?」
 今日は……1週間ぶりだから。
 たくさんして欲しい。
 言わないと。
 いくら、秀一がしたいって思ってくれてたとしても、こっちから誘わない限り、がっついたプレイはしてくれないだろう。
 今日に限っては大丈夫かもしれないけれど、また焦らされるのはごめんだ。

「……はぁっん、激しいのがっ」
「具体的に」
「んっ! 中……ぁっ」
「雅紀。俺は後ろにいるから、ちゃんと大きな声で言ってくれないと聞こえないよ」
 そう言いながらも、あいかわらず胸への愛撫は続けたまま。
 軽く掴まれ、体が小さく跳ね上がる。
「ぁあっあっ! ……んぅっ」
「感じて言えないのなら、手、止めるけど?」
「言うっ……ぁっ……言うからぁっ……やめな、でっ」
 俺の言葉を聞いてか、ぐにぐにと乳首を弄り続けてくれる。
 気持ちいい、このまま喘ぎ続けたい。
 けれど、言わないと止められてしまう。
「あっ……んっ! 中っぁっ……中で、出して……っ」
「中出しされたいの?」
 中出しという表現はなんだか卑猥で、恥ずかしい。
 それでも秀一はそういう言葉が好きだ。
 わかってる。
 頷いて、肯定すると、
「ふーん……」
 少し楽しそうな秀一の声。
 この声を聞くと嬉しくなる。
「秀一ぃ……ぁっ……俺っ、たくさん、ぁっ、中出しされたぃ……っ」
「どんな風に?」
「ぉくっ……奥まで入れて、あっ……たくさんっ……濃いの、出してっあっ……」
「それだけでいい?」
 実際してくれるかどうかは別。
 けれど、言わないと。
「ぁあっ……そのままっ……ん、俺ん中っあっ……掻き混ぜてっ」
「そのまま?」
「せーえきっ……秀一の、あっあっ……ペニスで、掻き混ぜっぁあっ……ゃああっ!!」


 体がビクビクと震え上がり、イってしまうと秀一は手を止めた。
「乳首、気持ちよかった? それとも想像してイっちゃった?」
「……ん……両方」


 やっと、靴を脱いだ俺たちは、ベッドへと向かう。
 仰向けに寝転がると、秀一がズボンと下着を引き抜いてくれた。
「ぐちゃぐちゃだ……ね」
「ん……」
 俺の精液をぬぐい取り、さっそくその指先を中へと押し込んでくれる。
「あっあっ! んぅんんっ!!」
 ローターとは違う、秀一の指が入り込んでくる感触。
 久しぶりだ。
 ゆっくりと掻き混ぜるよう動かしてくれる。
「雅紀の精液、中にぬりこんで、俺が中出ししたら、混ざっちゃうね」
「あっ、混ぜてっ……ぁあっ……」
「どうしたの? そんなに喘いじゃって。たくさん感じたい? 雅紀は本当に声出すの、好きだよね」
「好きっぁっあんっ! ぁっあっ」
「でも1週間あけちゃったし、もう少し慣らそうか」
 2本目の指が入り込む。
 一番弱い箇所を避けるようにして中を押し広げていく。
 その感触がたまらなくって、空いている秀一の左腕に強く爪を立ててしまっていた。
「ぁんっあっ……秀一っあっ、気持ちぃ……っいいっ」
「泣きすぎ。まるで虐めてるみたいじゃない」
 生理的にポロポロと涙が溢れる。
 視界がぼやけた。
「秀一っぁあっあっ、んぅんんっ!! ぃくっ……ぁあっ」
「駄目……イったばっかでしょう?」
 そう言いながらも、秀一はいままで避けていた感じる部分をぐっと押さえ込む。
「ひぁっ!! あっ……あぁあっ」
「……我慢、してみせて」
 秀一の企むような声は、いつも腰に響いて、ゾクゾクして、それだけでおかしくなる。
 おかしくなるのに、我慢しないといけない。
「はぁっあっ! ぁんんっ……ぁああっ!」
「苦しい?」
 コクコクと頷いてみせるが、それでも秀一は楽しそうに笑うだけ。
「かわいいな、雅紀は」
 そんなことを言って体をかがめると、いまにもイってしまいそうな俺の性器に口付ける。
「んぅんっ! んっ!」
 ゆっくりと根元から舐めあげられて、先端にも舌を這わされて。
 体がビクビクと震え出す。
 今イったら、秀一の顔にかかってしまう。
「っゃっ……ん、だめっぁあっ」
「駄目ならやめるよ」
「ゃっやあっ……いくっぁあっぃくっ……ぁああっ」
「ふーん。後ろ、押さえつけられて、舌で舐められて。気持ちい?」
「ひぅっあっ! 気持ちぃっ……ぁあっ出ちゃっ、出ちゃうっ秀っあぁああっ」
 我慢しきれずイってしまうが、うまいこと秀一は口で受け止めてくれた。

