「こんなにたくさん。雪之、最近抜いてなかったの?」
そう言って桐生は、まるで尿道に残っている精液を吸いだすよう、俺の亀頭に口付ける。
「ぁああっ!」
思いがけないことをされ、体が大きくビクついてしまう。
「聞いてる?」
苦しい。
イったばっかで、上手く感じられない。というか感じ過ぎてるのだろうか。
「ぁっあっ……」
「まーだ、硬いし。男らしいねぇ、雪之ちゃん」
桐生の舌先が、チロチロと俺の先端を舐め上げて、そのたびに体が震えた。
やっと桐生が起き上がり、その刺激から開放されほっとしたのもつかの間。
「苛めていい?」
耳元で囁かれる。
「……っ言うこと言ったじゃないですか」
みっともなく声が震える。
「で、俺はイっていいって言った?」
「そんなの……ずるい」
「さあ? っつーか苛められるかもって思ってんだろ。それでも勃起したまんまなんだ?」
俺の体を見て興奮しているのかもしれない桐生を見ていると、こっちまで体が熱いままになる。
本当に、勃起している場合じゃないのに。
「どうやって苛めようかなぁ」
「っいい加減に……っっ」
「そうだねー。イっていいって言われてないのに、イっちゃいました、すみませんって言ってくれたら考えようか」
にっこりと笑顔を向けられる。
元々、早くイってしまったことに少し後ろめたさみたいなものはあったが、こんな言われ方をして、素直に言う気になれるはずがない。
視線を逸らし、言う気がないということを示した。
それを見てか、俺の腹の上に乗っかった精液を桐生が指先で拭う。
「濃度高そうだねぇ。すごい粘りだ」
そう言った直後、拭った指先を俺の口の中へと突っ込む。
「んぅんっ!」
変な味が、口の中に広がっていく。
指先で舌を追われ、逃れることも出来ず息苦しさから涙が溢れた。
「お前、飲むの苦手だよな」
桐生が俺を見下ろしながらにっこり笑う。
「俺の飲む?」
「んっ……」
「どう?」
俺は嫌だと首を横に振る。
「俺は、結構、お前の飲んでんだけどなぁ」
そう言い、俺の口の中から指を引き抜いた桐生は、股間のモノを掴み上げ指先で亀頭を撫でた。
「んっ」
「……じゃあ、こっち」
意味がわからず顔を向けると、愉しそうに舌なめずりをされ、ゾクっとした。
「やっ……」
わからないなりにも嫌な予感がし、声が洩れる。
「お前って初めてのことするとき、すっごい不安そうな顔するよな」
すっと手が離れていく。
「雪之。ホテル行っていい?」
「……なんで」
「んー。雪之も勃っちゃってるし、このままなにもしないって選択肢は無いだろう?」
「……別に、なにもしなくていいです」
「ああ、外で苛められたい?」
イラついて黙っていると、俺の体を拭いて、上着をかけてくれる。
桐生は運転席へ。
こうやって、たまに優しいことをしてくれるもんだから、変に拒みにくい。
今日、会いたいと願ったのは自分の方だし。
桐生は桐生で愉しそうだ。
俺の体もまだ熱を帯びたまま。
ホテルに着き、服を着なおし、一室へ。
桐生に合わせて入り込むと、腕を引かれてベッドへと押し倒された。
「っ!!」
「やっぱいいね。誰の目も気にせずに出来るって」
「……急にっ」
「急? じゃあ、ゆっくり押し倒した方がよかった?」
強引に口付けられ、舌が絡まると、やっぱり気持ちがよくて頭が少しボーっとする。
そのままズボンの上から、股間の辺りを弄られていく。
「んっ……ぅん……っ」
体が熱くてたまらなくない。
したいだなんて思ってしまう。
「雪之って、ホテル好きだよな」
「な……」
「なんか、落ちるの早いっていうか。やっぱ人の目気にしなくていいから?」
桐生の言うとおりなのかもしれない。
二人きりで。
隣の部屋のことも、なんにも気にしなくていい環境。
なにも答えられずにいると、もう一度、軽くキスをしてくれる。
俺の気持ちが、読み取られてしまっているんじゃないかって、そんな気がした。
「手、縛っとく? 手錠あるし」
「……嫌ですよ」
「じゃ、後ろ向いて」
「はあ? 嫌って……っ」
「だから嫌なことしないと苛めになんないでしょ。雪之はMだし、なにやっても喜んじゃいそうだから」
「ふざけんなっ」
「口悪いよ。雪之ちゃん」
うつ伏せに押し付けられて、手を取られてしまう。
「もうわかってるでしょ。抵抗してもどうにもならないって。素直にハメられて?」
確かに、高校の頃、散々抵抗したあげくにも縛られてきた。
抵抗しても無駄だというのはもうわかっていたことだ。
あっさりと後ろ手に手錠をはめられ、もう一度仰向けに。
手の自由を奪われて、なにをされるか不安が募る。
「大丈夫。気持ちイイことしかしないから」
にっこり笑って、俺の服を脱がせていく。
上に着ていた服は、後ろ手に引っかかっていた。
ズボンと下着も引き抜かれ、桐生の視線が突き刺さる。
「すごいね、雪之。ここガチガチ。興奮したの?」
桐生の指先が、裏筋をなぞって示す。
さっき、ズボンの上から触られただけじゃなく、たぶん、興奮しているのだろう。
「ぁっ……」
「苛めるっつっても、雪之はMだから難しいし。新しいことしよう?」
「なに……するんですか」
俺が聞くと、桐生は一度俺から離れて、カバンからなにかを取り出す。
細めの棒。
飲み物をかき混ぜるマドラーよりも細いだろう。
「柊のこと、覚えてる?」
昨年まで俺が通っていた学校の保険の先生だ。
俺にはわりと優しかったが、サドだという噂は聞いている。
「覚えてますけど」
「譲って貰ったんだよね、これ。あ、でも新品だよ、お揃い。間違えて2つ注文しちゃったらしくて」
「柊先生も、使ってるってこと?」
「ってか、彼女? 雪之は関わってないかもしんねぇけど、数学の宮本先生」
宮本先生?
