次の日。
晃の席は、前のドアに一番近かったから、教室に入るとすぐだった。
俺は、自分の席にカバンを置く前に、晃の席で立ち止まる。
「晃はさ、春耶にあげるの?」
って、昨日、俺が、チョコあげるやつなんて女々しいみたいなこと言ったから、あげるんだとしても言いにくいかなー…。
しまったなぁ。

「あ…僕、全然、バレンタインデーのこととか考えてなくって…昨日、やっと気づいたくらいで」
「俺もだって。節分で、力尽きたから」
「…でも、昨日…っていうか、今日なんだけど…。12時過ぎに、水城くんが、くれて…」
「えーっ!」
つい、声を出してしまうと、晃は少し慌てたような素振り。
「あ、ごめん、いきなり叫んじゃって」
「う…うん、いいんだけど…」
春耶が…?
そうか…。
あいつならやりそうだ。

外国では、男が女にいろいろ贈ったりするしな。
ここは日本だけど。

でも、好きな人に物をあげたりするって点では、男だろうが女だろうが、どっちにも平等にチャンスがあってもいいと思う。
で、バレンタインを利用すると。
いいんじゃないの?

「よかったな、晃」
「う…うん…」
照れくさそうにうつむいて。
かわいい子だよ、まったく。

「で、結局、晃はどうすんの?」
「あ…僕、バレンタインデーのこととかすっかり忘れてたって話をしたら、水城くんは、別にいらないって言ったけど…でも、あげるべきなのかなぁ…」
「うーん…。もらったなら、お返しって感じであげてもいいよな」
「…うん…そうだよね…」
まだ、少し迷ってる感じだ。

そのときだった。
「あの…」
後ろから、声をかけられる。
「ん…?」
知らない…けど、見かけたことあるな…。
同じ学年の子だろう。

「佐渡くん、いる…?」
って。
他のクラスって、あんま堂々と入れないもんな。
ドア近くで立ってる俺に聞くのが妥当ってもんだ。

で。
佐渡くんって…?
「…佐渡啓吾…?」
しかいねぇと思うけど…。
「そう」
啓吾は…いた。
「ああ、あそこ。呼んでこようか」
呼んだ方がいいのか、場所だけ示してこいつが自分から教室に入った方がいいのかはわかんねぇし。
そいつは、どうやら、他の教室に入るのに抵抗あるみたいで。
俺は、啓吾を呼びに行った。

「啓吾―」
少しだけ、近づいてから、啓吾の名前を呼ぶ。
ドアに向かってくる啓吾を見てか、その子は、少し緊張した面持ち。
あれまぁ。
「なに?」
「いや、俺じゃなくって、その子」
ドアのそこ子を目で示して。
啓吾は、わかったみたいに、その子へ向き直る。
もしかして、もしかする? なんて思いつつ、晃と話すフリして、少し覗き見る。

「これ、もらってくれる?」
そう差し出したのは、たぶん、チョコなんだろう。
あー、ホントに、こういうのあるんだー…。
春耶が晃にあげたってのは聞いたけど、なんか、感じが違うし。
もうモロ、こうバレンタインデーですっって感じのやつ。
自分でもよくわかんねぇけど。

「…っあ、べつに、付き合ってほしいとか、そういうんじゃなくって…ただ、貰ってくれさえすれば…」
そう言って、差し出して。
啓吾が軽く出した手に乗せられる。
「どうしても、1番に渡したくて…。もう誰かからもらった?」
1番…。あぁ、春耶も、もしかしたらそういうこと考えてたんかな。