「はぁっ……あっ」
 まるで精液を吸い上げるよう口内で味わわれ、さすがに羞恥心を感じる。
 上半身を横に向け、ベッドのシーツに掴まった。
「んっ……秀一……っ」
 体の自由がきかない。
 秀一は、またぐにぐにと内壁を指で押さえつけ、押し広げ、舌を亀頭に絡め続ける。
「はぁっ秀一? あっん、っんぅっ、駄目っ」
「ん……なんで?」
「もっ……ぅん、イってっ」
「うん。俺はこうしていたいのに、勝手に雅紀がイったんでしょ」
 こうしていたい。
 その言葉が嬉しくてなにも言えなくなってしまう。
 けれど、イったばかりでこのまま刺激を与えられ続けたら、今度は洩らしてしまいそうで、首を小さく横に振る。
 それでも、そんな俺の動作などお構いなしに、秀一は空いた手で俺のを強めに擦りあげた。
「ぁあっあっ! だめっ」
「駄目?」
「ぁうっあっ! もれちゃっ……」
「なに……ちゃんと口で言って」
「んっ! んぅっ……ぁっあっ俺っ……あ、おしっこ洩れちゃう……っ」
「ふっ……かわいい。いいよ。出して」
 秀一が許可をくれると一気に体の力が抜ける。
「ふぁ……んっ! 出る……っ」
 指で押さえつけられ擦り上げられながら、俺は体を震わせ秀一に促されるがままシーツの上へと尿をまき散らした。
「ん……秀一……」
「シーツ、取換えなきゃな」
「はぁ……ごめ……なさ」
 俺が悪くないことくらいはわかってる。
 それでも謝ると、秀一は企むような笑みを見せてくれた。
 秀一が興奮しているときに見せる顔だ。
 イかされて、洩らしてしまうほど刺激を与えられたというのに、すぐにまた俺の体に火が灯る。
「秀一……入れて。秀一の……」
「もっとおねだりして?」
 秀一に向かって足を開いて見せる。
 何度も見られたからといって羞恥心が無くなるわけじゃない。
 それでも俺はその羞恥心すら快感で、もっと秀一に恥ずかしいことをして欲しいとさえ思う。
「ココ……ココに、秀一の……くださ……」
 俺は指先で秀一を受け入れる場所を開くよう押さえつける。
 すでに求めるようソコがヒクつく。
「うん……欲しそうだ」
「あ……欲しぃ……早く、して……」
 もう俺の体は限界でたまらなく欲しくて、目や体や言葉で訴えると、秀一は俺の望んだとおりすでに昂った状態のモノを取り出し俺へと押し当ててくれた。
「あ……」
「すごいね。久し振りだ」
 コクコクと頷き期待していると、秀一はゆっくりと俺の中へと入り込んでくる。
「あっ、ぁあっ……」
 ローターとも指とも違う、秀一のモノ。
 熱くて、俺のソコは秀一を求めるように開発されたんじゃないかと思うくらいにぴったりと受け入れていく。
 少しずつ奥へと入り込んでくるたびに体がゾクゾクと震え上がって、上手く頭が働かなくなくなってきた。
「ぁあっ、あっ! あぁああっ!!」
 あまりの気持ちよさに許可も無くイってしまうと、ピタリと秀一が動きを止めてしまう。
「やぁっ……あっ……やめな……で」
「イったのに?」
「あ、もっと……もっと、イかせて」
 下から腰を振っても、秀一に受け流され上手く刺激を得られない。
「はぁっ……はやくっ……おねがっ……」
「……いつも言ってるけど、あんまり快楽だけ……みたいなのは好きじゃないんだよね」