俺の担当ではないが、高校時代にわりと話題になっているかわいい先生がいたのを覚えている。
あの二人、出来てたのか。
ゆるゆると股間を撫でられると、うまく物事が考えられなくなっていた。
「んっ……なに……っ」
「細いけど、バイブになってる。ほら」
小さな機械音のするソレで俺の胸元を突いて教えてくれる。
「っんっ! ぅんっ!」
「振動は止めた状態で、入れようか。初めてだし」
そう言って、桐生はその棒へと液体を絡める。
入れようかって。
初めてって。なに。
左手で俺の股間のモノを持つと、右手で持っている棒を亀頭に付けた。
「待っ!! え……そこ」
「……わかってなかったの? 雪之、エッチなことに関して知識無さ過ぎ」
尿道に、あの棒を入れられるということだろうか。
「なっ無理……っ」
「大丈夫」
「桐生はする方だから、わかってないっ」
「俺だって、昔入れたことあるよ? 安心だろ?」
「馬鹿じゃないですか? ……あんたはよくても、俺はっ」
「馬鹿とか言うなよ。あんまり動くと危ないよ?」
そう言われると、変に体が固まってしまう。
「や……め」
「お前、んな怖がってどうすんだよ。おっきくなったら残尿検査でここに棒突っ込まれんだぞ」
「それは……検査ですし」
「男の体知らない看護婦さんが、お前のモン持って、棒入れるより、俺の方がよくない?」
それは一理あるが。
そうこうしているうちにも、桐生が棒を突き刺してしまう。
「んぅんっ!! 待っっ……ぁっ」
「ゆっくりしてやるから。力抜いて」
「やっだっ……っぃた」
「痛い? こんなに細いのになぁ。雪之ちゃんの穴は小さいねぇ」
少しだけ入ってしまった棒を一旦引き抜くと、桐生は俺の足元に寝転がり、亀頭を舐め上げる。
「んっ! ぅんっ!」
「ちょっと萎えてくれた方が入れやすいんだけど、さっきから興奮しっぱなしじゃん。痛いって嘘?」
わからない。
痛くはないが耐え難い感覚で。
いつも痛いことはあんまりしないでいてくれる桐生に対して、やめてくれるんじゃないかという期待から、つい嘘をついてしまっていた。
また棒が先端を突く。
「っ……んっ」
「俺も入れたことあるし。そこらにいるおっさんは大抵検査で棒入れてる」
「それはっ……だから検査でっ」
「お前、検査んとき、そんだけ看護婦の前でびびっちゃうの?」
確かに、みっともない自分を看護婦には見られたくないが。
例えば、医者に注射を打たれるのは怖くないが素人に打たれるのは怖いってのと似てるんじゃないだろうか。
そりゃ、ココに棒入れるくらい大して違いはないかもしれないし、女相手よりはマシかもしれないけれど。
「じゃあ、後ろから抱いてあげる」
「っなに言ってっ」
それでも体を起こされ、後ろから抱かれると少しだけ安心してしまう。
「入れるよ。ゆっくりね」
左手で俺のを掴み、桐生は持っていた棒をゆっくりと差し込んでいく。
「ぁああっ……」
「お前、将来、看護婦の前で、そんな声出すなよ?」
いやらしい声が洩れ、入り込む感覚に体がビクついた。
「んぅっ! んっ!」
桐生にそんなことをされているというだけでなんだか、ひどく感じてしまう。
「ぁっ……あっ、んっ」
ずるずると入り込んで。
変な感覚。
これ自体が気持ちいいのかよくわからない。
奥まで入り込むと、桐生がゆっくりとかき混ぜるみたく棒を動かした。
「はぁっ……っ! ンっ、っンっ、やっ」
「うん。細いし、たっぷり湿らせておいたから結構すんなりいけたな」
「ぁあっっ……ンっ!」
すごい。
なんか当たって、いますぐにでも射精しそう。
「やっ……あっ、もうっ」
「ん。もう? なに?」
尿道に棒を突っ込まれていると、まるで射精しているような、放尿しているような感覚で、恥ずかしい。
拡がってるから?