「貰ってねぇけど…」
そう啓吾が言うと、なんか妙な罪悪感とか感じてしまう。
うーん…。
でも、別に俺があげなきゃなんねーわけじゃないし。

「じゃ、1番だ」
笑顔が、とってもかわいらしかった。
啓吾も、軽くチョコをあげて、ありがとうみたいなオーラを発して。
そんだけ。
その子は、帰ってく。

啓吾もまた、なんでもないみたいに、自分の席の方へと戻っていった。
もし、啓吾が俺の方見たら、どうしようかと思ったよ。
いかにも、待ってるくさくて、嫌だし。

あ、俺、数学のノート、返してなかった…。
今、返しに持ってくと、変にチョコとか思われそうで、嫌だな…。

まだいっか。
あーでも1時間目かー…うーん…。

「深敦くん、いいの…?」
「え?」
「その…啓ちゃんが貰ってるのとか、嫌じゃない?」
「んー…。義理だろ?」
どっちかっつーと、同じ男として、うらやましい気持ちの方が強いよ、俺は。

「おはよー」
元気よくドアから珠葵が入ってくる。
「あ、おはよ」
「おはよう」
珠葵は、にこにこで。
「はい」
って、俺と晃に、包みを渡す。
「チョコ。あげる」
って。
あー、なんか、もちろん本命じゃないってわかってるけど、うれしいや。
だって、別に、上司にあげる女社員じゃないし?
義理っつっても、別に、やらなくて当たり前な行為だし。
それをしてもらえたのは、友達として、うれしいことなんだよ、うん。

「ありがとう」
「サンキュー♪珠葵、にこにこだね」
「わかる? へへ。もう御神先輩にあげてきちゃった」
って。
「えっ…もう?」
「やっぱ、朝、一番にあげたいし」
1番ってのは、やっぱり特別なのか…。
「1番の方がやっぱいいんだ?」
「だってさ。もし、2人好きな人がいたとするじゃん?」
その時点で、ちょっとおかしいけど。
「うん。で?」
「そうだとしたら、先に言った方が勝ちそうじゃん」
なるほどねー。
「あとだったらさ。あぁ、この子もよかったけど、もう先に、OK出しちゃったよーとか、そんな馬鹿な理由で振られちゃいそうじゃん」
「うん。そっか…。って。つまり、珠葵は、よかったんだ?」
御神先輩のこと。
「うん♪とりあえず、受け取ってもらって、告白して、OKって」
「ぎゃーっ」
「…なんで、深敦くんって、そう叫ぶわけ?」
「あ、ごめん、つい…」
つい叫ぶ自分もどうかと思うけど…。
「あぁでも、よかったな。そうっ、嬉しさの表れだからっ」
「ありがと」
人が幸せになるってすばらしいなー。
嫌いな子が幸せになるのは、嫌だけど。

でも、結局、俺が今もってる幸せでしかないのかもしれない。
なんていうか、俺は、啓吾と一応付き合ってるから、珠葵にも彼氏が出来て、うれしいって思えるけど。
だけど、もし、自分に、付き合ってる人がいなかったらさ、ちゃんと、珠葵のこと、よかったなって、言ってあげれる自信がないっつーか。

ちぇ。汚い人間だ。



「席着けよー」
そういう先生の声に、意外と時間がたってしまっていたことに気づく。

「どうして智巳先生なの?」
朝の会。
担任の先生が来るはずの時間帯に、数学の智巳先生が。
「特別」
「はぁ…?」
あー。そういえば、昨日、出張とかなんとか言ってたっけ。
で、1時間目、数学だからか…。

しょうがない。
席につくか…。

の前に、啓吾に数学のノート…
と、思って、啓吾の方へ行こうとする俺の襟が、掴まれる。
「なぁあ」
「お前の席、そこだろ。それともなにか? 渡したいもんでもあるって?」
そう言って、智巳先生も、俺が向いてる目線に合わせる。
渡したいもんあるって…。
いかにも、チョコって感じで嫌だな。
数学のノートを、啓吾に渡したいだなんて、言えないし。
みんなもう席につくから、なおさら、一人だけ、立ってんのもつらいし。
「…はぁい…」
しょうがなく席につく。