「違ぁ……秀一……秀一のが……っ」
 誰でもいいわけじゃない。
 秀一のじゃないと満足出来ないし、そういう体にしたのは秀一だ。
「はぁっ……秀一ぃ……もっとしてぇ……あっ……んぅ……我慢出来なっ」
「我慢出来ないとどうなっちゃうの、雅紀は」
「ぁんっあっ……おかしくなっちゃっ……あぁあっ……も、焦らさな、で……っ」
 俺はなんとか自分で腰を揺らし刺激を求める。
「おねがっ……秀一……秀……ん……ご……主人様……っ」
 恥ずかしながら言葉を選ぶと、俺の中に入ったままの秀一のモノがわずかに大きくなるのがわかった。
 それが嬉しくて、俺はもっと秀一におねだりをする。
「ぅんっ! ン……ご主人さまぁ……もっとぉ、もっと、俺にえっちなことしてくださぃ……っ」
「んー……かわいいね、それ」
「はぁっ……ご主人様のミルク、下の口から飲ませてぇ」
「限界?」
「ぅんっ! うん……もぉ駄目……欲しぃ……」
「敬語は?」
「あっ……も、限界れす……っ、ひぅっ……くださっ……あんっ、せーえきくらさっ……」
「……あー、すっごいトロットロだ。顔も目も体も……最高だよ」
 ぼやける視界の中、秀一が舌なめずりするのがわかる。
 たったそれだけでゾクゾクしていると、秀一は俺のすでに砕けかけている腰を掴み、入り込んだモノで奥の方を突く。
「ふぁああっ」
 秀一は何度も何度も浅い感じる所を突き上げながら奥へと入り込んで、退いて、待ち望んでいた刺激で頭が真っ白になり掛ける。
「ぁっあっ……あっ、秀一っ」
「んー……違うでしょ。かわいく鳴いて?」
「はぁ……いっ……あっ、ご主人……さまぁっ……あんっあ、んっ! もっと……あっ……ぁあっ、可愛がって……っ」
 秀一の腕に自分の手を絡めすがりつくと、秀一は俺の目元や頬、唇にキスをしてくれる。
 求めるよう頭に手を回し、必死で舌を伸ばす。
 ぬるりと互いの舌が絡みつき、頭の中へと濡れた音が響いた。
「雅紀は本当に……かわいいよ。最高にイイ。……出すよ」
「あっん、はぃ……あっ! 出してくらさぁ……ぁあっあっ、あぁああっ!!」

 俺がビクビクと体を震わせイくのと同時くらいに秀一が奥の方でイったのがわかる。
 熱いモノが流れ込んでくる感触に身震いしながらも秀一にしがみつく。
「はぁ……あ……ぁあ……気持ちぃ……」
「満足した?」
 気持ちよすぎて、頭もぼんやりするし、たまらない。
 俺は小さく頷く。
「いいの? 雅紀の中で精液ぐちゃぐちゃに掻き回して欲しいんじゃなかったっけ?」
 そう指摘され、自分が当初望んでいたことを思い出した。
 それをされると、もっとおかしくなれる。
「……して」
 満足したつもりだったのに、秀一の方からのお誘いとも取れる言葉に俺はまた甘える。
 秀一は俺の体を抱き起こしてくれた。
 少し角度が変わるだけで、また内壁が刺激され背筋が震え上がる。
「はぁ……あ……」
 秀一の腰の上に跨ったまま、少し揺らされると中が濡れているような感触にまた俺は欲しくなってしまう。
「秀一……好き……あ、ん」
「俺も好き」
 秀一とやっていたら、すぐにでも上り詰めてしまうし、いつまで経っても飽きることは無い。
 一週間ぶりの行為はまだまだ終わりそうになかった。