柊先生にだっこをされて、ベッドへと移動。  

「これ…入れようか」
 そう言って見せてきたのは、大きめの赤いロウソクだ。
「…そん…なの…っ」
「火はつけませんから。ただ、指じゃ届かないトコまで入れたいだけです」
 指よりは少し太め。
 柊先生のよりは細いけど。
「うつ伏せになって…」
「俺…っ…」
 断りきれず、うつ伏せに寝転がると、背中を撫でた手が、尻を撫で、ゆっくりとさっきまで指先が入り込んでいた箇所へと、少し冷たく感じるロウソクであろう物が入り込んでくる。
「んぅンっ! ぁあっ…っ」
「…そんなんじゃ、医者に座薬入れられるとき、困っちゃいますよ」
「っそういうときは、こんな風じゃ…」
「じゃあ、俺相手だから?」
 図星かもしれない。
 柊先生だから。
 ちょっと指で触れただけで、ものすごくゾクっとする。

 柊先生の問いには答えずにいると、その隙にもゆっくり中へ中へと入り込んできていた。
「ぁっ…ぅん! …もぉっ…」
 すごい。
 奥の方まで来てる…?
手元にあるベッドのシーツをギュっと握り締めた。
「ひっ! あっ…せんせ…っ」
「どうしました?」
「あっ…おくっ…やめっ…」
「どうして…」
 止めてくれそうにない。
 どこまで?
 さらに奥に入り込んでくる。
「あっ…ぁん!! …あぅ…ンっ!!」
「…ね…芳春は奥、突かれるとかわいい声出ちゃうもんね…」
 わかってて、わざとやってる?
…よな。
そうに決まってる。  
恥ずかしい。
「もう一度、聞こうか。…どうして、奥はダメ?」
 そう聞きながらも、奥の方をロウソクで突く。
「ぁんっ!」
 抑えたいのに、反射的に声が洩れてしまい、顔がものすごく熱くなった。
「教えて…」
「っ…や…」
「言えない?」
 企むような声が耳元でした。
少しだけロウソクが退いたかと思った直後、また奥を突いて2度ほど繰り返される。
「っ! ぁんっ! やっ!!」
 嫌だ。
 さすがにこうあんあん喘ぐのは。
 話を聞いてくれる気なのか、そっと動かすのを止めてくれた。
「嫌なの?」
 また答えずにいたら、突かれてしまいそう。
「奥…っ…なんか、変なんです…っ」
「変?」
「恥ずかしい…です」

 そう言うと、俺の体を仰向けにさせ、上から見下ろされる。
 ロウソクは刺さったままだ。
「それはよかった。恥ずかしくないと、お仕置きになりませんからね」
 笑顔を向け、軽く俺の目元に口付けた。

「両手、出して」
「え…」
 スっとネクタイを外し、そう言われる。
 …しばる気か。
「縛るのは……いやです」
「そ。じゃあ、ちょうどいいですね」
 え。
 意味わかりませんけど。
 そう思ってるうちにも、俺の両手首は柊先生によって縛られベッドの頭部へと固定される。
「…なんで、縛るんですか」
「あなたが手を出さないように」
「言ってくれたら、出さないようにします」
「そう?」
「なんで…いやですって言ってるのに」
「すみません。かわいいもので」

 話にならないじゃないか。
「…理解できません」
「いやじゃなきゃ、お仕置きの意味ないですし。それに、そんなに抵抗しなかったじゃないですか」
「それは…変に動くと…っ」
 中のロウソクのせいだ。
 わかってなのか、またロウソクを掴みゆっくり出入りさせていく。
「くっ…んっ、んぅっ!」
「俺の指よりロウソクの方がいいの?」
「違…っ…ぁっあっ」
「じゃあ、縛られて気持ちいい?」
 俺は首を横に振り違うと示す。
「どうかな。まぁせっかくなんで。ね」
 ねってなに。
 ロウソクを引き抜いて俺に見せる。
 え。
 ロウソク。
 と、ライター。
「っさっき、火はつけないって…っ!」
「つけた状態で入れないってことですよ」
「そんなの…当たり前じゃないですか」
「そうでもないですよ」
 あっさりとなに言ってるんですか、この人。
「ちゃんと気持ちよく感じれるように、ローター入れときましょうね」
 お薬だしときますね? みたいなノリで言われても。
 また引き出しから取り出したローターに舌を絡め、その後、ゆっくりと押し込んでいく。
「んぅっ…くっ…あっ…」
 ゆっくりと奥の方まで。
 ぬるいくらいのじれったい振動。
 物足りない。
 けれど、体は熱くなっていく。
「はぁっ…んっ!」
 気持ちいい。
 少しボーっとしてしまうが、ロウソクに火をつける柊先生の姿を見つけ、一気に緊張感が高まる。
「あっ…ホントに…っ?」
「怖いですか? 初めてですもんね」
「無理…ですっ…熱い」
「低温ロウソクなんで、大丈夫ですよ。じゃあ、まず足で確認してみます?」
 にっこり笑って、膝あたりにロウソクを傾ける。
「っ…やめてくださっ…」
「暴れないで…。いきなり股間にかかったらどうするんですか」
「っやっ…っ……怖ぃ…」
 みっともないくらい涙が溢れてくる。  