朝の会、終わったら、少しくらい時間あるだろ。

そう思ったけど、朝の会を終えた智巳先生は、俺の席の横に立つ。
「…なに…」
他の人は自由に、少しの間、友達としゃべったりなんかして。
俺だけ、動けねぇじゃん。
「なにが渡したかったんだ?」
さっき…?
「……別に…」
「今日が2月14日だから?」
「それは、関係ない」
あ、それより、悠貴先輩が、智巳先生にあげるって…。
「智巳先生、誰かに、貰った?」
「なにを」
「なにか」
「なんで」
「知りたいから」
…この人とトークするのって、難しい…。
引いたら負けってな感じがするから…。

知りたいから…と、はっきり言った時点で、もうあっさり言い返せないだろうと、俺は無性に勝った気分でうれしくなった。
「貰った」
「え…」
あっさり、言い返されて、思いがけないその言葉に、一瞬、引いてしまう。
「なにを?」
もう一度、言い返してみる。
「チョコ」
「誰に」
「深敦の知らない人」
「…っいくつ?」
あーもう、言い返すの、難しくなってきたぞ。
「6つ」
「……へぇ…」
妙な敗北感。
言い返せないや。
ま、いっか。
それより、6つ?
「モテモテじゃん」
「まぁな」
「なぁ、6つとも、俺の知らない人?」
「深敦が、誰を知ってるのか、把握出来てないからな。たぶん、そう」
悠貴先輩はどうしたんだろう。
もうあげたかな。
俺と、悠貴先輩が、ルームメイトだってことは、智巳先生、知ってるかどうかわかんないし。
「そっか…」
「なんで? 深敦の知ってる誰かが、俺にくれる予定でもあるわけ?」
っ読み取られた。
「さぁ」
違うって、嘘つけねぇし。
あいまいなこと、言っちまう。
でも、智巳先生は、そういうの、追及してこないから、いい人だ。
「深敦は、貰う予定、あんのか?」
逆に、そう言われて。
貰う予定…?
「えーっと…本命とか、関係なく?」
「全部、ひっくるめて」
全部…。
珠葵がくれて…。
拓耶先輩がたぶん、くれて…。

う…うーん…。
そんくらいしか…。
「確実なのは2つしか…」
「確実性は、求めてないよ。じゃ、いくつもらったか、明日、教えて」
「えー」
「俺も、教えるから」
「誰からかも?」
「いいよ」
「じゃぁ…いいよ」
やっぱ、悠貴先輩のこと、気になるし。

…っていうか、それは、悠貴先輩に聞けばいいのか?
まぁいっか。

でも、あげる予定じゃなくって、貰う予定を聞いてくれたのは、なんだか嬉しかった。

「ちなみに、深敦の彼氏は佐渡啓吾だろう?」
「…なんで」
「裏情報」
「ずるい」
「ずるくない」
「ずるいっ」
「……」
少し、言いとどまってくれるけど、今度は、別に勝ったような気はしなかった。
「なんで」
少したってから、ボソっとそう聞いてくる。
…やばい。
なんで、ずるいのか、わからない。
「だって…えっと…。知らないうちに、そういうの裏から、知っててさぁ…」
「なにか、知りたいことがあるなら、教えてやるぞ」
「ほんとっ? やったー」
この人って、絶対、味方にしたらおいしいよなっ。

「っつーわけで、数学」
なにが、っつーわけでなんだかっ。
いつのまに、時計見てたのか、チャイムがなったのかもわかんないけど、授業をはじめようと、黒板に立つ。

しまった…。
啓吾にノート返しそびれたよー…。
チラ見するけど、啓吾は俺の方を見てないし。
見てたところで、どうにもならないけど。

「じゃ、昨日、宿題で出した問題。黒板で、解いてもらうからな」
黒板に、サラっと教科書の問題を書いて。
俺の方を見て、ニヤっと一笑い。
…嫌な予感するなー…。

「宿題、やってあるな。ノートだけ持って前来いよ。すぐに」
すぐにって…。
俺は、啓吾が解いたやつ、写したからいいけど。
「はい、2番、啓吾」

…イキナリ2番から当てるか?
数学の問題って、1番は、少し簡単めなんだよ。
わざと、ちょっと難しい2番当てたな…。
「1番、珠ちゃん」
「えー」
珠葵があきらかに嫌そうに。
そうだ。
珠葵、やってんのかな。
「自信ないなー」
少しそうぼやいてから、黒板に向かう姿を見ると、一応、解いてはいるらしい。