棒自体は細いけれど。
その細い棒が、ぬるぬると内壁を擦っていく。
「やっぁあっあっ…それっ」
「抜いたり差したりされるの嫌? 出ちゃいそうでしょう?」
気持ちいい。
出る。
出てる?
わかんない。
体が震えるのに合わせて、桐生が棒を引き抜いてくれる。
「ぁああっ……あっあぁああっっ!!」
まるで、栓が抜かれたように、勢いよく精液が溢れて、気持ちよくてたまらない。
こんなの恥ずかしいのに。
棒を傍らに置いた桐生が、なおも俺の股間を掴んで擦りあげ、断続的に精液が溢れ出す。
「んぅんっ!! やあっ」
「プライドの高い雪之は、俺の前で漏らしちゃったらどうなるんだろう?」
漏らす?
「やっ……っ」
この人そのつもりで?
さっきのはすでに二度目だし。
こんなイってすぐ、刺激を与え続けられたら、いやでも漏らししてしまいそう。
「んぅっ……やぁっ、あっ…熱っ」
「いいよ。このまま出して」
「ふざけっ……っ」
「かわいいよねぇ、雪之。尿道刺激されてすぐ射精しちゃって? その後、漏らしちゃうなんて」
まだしていないのに。
それでも、そうなってしまいそうで反論が出来ない。
「……出せよ。それとももっかい棒突っ込んで、尿道拡げて、出させようか?」
「やっだっ」
「今も、我慢してんだろ? いいよ。ほら、車んときは駄目って言ったけど? 今はいいって言ってんだよ」
出る。
もう我慢出来ない。
というのもあったし、我慢してまた棒を突っ込まれるのも怖かった。
怖いというのは、自分がおかしくなりそうで。
あれを入れられたら、わけもわからず漏らしてしまいそうだ。
それならいまここで?
でも漏らすことには変わりないわけで……っ。
「んー。我慢強いねぇ」
そう言って、桐生は俺のを擦り上げたままもう片方の手で、また棒の先を少しだけ挿入する。
「ひぁっあっ」
ずるずると入り込んだソレが、ピストン運動するように入り口付近まで抜けて、それを3回ほど繰り返されると限界だった。
「やぁっあっ……あぁああっっ」
尿道を棒が抜ける間隔は、射精や放尿のときのそれと少しだけ感覚が似ているせいか、誘発させられる。
「んっ……んっ! あっ……」
まさか、20歳にもなって漏らす姿を見られるとは思ってもいなかった。
「……泣くほど恥ずかしい?」
桐生が後ろから俺を抱きしめて、首筋を吸う。
引き抜かれた棒で、遊ぶようにまた俺のモノを撫でた。
「もう……やだ」
「まあそれなりに嫌がってくれなきゃ、苛めたことになんないしね」
「最低です」
「よくなかった?」
よかった。
いままでにないくらい気持ちがよくて。
恥ずかしいという精神論を抜けば、本当に、最高なのかもしれないけれど。
「もう……これ以上、俺のプライド落とす必要ないでしょう?」
高校生の頃、プライドを意識しすぎるあまり、俺は素直になれないでいた。
桐生はそんな俺のプライドを壊して。
俺もまた、無駄なプライドは損をするだけだと気付けて。
それはそれでよかったとは思う。
けれどいまは違うだろ。
これは無駄なプライドなんかではなく、人として最低限のもつべき恥じらいだ。
「うーん。落としたいんじゃないし、無くしたいわけでもなくて。プライドの残ってる雪之の恥らう姿が見たいだけ」
抱きしめられた背後から、桐生のモノが押し当てられる。
この状況で、勃つとか。
ありえない。
「それに、お前、俺がやりかけて途中でやっぱやめると、なんで止めたんだってどうせ後で言うだろ」
確かに、やろうとしてたことを桐生が途中でやめるってのは、なんだか俺が役不足だったみたいで気に食わない。
……わかってる。
これこそ無駄なプライドだ。
「桐生は……こんな姿見ても、引かないんだよな」
「俺がさせたんだし。むしろ萌えるけど」
「……その変態っぷりに俺は若干、引きますけどね」
「お前、それはないだろう?」
恥ずかしくて耐え難くても。
桐生は必ずそんな俺を見て興奮している。
たぶんそういう性癖なんだろう。
桐生に興奮されると俺もやっぱり、興奮してしまうし。
……ああ。最悪だ。
けれど桐生が喜んでくれるのならば、少しくらい苛められるのも悪くないのかもしれない。
|
|