「芳春、どうしようね。怖がらせたくはないけれど、かわいくて仕方ない」
「せんっせ…っ」
「しょうがないね…。見ててごらん…」
 瞬きをして目を慣らす。
 柊先生は、ロウを自分の手の甲にたらしてみせる。
「あ…熱く…ないんですか…っ」
「平気です」
「俺っ…別に、柊先生のこと、信用してなかったわけじゃ…っ」
 あぁ、なんでそんな言い訳がましい発言してるんだ、俺は。
 それでも、柊先生はにっこり笑って
「ありがとうございます」
 そう言ってくれた。
 
「じゃあ、鈍い部分からいこうか…」
 俺の足を掴んで、一旦、俺の足の甲にキスをする。
 ベッドの上に戻すと、固定するように押さえつけ、その上へとロウを垂らした。

「ひぁっ! あっあっ」
 熱い。
 …あったかい?
 わかんない。
「ね…。熱いのは一瞬で、すぐなんともなくなるでしょう…? 熱さも、火傷しない程度ですし」
 すると、ポタポタとロウを垂らしながらゆっくりと足を這い上がってくる。
 まだうまく理解できない。
お腹の辺にも、ロウを垂らされ、体が大きくびくついた。
「あつっ…ぁっ! んっ」
「ローターの振動、もう少しあげときますね」
 言葉通り、振動があがると意識がそっちへと向かった。
「あっんっ…んぅっっ」
 後ろが気持ちよくて。
 ロウが胸元を垂れると、熱いのがまるで電流のように感じられて、しびれるような錯覚を起こす。
「ぁんんっ! あっあっ」
「胸、気持ちいいの?」  
爪を立てられるような痛さとはまた違う。  
一瞬の熱さが生み出す刺激と、冷えたロウが固まるせいで、皮膚が引っ張られるような感覚。
 いやだ。
 俺、こんなんで感じてるとか。
 萎えかけていた自分のモノもいつのまにか、はちきれんばかりに…。

「かわいいですねぇ。芳春の肌は、赤が綺麗に映える」
 お腹辺りに垂らしたロウの跡をそっと指でなぞりながらも、ポタポタととめどなく降り注ぐ。
 そのたびに、体がビクビクと跳ね上がった。
「ぁあっ! あっ! んっ」
やばい。
いきそう。
こんなので。
だって、ローターもすごい気持ちいいし。
「もぉっ…あっ! ぁあっ!」
「イきそう…? すごい、ココ、脈打ってるね。いいよ、イって」
 指先が、俺の股間を撫でて。
 ロウを垂らされる。
「ひぁあっ!! あっぁあっ…あぁああああっ!!!」

 イってしまうと、やっとローターの振動を止めてくれる。
 なんかもう余裕が無い。
 本当に脱力状態。
 柊先生が、火を消すのだけ理解できる。

 ボーっとしていると、カシャっというシャッター音。
「な…っ」
「ほら。せっかくなんで…ね?」
「なにが…」
「そう何度もするプレイじゃないですし。赤くてかわいいですから」
 恥ずかしいのに、手を縛られているせいで、隠せないし。
「めでたいですよね、紅白で」
 にっこりと、何言ってるんですか、この人。
 紅白って。  
…赤いロウソクと、白は俺の…か。

「っもう、普通の…っ」
「普通って?」
「だから…っ…」  
普通のH…。  
そう言おうと思ったけれども、つまりそれって、柊先生のが欲しいみたいで。  
言い留まる。  

「とりあえず、ローター抜きましょう」
 そう言って、ゆっくりと引き抜かれて取り出された。
「…はぁ…っ」
「ロウ、剥がしますね」
「えっ。ちょっ! え、これって普通に剥がれるんですかっ?」
「そのままがよければ、しばらく堪能しますか」
 なにかが張り付いている感触は、少し、気持ちがよかったりもする。
 けれど、このままってわけにもいかないし。
「あの、皮膚とか大丈夫なんですかね」
「大丈夫ですよ。ほら、ボンドとか手にくっついちゃって、そのまま固まったのと同じ感じで剥がせます。むしろそれより楽です」
 そうなのか。
  そういえば、いつのまにやら柊先生が始めに手につけたロウは無くなっている。
  そんだけ簡単に剥がれるってことだろう。

 じゃあ、剥がすか…と思っても、手が。
 この人に剥がされるのか…

 一つずつ、ロウの塊を剥がしていく。
 …変な感じだ。

「さっき、すごくかわいかったです」
 さっき?
「なにか…」
「怖いって、泣いちゃってたときです」
 そういうのは、ぶり返さなくていいのに。
「あれは…っ、知らなくて…っ」
「かわいくて癖になりそうです。また怖がることしたくなっちゃったなぁって」
 …最悪ですよ。

「い…痛いのは…」
「嫌なんですよね。わかってます」
 …わかってて、あえてしそうで怖いんですけど。

「ちゃんと、感じさせますから。痛いだけで終わらせませんからね」
「なっ…少しは痛いんですかっ?」
「冗談ですよ。痛くないこと、しましょう」
 そうは言われても。
 精神的に頭がちょっと痛い感じのこと、しちゃうんだろうな、この人。