啓吾は…とりあえず、黒板の前に立つけれど…。
「啓吾、ノートは?」
智巳先生が、なんでもないみたいにそう聞く。

さっき、俺の机の上にノート二つあったの、絶対、確認したよな。
俺が啓吾になにか渡したがってたのは、目線とかでバレてると思うし。

だいたい、啓吾あてる前に、俺を見て笑ったのとかさ。
絶対、わざとだし。

俺、一番前の席だし、智巳先生が少しでも余所見してくれてたら、渡せたんだけど…。
でも、余所見しないし、第一、啓吾自身が、俺と反対側の席だから、俺の横を通らない。
その上、目も向けないから、俺も、呼び止めれないし、アイコンタクトすることも出来ないし。
なにも、持ってこずに前に来た啓吾が、いきなりノートとか持ってたら変かとは思うけど…。
せめて、カモフラージュのノートとか持ってこればいいのに。
そういうことは、しない奴なんだよ、うん…。


「席に、ありますけど?」
啓吾の方も、なんでもないみたいに、そう答えて、自分の席を指で示す。
後ろの方の啓吾の席。
確かに、なんかノートが乗ってるようには見えるけど、なんのノートかまでは確認出来ない。
というか、開いてなきゃ、わかんねーよ。

俺の席が一番前なおかげで、2人の声が、ばっちり聞こえていた。
後ろの方の席の奴には、聞こえないんだろう。
「見てもいい?」
「見る必要性は?」
「数学のノートかどうか」
「今日から俺、新しいノートなんで、なんも書いてませんよ」
もちろん、そんなのは嘘だろ。
そりゃ、新しいノートを持ってきてるのかもしれないけれど、とりあえず、俺が借りた数学のノートは、あと半分以上残ってる。
「前のノートは。持ってこないでどうするんだ?」
そうだよ。
普通、新しいのにしても、古い方も持ってくるだろっ。
って、俺が、心配してもどうにもなんねーけど、俺のせいだし。
「別に。この授業中に、見返すことはないと思ったから、持ってきてません」
「なんで」
「重いから」
なんちゅー理由だ。
ノート1冊で。
「そっちじゃなくて、なんで見返さないかだ」
「見返す必要ないでしょう…。そんな数日前やった所、すぐ忘れるほど馬鹿じゃないですから」
「お前さー、俺以外に先生の友達いる?」
智巳先生と啓吾が友達みたいな言い方だな。
そりゃ、少しは話したりするのかもしれないけど。
そうだとしたら。
『俺以外』って言わなかったら、啓吾が『俺の方は友達のつもりでいたのに…』ってショックを受けるかもしれない。
そういうこと、考えてくれる人なんだよ、智巳先生は。
普通に、友達って思ってるだけかもしれないけど。
とか、ただ、自分を数に入れてないだけとか。
「先生と友達になろうとは、思ってませんけど」
…冷めてんのな…。
啓吾らしいけど。
でも、本心じゃなくって、ただ、言い返してるだけっぽい感じもする。
智巳先生も、啓吾も、なにか、笑みを浮かべて、含んだ感じでトークしてるから。
こういう取り引き…
じゃないや、駆け引き?
みたいな感じ、楽しそう。
「俺は、そういう性格好きだけどな」
「ちなみに、一応、遊ぶ先生くらいはいますよ」
え、そうなんだ…。
遊ぶってなんだろう。
「誰?」
「桐生先生」
「あぁ、桐生の好きそうなタイプだわ、啓吾って。俺も好きだけど」
そこまで言うと、啓吾に、チョークを手渡す。

「宿題っつったのに、ノート、持ってこないんだな」
「宿題ってのは、やっときゃいいんでしょ。わざわざ確認、するんすか」
「…まぁ、そこまで俺も言ってないからな。なくてもいいよ。やってあるっつーんなら」

そこで、やっと啓吾が黒板に向き直る。

珠葵の方は、自分のノートを見ながら、ゆっくりと黒板に書き写していた。

啓吾は、ほんとに少しだけ、黒板をジっと見て。
そのまま、問題を解いていく。
計算するとこだけ、少し書きとどまって。
頭ん中で、計算してるんだろうな。
俺は、昨日自分が書き写した数学のノートと見比べて、確認していた。

2人が解いてる最中、智巳先生は、なぜか俺の隣に…。
「な…に…」
「…あんだろ。佐渡啓吾のノート」
フルネームかよ。
わざわざしゃがんで、俺にしか聞こえないように言う。
「っ…」
ないよとも言えないし。
「別に怒んねーしさ。俺が渡しとくわ。途中までしかノート使ってなくて、新しいやつにすんのって、やだろ」
そう言って、俺のノートの下にあった啓吾のノートを取り上げる。
中をパラ見して。
「やっぱ、途中までだなー」
って、確認して。
「ある程度、佐渡啓吾の嘘もうまかったし。…って。別に嘘はついてないか」
「っ…いま返すと、啓吾も気まずいかも」
「そぉ? あとで、お前、返せる?」
あ、俺も、返しにくいか…。
どうしよう…。

でも、今、智巳先生が返したら、なんか、啓吾が嘘ついてたのが、バレバレだったわけで、啓吾自身が少し、恥ずかしいんじゃないかと思うし…。
嘘はついてないけど…。うーん…。
「俺が、なんとか、渡してやるよ」
そう言って、ノートを持って、黒板で問題を解いてる啓吾のところへ。

どうするんだろう。
深敦に貸してたんだろう? とか言ったら啓吾も、どう言い返せばいいかわかんないだろうし…。
開き直って『そうですよ』とか。
うーん。

「…お前が、重いっつって、持ってこなかったノートな。高岡深敦が、代わりに持って来てくれたそうだ」
おぉお、なんてうまいこと言ってくれちゃうんだ。
智巳せんせぇ…。
これなら、啓吾も気まずくないぞ。
「どうも」
啓吾は軽くお辞儀をして、智巳先生からノートを受け取った。
「俺に言われてもな」
そうにっこり笑って、智巳先生は俺に目線を向ける。
…って、俺…?
それは、さすがにやばいよ。
智巳先生が、少し笑うのみると、やっぱり、わざとのようだ。

あとで絶対、ネタにされるっての。

啓吾は、俺をいったん、冷めた目で見下ろして。
そのあと、にっこり営業スマイル。
「どうも」
って。
ぎゃー。
気持ち悪いっつーか、怖いっつーか。
含みのある笑い方しやがって。

智巳先生も、楽しそうに笑うし。

結局、啓吾はノート見ずに、問題解き終わっちまったけどな。

俺はもう、どうにも言えねぇし。
はぁあ。



数学の授業が終わった次の休み時間。
智巳先生は、俺を見てにっこり笑って。
「さて。どうなることやら」
なんだ、この先生はっ。
「ちょ…っと…。ノート渡したまではよかったけどさぁ」
「少しくらいはな。そういい人ぶれないから」
でも、わりと、いい人だとは思うけど。
授業中に、変な風に渡さなかったし。

「それより、ちゃんと明日教えろよ」
「えーっと、チョコだっけ?」
「そう」
「智巳先生もだよ」
「了解」
「あー、他にも、いろいろ教えてよ」
「へいよ。その代わり、お前も教えろ」
なにか、教えられることあるかな。
「わかった」
とりあえず、そう言っておこう。